明治三年(1870年)作 三段弁当 「はだれ雪」

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明治三年作の小型の三段弁当です。「はだれ雪」という檜葉、卵殻を使った変り塗です。はだれ雪とは「はらはらと降る雪。また、薄く降り積もった雪」のことを言うそうですが、江戸後期から明治にかけて若狭塗では盛んに作られていた変り塗です。とても人気があったということでしょう。
横五寸ほどの小型のお重ですが、大変に精巧に作られた作品です。まるで塗り立てのような美しさであり、とても作られてから150年もたった漆器とは思えません。この頃は100%国産の漆だと思いますが、漆の質の良さも美しさに大きく貢献しているはずです。
技量も状態も考えられる限り最良のもので、紛れもない傑作だと思います。木地も極限まで薄くされており、とても軽い仕上がりになっています。

小型の若狭塗には、本品のような名作が特に多く見られます。

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