-
輸入車用の幌@昭和初期の自動車用品カタログ
昭和10年代の自動車用品カタログに載っている、US製輸入車のための幌張り替え用ゴム引き生地。 画像3枚目は組み立て成型済みの既成幌。窓のところはセルロイドが嵌まっていたようだ。 貼り付けてある現物見本のうち、一番上の合成皮革のものが既製幌の1928〜31年式フォードと1927〜28年式シボレー、次の織物のものが1929〜30年式シボレー、その下のものが1932〜34年式フォードと1931〜34年式シボレー用、とある。 測り売り生地の方は、「ヤール(=ヤード)」単位売りなのに幅が尺貫法表示なのが可笑しい……「巾四尺六寸モノ」のように尻尾に「モノ」がついているのは、ヤードポンド法ベースの寸法を尺貫法に換算したおおよその幅寸、ということなのだろう。1930年代に輸入車を乗り回すような人々でも、メートル法より尺貫法の方が馴染みがあったのかしらん、とついついおもってしまう。 こういう風に現物見本がついていると、当時の車の屋根幌や横幌がどのような見た目や感触だったのかがよくわかる。殊に複層構造や裏面の色味・テクスチャなどは、こういう資料が残っていてこそ初めてしれるものだ。 画像5枚目と6枚目は幌を取りつけるための部品や補修用品。「シネリ式幌止メ」の「シネリ」は「捻り」のこととおもわれるが、商店主が江戸っ子入っているかww 画像7・8枚目、見本のうち下3枚は座席シート張り替え用の生地。ただし下から3番目の黒いものは横幌用兼用だそうだ。 このカタログを出していた森田商會は、東京市が昭和8年に出した『東京市商工名鑑』第五回によれば、経営者が森田鐵五郎といったらしい。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1115189/546 所在地がカタログ表紙では芝區田村町一丁目、☝の商工名鑑では「芝、櫻田本郷」となっているが、銀座局内の電話番号がどちらも同じなので間違いないだろう。 この人物名で商工信用録などを国会図書館デジタルコレクションで追ってみると、大正11年の東京興信所『商工信用録』第四十六版に大正10年1月調査で「森田鉄五郎」「自動車附屬品」「京、新肴、一七」「1年前」というのがある。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/970692/355 また大正12年の第四十八版では大正11年3月調査調査で「森田鐵五郎」「自動車附屬品」「芝、新幸、七」というのが出てくるが、こちらも「開業年月」のところは「1年前」となっている。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/970694/327 翌大正13年の第四十九版をみると、大正13年3月調査で「森田鐵五郎」「自動車附屬品」「芝、櫻田本郷、二」「3年前」 となっている。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/970693/284 試しに昭和7年第六十五版をみてみると、昭和6年3月調査で「森田鐵五郎」「自動車附屬品」「芝、櫻田本郷、二」「10年前」 とある。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1242111/312 ……ということは、創業は大正8〜9年ごろ京橋區新肴町にて、ということになるだろうか。毎年出ている同じ出版物でこうもバラついているとなると、開業がいつだったのか特定するのはなかなか難しそうだ。 なお、帝國商工會『帝国商工録』東京府版の昭和7年版 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1024841/89 では所在が「芝區櫻田久保町二」、翌昭和8年版 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1023922/97 では「芝區田村町一ノ三ノ六」で、こちらはカタログの表示と同じになっている。昭和7年12月1日に、帝都復興計画の一環で大幅な町域改正がおこなわれた際、櫻田本郷町は田村町一丁目、櫻田久保町は田村町二丁目に編入されたようだから、前者の「櫻田久保町二」は「櫻田本郷町二」の誤りではないかとおもわれるが、あるいは建物改修か何かで一時的に近所に越していたのだろうか。 ともあれ、今の都営三田線内幸町駅のあたりにあった、おそらくは家族経営の中小自動車用品販売店だったのだろう。
自動車用品型録 No. 15 昭和11年(1936年) 網版+活版刷り 洋紙図版研レトロ図版博物館
-
ペーパークラフト自動車構造模型@昭和初期の運転免許受検教材(大東亜戦前版)
恐らく昭和11年に刊行されたと思われる、紙製の自動車構造模型。解説書の図版だけでは解りづらい、パーツの複雑な取り合いなどの仕組みを初学者が自習する手助けとなる教材。 人体解剖図などでこうした模型は明治期からあるが、自動車のものは珍しいと思う。 なお出典資料については、図版研「架蔵資料目録」ブログにて紹介している。 http://lab-4-retroimage-jp.seesaa.net/article/470464 また収蔵については、「モノ日記」に記事を書いた。 https://muuseo.com/lab-4-retroimage.jp/diaries/22
自動車學習模型 昭和11年(1936年) 昭和11年(1936年) 石版刷り図版研レトロ図版博物館
-
蒸気機関模型@昭和初期の器械カタログ
昭和初期の小学校用物理化学教材カタログに載っている、蒸気機関の金属製模型の図。 左側が「蒸氣タービン模型」で、足踏み空気ポンプで回すことができた。右側は「蒸氣機關模型」で、たしか手前のひきだしに炭を入れて実際に動かせる仕組みだったと思う(壊れてはいたが、現物を見たことがある)。
島津理化學器械目録第三〇〇號 昭和11年(1936年) 昭和11年(1936年) 銅版刷り図版研レトロ図版博物館
-
熱学模型@昭和初期の器械カタログ
昭和初期の小学校用物理化学教材カタログに載っている、熱の吸収や輻射に関する実験装置、そして蒸気動力の模型の図。 上段左から「熱の吸収輻射實驗器」つまりガラス管の覆いの色によって熱の出入りに差がつくことを見せる装置、「ラヂオメーター」つまりいわゆる「ラジオメーター効果」を示すためのクルックス羽根車装置、「水蒸氣の壓力を示す器」つまりアルコールランプで加熱するとピストン運が起きるのを見せる装置、汽笛とウォーターゲージを備えた「蒸氣機關模型」、下段左が「蒸氣機關裁斷模型」つまり蒸気機関の中身を見せる木製模型、下段右が「蒸氣機關説明器」でこちらは金属製、実際にどのように動く仕組みなのかを見せることができる模型。
島津理化學器械目録第三〇〇號 昭和11年(1936年) 昭和11年(1936年) 銅版刷り図版研レトロ図版博物館
-
プロペラ模型@昭和初期の器械カタログ
昭和初期の小学校用物理化学教材カタログに載っている、プロペラ動力の仕組みを説明するための模型。 材質は書かれていないが、おそらく木と金属によるものだったと思われる。今でもおもちゃとして十分イケそうなかわいらしさ。
島津理化學器械目録第三〇〇號 昭和11年(1936年) 昭和11年(1936年) 銅版刷り図版研レトロ図版博物館
-
動力導伝機構模型@昭和初期の器械カタログ
昭和初期の小学校用物理化学教材カタログに載っている、動力を伝える機構の説明用に造られた金属製模型の図。 左側のふたつは「圓錐形齒輪」「齒輪」つまり組歯車模型、右上は「ベルト ギアリング」つまり巻掛伝動装置模型、右下は「廻旋起重機模型」つまり旋回式クレーン模型。
島津理化學器械目録第三〇〇號 昭和11年(1936年) 昭和11年(1936年) 銅版刷り図版研レトロ図版博物館