"The Royal Scam" Steely Dan

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スティーリー・ダンの名声を広く世界に知らしめた傑作「Aja」の前作アルバムがこの「The Royal Scam」だが、洗練の極致とでも言うべきAjaの完成度と比較すると拙い部分が多く見受けられる。

とはいえ、腕利きのギタリスト達を全面に押し出した構成や、後に磨きがかかることになる実験的な収録、難解で皮肉たっぷりな歌詞はこのアルバムを時代が無視できない曲者中の曲者に仕立てていると思う。

特に1曲めの「Kid Charlemagne」は私にとって棺桶に持っていきたいほどの名曲。かのラリー・カールトンが担当するギターは何度聴いても身震いするほどにカッコいい。そして思わせぶりな歌詞が、フェイゲンの音域の狭い苦しげなボーカルにマッチしてセクシー極まる。

「コイツら天才だわ!」と思ったのは「Haitian Divorce」を聴いた時。全然キャッチーでも何でもないのに、やたらと耳に残るフレーズとメロディーの集合体なのだ。しかも「ちゃちゃっと録りましたよ」みたいな軽さもある。ロックじゃないしロックを作ってるつもりもなさそうだけど…あれは立派なロックだと思う。

余談だがだいぶ昔の話、アメリカで起きた無差別殺人で犯人が感化されたとされる曲がこのThe Royal Scamの中のにある。「Don't Take Me Alive」がそれだ。確かに心が弱っている時に聴いたら、何かしら心が揺れるかもしれないなぁとは思う。良かった英語が苦手で。

そう、スティーリー・ダンの真価は良かれ悪しかれ「歌詞」にある。

Amazon覗いたらレコード盤「52,051円」って!ありえない!

1.Kid Charlemagne - 4:38
2.The Caves of Altamira - 3:33
3.Don't Take Me Alive - 4:16
4.Sign in Stranger - 4:23
5.The Fez (Walter Becker, Donald Fagen, Paul Griffin) - 4:01
6.Green Earrings - 4:05
7.Haitian Divorce - 5:51
8.Everything You Did - 3:55
9.The Royal Scam - 6:30

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