金鵄(小箱:10本入)―その1

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日中戦争が開戦し、まもなく戦意高揚と協力体制の構築を企図して「国民精神総動員運動」が。始まりました。

一種の戦争遂行キャンペーンでしたが、その背後で醸成されるナショナリズムは、自然発生的に外来文化の排除を謳うものとなり、英単語や和製英語による商品名などが多く日本語名に改められたといわれています。タバコもその例にもれず、まず「ゴールデンバット」が「金鵄」に改称されました。

「金鵄」は日本神話において、神武天皇の弓先に止まり、体から発した「霊光」で敵を撃退し戦わずして勝利に導いた「霊鳥」とされています。その故事から、吉事や建国の象徴、また端的に縁起の良いものとして商品名などに広く利用されてきました。また改称の翌11月には、国民的一大イベントとして「紀元2600年記念行事」が行われました。この時「国民奉祝歌」として採用された『紀元2600年』には、その歌い出しに『「金鵄」輝く日本の~』と偶然にも品名が詠み込まれているなど、改称の時期とその内容が、見事に時局に沿った(沿わせた?)ものとなりました。そうした華々しいデビューを飾った「金鵄」でしたが、戦況の変化とともにその装いを改めてゆくこととなります。

1940年11月1日~ 
・9銭で発売開始【画像1】
・側面「きんし」文字小型【画像2】 
・紀元2600年記念の4銭切手(意匠:高千穂の峰)加貼
・1940年11月10日付の名古屋局記念印を押捺
・軍用文字入り無定価【画像3】

1941年6月~ 
・金鵄の止まる弓を外す。【画像4】

1941年11月1日~ 
・10銭へ価格改正【画像5】
・軍用文字入り無定価【画像6】

[1961 日本専売公社]

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