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無脊椎なヒトたちの彩色博物画@明治後期の小型百科辞典
明治の終い近くに出された一冊モノ百科辞典の「海産動物」項附図として載せてある見開き一枚の彩色博物画から、節足動物だの軟体動物だの棘皮動物とか腔腸動物とか、とにかく脊椎がない種類の生き物たちの部分を拡大して眺めてみよう。 欄外の名称を図版番号で拾ってみるとそれぞれ、一枚目「1 イボヤギ」「2 キクメイシ」「3 ウミシャボテン」「4 赤サンゴ」、二枚目「5 アコヤガイ」「6 アワビ」「7 サヾエ」「8 カキ」、三枚目「9 ビゼンクラゲ」「10 カツオノエボシ」「11 オビクラゲ」「12 水クラゲ」「13 カツオノカムリ」「14 カイメン」「15 カイロードーケツ」「16 ホッスガイ」、四枚目「28 カリナリヤ」「29 アメフラシ」「38 タコブネ」「39 オームガイ」「45 タコ」「46 イカ」「47 ゴカイ」、五枚目「18 イソギンチャク」「22 アシナガヾニ」「32 カブトガニ」、六枚目「27 ヒドラクチニヤ」「37 ホヤ」、七枚目「31 クルマエビ」「33 イセエビ」「40 ウミユリ」「41 ヒトデ」「42 ウニ」「43 ナマコ」、八枚目「36 サルパ」「44 ヤドカリ」。このうち「カツオノカムリ」がカツオノカンムリなのはまだご想像がつかれるかもしれないとしても、「カリナリヤ」はゾウクラゲ、「アシナガヾニ」はタカアシガニ、というのはお分かりにならないのでは……。「ヒドラクチニヤ」は多分カイウミヒドラ。いずれも透明な身体をもつ「オビクラゲ」「サルパ」なども、結構マニアックな選択ではないかしらん。にもかかわらず、以上六種はどれもこの辞典中には立項されていない……覧る側は「そこが知りたかったのに……なんちゅー不親切ぶり」などとついつい勝手を並べたてたくなってしまうww のだが、しかし編む側の立場で考えてみれば、そんな細かいところまでいちいちフォローしていたら、一冊では到底終わらなくなってしまう。項目の取捨選択は悩ましいところだ。 それはさておき、色彩もうるさくない程度に鮮やかで美しく、博物図ひとつひとつをみても全体として眺めても、美意識に裏打ちされた魅力にあふれた図版ではないだろうか。拡大複写してポスターに仕立てたいくらいだ。 なお、この図版のほかの部分は「爬虫類両棲類の部屋」 https://muuseo.com/lab-4-retroimage.jp/collection_rooms/9 、「魚類の部屋」https://muuseo.com/lab-4-retroimage.jp/collection_rooms/3 に展示してあるので、もしまだご覧になっておられない方は是非☆ #レトロ図版 #無脊椎動物 #海の生き物 #博物画 #百科辞典 #明治後期
國民百科辭典 明治41年(1908年) 明治41年(1908年) 石版刷り図版研レトロ図版博物館
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海水魚の彩色博物画@明治後期の小型百科辞典
引き続き、明治後期の一冊モノ百科辞典の「海産動物」項附図として載っている彩色博物画から、魚類のところを拾ってみよう。 それぞれの名前は、一枚目「19」は「マグロ」(クロマグロだろうか?)、二枚目「17」は「タイ」(これはマダイだろう)、「20」は「トビウオ」(胸鰭がハマトビウオほど長くないからツクシトビウオとかなのかな?)、「21」は「ヒラメ」、「30」は「サバ」(マサバ)、三枚目「23」は「イワシ」(マイワシ)、「24」は「ニシン」「25」は「カナガシラ」、「26」は「ムツ」、「34」は「フグ」(マフグ……だと思うけれど尾鰭の形がなんだか丸過ぎないかな?)、「35」は「カツオ」、四枚目「48」は「ツノザメ」(アブラツノザメと思っていーんじゃないかな)、「49」は「シュモクザメ」と欄外に書かれている。見出し語が表音式なので、明治時代の本でも旧仮名遣いにはなっていないのだった。 この図版では多分、「一般人に身近」という考えで食用魚を選って描いたのではないかしらん(シュモクザメは肉は食べないかもしれないが、フカヒレを採る)。なお明治期の水族館には、結構早くから海の生き物を展示する水槽があらわれていた(けれども短命におわった)ことが、鈴木克美「わが国の黎明期水族館史再検討」 https://www.muse-tokai.jp/wp/wp-content/uploads/2017/09/bulletin_03.pdf を読むとわかる。 さて、引き続きこの「海産動物」図(その全体については「爬虫類両棲類の部屋」https://muuseo.com/lab-4-retroimage.jp/collection_rooms/9 に展示)から、カメでもウオでもない色々な生き物たちのところも拾って「貝類ほか海産生物の部屋」https://muuseo.com/lab-4-retroimage.jp/collection_rooms/4 に載せてみることにしよう。 #レトロ図版 #海水魚 #食用魚 #博物画 #水族館 #明治後期
國民百科辭典 明治41年(1908年) 明治41年(1908年) 石版刷り図版研レトロ図版博物館
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ウミガメの彩色博物画@明治後期の小型百科辞典
明治の末近くに次々と出された一冊モノ百科辞典のひとつに載っている、「海産動物」項附図として添えられた彩色博物画の中から、ウミガメ二頭のところを拡大して眺めてみよう。 左の小さい方「51」が「タイマイ」、右の大きい方「52」が「ショーガクボー」(=アオウミガメ)。甲羅の模様、鱗の生え具合など丹念に描き込まれている。当時はいずれも甲羅は鼈甲細工(アオウミガメの方は「和鼈甲」と呼んだらしい)として、またアオウミガメの方は食肉・食卵としても人気があった。北原白秋が小笠原に滞在した際の短い旅行記に、ウミガメの肉を料理して旅人に食べさせたり缶詰にしたりする話が出てくる。 http://nihongo.hum.tmu.ac.jp/~long/bonins/natsu.htm ところでこの図版全体をご覧いただければおわかりのように、当「展示館」のうちのどれかひとつだけには収められない、色々な海の生物が一緒に描かれている。このように複数のカテゴリにまたがったものを実物展示する場合には、さてどこに置くのが一番いいかしらん、と悩むことになることもあるだろうが、そこはヴァーチャル博物館のいいところ、その一部分をあちらこちらに気軽に分けて置いてお見せすることができる。ということで、引き続き「魚類の部屋」 https://muuseo.com/lab-4-retroimage.jp/collection_rooms/3 、「貝類ほか海産生物の部屋」 https://muuseo.com/lab-4-retroimage.jp/collection_rooms/4 に続きを載せることにしよう。 #レトロ図版 #海産動物 #海亀 #アオウミガメ #タイマイ #博物画 #明治後期
國民百科辭典 明治41年(1908年) 明治41年(1908年) 石版刷り図版研レトロ図版博物館