第二回 ねえムーミン、こっち向いて!

取材日: 2015年7月29日

文/萩原まみ
写真/柳沼康史

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個性豊かなキャラクターが多数登場するムーミンシリーズ。今回から5回にわたり、キャラクターごとにスポットを当てて、その性格とグッズについて詳しくご紹介していきたい。まずは、主人公のムーミントロール。心優しくて勇気のあるムーミントロール族の男の子だ。体の色は本来は白だが、アニメ化するにあたって区別がつきやすいよう、色がつけられたという。その名残が古いグッズにも表れている。

カバじゃない、ムーミントロール族の男の子

 ちょっとややこしいのだが、「ムーミントロール」というのは種族全体を表す名前で、主人公の男の子の名前もムーミントロール。年齢ははっきりしない。お父さんはムーミンパパ、お母さんはムーミンママと呼ばれていて、ムーミントロールは略してムーミンと呼ばれることもある。
 ママだけはいつもハンドバッグを持っているが、パパもママもムーミンも外見上の姿の違いはほとんどない。そのため、イギリスの新聞にコミックス連載が始まったとき、パパにはシルクハット、ママにはエプロンという小道具が必ず添えられることとなった(参考文献:冨原眞弓著『ムーミンのふたつの顔』ちくま文庫)。また、日本で作られた昭和版アニメ『ムーミン』では体にグレーやブルーの色がつけられたが、原作ではムーミン族の体は真っ白だ。
 ちなみにムーミントロールのガールフレンドのスノークのおじょうさん(昭和版アニメではノンノン、平成版アニメ『楽しいムーミン一家』ではフローレンと、呼び名は違っても同一キャラクター)はムーミントロールとは異なるスノークという種族で、彼女には前髪という特徴があるが、兄のスノークもパッと見はムーミン族と区別がつかないため、昭和版アニメでは原作の裁判のシーンのカツラ、平成版アニメではメガネが追加された(参考文献:『pen』376号、CCCメディアハウス)。
 ムーミンはしばしばカバと間違えられるが、カバではないことを証明するエピソードがコミックスに登場する。『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』(バップからDVD発売中)でもムーミンパパが友達のモンガガ侯爵にカバと間違えられて動物園に閉じ込められた武勇伝を披露するが、モンガガは「そんなバカな。カバはウィスキーを飲まない!」と一笑に付すという印象的なやりとりがあった。

 作者のトーベ・ヤンソンはスウェーデン語系フィンランド人で、ムーミン童話はスウェーデン語で書かれた。トロールというのはトトロの語源にもなった北欧の妖怪の一種のことだが、ムーミントロールは民話に登場する恐ろしげなトロールではなく、トーベが作り出したオリジナルの生物。その大きさを訊かれたトーベは「電話帳ぐらい?」と答えたといわれている。

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世界に2005個しかないアラビアのマグ

フィンランドの陶器ブランド、アラビアのマグ。左の「Moomintroll on ice」(1999~2012)が廃番になり、現在は右の「Moomintroll」(2013~)が販売中。真ん中の「Day dreaming」は2005年にフィンランドのアラビアミュージアムで開催されたムーミン展の会場限定品として2005個だけ販売されたもの。友人経由で約6万円で購入した、商品単価では私のコレクションのなかで最高額のグッズ。原画を生かした渋めのデザインが秀逸。

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レ・クリントのムーミン顔型ランプシェード 

デンマーク王室御用達メーカー、レ・クリントから発売されたムーミン顔型のランプシェード。最初に見たときは冗談だろうと思ったのだが、縁あって購入してみた。私のなかでは“愛すべきバカもの”カテゴリーだったが、さすがは北欧の名ブランド、特殊プラスティックシートに施されたカッティングから漏れる光は柔らかく美しい。輸入元はスキャンデックスで、販売はすでに終了しているが、まだ入手は可能。顔型以外にムーミンの絵が入ったシェードも数種類あり、そちらも大人買い。

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原画が映えるコラボTシャツの数々

ここ数年、ムーミンとアパレルメーカーとのコラボが続いている。左から、『たのしいムーミン一家』の名場面×ズッカ、『ムーミンパパ海へいく』×メルローズクレール、『ムーミン谷の冬』×マーブルシュッド(すべて現在は販売終了)。Tシャツも数えきれないぐらい持っているが、原作小説の挿絵をそのまま使った絵柄、大人っぽい色づかいとデザインがお気に入りの3枚。

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おめん、釣り具、珍品いろいろ

コレクションのなかでも自慢の“バカもの”たち。イチオシはおめん。『楽しいムーミン一家』(テレビ東京系)放送当時の商品なので、大人になってから買った。製氷皿は実際に使ってみたが、今のようにシリコン素材ではないので、あまりきっちりとは作れなかった記憶が。ルアーはオークションで購入したが、未使用なので、本当に魚が釣れるのかどうか不明。クレーンゲーム景品の洗濯バサミ、たいそうカードは友人からのプレゼント。

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ムーミンを深堀する雑誌とムック本

ムーミンの世界を深く知りたい方におすすめの雑誌とムック本は、私も関わらせていただいた自信作。『MOE×ムーミンの公式ガイド』(白泉社ムック)は絵本雑誌『MOE』に掲載された24年間12回のムーミン特集のなかから選りすぐった記事を再録。すでに絶版なので、在庫があるうちに購入を! 『PEN』(CCCメディアハウス)の「ムーミン完全読本。」は懐かしいアニメの歴史を辿るなど、今までにない切り口が新鮮。折り込みのキャラクター大図鑑もわかりやすいと好評なので、ぜひ!

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講談社文庫40周年の非売品ぬいぐるみ

2011年、講談社文庫40周年記念キャンペーンの際に作られた非売品のぬいぐるみ。50冊分の応募券と交換にもらえる仕組みだったが、100冊分のカメラ、20冊分の切手シートなどを優先したのでぬいぐるみは逃してしまい、後日、プレゼントしていただいた。まっしろなボディとふわふわの手触り、お座りポーズがとても愛らしい。写真ではわかりづらいが、オリジナル仕様の緑色のポシェットには秘密の豆本が入っている。

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<トップ画像アイテム紹介>
海洋堂が原型を手がけた北陸製菓のムーミンズランチ、奇譚クラブのフィギュアマスコット、HIGHTIDEのペーパーウエイト、ベネリックの原作フィギュア、千趣会マンスリークラブのフィギュアコレクション、ペッツ、キューブリック、スウェーデン製のキッチンタイマー、フィンランドの菓子メーカーFazerのおまけ、ペットボトル飲料やガムのおまけ、ぎふしんのノベルティのフィギュアなどなど。年代や国によって表情がさまざまなのが興味深い。

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