- Shinnosuke Collectables Museum
- 2F ZIPPO FACTORY ART & ADVERTISEMENT
- 1972 Genesee Beer AD
1972 Genesee Beer AD
1972年のビールメーカーの広告柄である。
偶然これを入手したのは、もう20年ほど前であろうか…。米国のアンティーク・ディーラーと別件の高額商品のネット取引でのこと。
送料を間違えたか…なにか向こうさんの手違いで、10ドルほど多く支払ってしまったのだが、差額返金の為替ボンドの作成がめんどうだから、それに見合うオマケをつけるのでそれで勘弁して欲しい…
とのことで、仕方なくOKしたのだが、何を送ってくるのかも言ってこないのが、なんともいい加減というか大雑把である。
むこうは金で返す気はなさそうなので、断れば何も返ってこない可能性が高い。日本人の商習慣から言えば褒められた物ではないが、海外での"ディール"
とはそんなものだ。
同梱されていたお詫びの品がこれなのだが、届いたときは「やられたな…」と思った。
向こうにしてみれば、おそらくジャンクボックスに山と積まれたクズ同然のジッポーをテキトーに掴み、底面刻印を見て2ndロゴだから、それに合う適当なインサイドユニットを押し込んで送ってきたといった感じだった。
外装ケースは1972年のありふれた傷だらけのPoorランクで、本来ならばホイール・シャフトがソリッド・リベット式の改良型インナーが入ってる筈だが、適当さが功を奏して、1962~64年のアイレット(ハトメ)式のものが付いてきた。
まあ、いっかぁ…と、部品取り用として、ながらくストックしていたのだが、当サイトのような"お披露目の場"に巡り合い、久々、動員されたという訳だ。
柄についても少し書いておこう。
この頃の年代ともなると、さすがに旧式のエンドミル線画彫刻から、フォト・エッチングに表現技法が変わっていく。
工程はというと、まず、ジッポーの柄を着けたい部分に感光剤を塗り、絵柄のネガフィルムを張り付けて現像し、絵柄以外の部分のケース全体を黄色っぽい半透明の樹脂シールで覆って養生し、エッチング液に漬ける…という、プリント基板製造の技術を応用した"フォト・レジスト"というやり方だ。
今なら、この程度の加工はお手軽なレーザー彫刻でやってしまう所だろうが。
絵柄のジェネシー・ビールというのは、1878年からニューヨーク州ロチェスターに本拠を置く、"Genesee Brewing Company"の商標で、現在も米国で最大かつ最古の継続的に運営されている独立系醸造所の1つなのだそうで、ジェネシー・クリームエールは1960年に発売されたとのこと。
絵柄の1972年当時の商品パッケージは画像5の様な物で、まんまのデザインだ。
僅かながらのご縁だが…コストコあたりで山積みになって安く売っていたら、一度は飲んでみたいものだ。エール・ビールはあまり好きではないが(笑)
