IWC マーク11とマーク12はシンプルなだけではない。身につけて胸が熱くなるパイロットウォッチの魅力とは。

取材日: 2016年9月16日

取材/廣瀬 文
写真/本多 祐斗

IWC マーク11とマーク12はシンプルなだけではない。身につけて胸が熱くなるパイロットウォッチの魅力とは。_image

パイロットウォッチとして有名なIWCの名作 MARK11(マーク11)そしてMARK12(マーク12)。編集長がミスターバランスと称して愛用している2本には、シンプルさを極めた姿のかっこよさに加え、また別のエピソードがありました。

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私が現在所有している時計の中で一番付き合いの長い時計、それがIWC マーク12。
装飾を省き無駄のないシンプルなフォルムとデザイン。マーク12は、これまでの私が紹介してきたちょっとひとクセある相棒達と比べると、随分こざっぱりとした印象のアイテムかもしれない。

社会人となり初めての給料を1か月分以上費やして購入した一本だ。清水の舞台から飛び降りるというほどの感覚はなかったが、自分の中で大きな買い物をしたぞという達成感と、この時計とともに働いていこうという身が引き締まる思いがあった。
その後、会社や仕事での立ち位置の変化、自分の好みの変化などで身につける時計にも変化があったが、この一本は手放すこともなくずっと身近にいる。

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そしてもう1本、マーク12を紹介するにあたって外せないのがマーク11だろう。(マーク12はマーク11の後継機)こちらも12同様に装飾がなくさっぱりとした外見、それでありながら身につけていて胸に熱いものがこみ上げてくる1本。一部の時計ファンの間では人気のモデルだ。

マーク11は英国が軍用としてIWCにオーダーし、第二次大戦以降の1948年ごろから製造されたもの。軍機の電磁波に影響を受けない対磁性の高いパイロットウォッチとして、実際に戦時中の英国軍師たちが身につけていた本気の時計なのだ。その証拠に時計の裏側には英国軍の官給品を意味するブロードアローマーク(矢尻マーク)が刻印されている。

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戦火を生き抜いた屈強なアイテムが自分の腕で時を刻んでいる。そう考えただけでも胸が熱くなる。ただ、なぜこれほどまでに品質を保った状態で私たちが入手できるのか。80年後期に英国が資金調達のため大量に保持していたこのマーク11を市場に出したというのは有名な話だ。英国軍はこの時計を支給ではなく貸与という形で渡していたそうで、時計の調子が悪くなった場合や、除隊した場合は軍の時計部門に戻され古い部品は常に新品と交換・修理をして使い続けていた。そのため半世紀経ったはずの今でも使用できるほど損傷も少ないということだ。

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説明が長くなったが、マーク12はマーク11へのオマージュも言える一本だった。私ももちろんマーク11の存在を知った上でマーク12を購入した。
私が20代の頃、時計といえばオメガやロレックスだったが、敢えて定番人気を外してIWCを。その中でもパイロット時計モデル、そしてIWC125周年記念モデルとして生産されたマーク12をセレクトした。長らくマーク12を愛用してきたが、やはりオリジナルとも言えるマーク11への憧れも強く、数年前についに入手。マーク11と12が揃った景色が見れるのがとても嬉しい。ぱっと見は似ているが、並べて比較してみるとケースの大きさ、文字盤のフォントや刻みデザインもちゃんと違いがある。

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長らくエッジが効いたデザインのアイテムが自分の好みだったが、最近はマーク11や12のようにシンプルを突き詰めたミニマルデザインのものいいなぁと改めて心惹かれるようになった。質実剛健に正確に時を刻み続けることだけに専念したデザインと機能。その潔さにも共感できる。

身につけるアイテムがその時々の自分のあり方を反映する。相棒の存在とは自分に気付かせてくれる写し鏡のようなのだ。

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