繊細さと力強さが共存する、Lue(ルー)の真鍮製スポークはキャンプで大活躍

繊細さと力強さが共存する、Lue(ルー)の真鍮製スポークはキャンプで大活躍_image

取材・文/オダマキミホコ
写真/佐々木孝憲

人気スタイリスト・平 健一氏に、IN(屋内)でもOUT(屋外)でも使える素敵なアイテムを紹介してもらう連載。アウトドア好きにはもちろん、インテリアにこだわるあなたにもピピッとくる逸品を順次ピックアップ。今回は、ポピュラーなアウトドアカトラリーのなかで異彩を放つ、おしゃれスポークをご紹介。

Lueのカトラリーは使い込むほどに味わいが生まれる。

MuuseoSquareイメージ

スプーンとフォークが1つになった真鍮製のカトラリーは、真鍮作家・菊地琉架氏が手掛けるブランド「Lue(ルー)」のインダストリアルプロダクトの第一号。

真鍮は使い込むほどに味わいが生まれ、経年変化が楽しめる素材。柔らかでやさしい雰囲気のデザインが魅力のスポークは、重ねられるようデザインされているのも特徴。5本セットには、収納や持ち運びに重宝する専用クリップが付属。

展示会で遭遇してからお気に入りアイテムに仲間入り。

アウトドア好きにはおなじみのスプーンとフォークが一体になった便利なカトラリー、“スポーク”。プラスチックやチタン製が主流だったアイテムに真鍮製が登場し、じわじわと注目を集めている。

「出会いはスタイリスト・石川顕氏、アートディレクター・ジェリー鵜飼氏、デザイナー・神山隆二氏によるブランド、ULTRAHEAVY(ウルトラヘビー)の展示会でした。LueのスポークセットにモデルのKIKIさんとのコラボ刻印があるモデルを拝見して、いいなと思ったんです」

その後、リースなどでブランドに直接コンタクトを取るように。

「当然プラスチック製より重いですが、見た目が素敵なのとプラスチック製品にはない色味と質感が気に入っています。口触りは金属感がありますが、使ってしまえばそれほど気になりません。あとちょっと黒ずんでしまうこともありますが、プラスチックと違って変色や傷も味になるのがいいですね。オススメはやはり留め具のクリップ付き5本セットです。でも、1本から購入できるのでギフトとしてもよいと思います」

MuuseoSquareイメージ

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スプーンもフォークも口に対して大きすぎず小さすぎずのサイズ。見た目だけではない、使い勝手も計算された作り。なめらかに整えられた表面の輝きが美しい。工業製品ならではの正確さが活きるデザイン。

真鍮は金属の中でも加工しやすく耐食性に優れていることから、調理器具や貨幣、楽器、額縁など、身近なアイテムで幅広く使われている。また素材そのものが美しい輝きを放っているのも特徴だ。

成分は銅と亜鉛の合金なので最初は金属特有の匂いがあるものの、使っていくうちに表面が酸化膜で覆われて、匂いは軽減されていく。空気中の成分と反応してくすんだり黒ずんだりする性質があり、使っているうちに光沢のある、いわゆる“金ピカ”の状態から、落ち着いた上品なゴールドに変化を遂げる。

古びた風合いに変化していく様子をじっくりと楽しめるのも魅力だ。

ハンドクラフトとインダストリアル。どちらかではなくどちらの良さも追求する。

Lueはハンドクラフトとインダストリアルプロダクト、ふたつのシリーズをラインナップしている。

ハンドクラフトは文字通り、ひとつひとつ手で形作るシリーズ。Lueが核としている手法であり、ある意味機械よりも繊細な感覚を持つ、人の手でしか表現できないプロダクトを生み出している。その一方で工業用品の洗練された良さにも着目。製品によっては手で作るより機械で作った方がきれいでコストも抑えられるという考えから生まれたシリーズも展開している。工業製品といっても原型はデザイナー自身の手で制作。その後、工場やスタッフとの試行錯誤を経て製品化されている。

無機質になりがちな工業製品が、絶妙なバランスのデザインと真鍮という素材によって温かみが感じられるアイテムになって誕生。手にした時のほどよい重さと意外な口当たりのやさしさ、使い勝手の良さがコレクション心をくすぐる。

インダストリアルプロダクトのシリーズには今回紹介しているスポークのほかに、スプーン・フォーク・ナイフのセット、スプーン&フォーク、デザートスプーン&フォーク、ビッグスプーン(お玉)、の5つをラインナップしている。

使い勝手や持ち運び方法など、アウトドアで活用するシチュエーションも意識されている点がお気に入り。

使い勝手や持ち運び方法など、アウトドアで活用するシチュエーションも意識されている点がお気に入り。

経年変化も楽しめる。キッチンにあるだけで特別感が漂うカトラリー

平さんはスポークを仕事のスタイリングではもちろん、プライベートでも愛用中。
「やはりキャンプやフェスでは便利ですね。他の人と差別化したい場合にはこの上ないアイテムです。初夏にフェスイベントに参加した際、50~60人分のカトラリーが入り乱れる中で数日間過ごしましたが、この自分のカトラリーはすぐに見つけることができました」

自宅に人を招いた時にも大活躍だそう。
「以前紹介したノダテマグのマグカップとともに、フェスやキャンプはもちろん、自宅でのおもてなしやBBQなどでも重宝します。雰囲気重視の場面では欠かせないアイテムになっていますね」

使用後の特別なお手入れは不要。洗ったあとに水気を丁寧に拭いておけばOK。真鍮は湿気や塩分に弱く、食品や水分が付いた状態で放っておくと、時間が経つと緑色のクレヨンのような塊が発生することがある。

これは緑青(ろくしょう)といわれる錆で、塩と酢を混ぜたもので磨くと除去できる。緑青は人体には無害で内部の腐食を防ぐ効果があると言われているが、カトラリーは口に触れるものなのできれいに除去しておきたい。と、そもそもそうならないようにしまいっぱなしにしたりせず、普段からどんどん使っていきたい。

毎日の食卓にもどんどん取り入れて、いい味が出るように育てていく過程も楽しみたい。

毎日の食卓にもどんどん取り入れて、いい味が出るように育てていく過程も楽しみたい。

スポーク

価格:¥6,480(5本セットの価格。単体では¥1,296)
素材:真鍮
サイズ:(H)1.5cm×(W)17cm×(D)3cm

ーおわりー

File

Lue

2006年スタート。岡山県瀬戸内市で、真鍮素材を中心にスプーン等のカトラリー・雑貨・アクセサリーを制作。 たたいたり切ったり、ひとつひとつ人の手で生み出される作品はそれぞれが異なる表情を持つ。使うたびに少しうれしい気持ちになれるもの、末永く使ってもらえるようなもの作りが信条。スポークをはじめとする作品は全国のセレクトショップなどで購入可能。

公開日:2015年9月18日

更新日:2022年6月27日

Contributor Profile

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オダマキミホコ

会社員からフリーのエディターになって3年。雑誌、Webで企画や編集の仕事を行っている。退職をきっかけに社会人1年目からの目標だった“手に職を付ける”ため、編集業と並行して手作り靴の修行中。

終わりに

オダマキミホコ_image

見た目はカジュアルなのに、ほどよく重みがあって、工業製品なのにハンドクラフトならではの味わいも感じられるところに皆さんひきつけられるのかもしれません。Lueの手製と機械製、相反するふたつのシリーズに共通するのは“美しさ”。どのように作られたものでも、美しい製品には純粋に心を動かされます。高級品すぎない価格もうれしいところ。育てていく楽しみもありますね。

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