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鉱物標本 カーネリアン(Carnelian)
別名:紅玉髄 産地:India 石英の変種であるカルセドニー(玉髄)の中でも含有する水酸化鉄により赤色に発色したもの。サードニクス(紅縞瑪瑙)ほど縞模様が強くなく、レッドジャスパー(赤碧玉)ほど不透明ではない(*1)。古くは古代エジプトの装飾品としても利用されてきた。 語源についてはwikiにはその色からラテン語で肉を意味する"carnis"に因むと記載されているが、他の文献でセイヨウサンシュユ("Cornelian" Cherry)の赤い実に由来するとの記述もあった。こちら実の場合であってもその語源は"carnis"だと思うのでwikiの情報は間違ってはいないと思う。 2010年代に科博の売店で購入。産地はインドとしか記載がないが、カルセドニー産地であるグジャラート州辺りかなと思ってる。 *1:レッドジャスパー →鉱物標本 レッドジャスパー自主採集/研磨品(Red Jasper)
鉱物標本 6.5~7 蝋光沢、樹脂光沢たじ
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鉱物標本 ジェダイト(Jadeite)
別名:翡翠輝石、硬玉、硬玉翡翠 産地:Myanmar 深緑の半透明な宝石の一つである翡翠は紀元前の古代中国や古代中南米で既に装飾品として用いられてきた。現在では翡翠(jade)という言葉は上記の緑色半透明の玉石全般を示しており、鉱物学的にはジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)に大きく分類される。それ以外ではインド翡翠と呼ばれものはグリーンアベンチュリンであったり、アマゾナイト(*1)、蛇紋石、緑碧玉等でも~翡翠と呼称されたりする。 ジェダイトは輝石グループに属する鉱物で、他の輝石グループの鉱物と固溶体を形成する性質を有する。そのため、本来のジェダイト(NaAlSi2O6)は白色(無色透明)なのだが、Al3+がFe3+になると黒色のエジリンに、同じくAl3+がCr3+になると深緑色のコスモクロアに分類される様になる(画像7枚目)。また、ジェダイトの(NaAl)4+の組み合わせが(Ca,Mg,Fe)2 4+に置き換わると有色のその他輝石類諸々に分類される様になり、その中間状態の組成のものはオンファサイトという輝石に分類される。翡翠というと深緑色のものを想像するが、それはFe2+やCr3+に起因する発色のためジェダイトではなくオンファサイトまたはコスモクロアに分類されるのである。本標本の場合はベースが白色(無色透明)なので分類はジェダイトで問題ないと思われる。 ジェダイトは海洋プレートの沈み込み等の超高圧低圧の条件下(300℃以上、1万気圧)にて火成岩中のアルバイト(曹長石)が ・NaAlSi3O8 → NaAlSi2O6 + SiO2 の様に分化変成して生成されると考えられている。他にも熱水から直接析出する場合もあるそうであるが、いずれも条件がシビアなため産出地は世界でも限られている。 2010年代頃に科博の売店で購入。国内では糸魚川産のものが有名だが、本標本はミャンマー産の恐らくカチン高原で採れたもので、世界の翡翠シェアの9割を占めている。ここのジェダイトは白亜紀後期のオフィオライト帯(プレート沈み込みや大陸衝突などで海洋地殻の上層から深層まで丸ごと乗り上げた岩体)に由来する蛇紋岩から見つかる。 *1:アマゾナイト →鉱物標本 アマゾナイト(Amazonite)
鉱物標本 6.5~7 ガラス光沢、蝋光沢、鈍光沢たじ
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鉱物標本 レッドジャスパー自主採集/研磨品(Red Jasper)
別名:赤碧玉 採集地:千葉県、稲毛海岸 レッドジャスパーと記載したが、人によってはチャートと判断する方もいるはず。 ジャスパーもチャートも主成分は共にSiO2、更に色が赤ならば基本的にはどちらも酸化鉄(赤色)や水酸化鉄(褐色)に由来のため、化学組成だけならば実質同じである。 その違いは成因で、レッドジャスパーが酸化鉄を含む地層の隙間にケイ酸分が浸透充填して生じた玉髄(潜晶質石英)の一種であるのに対して、赤チャートはフズリナ等のケイ質殻を持つプランクトンの死骸が含水酸化鉄と共に堆積して出来た堆積岩の一種である。そのため両者のの性質性状には若干異なる傾向が現れるが、実際のところ鉱物としての明確な境界は無い。 本鉱の場合は ・研磨は比較的容易(チャートだと火打石として用いられる程硬くて磨くのが大変)。 ・脈は多め。色は無色透明が主で、堆積性よりも浸透性の印象。 ・採集場所で瑪瑙も拾える。 等の特徴から判断してレッドジャスパー寄りに推測してる。 レッドジャスパー自体は古くから世界中で御守りとして用いられており、13世紀のドイツの神学者Albertus Magnus(大聖アルベルト)も自身の著書である『鉱物書』にて「太陽のエネルギーと共鳴することで大きな保護力を与えるクリスタル」と記しており、現在でもパワーストーンとして「身心の安定性を保つ」等の効果で紹介される。国内の産地としては新潟県佐渡地方で採れる「赤玉石」が有名。 本鉱は2019年に千葉県稲毛海岸にて拾ったもの。稲毛海岸は検見川浜から幕張海岸にかけて東京駅から電車で一時間もかからないビーチコーミングスポットである。今回のジャスパーや瑪瑙の他に貝化石なども打ち上げられるため、拾う事が出来る。
鉱物標本 6.5~7 ガラス光沢,、蝋光沢,、脂肪光沢,、絹糸光沢、無光沢たじ