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Vox Populi ! “Aither”
Vox Populi!。これ、知ってるリスナーさん、いるかなあ? 実は私はこのバンドを、以前より国際コンピとかで名前は、見てて知ってはいたのですが、フル・アルバムを聴くのは初めてなんです。それでは、先ずはバイオグラフィーを簡単に紹介しておきます。Vox Populi!は、1981年にGnouf TapことAxel Kyrou (Synth, B, G, Vo, Jew's Harp, Wind Instrument, Effects, Flute, Cornet, Sequencer, Tapes), Ariel Kyrou (Jew’s Harp, Synth, Vo), LeilaことMireille Kyrou (Synth)によって仏で結成され、その後、テヘランからの移民2世ペルシャ人女性Mithra (Vo, G, Flute)と弟のパーカッショニストArash Khalatbari (Perc, Cimbalom, Sitar, Synth)或いはFRG.ManことFrancis Manne (B)が加入して、仏産エスノ・インダストリアル・バンドとして有名になっています。それで、1982年に、仏のレーベルVox Man Recordsより、ファースト・カセット・アルバム”Introduction À La Théorie De La Subjectivité Relative”をリリースして、コンスタントに作品を出しています。色々のメンバーの変遷はありましたが、現在のメンバーはAxel KyrouとMithraの2人となっています。また、同国のPacific 231ことPierre Jolivetや独H.N.A.S.ともコラボ作品を作っており、より国際的な活動も続けて、現在も活動しています。ちょっとこれ以上の情報は入手できなかったです(すまん!) それで、今回のアルバム”Aither”ですが、元々は仏のレーベルV.I.S.A.から、1989年に、彼等の2枚目のLP(ヴァイナル)としてリリースされていた作品で、今回は、イギリスのEmotional Rescueが再発したものです。ジャケも少し変わっています。今回のメンバーは、Francis Manne (G, B. Organ), Les Plantes (Sax: A1, A4, A6, B3, B4), Gnouf-TapことAlex Kyrou(Synth, Organ, Vo, Kalimba), Mithra (Vo, Back-Vo), Arash Khalatbari (Vo, Perc)で、ゲストとして、Jacky Moreau (Synth), Kossi Gahou (Vo), Abol (G), Nicola Minescu (G), Mustapha (Tar), Pacific 231ことPierre Jolivet (Vo), Uber (Reta), Jacky Moreau (Hourglass), Laurent Perrier (Trumpet)も参加しています。ゲストもこのように豪華なのですが、何と言っても、異国情緒漂うサイケデリックな反復音楽が最大の特徴ですね。専属ドラマーほいないので、ドラムマシンが基本となり、それに中東風パーカッションが入る形で、リズムが作られています。そして、さらにMithraのアラビックな旋律のヴォーカルが漂って、下手するとシャレ乙にも聴こえる程、洗練された音楽を奏でています。時に、トランペットやサックスなども入り、雰囲気が高まります。また、A4 “Narme-Air”のようにシャンソンっぽい雰囲気の落ち着いた曲も混ぜているところもニクいですね。あと、B面は6曲入っているのですが、どうもトータルで”Aither”と言う1曲で、その中に6つの小曲が入っていると言うことみたいです。また、B6 “La Grande Plante Fibreuse”はライブ音源のようです。今まで、アルバム単位で聴いたことがなかったので、今回、聴きてみて、このエスノ・インダストリアルな立ち振る舞いが、凄く印象的で、良かっただです。なので、その辺りが好きな方はハマると思いますので、聴いてみて下さい❗️ B6 “La Grande Plante Fibreuse” (original Version) https://youtu.be/gAj09CVVZT4 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nWdbTHUyysblnlQLrBMAqgozwvvCzfbE0 #VoxPopuli! #Aither #EmotionalRescue #V.I.S.A. #Reissue #EthnoIndustrial #Tribal #ExperimentalPop #France #Gnouf-Tap #AlexKyrou #FrancisManne #LesPlantes #Mithra #ArashKhalatbari #JackyMoreau #KossiGahou #Abol #NicolaMinescu #Mustapha #Pacific231 #PierreJolivet #Uber #JackyMoreau #LaurentPerrier
Electronic / Tribal Emotional Rescue (V.I.S.A.) 1850円Dr K2
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Richard Pinhas “L'Ethique”
今回は、仏のプログレバンドHeldonの首謀者にして、ギターとエレクトロニクスを独自に融合させたロックを発明したギタリスト兼作曲家Richard Pinhasのソロ・アルバム”L'Ethique (「倫理」の意)”を紹介します。ソロ・アルバムとしては5枚目になります。彼のバイオグラフィーは、以前に書いてありますので、そちらを参照して下さい。今回、参加しているのは、Richard Pinhas (Synth, G)に加えて、Bernard Paganotti (B [A1, A4, B2]), Clément Bailly (Drs [A1, A4, B2, B3]), Patrick Gauthier (Moog [A2, B2]), Jean-Philippe Goude (Moog, Perc [A1, B1, B3])です。更に、Pinhasの師匠の哲学者Gilles Deleuze (Vo [A1, B3])やGeorges Grünblatt (Moog [B4])も客演しています。また、シンセの管理やエンジニア(YMOで言うところの松武秀樹氏のような役割?)としてGilles Berthoulotも関わっています。今までのソロと違って、結構、タイトな演奏を聴くことができ、この路線は、Heldonの”Stand By”や ”Interface”に通じると言うか、それらよりもモダンで、よりラウドでロックなノリに推し進めてきた証だと思います(まあ、Heldonとはメンバーも違いますし、時期的にテクノロジーの進化度合いも違いますから)。プログレ臭さは弱まり、テクノ・ポップ感が強くなったとも感じられますが、マイナーコードや仰々しいストリングス・シンセを使っているのが、「ニューウェーブ」には成りきっていないところかな? A2 “Dedicated To K.C.”のK.C.ってKing Crimsonだと思うのですが、まだ引きずっていたのかと驚くと共に、第一楽章での7/8拍子や、第三楽章でのHeldonの曲のモチーフのセルフカバーなんかが含まれているところも、仏人のユーモアなのかエスプリなのかは不明ですが、興味深かったです。生ドラムのクレジットの無い曲は、リズムマシンを使っているようですね。全曲、Pinhasの作曲なので、特にクレジットの無い曲は彼が1人で録音しているのでしょう。それが宅録感にならないところが、やはりプロと言うかPinhasの手腕なのでしょう。しかし、それにしても、B2 “The Western Wail (Part 1)”での緊張感満載でのシーケンサーとドラムの掛け合いは凄いです❗️そうして、B5 “L'Ethique (Part 4)”の短いシーケンスから成る小曲でアルバムを締めています。全体的にギターよりもシンセを多用した作品であると思いますので、シンセ好きのリスナーさんは一度、聴いてみて下さい!きっと発見がありますよー。 A2 “Dedicated To K. C.” https://youtu.be/DUC_2oMyusM [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mVMMnz6Q5VyZjDjt4MIaU_CXEdkD6fIG4 #RichardPinhas #L’Ethique #PULSE #SoloAlbum #ProgressiveRock #Electronic #Synthesizers #Guitar #French #NewWave #BernardPaganotti #ClémentBailly #PatrickGauthier #Jean-PhilippeGoude #GillesDeleuze #GeorgesGrünblatt
Progressive Rock / Electronic Pulse 1330円Dr K2
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Vomir “Musique De L'Indifférence”
VomirことRomain Perrot。来日してリスナーをハーシュ・ノイズ・ウォールのどん底に落とし込んだ仏のノイズ・ミュージシャン。何でまた、こう言うのを持っているのか?が何故ですが、取り敢えず、紹介しておきます。Vomirとは仏語で「ゲロ」のこと。彼は、1996年よりパリをベースに活動したおり、300品以上の作品をリリースしています。その多くは、彼自身のレーベルDecimation Socialeからリリースされており、彼の功績は、最もアンチな態度でハーシュ・ノイズ・ウォールと言う極端な表現方法を提示したことです。何のアイデアもなく、何の変化もなく、何の発展もなく、何の楽しみもなく、何の目的もない、どデカい壁のような単調なハーシュノイズをレコードやCDの体裁で現前化してみせたのです。それで彼のバイオグラフィーを少し書きます。Romainは小さい頃はPink Floydのファンであったのですが、その中で、Lou Reedの”Metal Machine Music”も彼はお気に入りになります。そして、1990年代になると、実験音楽、特にMerzbowや灰野敬二氏からフリーな即興音楽やハーシュノイズに興味が移っていき、The Ritaがお気に入りになります。やがて、彼はハーシュ・ノイズ・ウォールを「発明」し、Harsh Noise Wall Festivalを企画し、Les Instants Chavirés, Montreuil, Seine-Saint-Denisなどでフェスを開催しています。Romainは徹底した”Anti”を唱えるニヒリストであり、音楽的訓練や技量、楽器を鳴らす際のノウハウは全く必要としないことを公に言っています。それで、彼にとってはギターアンプとシンセが有れば良く、その意味で彼はanti-artistとしての立ち位置にあり、彼が作る作品は”anti-music”でもあります。また、彼のライブは”anti-concert”として、1時間から最大8時間にも及びます。そして観客にはビニール袋が渡され、それを被らされて、ノイズ以外の全ての感覚をシャットアウトさせられます。また、彼はNoise musicにも造詣が深く、独自を理論を持っており、大学等でもパフォーマンスをやっていたりするようです。 そんなVomirの本作品ですが、片面33回転、もう片面45回転らしいのですが、そもそも回転数が違ってもわからないですね。全編、何の変化もないジリジリとした歪んだ電子音が、ずっと続きます。んー正直、感想については困ってしまいますねぇ。そして、この音楽は正しく「ノイズ」だと直感的に理解できるのですが、それ以上でもそれ以下でもない、茫漠とした音塊をただただ受け取るしかないです。あるリスナーにとっては至福ではありますが、別のリスナーにとってはただの雑音に過ぎないと言う作品です。Vomirの作品はみな同じ感じなので、これ一枚で充分ですね。合言葉は、No Act / No Play / No Point / No Result / No Strategy / No Compromise / No Social Lubricant.です❗️興味のある方は是非聴いてみて下さい。見事な金太郎飴ですから。 “33 part one” https://youtu.be/V--uJunJJBM #Vomir #MusiqueDeL'Indifférence #PeripheralRecords #RomainPerrot #HarshNoiseWall #Noie #Anti-Music #Anti-Concert
Noise Peripheral Records 不明。Dr K2
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Étant Donnés “Aurore”
来ましたよぉ〜‼️ Étant Donnés(「エタン・ドネ」と読むらしい)‼️このデュオは、フランスの地方都市であるGrenobleで、1980年にEricとMarc Hurtadoの兄弟で結成されました。Étant Donnésの音楽はレコードやCDだけじゃ中々伝わりにくいのですが、まあ、簡単に言うと、声を中心に、フィールド録音された音とその磁気テープを加工した音源とが混ざり合って作製された、かなり「肉体的」な音楽と言えば良いでしょうか。その前に、彼らのバイオグラフィーをおさらいしておきましょう。まずは先程述べたように、Hurtado兄弟から成るデュオで、1981年より、Philippe Fichot(Die Form)が主催する仏レーベルBain Totalからカセット作品をリリースしていました。その後、1983年には、仏レーベルVita NovaからファーストEP “Plutôt l'exil du cinq doré”をリリース。そして、1987年に仏レーベルDMA2からファースト・アルバム”Le Sens Positif”をリリースし、欧州のみならず、世界的な評価を得ています。また、ビデオ作品も5種類程、リリースされています。何故、ビデオのことを言うかと言うと、彼等のパフォーマンスが余りにも肉感的と言うか際どいと言うか、兎に角凄いので、これはやはり、彼等の音楽はそのパフォーマンスとセットで体感するべきものだなぁと納得します(今はYouTubeでも観ることが出来ます)。まるで、「生」の祭典と言うべきもので、それを上半身裸の兄弟が身体をくねらせ、ぶつけ合いながら行う行為は一見の価値があると断言できます。その後、 “Aurore”, “Royaume”及び“Bleu”と言う本作品も含む3部作をCDでリリースし、本当かどうかは別として、かの異端思想家グルジェフ(Gurdjieff)が”objective art”と呼ぶものを体現しているとの指摘があります。その後も、彼等は様々なアーティストとコラボ作品をリリースしています。Die Formに始まり、”Re-Up”ではAlan Vega (Suicide), Lydia Lunch (Teenage Jesus & The Jerks), Genesis P-Orridge (Psychic TV)と、更には“Offenbarung Und Untergang By Georg Trakl”ではMichael Gira (Swans)とコラボしています。また、これは本当かどうかは分かりませんが、Club MoralからはあのWhitehouseとのスプリット作もあるようです。それで本作品についてですが、先程、少し述べたように、これは3部作の1つであり、この作品だけで何か言うのは的外れかもしれませんが、まあ、もう少し辛抱して下さい。何度も述べてきたように、ここでも、彼等は、声(囁やき、叫び、呻き)による朗読(?)を中心に、雷や雨などの自然音、磁気テープのヒスノイズ、教会の鐘の音等を加工し、組合せ、シェイクし、ミックスして一曲一曲を作りあげています。その音像は彼等固有のもので、他にこのような音楽を作る作家やグループは寡聞にして知りません。今、私は徹夜明けで、このアルバムを聴きながら、これを書いていますが、かなり心臓に悪い音楽です(苦笑)。しかしながら、彼等の音楽は人の喜怒哀楽を剥き出しの「生(なま)」のまま、提示しているようにも感じます。故に、体調の悪い時には避けた方が良いでしょう、いや冗談抜きで❗️そのような肉感的・原初的な音楽ですが,体調が良ければ、是非、体験してみて下さい。なお、初版(1990年)は英国の名門レーベルTouchからのCDでのリリースですが、再発版(2015年)は仏のPenultimate Pressからの12㌅EPとしてのリリースとなっております。 A1 “1.52” (1:52) A2 “3.16” (3:16) A3 “9.17” (9:17) A4 “4.22” (4:22) A5 “4.08” (4:08) B1 “1.44” (1:44) B2 “8.26” (8:26) B3 “4.27” (4:27) B4 “1.01” (1:01) B5 “2.30” (2:30) B6 “3.58” (3:58) [full album:12inch EP] https://youtu.be/L5s0zMFdO-A?si=yj9RZoQkVFfzuHbs [live at Divergences/Divisions, Mar.1988] https://youtu.be/62lCQkZQoz0?si=hyU7u4YsvWdz48vZ #ÉtantDonnés #Aurore #Touch #12inchEP #PenultimatePress #LimitedEditions #500部 #RawSoundArt #Trilogy #Avant-Garde #祝祭 #肉感的 #TheatricalPerformance #EricHurtado #MarcHurtado #FrenchUnderground
Avant-garde / Theatrical Penultimate Press (Touch) 不明。Dr K2