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角の立った美しい姿。精進基本の一品に欠かせない流し缶。
精進基本の一品といえば、胡麻豆腐。流し入れて固める、シンプルな目的のためのツールだが、棚橋さんのちょっとしたこだわりは出来上がりのサイズ感にあるという。胡麻豆腐を枠から外しやすいよう両脇に取っ手もつけたオーダーメイド。切り分けると流し缶と同じ比率で長方形に。この比率の形が盛り付けで様になる点が気に入っているそうだ。
京都 有次ミューゼオスタッフ
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この一本さえあればよい。野菜を活かすための菜切包丁。
調理経験を積んでくると、あたらしい道具を試したり、用途に合わせて包丁を揃えたい。そんな欲が出てくることもあるだろう「魚や肉などを扱う調理では包丁一式を揃える必要があるしょう。ただ、精進料理で向き合う相手は野菜。調理に手間ひまはかけても、包丁仕事に頼りすぎない。野菜の存在を生かす程度に刃を入れる、そのためにはこの菜切包丁一本で充分です」 修行中の棚橋さんは、包丁仕事に酔いしれてしまったことがあった。その際、師匠に「包丁を放せ!」と叱られたことが今でも強く印象に残っているという。精進料理において包丁仕事は最低限に留めながらも丁寧に行う、それが重要と棚橋さんは語る。
京都 有次ミューゼオスタッフ