富貴煙(100グラム包)

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もとは清国向け輸出銘柄で、濃い黄色の市松模様に「福・禄・寿」の3文字をあしらい、煙管も中国風のものをデザインしていました。国内向け銘柄に転じてから、煙管のデザインも日本風に改められました。
「煙草製造創業三十年誌」には「各種刻煙草製造の際生出する短き刻を精撰・配合して製造せられたるものなり」とあり、つまるところ「お徳用再生品」でした。そうした製造上の事由もあり、発売開始以来一貫して低価格品の位置づけで、戦後再発売されてからは廃止まで価格改正は行われませんでした。

1947年6月28日~ 100グラムに改装して15円で発売開始。
☆再発売当初は図案なし、品名ゴム印押捺対応

1953年10月~ 公社新証票・グラム表記に変更 【画像1-2】

1965年1月廃止

◎専売公社名のある正規の価格表に品名こそ記載されていたが、「諸福祉施設等にのみ特別配給」の扱いとなっていたので、品物を実見したことのない人が多かったという逸話が残っている銘柄でもある

◎「みのり」の廃止に伴い、原料となる再生材料の供給が難しくなったことによって廃止される際、代替としてゴールデンバットを限度付で無償提供するなどの措置がとられた

◎1960年代に、アメリカ癌協会によってタバコの健康被害が問題視された際、日本でも発売中のタバコのニコチン含有量を調査したことがあったが、この「富貴煙」が1.8%で最も低いとの結果が報告されている。ただこれは、「再生品(屑部分)」であることによる皮肉な結果ではないかと思われる。

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