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Nichts “Tango 2000”
ちょっとでも、Neue Deutsche Welle (German New Wave)を知っている方なら、Der KFC (因みにKentucky Fried Chickenではない!)って言うパンクバンドの名前位は聞いたことがあるかもしれませんね。或いはDer KFCのVo/GのTommi Stumpffが解散後、ソロで活動していたと言うことを知っている方もいらっしゃるかもしれません。では、Nichtz (ニフツ)はどうでしょう?簡単に言ってしまえば、Der KFCの残りのメンバーが新たに結成したバンドのことなんです。今回は、そんなNichtzのセカンド・アルバム”Tango 2000”をご紹介したいと思います。 先ずは、Nichtzのバイオグラフィーから書いていきます。Der KFCはNDWの中でもパンク色の強いバンドで、Düsseldorf で1978年に結成され、1982年に解散しています。先述のように、Vo/GのTommi Stumpffは、その後、エレクトロ・パンクとも言うべき音楽で、ソロ活動していきますが、その頃に脱退していたTobias Brink (Drs)とMeikel/Michael Clauss (これを機にBからGにチェンジ)は、Andrea Mothes (Vo)とChris Scarbeck (B)を誘って、1981年にNichtzを結成しています。そして、1981年に、自主制作レーベルSchallmauer Recordsから、ファースト・アルバム”Made in Eile (直訳すると「急いで作った」)”を出しており、そのクレジットで、メンバーの名前は、Micky Matschkopf, Fritz Fotze, Prunella Pustekuchen, Paul Popperkindと偽名が記載されています。その後、大手CBSより、シングル”Radio”を出し、翌年1982年に、WEAとも契約して、本作品でもあるセカンド・アルバム”Tango 2000”をリリースし、また、2枚のシングル”Tango 2000”と”Ein Deutsches Lied”もリリースして、メジャーデビューを果たしていますが、1982年秋にMeikel ClaussとChris Scarbeckが脱退してしまいます。それで、新メンバーPeter Szimanneck (B, G, Kbd)とStephen Keusch (G)を加えて、サード・アルバム”Aus Dem Jenseits”を出しますが、その年にバンドは解散してしまいます。しかしながら、2009年に、新メンバーSabine Kohlmetz (Vo), Meikel Clauss (G, Synth, Vo), Ufo Walter (B, Electronics, Vo), Steve "Vom" Ritchie (Drs)で再結成し、2011年に新録のスタジオ・アルバム”Zeichen Auf Sturm”を出して復活しています。また、2019年にはライブアルバム”Live 2019”をStrange Recordsからも出していますが、この時のメンバーは、Sabine Kohlmetz (Vo)とMichael David Clauss (G)以外に、Joachim Kremer (B), Björn Sondermann (Drs)から成るラインナップになっています。HPが2024年でも更新されていますので、現在も活動しているようです。 それで、今回は、彼等がメジャー・デビューしたセカンド・アルバム”Tango 2000”を紹介していきたいと思います。メンバーは、Andrea Mothes (Vo), Michael (Meike) Clauss(G), Chris Scarbeck (B), Tobias Brink (Drs)の4人です。プロデュースはMeikel ClaussとDieter Joswigでやっています。それでは、各曲を紹介していきましょう。あっ、それから、私が購入したのは、Records Store Day用のブツなので、CDサイズのブックレットと、ボーナストラックとして、シングルB面の曲”Nichts Ist Ewig”が、B7として付いています。 ★A1 “Tango 2000” (3:38)は、前身のDer KFCに比べるとかなりソフィストケートされたニューウェーブな曲で、トレモロGと女性Voが中々聴かせてくれます。 ★A2 “Ein Deutsches Lied” (2:10)は、ゴリゴリしたBの主張の強いポップスで、性急なテンポも相まって、カッコ良いです。Voもキュートだし、間奏でGも弾きまくってます。 ★A3 “Schwarze Gedanken” (1:53)も、弾むようなBから始まるポストパンクな曲で、サビでのGの存在感が良い。 ★A4 “Gitarrero Ade” (3:00)は、ちょっとスパニッシュな雰囲気の曲で、そう言う意味では、ニューウェーブだと思います。Gのフレージングが如何にもですね。 ★A5 “Weisse Wände” (3:28)は、性急なビート感のあるパンキッシュな曲で、Voもやや荒い感じで、Gもちょいとフリーキーです。途中のブレイクもカッコ良い! ★A6 “Nachts” (2:40)は、一転、どんよりしたBとリムショットで進行するスローな曲で、何とも虚な雰囲気を放っています。 ★B1 “Ich Bereue Nichts” (3:08)は、モロUKポストパンクな雰囲気で、2流Gang of Fourとキュートな女性Voを混ぜ合わせたような曲です。 ★B2 “Licht Aus” (1:54)は、アップテンポの元気一杯な曲で、Voも弾けてます。 ★B3 “Lieber Anonym” (2:32)では、BラインとGのコード弾きが、歌詞を反復するVoと良く合ってます。 ★B4 “Freitag Der 13.” (2:49)は、ややアップテンポなパンキッシュな曲で、Gの音色と、偶に引き攣る所とかは良いです。でも、これ「13日の金曜日」でしょ? ★B5 “Ein Stiller Gruss” (2:16)は、どんよりしたドローンBから、危機感の煽るようなGに誘われて、立ち直ってくるインスト曲です。 ★B6 “Nichts” (2:00)は、ライブ音源ですが、長いMCとオーディエンスのレスポンスだけが収められています。結構、人気あったのかな? ★B7 “Nichts Ist Ewig” (2:12)は、結構カッコ良くて、ノリも良いキャッチーなインスト曲で、バットマンのテーマ曲にちょっとだけ似てる? メジャー・デビュー前のファースト・アルバムを聴いていないので、比較は出来ませんが、全体の印象は、 ややキュートなVoと洗練されかけたニューウェーブ或いはポストパンクな音楽が詰まったアルバムだなぁと思いました。ただ、もう少し迫力ある音にしても良かったのではないかとも思いました。そうしたら、国内だけでなく、欧州とかでももっと評価されていたと思います。今のままでは、ちょっとパンチにかけるようです。そんなNichtz、聴いてみますか? ツボる方にはツボりますよ!それから、付属のブックレットも当時のバンドの写真が掲載されていて、雰囲気が良く分かります。 https://youtu.be/IMSbrqIehtw?si=pwENjyrFzxbOVMq6 #Nichtz #Tango2000 #CargoRecords #2021年#Reissue #RecordStoreDay #NeonYellowVinyl #WEA #Schallmauer #1982年 #SecondAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #NewWave #PostPunk #DerKFC #AndreaMothes #Meikel(Michael)Clauss #ChrisScarbeck #TobiasBrink #BonusTrack #Booklet
Neue Deutsche Welle (German New Wave) New Wave Cargo Records (WEA / Schallmauer) €24.90Dr K2
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Attrition “This Death House”
君はAttritionを知っているか⁉️英国Coventryで1980年にMartin BowesとJulia Niblockが始めたエレクトロなダーク・ウェーブ/ダーク・インダストリアルな音楽を奏でるバンドです!先ずは彼等のバイオグラフィーを少々。1979年にMartinはCoventryの音楽シーンを紹介するコピー・ファンジンAlternative Soundsをスタートさせており、1981年までに18巻続きましたが、最高潮では、Cherry Redで”Sent from Coventry”としてコンピLPがリリースされたり、BBCで”Something Else”にちょっと取り上げられたりしていました。そんな時期に、MartinはJuliaとライブ会場て会って、Martinの兄弟のChris (G)と共に1980年にAttritionを結成、その後、Chrisは、Juliaの兄妹のAshley Niblock (Synth)と交代します。暫くして、彼等は生ドラムをドラムマシンと交代させます。これによってAttritionは80年代初期のポストパンクからより実験的なサウンドへと発展していきます。時代はパンクのDIYであったので、Attritionもカセットカルチャーに参入し、アンダーグラウンドのカセットの世界でコンピやファンジンに付いたカセットに参加していきます。その頃は、Portion Control, Chris & CoseyやKonstruktivits, The Legendary Pink Dots, Nurse With Woundなどのコンテンポラリーな音楽グループとも並行していました。Attritionの最初のカセット・アルバムは2曲の実験的電子音楽で、何でもゾンビ映画にインスパイアされたらしいです。そして、1983年に彼等は、Dave HendersonのコラムWild Planetで、初めて大手国内雑誌に取り上げられています。その曲は、Dave Henderson監修のコンピLP”The Elephant Table”に収められた”Dreamsleep”と言う曲です。次に、シアトル在住の即興集団Audio Leterとの郵便利用コラボで作製したカセット作品”Action and Reaction”で、同時期にライブも国内外で演るようになります。そして、Attrition初のLP”Attrition of Reason”が1984年秋にThird Mind Recordsからリリースされます。しかし翌年、Juliaが脱退し、彼女はThe Legendary Pink Dotsに移籍します。それでMartinは新体制として、Marianne, Alex Novak, Pete Morris をメンバーとしてセカンド・アルバム”Smiling, at the Hypochonder Club”をリリース、これは全般的に受けが良かったです。しかし、翌年、Martinはこのラインナップを解消し、Martin一人で”The Realm of the Hungry Ghost”をリリースしますが、数年間でリリースしたB面の曲をコンパイルしたもので、これがThird Mind Recordsからの最後のリリースになりました。バンドは、以降、ベルギーのAntler-Subway Recordsから、1988年に、新ギタリストのGary Coxを迎えて”At the Fiftieth Gate”をリリースします。これがAttritionの1980年代の活動なんですが、その後も、マイペースで1990年代、2000年代も活動を続けています(ここら辺は機会があったらまた書きますね)。 それで本作品ですが、先述の通り、ゾンビ映画に影響された長尺の曲からなります。文字通り、ダークな雰囲気の電子音楽で、余り明瞭なリズムは無いです。かと言ってドローンでも無く、独自の路線ですね。中心になるトーンがあり、そこに楔のような電子音が刺さってくると言えば良いのでしようか?裏ジャケによると、メンバーはMartin Bowes (Electronic Dr, Synth), Ashley Niblock (Synth, Kbd), Richard Woodfield (Synth)で、即興的に録音したトラックに、後から音を加えているとのこと。なので、このような音楽になっているのでしよう。また、ホワイト・ノイズの使い方が独特で他にあまり無い使い方です。また微かに聴こえるリズムもこのミックスならではですね。今、聴くとそれまでの仏Die Formと同様の独自のテクノ路線とは違った印象で、どちらかと言うと、ジャーマン・ロック路線に近いでしょうか。彼等のルーツを見る上でも興味深いと思いますよ。なので、ジャーマン・ロック・ファンにもお勧めします(但し、曲調はダークですが)。 https://youtu.be/tnQSYMLGCEA #Attrition #ThisDeathHouse #AttritionCassete #OtherVoicesRecords #KonraktAudio #Reissue #DarkWave #ElectronicMusic #Synthesizer #MartinBowes #AshleyNiblock #RichardWoodfield
Dark Industrial Other Voice Records / Kontakt Audio 3000円位Dr K2