惜別の抱擁
公開日:2018/9/23

ローラ存命中にリリースされたオリジナル・アルバムの中ではラストとなってしまった1993年の「Walk the Dog & Light the Light」
彼女のラストというだけでも尋常じゃないものもありますが、1曲目の女性コーラスを伴って歌いだす"Oh Yeah Maybe Baby"でのローラの歌声を聴いただけで感極まってしまいそうになります。
この曲のイントロで、彼女が街角でストリート・シンフォニーを奏でていたルーツがフラッシュバックするような感覚にもなります。
バックの洗練度の高い音も、生粋の都会人である彼女にとっては何の違和感も感じさせません。というより、こういう洗練度の高さが彼女の魅力を際立たせているようにも。
ゲイリー・カッツというスティーリー・ダンの重要なブレーンのひとりでもある彼との共同プロデュースというのもローラとともにスティーリー・ダンの大ファンである僕にとっては、堪らないものがあります。
それに、同じスティーリー・ダンの初期からのブレーン、エリオット・ランドールの参加も嬉しいところですし、バーナード・パーディ、ブレッカー兄弟などといった豪華バック陣の参加もより彩りを添えているところです。
ただ、そういうバックの豪華さにローラの歌が押されているなんてことはこれっぽちもなく、楽曲の良さと彼女の変わらぬ歌声が、永年ファンで良かったと改めて感じさせてくれます。
60年代のエキセントリックさも彼女の魅力ですが、けして音楽シーンのメインストリームに居たとは言い難かった70年代中期以降のカムバック後の彼女もまた、心を摑んで離しませんでした。
彼女の死後の再評価といったものには個人的には疎いものがありますけど、極々パーソナルな次元で彼女のファンで居続けるだろうなと、このラスト・アルバムを聴いているとまたそう思ってしまいます。
ラストの"I'm So Proud / Dedicated to the One I Love"で、またストリート・コーナーへと還っていくローラが堪らなく好きです。
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