みんなのコレクションが集まるミュージアム

Dsc01924

雑貨コレクション ポルトカワバタ

取材日:2015年6月29日

記事:井本貴明

写真:齋藤創太

  • アメリカの家庭の地下室は、まるで秘密基地? ガレージセールでの素敵な出会いとは

    Dsc01772 ポルトカワバタの主人、川端巌雄さん。82歳には見えないパワフルな語り口

    1973年は、ブルース・リーが亡くなった年である。
    そして、その年に始めてポルトカワバタの店主である川端巌雄さんはアメリカ本土の地を訪れた。
    「ロサンゼルスのチャイニーズシアターで『燃えよドラゴン』が上映されていた。それは今でもよく覚えています」

    1973年以降、川端さんは毎年のようにアメリカを訪れた。そして、その地で待っていたのは、素敵な出会いの連続だった。川端さんはアメリカの旅行中、週末に一般の家庭で開催しているガレージセールに顔を出すのが楽しみだ。ガレージセールとは、自宅の庭先で、不要になった雑貨やおもちゃなどを販売する、フリーマーケットのような物である。そこでは、各家庭で実際に使われていた雑貨が、格安で売られている。

    「実際に目で見て、欲しいと思った物を買っていました。特定のジャンルにこだわることはなかった。時には、家庭の地下室にお邪魔して、欲しい物を手にいれた。アメリカの家庭の地下室は、そこに住んでいる人の趣味部屋として使われていて、まるで秘密基地のような感じでした。そして、そこには面白い物がたくさんあった」
    そこで出会った雑貨は、購入して日本に持ち帰ってきた。その中身は、ジッポー、PEZ、古い車のナンバープレート、歴代大統領のマスク、映画のキャラクター人形など様々である。

  • 古き良きアメリカにある雑貨屋の空気感を蘇らせた、ポルトカワバタ

    Dsc01683 2階に上がると、川端さんがアメリカから買ってきた雑貨が隙間なく並べられている

    先述した通り、川端さんのコレクションは、特定のジャンルを選ばない。その理由の1つとして、「SEARS(シアーズ)」のカタログの存在がある。
    「SEARSは、1886年に創刊されたカタログです。扱っている商品の幅が広い。馬車、家具、鉄砲、おもちゃなど全てが揃っている感じです。そして、各家庭にこのカタログは配られていた。これだけの商品の多さを目にすると、何を集めても敵わない気がしてきた。なので、僕は自分が好きな物だけを、いろいろなジャンルから集めることにした。」
    川端さんは、楽しそうにSEARSのカタログを眺めながら、そう語る。

    「僕は、何か特定の物を探しにアメリカに行くことはない。その土地、その土地での偶然の出会いが楽しい。」そう語る川端さんは、アメリカ各地にある雑貨店も訪れた。毎年のようにアメリカを訪れるうちに、街にはスーパーやショッピングモールなどの大型量販店が増えて、昔ながらの雑貨店が減っていく様子を目にしていた。そこで、自分が買い集めた雑貨を利用して、本業のバイク屋とは別に、JR伊賀上野駅の目の前に雑貨店を開くことにした。それがポルトカワバタである。(「ポルト」は港を意味する)
    「趣味で開いたお店でも多少は稼ぐ必要があった。しかし、この地域でアメリカ雑貨店を経営するのは大変でした。どれだけビートルズやアメリカ映画の話をしても、売れるのは雑貨ではなくコーラやお菓子だった。気づいたら、駄菓子コーナーの面積が増えていきました(笑)」

    ポルトカワバタは面白い構造をしている。1階は普通の雑貨屋のように見えるが、2階に上がると、そこは博物館のような展示をしている。部屋の隅々まで、川端さんが集めてきた雑貨が飾られている。そして、部屋の中央にはインド製の人力車まである。どうやって2階に運び込んだのか不思議である。しかし、ポルトカワバタが博物館と異なるのは、全てのコレクションに値段が付いているのだ。
    その理由を、川端さんはこう語る。
    「アメリカで、昔ながらの雑貨店を訪れた時の話です。そこには100年前の雑貨などがあったのですが、全て非売品だった。欲しいと思っても買えない。まるで、博物館ではないかと悲しい気分になった。なので、僕たちのお店は博物館にしたくなかった。買いたいと思える人が買えるお店にしたかった。」
    ちなみに、今一番お薦めしたい物は「ルイ・ヴィトンの長距離旅行用トランク」と答える。よく見ると、昔の人が船旅や馬車の旅で使ったと思われるトランクの数々が置かれている。時を重ねたトランクは、インテリアとしても素敵だ。

  • 未来へのタイムマシンに乗って行き着いた先は、ニューヨークだった

    Dsc01676 ノーマン・ロックウェルのコレクションの数々。アメリカにはロックウェル博物館があるほど、人気があるコレクション

    川端さんから、読者の方へメッセージを頂いた。
    「僕らの時代は、分からない、知らないことばっかりだった。やっとこの年になって、いろいろと分かってきたことが多い。若い人は、分からない事に挑戦してほしい。諦めないで、知ろうと思ってほしい。例えば、100年の歴史のあるハーシー(1894年創業)の町をよく知らなかった(ペンシルベニア州ランカスターに在る: 地図 => https://goo.gl/OB2MtM )。アメリカに行ってハーシータウンに泊まると『チョコレート』は勿論『ミュージアム』『ホテル』『学校』『庭園』『遊園地』等々そこはとても楽しい「ハーシーチョコレートワールド」だった。行ってみないと分からなかった。ネットで調べて”分かった感じ”になるのではなく、出来るだけで足を動かしてほしい。もしも、アメリカ雑貨に興味がある人は、ポルトカワバタに来てもらい、実際に物を手にして、いろいろと質問をしてほしい。楽しみにしています。」

    雑貨は世界中に存在する。なぜアメリカの雑貨にこだわったのか、最後に聞いてみた。
    「戦後、日本はアメリカの文化を取り入れた。日本の文化には歴史はあるが、ローカルなのに対し、アメリカの文化はグローバルだった。ディズニーにしてもハリウッド映画にしても。僕は特別アメリカが好きなわけではない。しかし、アメリカが情報の発信源だったのは間違いない。パリでもロンドンでもなく、ニューヨークが中心だった。」

    現在のように海外の情報が簡単に取得できる時代ではなかった。アメリカで流行っていた映画やアニメキャラクターは、数年後に日本で流行ったと言う。きっと、川端さんにとって、日本からアメリカに旅行することは、タイムマシンに乗って ”未来” に向かっていた感覚だったに違いない。

  • Dsc01733 川端さんが影響を受けた「SEARS(シアーズ)」のカタログ。1908年版のA4サイズで1190ページ、厚さ3cm程のボリューム
    Dsc01742 カタログの中には、無数の商品が紹介されている

  • Dsc01654 2階にPEZのコレクションを発見!

  • Dsc01836 海外の車のナンバープレート。コレクターズアイテムとして米国にもコレクターが多いとのこと
    Dsc01695 有名人のマスク。米国ではハロウィンなどのパーティーで被る人が多い

  • Dsc01840 1階の店内の様子

  • Dsc02002 開店時から置いてるマキのストーブ。アメリカから船便で取り寄せた
    Dsc01986 こちらも開店時からある、ALTEC社のステレオスピーカー

  • Dsc01716 アメリカの家庭には、不思議なものが多い。。。

  • Dsc01998 古き良きアメリカの雑貨屋が想像できます

  • Dsc02095 ポルトカワバタの外観。駅の目の前に立っている

【住 所】伊賀市三田1016-4
【館長名】川端巌雄
【電 話】0595-24-6808
【FAX】0595-24-2578
【開館】12:00~19:00
【定休日】毎週水曜日、1月1日
【交 通】JR伊賀上野駅下車徒歩30秒

<伊賀まちかど博物館の紹介ページ>
http://www.iga.ne.jp/~matikado-hakubutukan/kensaku/area_ueno1.html#04