靴磨き職人「シューシャイナーKENさん」が語る、自宅のシューズボックスを眺める楽しさ。_image
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靴磨き職人「シューシャイナーKENさん」が語る、自宅のシューズボックスを眺める楽しさ。

シューシャイナーKENさんのOFFの靴との付き合い方。ご自宅のシューズボックスを見せてもらってきました。

取材日: 2015年5月28日

取材・文・写真/井本 貴明

「プロの料理家は、自宅でどんなキッチン用品を使っているのか?」「靴磨き職人は、自宅でどのように靴をお手入れしているのだろうか?」雑誌の紙面では取り上げられない、職人がOFFの日に使っている道具や、生活スタイルを知りたい。そんな個人的な疑問を解決するために、以前から面識のある靴磨き職人にこんなお願いをしてみた。
「自宅のシューズボックスを見せて欲しい。普段OFFの日に履いている靴、自宅でのお手入れ方法を教えて欲しい」
こんな無茶な依頼から、本取材は始まった。

靴磨き職人のシューズボックスに並ぶ靴とは?

まず初めに、今回の取材を承諾してくれた、「シューシャイナーKENさん」の紹介をしておきたい。
靴磨きを職業としているプロの靴磨き職人である。都内の某有名な靴磨き店舗で数年の修行をした後に、2014年に独立。東京の虎ノ門に「Polish Made」を構え、長年の革靴愛好者から、革靴を最近買い始めた新入社員まで、幅広い年代の方に支持されている。なかには、KENさんに靴を磨いてもらうために、20足以上の革靴を郵送で依頼する人もいるほどだ。また、有名アパレルブランド、革靴販売店での靴磨きイベントにも招かれ、全国で活躍をしている。詳しくは、こちら。(http://doublesole.com/shoeshiners/ken
そんな、靴磨き職人として活躍されているKENさんの自宅に伺った。玄関を開けて目に飛び込んできた白いシューズボックスには、革靴が20足ほど綺麗に収納されている。「ここに収納されているのは一部です。靴だけでも全部で70足ほどあります。シューズボックスに入りきらないのは靴箱に入れて、部屋の押し入れに置いていますね」そう語るKENさんに、シューズボックス内の”選ばれた靴たち”について語ってもらった。

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Adidasのスタンスミス、J.M.Westonの180が、靴磨き職人のシューズボックスに並ぶ理由

KENさんは、履く機会が多い靴をシューズボックスに並べている。「革靴を50足ほど持っているが、よく履く革靴は10足程度になります」その基準は、服装とのトータルコーディネートの合わせやすさだと言う。中でもお気に入りは、フランスのブランドであるJ.M.Westonの靴だ。J.M.Westonの代名詞とも言えるローファー180モデルは、全部で7足持っており、そのうち5足がシューズボックスに並んでいる。「180は、”シュッ”としているスマートな見た目が好きです。しかも、ジーンズや素足に短パンでも合わせられる”気軽さ”もあるのがいい」と語るKENさんは、Adidasのスタンスミスを手に取り、「180もスタンスミスも、長い間、スタイルを変えずに愛され続けてきた。そんなクラシックな物に惹かれますね」
休日にはビルケンシュトックのサンダルや、New Balanceの996を履く機会が多いという。そこには、180やスタンスミスと同じクラシックな流れを感じる。
シューズボックスに並んでいるその他の靴は、Edward Green、Aldenなどの有名ブランドの靴を確認することが出来た。そんな中で、Parabootのアザラシの毛を使ったミカエルフォックが強い個性を放ち、他の靴と比べて異質に見える。KENさんは、パーティーなどで少し目立ちたい時に履くのだろうか。そんな想像をしながら他人のシューズボックスを眺めるのは楽しい。
余談だが、「オシャレは足元から」という言葉がある。その意味が本当だとすると、自宅にあるシューズボックスは、その家主のオシャレの源泉なのかもしれない。

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シューズボックスに垣間見る、これまでの軌跡

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「KENさんが考える理想のシューズボックスとは?」
最後に、こんな質問を投げてみた。少し考えた後に、「今、シューズボックスに収まりきらずに、部屋の奥で保管している靴を含めて、全ての靴が眺められる状態で収納したい。Walk in Closetみたいな感じで、Walk in Shoes Boxが欲しいです。湿気も管理できれば、それが理想のシューズボックスですね」と楽しそうに語る一方で、こんな話もしてくれた。「僕が20代の頃は、メーカーを問わずにいろいろな靴を履いてきました。見た目が華やかなイタリアの靴や、欲しさのあまり、サイズが合わない靴を買って、失敗したこともあります。そして30代になった今、自宅のシューズボックスは、自分に合った履いていて気持ちいい靴で埋め尽くされています。今のシューズボックスは先ほど話した理想とは離れているけど、このシューズボックスに並ばれて靴を眺めるだけで、とても楽しいんですよね」
 取材の帰り道、KENさんが語った”シューズボックスの靴を眺める楽しさ”について考えてみた。20代の頃に靴磨きと出会い、職業として靴磨き職人になった頃は、毎日のように夜遅くまで靴を磨き続け、腱鞘炎に悩まされるなど様々な苦労を重ねたKENさん。現在、靴磨き職人として人生の方向を見定めた自分の姿を、シューズボックスに並んでいる靴に投影させているのかもしれない。

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毎日これだけは守りたい、革靴のお手入れとは?

シューズボックスで革靴を保管するポイント、お手入れ方法についても聞いてみた。KENさんは自宅に帰ると、最初にブラシでホコリを取り、シューツリーを入れた状態で玄関に1日置く。翌日に湿気が取り除かれた状態になってから、クリームを塗るなどのケアをして、シューズボックスに靴を並べる。「必ず湿気を取り除いた状態で、シューズボックスに入れる。そうしないと靴がカビやすくなります。1足の靴がカビてしまうと、周りの靴も一緒にカビてしまいます」。そう語るように、湿気に対してはとてもデリケートに対処するという。突然の雨などで革靴が濡れてしまった場合は天日干しをして、完全に湿気が取り除かれた状態でシューズボックスにしまうのが大切だとも語る。
そのようなお手入れをしても、湿気が多い日本では、革靴がカビてしまうことがある。その場合は、靴磨きのプロに任せるのがいい。カビを取り除き、ピカピカに磨かれた状態の靴に戻すことができる。

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