第1集(1)厩図屏風 初日カバー 馬と文化シリーズ切手限定コレクション

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厩図屏風 六曲一双の内左隻
江戸初期 紙本金地着色 各高65.0×横375.0㌢
馬事文化財団馬の博物館所蔵

 厩図屏風とは、厩舎に繁がれた馬を題材とした屏風で、近世初期における武家風俗を描いた絵画として知られている。この種の作品は相当数残されているが、厩図には、厩とそこに繁がれる馬だけを描いた宮内庁の御物本に代表されるもの(第一種)と、馬の繁がれた厩の前景に囲碁や将棋に興ずる人々、鷹匠、猿や犬のどの風景描写を配した東京国立博物館本に代表されるもの(第二種)に大別される。

 この絵画はその第一種の御物体の系統をひくもので、戦国武将の憧れであった名馬を、清潔な厩舎に繁ぐ様子を描いたものである。

 横一線の厩舎内には、青毛、鹿毛(かげ)、馺毛(ぶちげ)などの馬が、いずれにもたて髪を編み、胴繩で吊られている。一双の屏風は、静と動に描き分けられ、右隻を静、左隻を動に合わされた駿馬のダイナミックな表現は、戦国時代の名馬の条件であった悍馬の如く力強い。そして、屋根の上に垂直に表わす竹幹と、巧みな竹葉の配置は、厩図を一層、雅趣豊かなものとしている。

 ところで、ルイス・フロイスの『日本史』の記述に、織田信長の厩は、身分の高い人たちの娯楽用の広間に類似する立派な構造から成っており、常に五・六頭の名馬が繋がれていたことを記している。この図は。厩が大名の社交の場であり、特に厩舎に繋がれたこのように躍動的な逞ましい駿馬は、戦国武将にふさわしい馬であったことを物語っている。

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