神と空
出版社 : 海鳴社
発売日 : 1997/2/1
単行本 : 250ページ
先進国の中で、日本は唯一の非キリスト教国である。西欧文化を享受し、長い布教の歴史を持ちながら、なぜキリスト教はこの国に根付かなかったのか。本書は、宗教をめぐる二つのパラダイム、すなわち一神教の神観念と般若心経的「空」の概念の対比から、日本社会の宗教的特質を鮮明に描き出す。ミッション・スクールで、意識することなく「教化」される人々。新興宗教に対する強い拒絶感。理想社会の実現をめざした神なき共同体―新しき村とヤマギシ会の軌跡にみるパラドクス。これら具体例の考察から、「日本教」ともいうべき特異な宗教意識を指摘するとともに、その背景をなす「世間体を規範とする村社会的集団原理」が崩壊しつつある現代の神々のゆくえを問いかける。