図鑑:世界中の「A HARD DAY'S NIGHT」レコードの比較

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ビートルズ3枚目のアルバムである「A HARD DAY'S NIGHT」。
同名の映画がヒットしたこともあり、世界中で「A HARD DAY'S NIGHT」のレコードが発売された。当時は、国ごとにジャケット制作やマスタリングをしていたので、世界中で様々な「A HARD DAY'S NIGHT」が誕生することになる。
この図鑑では、その中の一部を紹介。ショーン黒田さんの解説と共に、世界を旅してみませんか?

英国パーロフォン盤『A HARD DAY'S NIGHT』【stereo】

マトリックス YEX126-1 / 127-1

マトリックス YEX126-1 / 127-1

こちらはそのステレオ盤。映画の題名『A HARD DAY'S NIGHT』は、あまりに忙しくなって疲れ切ったビートルズのリンゴスターが、ふと漏らした一言で決まったとされているが、その以前にジョンが書いた本で似たフレーズがあるため、元々はジョンが思い付き、リンゴが言ったことにしようとした、彼ら特有の遊びゴコロかも知れない。いずれにしても、このステレオ盤の完成度も高く、モノラルと甲乙付けがたい!

英国パーロフォン盤『A HARD DAY'S NIGHT』【mono】

マトリックス XEX481-3N / 482-3N
このアルバムのマトリックス1と2は無く(発見されておらず)3が最も初期とされている。

マトリックス XEX481-3N / 482-3N
このアルバムのマトリックス1と2は無く(発見されておらず)3が最も初期とされている。

ビートルズの3枚目のアルバムは、ジョンレノンの色が濃く、極めてノリのいいロックンロールな一枚となった。初期の最高傑作アルバムである。元々は同名映画のための曲が7曲、それに新たなオリジナル6曲の計13曲だが、いずれも当時の彼らの勢いと創造性が感じられる素晴らしい作品となった。

日本アップルAP盤『A HARD DAY'S NIGHT』【stereo】

MuuseoSquareイメージ

最初期の日本盤は、オデオンのレーベルだったが、その後の再プレスで、お馴染みのリンゴ?のアップルレーベルとなった。この『A HARD DAY'S NIGHT』はデザインもほんの少し変わり、ジャケット上部の【stereo】の文字が無くなった。
こういうことされると、マニア的には両方揃えたくなるのだ!

日本アップルEAS盤『 A HARD DAY'S NIGHT』【stereo】

MuuseoSquareイメージ

ビートルズの日本盤の魅力のひとつに「帯」がある。特に古い初期の帯は外国人にも、とても人気である。こちらの『A HARD DAY'S NIGHT』の帯は、通称「国旗帯」と呼ばれるもので、大きくカラフルなデザインで、ファンも多い。
日本ではこの帯の時、初めて英国オリジナル盤にビートルズの全アルバムが整理され、『A HARD DAY'S NIGHT』もオリジナルに修正された。

米国ユナイテッドアーティスツ盤『A Hard Days Night』【mono】

MuuseoSquareイメージ

アメリカでの次のアルバムは、映画『A Hard Days Night』のサントラ盤。こちらもキャピトルでなく、UA(ユナイテッドアーティスト)社が、映画版権の契約をしていたため、このレーベルでの発売となった。
曲等は、英国オリジナルとは異なり、映画の中のインストゥルメンタルも入った独自のもの。

米国ユナイテッドアーティスツ盤『A HARD DAY'S NIGHT』【stereo】

MuuseoSquareイメージ

ユナイテッドアーティスツ社の『A HARD DAY'S NIGHT』のステレオ盤。
といっても、ビートルズの演奏はもともとのモノラルを強引にステレオにした擬似ステレオなので、モノラルとさして相違ない。ジョージマーティンの作曲した映画の中で使われた数曲のインストルメンタルは、正しいステレオ盤である。

米国ユナイテッドアーティスツ盤『A HARD DAY'S NIGHT』【stereo】

MuuseoSquareイメージ

この頃のユナイテッドアーティスツ社のアルバムには、様々なバリエーションがあり、コレクターを悩ませる。
これはレーベルとレコード内袋が綺麗な雲のデザインで、ちょっと人気がある。
曲は例によって擬似ステレオタイプ。

米国キャピトル盤『A Hard Days Night』【stereo】

MuuseoSquareイメージ

米国ユナイテッドアーティスト盤の『A Hard Days Night』だが、その後キャピトルが権利を得たことで、ジャケットデザインはそのままで、レーベルはキャピトルとなって再発売されたものがある。こちらはそのステレオ盤。といってもモノラルを無理矢理左右に分けた擬似ステレオの曲が多く、残念なアルバム。

日本オデオン赤盤『A HARD DAY'S NIGHT』

レコード番号 OP-7123

レコード番号 OP-7123

ビートルズ初期の最高傑作。日本での3枚目のアルバムは初めてステレオでリリースされた!
英国オリジナルは、全く違うデザインで、日本だけのこのジャケットは海外コレクターに人気がある。日本のアルバム名は、映画邦名と同じ『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』だが、この水野晴男が付けた名前を私はあまり好きになれない。。
全曲カヴァーなしのビートルズのオリジナル曲で構成されており、リーダージョン・レノンの魅力が満載のアルバム。

日本オデオン盤『ビートルズがやってる来る!ヤァ!ヤァ!ヤァ!』【mono】

MuuseoSquareイメージ

東芝が発売したビートルズの10枚目のシングル。『A Hard Days Night』とは全く違う邦題(水野晴夫 作)。しかもオリジナルの英題の後にもYAH!YAH!YAH!を付けてしまう自由さ!足がたくさんあるデザインアート!

ドイツオデオン盤『YEAH! YEAH! YEAH! A HARD DAY'S NIGHT』【stereo】

レコード番号 1C 062-04 145

レコード番号 1C 062-04 145

ドイツ盤『A HARD DAY'S NIGHT』は、赤の格子デザイン!
しかもジャケット表面に、「Originals From The United Artists' Picture」の表記が!映画の配給元であるユナイテッド アーティスツ社のアメリカのアルバムは赤。それに合わせたのかな?
比較写真は左から米国、英国、独国の順。

フランスオデオン盤『4 GARCONS DANS LE VENT』【stereo】

MuuseoSquareイメージ

題名からも分からないかもしれないが、これはフランス盤の『A HARD DAY'S NIGHT』である。ジャケットデザインが演奏中のものでカッコ良く、人気のアルバム。曲等は英国オリジナルと同じ。

カナダユナイテッドアーティスツ盤『A HARD DAY'S NIGHT』

MuuseoSquareイメージ

カナダ盤の『A HARD DAY'S NIGHT』は米国盤と同様に「ユナイテッドアーティスツ社」から発売された。
ジャケットデザインも一緒で、中のレーベルだけが赤いオリジナルで異なっている。

ーおわりー

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公開日:2016年9月7日

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