旧睦沢学校校舎「近代洋風建築シリーズ初日カバー」

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1983年2月15日発行

 明治8年(1875)竣工の木造2階建て、中央に塔屋(太鼓桜)付き桟瓦葺きの小学校校舎。もと山梨県巨摩郡敷島町(旧巨摩郡第7区睦沢村)にあったが、戦後に甲府市の武田神社境内に移され「睦沢記念館」として公開されている。日本の建築関係工匠の持つ伝統的な技法で、西欧の建築の意匠をあらわし、しかも細部に日本風のデザインを主張しているいわゆる擬洋風建築の代表的な作品である。設計は山梨県下山の大工棟梁の松木輝殷(まつきてるしげ、輝重とも書く)。

 当時の山梨県令(県知事)の藤村紫朗は着任早々県内の物産調べをして、ブドウがたくさんとれ、しかも品質が良いのを知り、ブドウ酒の生産を奨励、今日の山梨ワインの恩人とされているが、その開化政策の一環として県下の学校や役場などに独特の洋風建築をたくさん建てさせた。藤村式建築と俗称されたものであり、松木がその意を受けて活躍した。

 玄関車寄せの円柱や2階のヴェランダ、屋上の太鼓桜、上げ下げ窓、シックイで石のように盛り上げた窓のアーチや隅石(壁の角の部分の凸凹の模様)など、充分に洋風の情緒を盛り上げているが、土蔵式の壁も小屋組みも、軒の雲形の飾りなども、いたるところに伝統の日本建築の意匠が見られる。擬洋風たるゆえんであるが、それだけに甲斐の盆地に三峡に文明開化の熱気が雲のように流れこんだ明治初年の時代を象徴する建築と言えよう。

 また区長の長田友康以下当時の睦沢村民がこの学校建設にかけた期待と努力も大きかった。建物そのものも当時の文献記録も、よくそれを物がっている。

(重要文化財、甲府市古府中町)

※1983当初の説明です

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  • このカバー集を手に入れたのは30年以上前のことですが、
    この度はじめて気づきました。

    なんということでしょう。このカバーには消印が無い!!!!!!
    当時気づいていれば、不良品交換できただろうけど・・・さすがに今では無理ですね。
    かなりショックでした。

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