昭和35年(1960)年賀切手「米くいねずみ」カシェカードコレクション

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 昭和35年、60年安保闘争の年であった。6月に、安保改訂に反対するデモ隊が国会周辺を埋め、全学連の学生が実力で構門を押し破って国会構内に乱入。警官隊との激突のなかで東京大学の学生であった樺美智子さんが死亡した。

 昭和26年(1951)サンフランシスコ講和条約とともに調印された日米安保条約では、米軍の日本国内での基地使用と駐留を取り決めていた。だが、そこにはアメリカの日本防衛義務が明確に示されていなかったため、岸内閣は60年の改訂交渉にあたってアメリカ側にこれを要求し、認めさせた。だが、国内では戦争に巻き込まれる恐れがあるとして社会党などが反発。空前の規模の反対運動が起こったのである。安保闘争には、野党や学生、労組など革新勢力の他、学者や文化人も参加し、全国各地でも反対運動が展開された。

 また、2月には前年ご結婚された皇太子ご夫妻に親王さまがお生まれになり、お名前は徳仁、称号は浩宮と決まった。3月には天皇家の第5女清宮さまが銀行家の島津久永氏と結婚され、皇室のご慶事がつづいた。

 名人横綱、栃錦と土俵の鬼、若乃花の名勝負は、戦後の大相撲の黄金時代を画したが、この年の大相撲春場所の千秋楽で史上初の横綱同士の全勝対決となった。若乃花が寄り切りで栃錦を破って初の全勝優勝を果たした。

 この年はまた、「黒の時代」と呼ばれた。前年の第1回レコード大賞を受賞した「黒い花びら」が大ヒットし、黒いビニール製の「ダッコちゃん」人形が若い女性の人気の的となったからである。

 昭和35年新年用切手は「米くいねずみ」である。子(ねずみ)年にちなんで、採用された石川県の郷土玩具であるが、これを愛玩すると、お金がたまるという伝説がある。竹ばねがついていて。これを押すと頭や尾を下げて米をついばむ動作をする。切手のは白いねずみであるが、郷土玩具の方はねずみ色に塗られている。

カシェカード挿絵=藤井厚志

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