1,500個のスターバックスのタンブラー、マグカップで世界旅行。コーヒーを味わいながら世界を回れるリッチな旅の楽しみ方。

取材日: 2015年8月30日

取材・文 / 井本 貴明
写真 / sonoda satoshi

1,500個のスターバックスのタンブラー、マグカップで世界旅行。コーヒーを味わいながら世界を回れるリッチな旅の楽しみ方。_image

Malmo、Buenos Aires、Riyadh。
これらは世界の都市の名前である。左からマルメ(スウェーデン)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)、リヤド(サウジアラビア)。これらの国を全て訪れるのは大変だが、ちょっとした旅行気分を味わえる物がある。それが世界中のスターバックスで販売されているご当地タンブラー、マグカップだ。世界65ヵ国で展開(2015年9月時点)している世界中のスターバックスで、その都市限定のタンブラー、マグカップを入手することができる。

日本だと東京、埼玉、京都、金沢、沖縄などの地域限定で発売されているタンブラー、マグカップが存在する。記憶に新しい物だと、2015年5月にオープンした鳥取のスターバックス第一号店でも、鳥取県の限定マグカップが販売されている。初日の開店前には、限定グッズを求めて長蛇の列ができるほどの人気である。

「ご当地限定のタンブラー、マグカップには、その土地のランドマークや名所などが描かれている。鳥取の物には、砂丘とラクダが描かれています。その土地で、何が有名なのか一目で分かる点がいいですね」

そう答えるのは、1999年からスターバックスのタンブラー、マグカップを集めているUtsumiさんである。世界中に存在する地域限定タンブラー、マグカップを集め、現在ではその数は約1,500点にものぼる。そんなUtsumiさんに、世界中のスターバックスで限定販売されているタンブラー、マグカップを集める魅力を尋ねてみた。

コレクション・ダイバー【Collection Diver】とは、広大なモノ世界(ワールド)の奥深くに潜っていき、独自の愛をもってモノを採集する人間(ヒト)を指す。この連載は、モノに魅せられたダイバーたちをピックアップし、彼ら独自の味わいそして楽しみ方を語ってもらう。

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1999年、横浜のスタバで出会ったご当地タンブラー。そこから始まったコレクション集めの旅

コレクションの思い出を語るUtsumiさん

コレクションの思い出を語るUtsumiさん

Utsumiさんがスターバックスのタンブラーを集め始めたのは1999年。たまたま実家に帰省していた横浜で、スターバックスに立ち寄った。そこで見つけたのが、横浜限定のご当地タンブラーだった。

「横浜のスタバで初めて、ご当地タンブラーと出会い、その存在を知りました。調べてみると各地に限定物があるのが分かった。元々『ご当地物』と呼ばれる物が好きで、その土地限定の物を食べたり、集めたりするのが好きでした。なので、日本各地の都市ごとに異なるデザインの限定タンブラー、マグカップを一度に並べたいと思い、集めはじめました。」

当時は、日本各地の限定物だけを集めようと考えていたが、まさか世界中のタンブラー、マグカップを集めて、15年後に1,500個の数になるとは想定していなかったと言う。
現在、スターバックスは65カ国で展開しており(2015年9月現在)、そのうち64カ国のご当地限定マグカップ、タンブラーを所有している。実際に足を運んで購入したのは14カ国になる。
1,500個もの貴重なコレクションを集めることが出来た理由として、「インターネット」の存在は欠かせない。

「仕事の関係で海外出張が多かった。出張先の土日で、その地域のスタバを巡るのが楽しかったです。それでも、全部の国を回るのは不可能。そこで、海外にいるコレクターとインターネットを通して知り合い、交換をしてコレクションの数を増やして行きました。海外のコレクターからすると、日本限定のグッズはとても人気があるので、私の日本限定マグカップ、タンブラーと交換をお願いすると喜んでくれました。」

余談ではあるが、海外のコレクターはタンブラーよりもマグカップを好む傾向がある。タンブラーは使い捨てという概念があり、マグカップの方が長く持ち続けるコレクタブルアイテムになるのだとUtsumiさんは分析する。さらに、レア物のマグカップだと、オークションで数十万円程度の値段が付く物もある。例えば、アメリカの都市ミネアポリスで1994年に発売されたマグカップは、販売後数日で販売中止(理由は、デザイン上の著作権の問題と言われている)になり、オークションで30万円に近い価格で取引されたことがある。

ざっくり知りたい、タンブラーとは?

最近では、様々な形のタンブラー(英語表記:Tumbler)が誕生しているが、そもそも、タンブラーの定義とは何なのだろう?
Wikipediaでは、下記のような説明が書かれている。

”本来はコップと呼ばれる筒型の底の平らな飲料用容器全般(タンブラーグラス)を指すが、日本においてはタンブラーグラスの一種で保温機能を持ったふた付きの「サーモマグ」や「トラベルマグ」に限定して「タンブラー」と称するケースが多い。”

このように海外では蓋が付いていないタンブラーなどを見かけるが、日本におけるタンブラーとは、スタバのタンブラーのような筒状の蓋が付いている形状を指すことが一般的になっている。ちなみに、スタバのタンブラーのサイズは、デザインにもよるがショート(240ml)、トール(350ml)、グランデ(470ml)から選べる。

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一番最初に手に入れた、横浜限定のタンブラー。ここからコレクションの旅が始まった。

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オークションサイトで30万円に近い値段が付いたこともある超レアな「Minneapolis(ミネアポリス)」のマグカップ。

海外まで来てスタバの場所が見つからない。情報が無い時代にコレクションを集める難しさ。

15年の長い間、スターバックスのタンブラー、マグカップを集めていると、様々な喜怒哀楽を経験する。

「欲しかったタンブラー、マグカップが手に入った時は嬉しいですね。例えば、特定の店舗で限定物が販売されるという情報を入手したら、朝からお店に並ぶこともあります。数時間並んで、実際に購入できた瞬間は嬉しいです。」
また、Utsumiさんはスターバックスの店舗にて、持参したタンブラーでコーヒーを注文する事がある。その際に、店員の方が「このタンブラー、初めて見ました」と興味を持ってくれると嬉しいと話す。

反対に、苦労した点は、2000年前後はインターネットでもスターバックスの情報が少なかった事だという。今でこそ、スマホから簡単にスターバックスのグッズ情報を探す事が出来るが、当時は店舗の場所を探すのでさえ、難しかった。
「中東の限定マグカップが欲しくて、バーレーン、カタールなどの中東の国を訪れた事があります。当時は、圧倒的にスタバの情報が少なく、お店の場所が分からなかった。やっと場所が分かり、タクシーの運転手に伝えると、『何でお前はそんな所に行きたいんだ?』と質問される状況でした。」

苦労した話をもう一つ。
Utsumiさんは3年前に引越しをしたのだが、その時にお願いした引越し業者がタンブラー、マグカップは運べないと拒否をされた。なので、Utsumiさん自身でレンタカーを借りて、1000個以上のタンブラー、マグカップを引越し先に運んだのである。

タンブラーの機能的な進化を知る

タンブラーはデザイン性の高さで語られることが多いですが、機能性も優れているのです。
例えば、サーモス社から発売されている「真空断熱タンブラー」。ステンレス製の二重構造になっており、間に真空状態のスペースを確保することで断熱効果が向上され、氷を入れて一般的な室温に6時間放置していても、氷が残る保冷力。暑い季節のアウトドアやピクニックに重宝されるおすすめタンブラーです。

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スタバのマグカップから見える、その土地の風景。自宅で味わう世界旅行とは。

「現在、欲しいと思っているタンブラー、マグカップは全て入手が出来ました。あえて欲しい物を探すなら、試作品などの市場に出回っていない貴重なタンブラー、マグカップが欲しいです。たまにオークションに出てくるのですが、10万、20万円とします。値段が高いので手が出せませんね。」

そう語るUtsumiさんは、コレクターとしてのゴールが近づいていると感じている。実際にゴールまで辿り着いた時に何を感じるかは、想像も付かないと言う。
長年コレクションを集め続けた先のゴールに辿り着いたら、その時は「嬉しさ」と「寂しさ」のどちらを感じるのだろうか。とても興味深い問いかけである。

最後に、スタバのタンブラー、マグカップの魅力を聞いてみた。

「地域限定のタンブラー、マグカップには、その土地で有名な物が描かれています。その土地で何が有名なのか一目で分かる点がいいですね。また、並んであるタンブラー、マグカップを眺めると、入手したその土地での出来事が思い出されます。旅行先での写真のような役割ですね。このサウジアラビアで入手したマグカップは、スターバックスのロゴが違います。当時は、宗教の関係で女性の顔を描く事が出来なかったのです。これを見るとサウジアラビアで訪れた街を思い出します」

きっとUtsumiさんは、コレクション部屋に飾られているタンブラー、マグカップを眺めることで、いつでも旅行に出かけた気分になれるのだろう。とても羨ましい環境だ。

帰り際に、Utsumiさんが所有しているスターバックスのタンブラー、マグカップをもう一度眺めてみる。1500個のコレクションの中には、聞いた事もない都市の名前が描かれているマグカップがいくつもある。そして、マグカップに書かれているイラストを見て、その街がどんな土地なのかを想像する。

Malmoと書かれたマグカップには、大きな橋とカモが描かれている。
Buenos Airesと書かれたマグカップには、大きな記念碑と、タンゴを踊っている男女が描かれている。
Riyadhと書かれたマグカップには、大きなヤシの木と、岩の大地が描かれている。

私はどの都市も訪れた事はないが、少しだけその土地がどんな場所なのかマグカップから想像ができる。
60カ国以上の都市が描かれているご当地タンブラー、マグカップ。もしも、それが大きな世界地図の上に並んでいたら、それは素敵な地図になることだろう。いつの日か、Utsumiさんのお力を借りて、そんな地図を実際に作ってみたい。そして、コーヒーを飲みながら、マグカップを眺めて世界旅行をしてみたいと思う。
(終わり)

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Utsumiさんが選んだ「お気に入り」「レア物」のタンブラーを紹介!

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Tokyoタンブラー

東京のタンブラーは3回ほどデザインがリニューアルされているが、これは初回のデザイン。
「タンブラーを集め始めた当初に買った物です。いま見てもデザインが謎です。どの辺りが東京なのかよく分からない(笑)」

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Saitamaタンブラー

2002年にWカップが開催された埼玉スタジアム2002と、さいたま新都心がモチーフに描かれている。
「自分が住んでいるという町という事で選びました。欲を言えば、もう少しランドマークのデザインを頑張ってほしかった(笑)」

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United Arab Emiratesタンブラー

UAEアラブ首長国連邦限定のタンブラー。
「スタバのタンブラーを求めて、オマーン、バーレーン、カタールを旅行していた時に、幸運な事に、トランジットであるUAEで入手した嬉しい思い出があります」

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Saudi Arabiaタンブラー

中東の国サウジアラビア限定のタンブラー。
「ロゴが特徴的で、他のロゴとはデザインが全く違います。これは、宗教の関係で女性をモチーフにしたロゴが使えなかったからです。今ではこのロゴは存在しないので、貴重です」

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辰年タンブラー

2000年に発売された辰年タンブラー。通称ドラゴンタンブラー。
「これはデザインで選びました。かっこいいですよね。これもコレクターの間では人気があります」

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ダルマタンブラー

1996年に銀座松屋通り店が、日本で最初のスターバックスとしてオープンした時に作られた記念のタンブラー。ダルマタンブラーは通称で、正式には、”Waking up Tokyoタンブラー”と言う。
「日本っぽいデザインが好きです。これは特に海外のコレクターの間で人気があります」

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「集め始めた当初に買ったタンブラーで、気に入っていました。
初心に帰る気持ちで選びました。今ではもったいなくて使えないです。」

タンブラーを利用するメリット

タンブラーを持ち込んでコーヒー類を注文すると、割引きをしてくれるお店があります。
代表的なお店だと、下記のような特典を受けられる。
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スターバックス・・・20円引き
タリーズコーヒー・・・30円引き
上島珈琲店・・・50円引き
*2017年6月現在
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コーヒーの値段が安くなり、さらにゴミを出さないので環境にも優しいタンブラーは、オススメです!

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