木考Vol.2 チェリー材を知る

文/ミューゼオ・スクエア編集部

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こんにちは、ミューゼオ・スクエア編集部の高橋です。引っ越ししたりと新しい生活をはじめた方に向けて、家具選びがちょっと楽しくなる「木材の特徴」を解説します。第二回はチェリー材について。

チェリー材はオレンジがかった優しい茶色に穏やかな木目、そして滑らかな触り心地で、初回に紹介したウォルナット同様高い人気を誇る木材です。供給量が安定しているため、比較的手に入りやすいのもいいところです。

この記事ではもう少し掘り下げて、チェリーが持つ風合いや、どのような形で生活に関わってきたのかを紹介します。

チェリーとウォルナットの一輪挿し。色の濃いものがウォルナット、オレンジ色のものがチェリー。

チェリーとウォルナットの一輪挿し。色の濃いものがウォルナット、オレンジ色のものがチェリー。

チェリーにまつわる3つのキーワード

劇的な色の経年変化

チェリー材の最大の特徴は、色調の経年変化です。はじめは明るく鮮やかなオレンジ色をしており、時間が経つと飴色のような濃い紅褐色へと変貌します。オレンジ色のチェリー材を部屋に置くことで、その空間がパッと明るくなります。それが使っていくごとに赤味を呈し、色濃くなるとともに落ち着きが増します。

チェリー材の心材(木の幹の内部の年輪部分)は淡い木目に赤みがかかって華やかさを感じさせます。辺材(木の外側に近い部分)はクリーム色で、辺材と心材の境界は明瞭です。例えば、耳つきテーブルの端の部分が白っぽくなります

心地よい手触り

チェリー材で作られたスツール

チェリー材で作られたスツール

チェリー材はすべすべとした心地よい手触りの木材です。木の触り心地は導管の太さで決まります。導管とは、樹木の中の水が通る管のこと。導管の太さは木によって異なり、製材された木材の表面に切断された導管は並んでいます。導管が太いとザラついた手触りに、細いと滑らかな手触りになります。

導管の並び方は環孔材(導管が環状に並んでいるもの)と散孔材(導管がランダムに点在するもの)の2通りに分かれます。前者は導管が太く、後者は細くなります。チェリー材は導管の細い散孔材であり、木肌はすべすべとしています。

木材の塗装には大きく分けて塗膜仕上げとオイル仕上げの2種類あります。どちらも一長一短ありますが、表面に塗膜を作らないオイル仕上げの方が、チェリー材の手触りを味わうには適しているかもしれません。

耐久性・耐水性

チェリーはバラ科サクラ属の広葉樹に分類されます。広葉樹は組織構造が複雑で、密度が高く、重さがあるため衝撃に強い木材です。中でも心材は水に強く、腐食しにくいのでウィスキーやワインの樽に使われていることで有名です。

生活に密着していたアメリカンブラックチェリー

MuuseoSquareイメージ

チェリーは元々、アメリカの原住民であるネイティブ・アメリカンたちにとって、家具としてではなく食料として果実のサクランボが重要視されていました。やがて、加工性の高さから工芸細工に用いられるようになります。経年変化により深い優美な色合いになっていくことから、家具職人たちは世界三大銘木のひとつである「マホガニー」にも引けを取らない木材とし、チェリーを「ニューイングランドマホガニー」と呼び、好んで使うようになりました。

チェリー材の豆知識

チェリー材はアメリカ東部全域とカナダの大西洋岸で産出されています。硬さや重さは中庸で、あえて欠点を挙げるとするなら、太い木になりにくいという事です。したがって一枚板でテーブルになるような丸太は稀少性が高くなります。

日本のサクラ材と似ていますが、木目の淡いチェリー材に対してサクラ材の方が木目がくっきりしていて、緑がかった印象が強いです。また、チェリーの樹皮は薬として活用されており、家具だけでなく人間の生活に深い関わりのある木材と言えます。

ーおわりー

公開日:2019年6月15日

更新日:2019年10月4日

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ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

終わりに

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日本に住んでいると、原木の状態ではあまり見ることがないチェリー。経年変化という言葉に惹かれるのは私だけではないはず。ちょっとした傷がついても、自分だけのシルシとしてかえって愛着がわいてきそうです。導管の構成が似ているからなのか、色味が異なるウォルナットとの組み合わせも素敵だと思いました。

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