オールデン(Alden)、コードバンの輝きと質感に惹かれて。

オールデン(Alden)、コードバンの輝きと質感に惹かれて。_image

取材・文/ミューゼオ・スクエア編集部
写真/成松 淳

憧れの男性革靴の一つとして名前が上がることの多い「オールデン」。ミューゼオ・スクエア編集長もこの革靴、特に素材として使われているコードバンに魅了されているよう。チャッカブーツなど、オールデンならではというコードバンが活かされた革靴たちを紹介する。

MuuseoSquareイメージ

記念すべき革靴デビューはオールデンのチャッカーブーツ。

過去の記事にもあるように、今でこそジョンロブエドワードグリーンなどのイギリス生まれの革靴に傾倒している私だが、思えばそもそもの高級革靴デビューはアメリカ生まれの無骨な革靴、オールデンだった。

メンズ雑誌で取り上げられていたことでそのブランドの存在を知り、さらにはユナイテッドアローズの創設メンバー・栗野宏文氏が着用していたウィスキーコードバンのチャッカーブーツに憧れて喉から手が出るほど欲しかったのを覚えている。

オールデンの魅力をひとことで例えるならば「アメ車っぽさ」。

作りは粗く、使用している素材(革質)にもバラつきがあるのだが、逆にそこが味であり、些細なことでは動じない存在感。タフでワイルドな雰囲気すら醸し出している。

オールデンの魅力を語るうえで外せない、コードバン。

英国靴で有名なエドワードグリーンは、豊富なモデルに、また、ジョンロブは豊富なペットネームにそのブランドの特徴が大いに表れているのだが、オールデンはといえば、革、それもコードバンの豊富なカラーバリエーションにらしさが出ているように感じる。


オールデンの存在感を感じさせる大きなポイントは何といっても、履きこむほどに足になじみ艶と色の深みが増す、オールデンの代表的な素材「コードバン」だ。

左から、ラベロコードバン、マホガニー&ウィスキーコードバン、ウィスキーコードバン。

左から、ラベロコードバン、マホガニー&ウィスキーコードバン、ウィスキーコードバン。

オールデンはアメリカの質の良い革を生み出すことで有名な革メーカー・HORWEEN(ホーウィン)社のコードバンを使用しているといわれている。

オールデンではカラーリングも複数色あり、それぞれにユニークなネーミングがされているのも面白い。

私を含め世のオールデンファンは、おそらくこのコードバンのカラーバリエーションにも大いに魅力を感じているはずだ。

★コードバンとは★

コードバンとは農耕用馬のお尻の部分をなめして作られる革。馬の生産量自体が少ないことと、1頭から採取できる面積がわずかであることから希少性のある高級革とされている。
独特のツヤと光沢が生まれる素材のため「革のダイヤモンド」と称されることも。

MuuseoSquareイメージ

オールデンが誇るコードバンの豊富なカラーバリエーション

オールデンのコードバンのカラーバリエーションは合計で9種あるといわれている。今回は私の所有している6種をご紹介したい。

1:ウィスキーコードバン

「チャッカーブーツ」

冒頭で紹介した、私の革靴デビューとなった一足。最初の一足は友人に譲ってしまったため、再購入。独特の佇まいが好きで年を重ねるごとにお手入れをしてツヤが増している。それを眺めるのが楽しい。

MuuseoSquareイメージ
MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

製造ナンバー:1B07 026 1/1348

2:ウィスキー&マホガニーコードバン

「Uチップ」(AF1 オールデンファン1)

羽のところがマホガニーの2種の色の革を組み合わせている珍しい一足。初めて個人輸入にトライして入手したもの。

愛好家のブログを見て知り、アメリカのAlden of Carmel(オールデンオブケーメル)に問い合わせをして個人発注。存在感が強すぎて少々履きこなすのが難しいが、将来パナマ帽やライトブラウンやオフホワイトのリネン素材の明るい色合いの服装に合わせて一緒に楽しみたいと思っている。

MuuseoSquareイメージ
MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

製造ナンバー:2416 027 11/99358

3:ラベロコードバン

「チャッカーブーツ」

2で紹介したマホガニーの革が廃盤となった後に登場した類似カラーがこちら。ウィスキーコードバンより色味の深い飴色が美しい。ウィスキー、シガーの色味を購入した後にこちらの色味と並べて比較してみたくなってしまった。

MuuseoSquareイメージ
MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

製造ナンバー:4H24X 030 2/1375

4:シガーコードバン

「プレーントウブーツ」

ウィスキーコードバンと並んで、一番好きな色がこのシガー。少し緑味の強いくすんだ茶色が魅力。登場回数は年に数回だが、ブーツなのでフライトジャケットなどと合わせて使っている。

MuuseoSquareイメージ
MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

製造ナンバー:6J20 027 2/45064

5:バーガンディーコードバン

「990(プレーントウ)」

オールデンの990。なんの変哲もないプレーントウだが特に赤味の強いバーガンディーは美しいの一言。フォルムが昆虫のカブトムシを彷彿とさせるところも好きなポイントだ。

デニムなどとの相性が良い。個別の靴名や木型が前面に出てこないのがオールデンなのだが、この990だけは別格。ファンの間でも「オールデン990」で話題にあがるのだ。

MuuseoSquareイメージ
MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

製造ナンバー:5827 051 3/990

「ウィングチップ」

オールデンで有名なロングウィングチップとは異なり、かなり個性的なフォルム、ラストはオールデンがハンディキャッパー向けに開発したモディファイドラスト。こちらもバーガンディだがダークブラウンに近い濃い色合い。

上にあげたプレーントウと同じカラーネームでありながら、個体差があるのがオールデンならではの面白さでもある。

ビームスとのダブルネームのアイテムで、イギリスのフルブローグともアメリカのロングウィングチップとも異なるかなり個性的なフルブローグ。

MuuseoSquareイメージ
MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

製造ナンバー:0M1 033 2/5310Y

6:ブラックコードバン

「ストレートチップ」

こちらも特徴的なストレートチップ。ぱっと見は極めてフォーマルなストレートチップに見えるが、ブラックのコードバンの分厚い素材感とワークブーツと見紛うような周囲を一周するウェルト部分。

スーツには全く合わないのでジャケット着用時などにしか合わせづらいが、独特の存在感ゆえにときどき履きたくなる不思議な靴。ユナイテッドアローズとのダブルネーム。

MuuseoSquareイメージ
MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

製造ナンバー:9319 037 1/9225Y

コードバンは一般的には水濡れに弱くデリケートでやや取り扱いづらいという印象もあるかもしれない。ただ、丁寧に手入れをして付き合っていけば、他の革には再現することのできない独特の輝きを放ち、味わいも深まっていくのだ。今後も末長く愛用のオールデンとともに年を重ねていきたい。

ーおわりー

DIVE INTO RELATED STORIES !

公開日:2017年5月27日

更新日:2022年5月2日

Read 0%