Antwerp (ベルギー)

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アントワープはベルギー南西部、スヘルデ川最下流部に位置する港湾都市で、現在でもヨーロッパを代表する港を持ちます。

ローマ時代より人の居住が確認されていますが、歴史上に表舞台に登場するのは神聖ローマ帝国下で10世紀末にスヘルデ川がフランダース伯領と神聖ローマ帝国の国境線となったことから辺境伯が置かれたことに始まります。1291年に都市権が認められ、1315年にはハンザ都市になりますが、1356年にフランダース領に組み込まれたことで都市権を失い、ブルージュが繁栄することになります。その後1477年に神聖ローマ帝国統治下に戻り、15世紀前半にイギリス産毛織物の輸入を禁止したフランダース領の代替港として交易が盛んになったことと、同時期に土砂の堆積でブルージュが衰退したことにより、アントワープは繁栄します。しかし、16世紀には宗教戦争の舞台となり、スペイン・ハプスブルク家の弾圧から多くの新教徒の商人・職人がオランダに移住し、三十年戦争の講和条約であるウェストファーレン条約によりスヘルデ川が封鎖されたことに一気に衰退し、今日の繁栄を取り戻すのは1863年のスヘルデ川の封鎖解除まで待たなければなりませんでした。

掲載の地図はNicolas Tindal作の「Mr. Tindal's Continuation of Mr. Rapin's History」(1727年初刊)所収のものです。

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