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彩色キノコスケッチ図版@昭和初期の菌類図鑑
日本の菌類分類学の草分けとされる著者自らが、採取してきたばかりの標本をスケッチした原図を元に作られた昭和初期の菌類図鑑から、笠の色に特徴あるのを少々。 学術的な精確さを追求して、本職の画家に任せず手ずから描き、印刷の色再現性にもこだわった図版は見る者を飽きさせない。外觀や断面のその種ごとの特徴を丹念に描いているばかりでなく、成菌と全く形が違う幼菌が育つさまなどもしっかりフォローしてあるところがステキ。 #レトロ図版 #キノコ #菌類 #担子菌 #写生図 #昭和初期
原色版日本菌類圖説 昭和05年(1930年) 昭和04年(1929年) 三色版刷り+活版刷り図版研レトロ図版博物館
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アゲハチョウ科+シロチョウ科+タテハチョウ科のいろいろ@昭和初期の小型昆虫図鑑
大正〜昭和初期の昆虫標本造りの名手による国産(といっても当時の版図なので、台湾産を含む)蝶類標本の写真図版から、鳳蝶〈アゲハテフ〉科・粉蝶〈フンテフ〉科(=現在のシロチョウ科)・蛺蝶〈タテハテフ〉科の一部を。 「第九圖版」のうち解説文ページを割愛した分は、6. エルタテハ(雌)Polygonia l-album samurai Fruhstorfer 1932年北海道夕張産、7. キベリタテハ(雌)Vanessa antiopa Linnaeus 1932年北海道夕張産、8. コムラサキ(雄)Apatura ilia substituta Butler 1932年東京井之頭産、9. オホイチモンジ(雄)Limenitis populi ussuriensis Staudinger 1931年北海道草雲溪産。 非常に保存状態のよい標本をきっちり接写し、色再現性にこだわった仕上げは戦前日本の製版印刷技術の高さを物語っていると思う。背景の配色も含め、鮮明でありながらもヴィヴィッド過ぎない色調のやわらかな風合いがまた魅力。 #レトロ図版 #昆虫図鑑 #蝶 #アゲハ #シロチョウ #タテハ #原色図鑑 #昭和初期
原色千種昆虫圖譜 昭和13年(1938年) 昭和08年(1933年) 三色版刷り+活版刷り図版研レトロ図版博物館
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鳥々のいる風景@大正後期の鳥類図鑑
大正期の鳥類図鑑の図版として描かれた、住環境別の代表的な種類の鳥たち。 一見自然な光景のようにも思えるが、実際にはこんな風に複数種の鳥が集合写真でもあるかのように集っていたりすることはないので、やはりこれは「理想的構図」としての虚構には違いない。 とはいえ、いずれも科学的に裏打ちされた精確さとともに、一幅の絵としても鑑賞に堪える、美的センスあふれる細密彩色イラストだ。 #レトロ図版 #鳥類図鑑 #野鳥 #細密写生画 #自然科学 #大正
日本鳥類圖説 上卷 大正14年(1925年) 大正03年(1914年) 三色版刷り+活版刷り図版研レトロ図版博物館
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鉱物の美@昭和初期の女学校用鉱物学教科書
昭和初めの鉱物学の教科書に載っている、美麗な標本をイラストで表わした彩色図版。それぞれ、見事な大結晶を含む原石を示した「結晶の美」、装飾品に用いられる石の代表的なものを取り上げた「寶石及び飾石」、ミクロトームでスライスした石を鉱物顕微鏡で覗いてみた「岩石薄片の検鏡」。いずれも名称を書いた別刷りの薄葉が被せてあり、また前二つは裏側に解説が添えられている。 石の見た目の美しさで惹きつけようとする傾向は、特に女子向けの教科書に強いように思われる。また、必ずといっていいほどカットした宝石や貴石(当時は「飾石」といっていた)の色刷り図版が含まれているのも、如何に女の子たちの注意をそらさないようにするかという課題に日々苦心を重ねている現場のニーズに応えた結果、といえるのではないかしらん。 #レトロ図版 #鉱物学 #鉱石 #宝石 #貴石 #飾石 #鉱物標本
女子教育最新鑛物學 昭和04年(1929年) 昭和03年(1928年) 三色版刷り+活版刷り図版研レトロ図版博物館