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甦れ!あの切れ味。 少しの手間で効果てきめん、基本の包丁研ぎを教わってきました。_image
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甦れ!あの切れ味。 少しの手間で効果てきめん、基本の包丁研ぎを教わってきました。

「最近料理してないな」と感じて取り出した包丁の切れ味が悪いこと悪いこと。先人の知恵である「包丁研ぎ」を講師の方のレクチャーの元チャレンジしてみました! 本当に切れ味が良くなるのかちょっぴり半信半疑なのですが、その結果はいかに。

取材日: 2015年10月2日

取材/廣瀬 文

こんにちは。
得意料理は鍋もの全般♡(つまり切って煮るだけ)。アラサー編集部員Aです。

美と健康は1日にしてならず、日々の食生活から。そんなこと、わかっちゃいるけどここ最近、何故か自炊が続かない。以前は月2、3回料理教室に通って、毎日ダシをとり、土鍋でご飯を炊いていたのに……。
そんな”丁寧な暮らし風”の生活はもはや幻、まるで都市伝説のようです。

毎日調理するには、やはり使いやすい道具があるべきだろうと!
調理家さんの取材(「あの人のこだわり調理道具」)でも、みなさん決まって見せてくださるのが包丁! 持ちやすくて切れもいい包丁があると、それだけで台所に立つテンションがあがるものですよね。

で、久しぶりに取り出した我が家の包丁は……。

残念。切れませんでした。
 
取材した調理家さん達も、自分で研いでメンテナンスしてるとおっしゃってました! 
でも実際どうやって研いでるんだ⁉︎

ということで、
今回は、
「不器用な素人が包丁を研いだら、その切れ味はどのくらい蘇るのか?」
を検証するべく、わかりやすいレッスンで定評のある「包丁研ぎ講座」に参加して参りました!

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教えてくださる講師はこの方! 豊住 久さん。
豊住先生は、長年、飲食会社の設備担当と営業部門に勤務、独学で包丁の研ぎ方を研究。社内でもそのノウハウは重宝され社員に教えていらっしゃったそうです。最近、私のように「包丁を研いだことがない」という人が多いことから、包丁研ぎの知恵と文化をもっと身近に感じて活かしてほしいという思いで講座を始められたそうです。受講生は既に500人を超えるという研ぎ名人です。

豊住さん、まずは「包丁を見せてちょうだい」とのこと。
お渡ししまして、

豊住さん:「なるほどね〜。じゃ実際に包丁の切れ味をこのトマトを切ってみせてもらえますか?」

編集部員A:「はい」

では、我が家の包丁の切れ味をご覧いれましょう。

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刃がトマトの表面でツルツル滑って全く入っていきません。

先生も見かねて代わりに切ってくれました。

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切れるというより、潰れてる。。。

編集部員A:「……こんな感じです。」

豊住:「これだと料理しないよね(苦笑)。でも大丈夫。帰る頃にはスーッと切れるようになってるから」

A:「本当ですか??」

豊住先生のお言葉に大船に乗ったつもりになってもいいですか? 
劇的な変化を期待しちゃいますが、その結果はいかに。


さまざまな知恵を伝授してくださった中から、大切なポイントに絞ってレポートさせていただきます。

◆基本の包丁研ぎ ポイント◆

①砥石の種類と扱い方。
②包丁を研ぐ角度。
③カエリのチェック。

ポイント① 簡易なものは、何かを失う⁉︎ 砥石に纏わる大きな勘違い。

包丁の切れが悪くなったなというとき、どうやって対処していますか?
刃先を挟んでスライドさせて研ぐ”簡易包丁研ぎ器”を使っている方。

先生:「簡易研ぎ器は一瞬切れるようになりますが、大切な何かを失っています!」

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というのは、簡易包丁研ぎ器だと包丁の中央部分だけが削れやすい。
使い続けると本来の緩やかなカーブが崩れて、だんだんと変形していってしまう。
ネギや大葉なんかを細かく切ったのに、べろーんとつながって切れてしまうのは包丁の変形に一理あり。
包丁のアゴの部分がまな板当たっても、食材を切っている部分の刃先が変形したせいでまな板まで到達しないからです。

さらには簡易研ぎ器の刃先を挟む溝が鈍角。
スライドして削ると刃先が厚くなって結果刃先がガタガタになって包丁の切れ味が壊れてしまう。
先生:「使うなとはいいませんが、簡易研ぎ器は一時しのぎで使うこと。ちなみに、お茶碗の底“糸ジリ”で包丁をこすってる方がいますが、油脂分しかとれませんよ(笑)。刃先は削れないのでオススメしません」

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正統な方法、砥石で研いでいきましょう。
砥石には天然もの、人造ものとありますが、
最近は人造ものでも質が良くなってきているそう。

先生:「包丁は100円ショップでもいいけど、砥石だけは100円で買わないで!」

安い包丁もきちんと正しく研げば十分使える。しかし、その砥石が100円クオリティだと実現不可能。だいたい1本3,000円程度で入手可能だそう。

用意するのは以下の3種の砥石。

荒砥石・・・研ぎおろしのための砥石 カタチを作るためのもの。

中砥石・・・荒く研いだ刃先の表面を馴らす。ここで終了してもOK。

仕上げ砥石・・・さらに滑らかに切れ味良く仕上げるために使う。

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この砥石で大事なのは
先生:「砥石は常に平にして使用すること!こんな風に変形しちゃったら遂げる物もとげないからね」

面を平に保つためには、目の荒いサンドペーパー(#40あたり)を平らな所に敷

いて、砥石の歪んだ表面をこすって削るそうです。


先生:「砥石はしっかり水に浸してから使ってください。常に水の膜を作っておくと研いだときの鉄の粉などが目詰まりしないです。研いでいるときの濁った研ぎ汁は研ぎの促進剤になるので拭き取らないで」

さあ、研いでいきましょう!

ポイント② 決めては割り箸一本分! 手取り足取りで教わる絶妙な研ぎ角度。

研ぐときの包丁の持ち方は、右手の親指と人差し指で刃の背の部分から掴みます。
刃先を手前に向けて、左手は側面に添える。
砥石の上におく包丁と、包丁の刃にそえる左手がちょうどハノ字になるように。

先生:「角度はこの割り箸の先が挟まるくらいの角度でね!」

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研ぐ角度と、左手で押し出す力の加減を先生と一緒に研いで確かめます。
押すときに力を入れて、戻すときに力を抜く!

いざ一人で研いでみると心もとない…。
先生「もっと自信もって!(笑)」

20往復1セットを目安に研いでいきます。

次は、ちゃんと切れる包丁に研げているのか? をチェックする大事な項目に移りますよ〜。

ポイント③ 考えるな!感じろ! 指先で感じるささくれが研げた証。

A:「先生いつまで研いだらいいんですか?」

先生:「20往復研いだら、指のはらで刃先のカエリをチェックするんだよ」

刃先のカエリ? これは研いだ面の反対側にできる金属のささくれのようなもの。ザラザラとした感触があれば研げてきている証拠だそうです。

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先生と一緒にこの指先のカエリの感覚を確認します。

先生:「ただ、感じるんですよ! 指先の感覚に集中して!」

ドント シィンク! ジャスト フィール。ですね。

◆NG例◆

◆NG例◆

A:「先生!全く研げてる気配がありません! ツルツルです!」

先生:「それ逆、研いだ方の刃先チェックしてどうするの! カエリがあるわけないよ」

そうでした、研いだ面の"反対側”がカエリチェックで重要です!

A:「ようやくカエリを感じることができました! 終わりでしょうか?」

先生:「まだ!(笑) カエリが出たら、反対側の面を少し研いでカエリとりをしてからです」

反対面のカエリとりは、これまでとは刃先を反対に向けて手前に引いて研いでいきます。

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指一本分が入る角度を最後まで保って。
引いて研ぐ、引いて研ぐを2、3回行います。
先ほどとは逆の面にカエリを感じるまで続けます。

A:「先生、カエリとりをするために反対側を研いだのに、またカエリが出てます」

先生:「そしたら、最後は布の上で仕上げるよ」

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両面を、雑巾の上でこすって最後のカエリをとります。

ここまでが一連の包丁研ぎの流れです。
荒砥で仕上げたら、次は中砥に。
さらになめらかな切れ味を求めるなら仕上げ砥までこの工程を繰り返します!

感動の切れ味となるか⁉︎ いざ実践!

一連の研ぎが終わったところで何よりもまずきになるのは切れ味!
早速試してみました!

いざ!

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すぅ〜っと力を入れずとも入っていきます!
潰れない! そして今まで不可能だった薄切りができるように!
素晴らしいです‼︎ 

友人に自宅で出したサラダのトマトが不味そうだと言われていましたが……
よかった! これで汚名返上できそうです!(不味そうだったのはきっと私の腕のせいじゃない!)

さらに甦れ! 鋼の白銀の輝き!

切れ味が蘇って感動したところで、さらに先生が教えてくれました。
包丁の刃のサビを落として輝きを取り戻す技です! 生徒さんの包丁をお借りして……

ワインのコルクにクレンザーを付けて、クルクルと磨けば…

ワインのコルクにクレンザーを付けて、クルクルと磨けば…

Before

Before

After

After

このとおり! 錆びて曇っていた面が輝きを取り戻しています!
明らかに違う!

輝きも切れ味も見事蘇り、私も、他の生徒のみなさんもホクホク顔です。
今すぐ帰ってトマトを薄切りにしたい! あらゆる具材を薄切りにしてみたい! 

先生:「たまねぎの薄切りも目に滲みにくくなると思いますよ」

そう、包丁でスライスする度にゴーグルを持ち出したいほど目に滲みていた玉ねぎ。玉ねぎの細胞には目に滲みる刺激成分・硫化アリルが含まれていて、切れ味の悪い包丁を使うと細胞をぶちぶちと荒く潰すことになります。
すると刺激成分が飛び散って泣くほど目に滲みる……。
逆に切れ味の良い包丁を使ってすっと切れれば、飛び散る成分も軽減され辛くなくなる!ということです。

先生:「これで料理がもっと楽しくなりますよ! でももちろん、定期的に研がなきゃだめです!(笑)」

そう、一度研いで磨いてもう終わり! ではありません。
研ぐタイミングは包丁の使用頻度によるので、ちょっと切れ味が悪くなってきたなと感じたときが研ぎどきだそうです。

定期的に自分でメンテナンスをして切れ味を保つ、そこまでできて包丁の扱いが一人前なんでしょうね。

切れ味良くなった包丁を手にして自然とニヤニヤ顔に。

切れ味良くなった包丁を手にして自然とニヤニヤ顔に。

道具の扱い、手入れのポイントを教わったことで包丁との距離が縮まった、自分の道具「マイ包丁」として不思議と愛着が湧いてきますね。
調理家さんが道具を自分の体の一部のように日頃からケアをする、その気持ちが少しわかったような気がします。

今回のレポートはこれにて終了です。

File

豊住 久先生の包丁講座。

明朗快活な豊住先生が一人一人に丁寧に教えてくれる少人数制(最大5人)。
実習60分を含む2時間の講座では、およそ2本分の包丁を研ぐことができます。
受講要項、詳細はストリートアカデミーの講座ページをチェック!
「砥石を使った簡単家庭包丁研ぎ研修(入門編)」
https://www.street-academy.com/myclass/908

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