表慶館「近代洋風建築シリーズ初日カバー」

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1981年8月22日発行

 大正天皇(当時皇太子)の御成婚(明治33年)を記念して計画されあ奉献美術館で、明治34年8月起工、同41年10月に竣工した。レンガ造りの外壁に花崗岩を貼り、2階建て、屋根は銅板葺き、19世紀にフランスに端を発してヨーロッパやアメリカに流行したネオ・バロックの建築様式を採用している。中央と左右の3つの円屋根、円形と長方形を組み合わせた平面構成など巧みにまとまっている。中央大ドーム(円天井)の下の吹抜けの円形ホールは見応えがある。また大理石モザイックタイル貼りの床も美しい。東京国立博物館正門を入って左にあり、現在は日本の考古学関係出土品の陳列館になっている。

 設計指導は東宮御所御造営局技監で、この工事途中で宮内省内匠寮長官、すなわち内匠頭になった宮廷建築家の片山東熊(1854~」1917)。彼の下で内匠寮の高山幸次郎が実際に当たった。片山は長州藩の出身。明治12年に工部大学校造家学科(東大工学部建築学科の前身)の第1回卒業生として世に出、その生涯を明治の宮廷建築家として送った。各地の離宮や皇族、華族の邸宅などの作品も多いが、現存している主なものに、この表慶館の他に奈良(明治27年)・京都(同28年)の両国立博物館と迎賓館赤坂離宮(もと東宮御所、明治42年)がある。表慶館はその東宮御所の工事とほぼ並行して行われたもので、片山の作品としては奈良国立博物館から東宮御所に至る作風の過程を示すものと言えよう。片山はこのような作品を通して明治国家をみごとに飾りたてることに功があttが、彼の部下たちも建築デザインに優れた者が多く、その流れは現在の国会議事堂の建築(昭和11年)にも及んでいる。
(重要文化財。東京都台東区上野公園)

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