明治初期の和装本教科書

初版 2018/04/26 23:32

改訂 2018/04/27 09:13


我が国で学校教育が始まった明治の初め、科学系の教科書も和装本だった。近代的な教育を少しでも早く始めないと、と急いだため教材も十分には揃わなかったようだ。今回紹介する本などは幕末に蘭学者用に出ていたイギリスの科学書のオランダ語版を更に中国語訳したものの翻刻版を明治に入って増刷した、というもの。

度々刷り増しされて非常にひろく使われた本ではあったが、何しろ本文は訓点つき漢文以外のナニモノでもなかったし、わずかにルビが振られてはいるものの、それはオランダ語を仮名で音写したものだった。

しかも図版が本文の順番と合っていないところがいくつもあったりして、とっても解りづらかったのを見かねたとみえて、ほどなく註釈つき日本語全訳書が刊行された。

この本では図版も本文の叙述に沿って配置されているし、どうも書いてあることが間違っているらしい、という箇所については訳者が「ここは本当はこういうことではないかと思う」と註釈をつけたりしていて、なかなか親切。

ということで、こちらもよく売れたらしい。

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昨日、「開館」10日目で「入館者」が千人を超えた、というおしらせが届いた。

しかし「アクセス解析」を見てみるとコンテンツごとのPVを単純に足し上げているだけなので、「ミュージアム」内のどこかしらを表示させるごとに「おひとりさまご案内〜」と門衛ロボットが呼ばわっている、ということになる。通りを歩いていたらうっかりお店の自働ドアが開いてしまうことがあるが、それも「入店者数」として勘定しているようなものだ。


「入館者」が必ずしもエントランスを通るわけではなく、タイムラインに現われた新しいコンテンツに直に飛ぶ方がむしろフツーの「入館」方法、という仕様になってしまっているため、このような数え方にしてあるのだろう。しかし、お一人が十箇所ご覧になっても「10人」とカウントされてしまうものを「入館者」数と呼ぶのは、ちょっとどーなの、と思ってしまう。


アカウントを取得した十六日(PVは二だった)とその翌日はミュージアム案内文とオーナー紹介文くらいしか載せていなかったし、続く三日間はモノ日記をひとつ書いたほかはコレクションルームを増やしていただけ……と考えると、実質的な「観覧者数」は恐らく十人そこそこ、というところだろう。勿論、公開しているからには観てたのしんでくださる方があるのはありがたい限り。


ということで、「入館者が100人」というのは「初めてちゃんとご覧くださった方が現れました!」という意味で、「1000人達成」となったら「ちゃんとご覧になった方が10人になりました☆」というくらいに捉えておくと、まぁまぁ実情に近い気がする。あとは、どのような図版が人目を惹くのか、という傾向をつかむのに参考になるかもしれない。

#参考

#比較

「科学と技術×デザイン×日本語」をメインテーマとして蒐集された明治・大正・昭和初期の図版資料や、「当時の日本におけるモノの名前」に関する文献資料などをシェアリングするための物好きな物好きによる物好きのための私設図書館。
東京・阿佐ヶ谷「ねこの隠れ処〈かくれが〉」 のCOVID-19パンデミックによる長期休業を期に開設を企画、その二階一面に山と平積みしてあった架蔵書を一旦全部貸し倉庫に預け、建物補強+書架設置工事に踏み切ったものの、いざ途中まで配架してみたら既に大幅キャパオーバーであることが判明、段ボール箱が積み上がる「日本一片付いていない図書館」として2021年4月見切り発車開館。

https://note.com/pict_inst_jp/

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