-
十角面取り杯
先述の面取リキュールグラスと一緒に出てきたものとのこと。やはり10面の面取りが施されている。ガラスも鉛ガラスで、リキュールグラスと比べやや黄味掛った色調を呈する。内側が外形と対応して10角形となることから、型吹きで成形した後、砥石を当ててシャープに面取りしたことがわかる。やはり水晶手と呼ばれるものの一種である。高台の畳付も丁寧に研磨加工が施されている。
明治初期 日本M.S
-
十角面取り利休杯(リキュールグラス)
丁寧なカットにより10面の面取りが施された利休杯(リキュールグラス)。口縁部は明治期のグラス・コップによくみられる研磨仕上げになっている。手取りが重く、ヌメリのあるガラス質で、指で弾くと高い音が響く。また、ガラスの色調もやや黒味を帯びており、この時代に見られる鉛ガラスの特徴を備えている。幕末から明治初期にみられる透明鉛ガラスを用いた、厚手の型吹きガラス作品群を「水晶手」と呼んでいるが、この作品も水晶手の一種である。イギリスやフランスのバカラ製グラスを模したものであるが、カットの精度も高く一見本歌に見紛う出来である。
明治初期 日本M.S
-
脚付杯
高さ6センチほどのリキュールグラス。幕末期に少数舶来したイギリスを中心とする西洋のガラス器に範を取って、明治初期の和硝子職人が製作したもの。 江戸期のガラス器に見られる高鉛ガラスを用いて作られており、重い事に加え指で弾くと甲高い金属音が響く。口縁部の研磨仕上げやフットの形状に江戸期の切子やビードロ杯の名残りが見られる。
明治初期 日本M.S