第2集「田一枚植えて立去る柳かな」① 奥の細道シリーズ切手限定コレクション

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 四月二十日(陽暦六月七日)、芭蕉たちは那須湯本を立って芦野の里(栃木県那須郡那須町)に赴いた。

『奥の細道』には、

 又、清水流るるの柳は

 芦野の里にありて、田の畔(くろ)に残る。

 この所の、郡守戸部某の、

 「この柳見せばや」など、

 をりをりにのたまひ聞え給ふを、

 いづくのほどにやと思ひしを、

 今日この柳の陰にこそ立ちより待りつれ。

  田一枚植えて立去る柳かな

とある。

「清水流るるの柳」は、謡曲『遊行柳』で知られ、西行が「道の辺に清水流るる柳陰しばしとてこそ立ちどまりつれ」と詠んだとされる柳。西行の歌は「道の傍に涼しげに清水の流れている柳があった。その陰でしばらく休もうと思ったが、あまりの心地よさについつい長くとどまってしまった」という意味だが『奥の細道』は前文に、その西行の歌の部分を記し、句でその次をつづけた。『奥の細道』執筆の際の作。西行の歌も、元来、こことは関係ない。

【句意】
 今日、ほかならぬこの「清水流るるの柳」の陰に立ちより、そして、傍の田が一枚植え終わるまで休んだのち、再び、柳の陰を立ち去って歩みをつづけていくことだ。

 季語・「田植え」(夏)

 今も田の中にある温泉神社の鳥居前に植え継がれ、この句の碑も。西行歌碑や、後にここを訪れた蕪村も句碑などと共に建っている。車で傍までは行けず、那須町役場か芦野局の所から歩いていかなければならない。

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