冒険の目次
第六回 ムーミン谷で共生する、個性豊かな仲間たち_image
750m
04

第六回 ムーミン谷で共生する、個性豊かな仲間たち

 ムーミングッズに秘められた物語についてお伝えしてきた連載もいよいよ最終回。今回はこれまで紹介しきれなかった個性豊かな脇役たちにスポットを当ててみたい。私がムーミン物語に惹かれる理由のひとつは、多種多様なキャラクターたちがムーミン谷で共に暮らしている、というところ。ムーミン谷はけっして夢のような理想郷ではなく、そこに住むものたちはときにぶつかり、すれ違ったりしながらも、お互いを尊重し、程よい距離感を保っている。

取材日: 2015年7月29日

文/萩原まみ
写真/柳沼康史

マニア心をくすぐるレアすぎるキャラクターグッズの数々

MuuseoSquareイメージ

 ずらりと並べたのは、フィンランドで売られているアドベントカレンダーのフィギュア。12月、クリスマスを待ちながら日付の書かれたボックスを毎日ひとつ開けるとフィギュアが出てくるという商品で、ここ数年、毎年楽しみにしている。買い続けているとメインのキャラクターはダブるのだが、去年だと『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』で活躍した人物、2015年版にはコミックス『ジャングルになったムーミン谷』(筑摩書房『ムーミン、海へいく』収録)の動物たちが加わるなど、テーマが変わっていくのもおもしろい。
 ムーミンにはこんなにいろんなキャラがいたのか!?と驚かれた方も多いのではないだろうか。原作小説に登場するニンニ、コミックスとアニメにしか登場しないスティンキーや火星人など、本来は同じ物語で出会うことのない者も入り交じっているが、個性豊かなキャラクターがたくさんいるのだ。

 評伝や数々の資料によれば、ムーミンシリーズの登場人物の多くは原作者トーベ・ヤンソンが周囲の人々を架空のキャラクターという形で描いたものだという。
 ムーミントロールの姿も、弟と口喧嘩をしたトーベが腹立ちまぎれに弟の姿を醜く描いた落書きが原型だそうだ。
 モデルがはっきりしているのは、理想の母親像を体現しているかのようなムーミンママで、トーベの最愛の母シグネが投影されている。
 ムーミンパパのベースは彫刻家だった父親のヴィクトルだが、親戚のおじさんたちの要素もプラスされているらしい。
 スナフキンは哲学者で詩人、政治家でもあったトーベの恋人アトス・ヴィルタネンらがモデル。
 トゥーティッキ(おしゃまさん)は名前からもわかるとおり、トーベが生涯を共にしたパートナーのトゥーリッキ・ピエティラがモデルで、写真を見ると姿もそっくりだ。
 物語を純粋に楽しむにはモデルのことなどは不要な情報かもしれないが、子ども向けのファンタジーと思われがちな物語の奥には、生身の人間同士の関わり合いや著者自身の葛藤、反戦の思いなどが投影されている。それをそのままストレートに描くのではなく、ユニークな造形のキャラクターたちに託すことによって、読者の想像する余地が広がり、共感を呼ぶ作品となっているのだ。より深く背景を知りたい人には、作者評伝『トーベ・ヤンソン 仕事、愛、ムーミン』(講談社)の一読をおすすめしたい。

MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

3つ合わせたら6ケタ価格の貴重なアラビアマグ

さまざまなムーミン谷の仲間たちが登場するアラビアマグのなかから、貴重なものを3点選んでみた。真ん中の「Tove's Jubilee」(2014)はトーベ生誕100周年を記念して、1年間限定で作られたもの。6個に1個しかプリントされていないめがね入りは特にレア。左は1999〜2000年に作られた「Milennium」。右は毎年冬季限定で作られているウィンターマグの「Snow Lantern」(2007)。名場面の反対側には名もなき小さなキャラの姿が。

MuuseoSquareイメージ

ムーミンラバーによるムーミンラバーのためのアクセサリー

ムーミンを愛するプランナーがコアなムーミンファンのためにマニアックな商品ばかりを繰り出してくるPEIKKO(株式会社ドリーム・ぽけっと)のオリジナルアイテム。ファンに人気の高い「うま」をモチーフに、スワロフスキーを散りばめたブローチ&バッグチャームは3色のなかで悩んだ末にゴールドを購入。革のブレスレット、クリアウッドブローチ、パールキャッチピアスも同じブランドのもの。ヘアゴムはユニクロのリラコの布を使って友人が作ってくれた。

MuuseoSquareイメージ

誰だかわからないキャラまで! お宝ヴィンテージファブリック

フィンランドのテキスタイルメーカーといえばマリメッコが有名だが、老舗メーカー、フィンレイソンの商品も日本に進出しつつある。これはフィンレイソンの古い商品で、フィンランドのフリマや海外オークション、友人からのプレゼントで入手。ミーサやピンプル(インク)など、脇キャラも多数登場。主に子ども部屋のカーテンや布団カバーとして使われていたもので、くったりとした風合いがいい味を出している。

MuuseoSquareイメージ

並べて楽しい、コレクターの鑑ヘムレンさんのフィギュア

ムーミンシリーズに登場するコレクターといえばヘムレンさん。ヘムレンとは「そのヘムル」という意味で、種族名はヘムル。アニメではおじいちゃんキャラで、虫眼鏡を手に植物や昆虫、切手などのコレクションを吟味している姿でおなじみ。署長さんや公園番もヘムル族で、ヘムルのなかにもいろいろなタイプが。SNSでは大量のヘムレンさんフィギュアを並べた写真の投稿が注目を集めている!?

MuuseoSquareイメージ

脇役が主役を張る短編集と、105項目網羅のキャラクター図鑑

ムーミンに出てくるキャラクターについてもっと知りたいなら、まずは原作の短編集『ムーミン谷の仲間たち』をどうぞ。個人的にムーミン童話のなかでいちばん好きな1冊で、架空のキャラクターの姿を借りて描いてはいるものの、複雑な人間関係や心理を描いた大人向けの作品だ。さらに『ムーミン キャラクター図鑑』(講談社)は小説とコミックスに出てくるキャラクターを105項目で解説。ムーミン童話を読んだことがない人でも楽しめる。

MuuseoSquareイメージ

高いクオリティで再現されたレアキャラぬいぐるみたち

最近は人気キャラだけでなく、マイナーな脇役たちのぬいぐるみも作られている。メーカーはモンチッチで有名なセキグチで、表情はもちろん、触り心地、ポーズなど、とてもクオリティが高い。右からモラン、ご先祖さま(販売終了)、劇場版でも活躍したコミックスの狂言回し的キャラのソフス(シャドー)、ギフトボックスに座っているのはムーミンマーケットという物販イベントでしか買えないソフス(ホワイトシャドー)、トゥーティッキ、ミムラねえさん、フィリフヨンカ、スニフ。

Read 0%
関連する記事

おすすめのモノをめぐる冒険