糸巻文花瓶

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乳白ガラスに赤の糸巻を施し、それを熱いうちに掻き上げて波文様にした後、さらに透明ガラスを被せた花瓶である。また、口縁は襞状に成型されており、可愛らしい。高台は透明ガラスを用いている。
乳白地に赤の糸巻、透明脚という、この作品と同様の配色を持つ氷コップは、多くの和ガラス関連の書籍に所載されるほど有名なものであるが、数は少なく現在は大変高価である。
しかし、物が変われば同じ時代、同じカラーであっても値段は大きく違い、花瓶であるがゆえに私の手元に収まってくれている。とはいえ、氷コップと花瓶の違いはあれど制作の手間は変わらず、鑑賞という点においてもその良さは変わらない。
高さ17センチほどの一輪挿しと言うべきもので、女性的で可愛らしい配色であるが、決して華美にならず、花を引きたてつつも花瓶としての主張もある点が優れている。

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