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Blaine L. Reininger “Book Of Hours”
前回、紹介しましたTuxedomoonの創設者でもあるBlaine L. Reiningerのソロ・アルバム”Book of Hours”を、今回は紹介します。Tuxedomoon時代に関しては前回書いた通りですので、ソロアーティストとしてのReiningerのバイオグラフィーについて書いてみます。彼は、Tuxedomoonのメンバーとして3枚のアルバムを出した後、1983年に完全にソロアーティストとして、1988年にバンドが再結成するまで活動に専念していますが、実は、その後も、ソロ活動も続けています。バンド在籍時には、John CageとAllen Ginsbergにインスパイアされており、それは、1982年にリリースされた彼のファースト・ソロ・アルバム”Broken Fingers”でも継承されています。1983年にバンドを脱退した時に、以前よりもっと電子音楽的な方向性の持ったアルバム”Night Air”を、Michael Belferと共に作製しています。なお、プロデュースはGareth Jonesが行っています。また、彼のソロは、ベルギーのレーベルLes Disques Du Crepusculeからリリースされています。その後、着実にEPやアルバムを出していきます。その後も、コラボ作品等も作製し、Durutti Columnとは”Short Stories For Pauline”と”Without Mercy”の2枚のコラボ・アルバムを出しており、この時期にはネオ・クラシックな音楽を作製しています。また、盟友Steven Brownとも”Colorado Suite”とライブ録音アルバム”Live In Lisbon”をリリース、ミニマルでクラシックな音楽をやっています。1989年には、William Lee SelfのバンドMontanablueにも曲を提供したりしていますが、Reininger自身もその曲を彼のソロアルバム"Songs From The Rain Palace"に再録音しています。この辺りで、本作品も録音されています。1990年代に、彼は、メジャーレーベルからソロのサントラ・アルバム”Radio Moscow”をPolygramから、”Kingdom Of Dreams”をSony Musicから出しており、後者はアンビエント・ハウスな曲だそうです。また、1994年には、UVO IIとコラボしたアンビエント・アルバム”Sound Of Heaven”を独自主レーベルからも出しています。1990年代後半には、ギリシャに移住し、まだ18歳だったJJ La Rueと結婚しますが、その直後に、彼女は心疾患で亡くなっています。この頃は、主に映像作品のサントラを主に作製しており、また彼自身も俳優業を始めています。また、2009年〜2011年に、再びWilliam Lee Selfとのコラボを行うことになり、Lee SelfのHamburgの自宅スタジオにて録音作業を行っています。2013年には、7人のダンサーと3人のミュージシャンの劇版もやっており、そのサントラはCrammed Discsよりリリースされています。Reiningerは2019年までは独自のペースで活動を続けています。 それで、本作品”Book Of Hours”は、Reiningerの活動が最も油の乗っていた頃の作品で、参加したメンツは、Blaine L, Reininger (Vo, Vln, G, Mandlin, Kbd, Drs [Octapad])の他に、Steven Brown (Sax, Kbd), Ivan Georgiev (B, Kbd), Luc Van Lieshout (Trumpet, Flugel Horn), Jo Moens (Drs), Paul Zahl (Octapad, Drs[B1]), Eric Sleichem (Sax [A1]), Ian Devine (G [A2]), Iben Larssen & Niki Mono (Back-Vo [B4])が参加しています。それで内容に関しては、一言で言えば、「ゴージャス」ですね。参加者の皆さん、結構、マルチ奏者の方が多いので、音にも厚みがありますし、アレンジも凝っています。A1 “Zombie Bop”やB4 “Come The Spring”なんかも、イカした曲ですし、A2 “Sainte Thérèse”やB3 “Salad Day”は色っぽいバラード調です。またA3 “Letter From Home”やB1 “El Paso”では、Reiningerがしっとりと歌い上げています。A4 “Software Pancake House”では歌詞に「寿司」とか「味の素」とか出てきて、意味不明です。B2 “To The Green Door”は中東風のアレンジに、朗々としたVoが響く曲で驚きます。また、A5 “Pavane”やB5 “Marchand De Feraille”なんかは、ピアノや弦楽器等を使ったインスト曲です。このように、色んなベクトルを持った曲で、我々を楽しませてくれます。正しく、映画のようなゴージャスさです❗️一度は聴いてみても良いのではないでしょうか。 https://youtu.be/q_EiP_HQ6vo #BlaineL.Reininger #BookOfHours #LesDisquesDuCrepuscule #SoloAlbum #Tuxedomoon #PopMusic #Theatrical #Gorgeous #Instrumental #VocalSong #StevenBrown #IvanGeorgiev #LucVanLieshout #JoMoens #PaulZahl #EricSleichem #IanDevine #IbenLarssen #NikiMono
Pop Rock Les Disques Du Crepuscule 2800円Dr K2
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Borbetomagus “Seven Reasons For Tears”
個人的には「デス・ジャズ (Death Jazz)」の第一人者と固く信じている米国のBorbetomagusの12枚目のアルバム”Seven Reasons For Tears (何故、泣いたのかの7つの理由)”を紹介します。いつものメンツ、Don Dietrich (Sax), Jim Sauter (Sax)とDonald Miller (G)に加えて、Adam Nodelman (B)も参加したカルテットで、1987年12月6日にNYCのThe Music Boxで行われたライブ音源となります。録音はJacques Kralianによるものです。彼等のバイオグラフィーは以前にも書いてありますので、そちらを参照してください。今回、参加したベースのNodelmanについて少し。彼は18歳の時(1984年)に、Borbetomagusに参加し、2枚のアルバム(最近、もう1枚、アルバムもリリースされています)を作っています。1987年には、彼はMissing Foundationに加入、その後、1996-1997年には、西海岸のトライバル・バンドCrash Worshipのツアーにも参加しています。そして、2005年より、Sunburned Hand Of The Man & Franklin's Mintのコアメンバーとなって活動していますが、2008年8月25日に他界しています。 と言う訳で、今回は4人組でのライブです。都合A面に4曲、B面に3曲が収められていますが、特にタイトル等は無いです。なので、元々がずっと繋がった1曲から7つのフラグメントに分けたのか?それとも始めから7つの曲として演奏されたのか?は不明ですが、特に、B面のテンションの高さは凄いです❗️今回は、DietrichとSauterの2人のSaxには、エフェクトは余り掛けられていないようで、生音に近いです。Millerのギターも冴えまくってますね。Nodelmanのベースも若々しくて、良い感じです。これで、もし、ドラムとかが入っていたら、もっと凄いことになったと想像するのは、私だけでしようか? この構成でのライブは貴重で、1986年になって、もう一枚”Live In Allentown”がリリースされています。先述のように、数ある重要バンドで活躍していくNodelmanが参加していたのも、彼の低音が全体を支えているようで、なる程と納得してしまいます。とにかく、A面出だしのギターのフィードバック音からして殺(ヤ)られますね。正に、異端のジャズ❗️デス・ジャズです❗️なので、爆音でお聴きすることをお勧めします。 https://youtu.be/aomena5m2jY #Borbetomagus #SevenReasonsForTears #Purge/SoundLeague #DeathJazz #DonDietrich #JimSauter #DonaldMiller #AdamNodelman #TwoSaxophones #Guitar #Bass #Improvisation #Noise
Death Jazz, improvisation Purge/Sound League 4000円Dr K2
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Gen Ken “Beyond My Ken”
Gen KenことKen Montgomeryを紹介しましよう。元々、1980年初頭に、米国NYCのEast VillageにGeneratorという小さなレコード・ショップを運営しながら、電子音楽を始めています。その後、1989年にNYCで初めてのサウンド・アート・ギャラリーとして、Generatorを再度やり始め、1992年まで続いています。その間にも彼は、多くのアーティスト達とコラボをやっており、その後も、多数、リリースされています。因みに、彼はGen Ken以外にもGen Ken Montgomery やEgnekn Montgomeryと言った名義で作品をリリースしています(Gen Kenの”Gen”は最初のレコード・ショップのGeneratorの頭3文字から取られています)。そんな彼は、特に、Conrad Schnitzler等とのコラボ・ワークも数作出しており、電子音楽界(そんなものがあるかどうかはさておき)の一部では有名なアーティストです。また、1987年に、彼は、David PrescottとConrad Schnitzlerと共にGenerations Unlimitedと言う電子音楽レーベルも立ち上げています。それで、内容なんですが、A面は片面一杯使った1曲のみ、それに対してB面は短い曲が、9曲も入っていると言うアンバランスさ。どちらも明瞭なリズムは殆ど無く、アブストラクトな電子音が空中を舞っているような音楽で、中々、掴み辛い音楽なのですが、その反面、色んな解釈ができるようにも思えます。特にA面は彼のアブストラクトさが現れた良い曲だと思います。またB面もそんな長尺な曲の一部のサンプルように聴くことが出来るのでは?とも思え、そう言う聴き方もできるのだなあとも思えます。因みに、本作は独逸ベルリンのCon Studioで録音され、スペインとEsplendor Geometricoのレーベルからリリースされており、彼の立ち位置を理解する上で興味深いものと考えられます。電子音楽とインダストリアルの狭間を覗いてみたい方には良いアルバムだと思いますので、是非聴いてみて下さい。 “New Age Machines” https://youtu.be/q8vQ4-ETQKc #GenKen #BeyondMyKen #DiscosEsplendorGeometrico #AmericanArtist #GenKenMontgomery #Experimental #ElectronicMusic #Abstract #NoiseMusic
Electronic Experimental Music Discos Esplendor Geometrico 不明Dr K2
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David Prescott “From Chance To Probability”
実は、これも謎物件なんですよー。いつの間にか購入していました。なので、ちょっと調べてみました。Prescott氏、ボストンに居を構える宅録アーティスト(Home Taperとも言う) なんですが、何と❗️あのルーマニアの現代音楽の巨匠Iancu Dumitrescu氏とのスプリット作品も残しているではないですか❗️それで、彼が言うには、1981年になって、Moogなどのアナログ・シンセが比較的安価になって、誰もがKlaus SchulzeやClasterのような音楽ができるようになったということ、そしてそのような音楽を大学のラジオ局で発信出来るようになったこと、更には、1983-1984年にはTascamなどの会社が、4トラックのカセットMTRを販売し、自宅で録音が可能になったことで、宅録文化が形成されつつあったと言う訳です。彼の認識では、そんな宅録文化は1986年にピークを迎え、同時にメール・アートのように、昔なら発表することも叶わなかった音楽を流通させることが可能になり、家から離れたところに住んでいる仲間(例えばZan HoffmanやMinobu など)とも郵便を通じてコラボできるようになったとのことみたいですが、私の認識ではそのような宅録文化とメールミュージックは1981ー1983年頃では?と言う感覚です。とまあ、アマチュア電子音楽家が活動し易くなったのは事実で、今ではBandcampなどで、一億総「音楽家」時代に突入した訳です。PCとちょっとした機材があれば、誰でも自分の音楽ャ音楽擬を配信できるようになった訳です。と言う訳で、彼は1980年代〜1990年頃まで宅録音楽家として活動していたみたいです。Generations Unlimitedは彼のレーベルでしたが、Conrad Schnitzlerのカセット作品を沢山扱っています。一時期、休止期がありましたが、2014年からレーベル活動を再開しているようです とまあ、そんな活動をしてきたDavid Prescottですが、本作品は、彼のソロとしてはファーストアルバムになります。A面/B面に一曲づつ長尺の曲が収められています。多分、シーケンサーやリズムマシンは使っておらず、ウニョウニョした抽象的なアナログシンセの多重録音と思われる曲からなります。彼がConrad Schnitzlerにシンパシーを抱いていたのが、分かるような内容です。多分、Conrad Schnitzlerが好きだったのでしようね。ここら辺の宅録文化は一度、検証してみたいですね。と言うことから分かるように、もし、Conrad Schnitzlerが好みであれば、今回紹介したDavid Prescottの作品も気に入ると思いますよ。一度、聴いてみて下さい、 本作品はYouTubeに無かったので、Ianc Dumitrescuとのスプリット作品より。 https://youtu.be/XmhaaU9pSWw #DavidPrescott #FromChanceToProbability #GenerationsUnlimited #Home-Taper #宅録 #ElectronicMusic #MaliArt #MailMusic #Synthesizers #Abstract
Electronic music Generations Unlimited 不明。Dr K2
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Matador “Stop! In The Name Of Love”
久々に出ました!Post Punkと言うかNeue Deutsche Welle (NDW)と言うか、Maralia!のメンバーが、新たに組んだバンドが、このMatador (「マタドール」と発音?)です。メンバーはBeate Bartel, Manon P. Duursma, Gudrun Gutの3人、Beate Bartei以外はMaralia!のメンバーでした。彼女らのバイオグラフィーは大体、前回に書きましたので、ここでは省略させて頂きますが、ちょっとだけ補足を。このバンドは、1984年にはプロモ用作品を作製してましたが、実際に活動するのは、確認できる範囲では1987年頃で、ちょっとタイムラグがあります。 それで、本作品ですが、タイトル曲は米国のモータウンサウンドのガールズ・グループThe Supremesの曲のカバーです。また元のカバー曲では、ギターで、Alexander Hacke (Einstrutzende Neubauten)及びBlackyが参加。またリミキサーは、Voov(本名Christian Graupner)のヴァージョン(Oh Oh Boom Mix)とテクノ/EBMバンドKMFDMの創設メンバーでもあり、通称Pigでも知られるRaymond Wattsによるヴァージョン(Garlic Mix)とが収められています。こうなると、Matador云々ではないようにも思えますが、Voovのヴァージョンでは四つ打ちで、丹精なベースラインから成るシークエンスを中心に、Matadorのウィスパー・ヴォーカルをサンプリングなどをまぶした構成になっています。後、Voovサイドには”Sun”のインスト曲も収録されています。一方、Raymond Wattsのヴァージョンでは、リズムは四つ打ちではなく、どちらと言うとドラムマシンのタムを多用したリズム構成で、それに特徴的なヴォーカルのサンプリングやレコードのスクラッチ音などから成る、ややトロピカルな曲に仕上がっています。どちらも面白いので、興味のある方はどうぞ(ダンスミュージックですが)❗️ Matadorによる元曲のカバー。 https://youtu.be/GDk8_IauipE #Matador #Stop!InTheNameOfLove #Normal #Voov #RaymondWatrs #Remix #EP #DanceMusic #EBM
Neue Deutche Welle (German New Wave) NORMAL 不明。Dr K2
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Geso / Kumio Kurachi “Loving The Obsolete Words... = 死語を愛して...”
この作品をどうやって入手したかは、ホントに覚えていないんですよ。第五列を運営していたGesoさんこと藤本和男さんとDD. Recordsでも活躍していた倉地久 美夫さんのスプリット・ミニアルバムなんですが、2人とも私の知り合いなので、恐らく交換で入手したのでは?と思うのですが、内容を含め、覚えておりません(ごめんなさい)。1980年代、日本で最も活動していたカセットレーベル第五列とDD. Recordsの代表とも思える両者の音源を3〜4曲づつが収められている奇跡的なブツです。レーベル名も不明なのですが、Discogsを検索すると京都のZero Recordsとのことです。両者とも作曲・作詞・演奏・録音をほぼほぼ一人でやっていますので、宅録による多重録音と言うことになります。Gesoさんサイドは、Synth, G, Voで、Onnykこと金野さんがSaxやノイズでヘルプしています。Kurachiさんサイドは、Drs, B, G, Kbd, Voを一人で担当しています。両者に共通するのは、字余りの日本語による歌詞と、骨折したかのような変拍子を含む演奏ですが、その歌詞を乗せる為に、難解かつポップな曲となっている点です。日本版Art Bearsと言っても良いかもしれません。ポップと言っても、歌謡曲やロックでのポップネスではなく、もう一つの音楽の流れ(パラレル・ワールド的な)におけるポップソングです。強いて言うなら、「和製レコメン系」ですね。Gesoさんの方は、ベースをシーケンサーてやっており、ドラムマシンも含めて、奇数拍子の打ち込みをやっています。それでいて、1曲目「あの人たちがやってくる」や2曲目「犬は溺れ死ぬ」では転びながらの変な疾走感があります。4曲目「使用中の手足」ではOnnykさんのサックスが時にフリーキーに入り込んでいます。一方、Kurachiさんの方は、1曲目「おろかな雲」ではマーチング・ドラムが強烈で、誤解を承知の上で例えるならLaibachの如しですが、その日本語の歌詞の奇妙さが決定的に異なります。2曲目「仕出し屋が来る」のふざけているような歌詞や3曲目「ごめんよ」での不自然なブレイクなど、奇妙で時にドライブするポップソングが並んでいます。また、北里義之さんが書いた、このアルバムの内容及びタイトルについてのライナーノーツと、両者の歌詞カードも付属していますので、それらを紐解く標べとなるでしょう。今回、聴き直してみて、両者は共に「天才」と言えますね。another sideのポップソング、貴方も聴いてみませんか? 倉地久美夫 “仕出し屋が来る” https://youtu.be/CKoRNMFWkuY #Geso #KumioKurachi #藤本和男 #倉地久美夫 #LovingTheObsoleteWords... #死語を愛して... #ZeroRecords #AvantPop #ExperimentalPop #宅録 #RecommendRecords #Lyric #AnotherSideMusic #Onnyk #第五列 #DD.Records #北里義之
Avant-pop / Experimental Zero Records 不明。Dr K2
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Mario Bertoncini “Cartridge Music-Cifre-Four Systems”
これも発掘物。いつ買ったんだっけと思うブツ。しかも、図形楽譜や演奏風景などと解説ブックレット(英語です)と一緒に、RRRの懐かしいカタログも入っているし。ん〜、全然思い出せん。と言う訳で、取り敢えず、演奏者がMario Bertoncini であり、John Cage作”Cartridge Music”とEarle Brown作”Four Systems”または自作曲”Cifre”を演奏しているのだなと言うことは分かった。それで、Mario Bertoncini のことを少し調べてみました。彼は、1932年生まれで2019年没の伊の作曲家、ピアニスト、音楽教師だったそうです。1962年には彼はAccademia Nazionale di Santa CeciliaでNicola d'Atri賞を取り、また1965年にはGaudeamus 国際作曲賞を受賞すると同時に、 Quodlibetで、Fondation européenne de la Culture賞も取っています。そして彼は、ローマを拠点にして活動していた即興グルーブGruppo di Improvvisazione di Nuova Consonanzaに1965-1973年在籍したおり、1970-1972年にはそのグルーブの会長にもなっています。また1974年に彼は独逸Berlinで交換レジデントとして過ごしたPesaro Conservatoryの音楽学部に就職しています。Berlin時代に、彼は、あるフェスに出す為に、動く音響彫刻を作製しています。1975-1976年に、彼はMontréalのMcGill大学の音楽学部で働いていましたが、彼は、1980年からリタイアする2004年まで、Berlin芸術大学の音楽学部で教員として働いていました。そんな彼は殆ど作品を残していないのですが、唯一、本作品が彼が残したアルバムだと言えるでしょう。演目について少々。John Cageの”Cartridge Music”は図形楽譜に基づいて、コンタクトマイクなどで小さな音を拾い上げる演奏から成る曲です。一方、彼の曲”Cifre”やEarle Brownの”Four Systems”は基本ははバリベアード・ピアノの曲です(ブックレットには演奏の様子や図形楽譜も載っているので、見ているだけでも楽しめます(と言うか、テキストが全部独逸語なので読めない)。先ずは片面全部を占めるJohn Cage作”Cartridge Music”ですが、スプリング(と言ってもNeubautenの様なデカい物じゃなくて、バネのオモチャ)や小物などを擦ったり、叩いたり、弓弾きしたた音を(多分)コンタクト・マイクで拾っている曲ですね。これはもう1990年に流行った音響系ノイズ(Small Cruel PartyとかSteve RodenとかTHU20なんか)或いは電子音響系の元祖ですよね。例えると「カサカサ」、「ガサガサ」或いは「ゴソゴソ」みたいな音が色んな表情で現れてくるミクロ決死隊のような音楽です。一方、自曲”Cifre”2曲やEarle Brownの曲1曲では、バリバリ或いはギュルギュルしたピアノの内部演奏が繰り広げられています。まるでピアノの悲鳴のようにも聞こえるサディスティックな音楽です(これは私個人の感想です)。私自身も内部演奏では無いのですが、ピアノと言う極めて論理的な楽器を使って、ピアノじゃない音を出そうとしていた時期がありました。因みに、Earle Brownの曲はDavid Tuforの誕生日のお祝いに書いた曲だそうです。 “Cifre” https://youtu.be/qa2zgBfYOUM #MarioBertoncini #JohnCage #EarleBrown #CartridgeMusic #Cifre #FourSystems #EditionRZ #SmallSound #ContactMic #PreparedPiano #図形楽譜 #Experimental #ModernClassic
Modern classic / Experimental Edition RZ 不明Dr K2
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Nurse With Wound “The Sisters Of Pataphysics”
Nurse With Wound (NWWと記す。「ナース・ウイズ・ウウンド」と発音)の初期の3枚のアルバムからの曲をミックスし直した?或いはセルフ・カバーした?ものをコンパイルしたアルバムで、一応、オフィシャルなリリースです。NWWのバイオグラフィーは前回書いたと思いますので、ここでは省略します。この時のメンツはSteven Stapleton, John Fothergill, Heman Pathak の3人です。それで内容なんですが、A1とB1がファースト”Chance Meeting On A Dissecting Table Of A Sewing Machine And An Umbrella”から、A1とB2がセカンド”To The Quiet Men From A Tiny Girl”から、A3とB3がサード”Merzbild Schwet”からとなっており、A1”Blank Capsules Of Embroidered Cellophane”では、Steven Stapletonと共にミックスをやっているNicky Rogersがギターソロで参加、またA2“Ostranenie”ではJac Berrocalがtrumpetで参加しています。とまあ、一筋縄ではいかない内容になっております、はい。これはGvn’t Alphaの吉田くんが言っていた言葉ですが、「NWWは目で聴き、耳で見る音楽です」と。正しくその通りだと思います。基本的には、音はコラージュなんですが、その偏執振りが尋常ではないです。正確に元音と比べてはいませんが、細部まで拘っているようです。NWWの音を聴いていると、目の前に色んな情景が垣間見られると思う程、視覚野を刺激する音の組み合わせなのだなぁと思いますねぇ。どうです?皆さん。興味、涌くでしょ! このアルバムのヴァージョンはなかったので、元曲を。 https://youtu.be/WVi30nC30xE #NurseWithWound #TheSistersOfPataphysics #IdleHoleRecords #SelfCompiled #Collage #Experimental #Remix #Rework #ChanceMeetingOnADissectingTableOfASewingMachineAndAnUmbrella #ToTheQuietMenFromATinyGirl #MerzbildSchwet #StevenStapleton #JohnFothergill #HemanPathak
Noise Experimental Idle Hole Records 不明Dr K2
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Wire “It’s Beginning To And Back Again”
またまた出ました、Wireの7枚目のアルバム”IBTABA”こと”It’s Beginning To And Back Again”です。この頃になると、以前の強力なプロデューサーMike Thornからは離れ、Depeche Modeなどで名を馳せているJohn FryerとPaul Kendallと自分達でプロデュースするスタイルになっています。その為か、割とリズムが強調されており、ノリの良い曲調になっています。実はこのアルバム、ライブ用に、以前にリリースされているアルバム”The Ideal Copy”と”A Bell Is A Cup”からの曲を大幅に作り直し、アレンジし直した「新曲」から成るアルバムなんですよ。こう言うやり方が、Wireらしい作品だなと膝を手で打ってしまいます。シングルカットされた”Eardrum Buzz”は英国シングル・チャートにもインしています。このアルバムを出す前に、1988年6月に6万人を収容できるPasadena Rose Bowlで、OMIDやThomas Dolbyと共に、ライブをやっており、その時のアイデアが、このアルバムに反映されたのでしょう。なお、このアルバムをリリースして、次のアルバム”Manscape”をリリースした後の1990年に、DrのRobert Gotobedが抜けてしまいます。その為、WireはWirと言う表記になり、”The First Letter”を出しています。一方で、Robertはeと言うプロジェクトを始動したとかの噂もありました。 それで、本作品ですが、先述の通り、リズムがダンサブルな曲になっていますが、B面は3曲だけと言う長目な曲からなっていたり、サンプラーやシンセをふんだんに使ったアレンジが目立ちます。B1”Illuminated”などはドラムマシン(多分、Roland TR-606と思います)を使っていますし、A4”Public Place”では重厚なシンセの中に、淡麗なアコギのアルペジオとヴォーカルが響くビートレスなアレンジになっています。また、B面は曲の繋ぎもひと工夫してあり、Wireなりのクラブ・ミュージック仕様とも取れる流れになっています。今からでも遅くないので、皆さんもこのアルバムで踊りましょう! https://youtu.be/joc1ojR0T9U #Wire #It’sBeginningToAndBackAgain #MuteRecords #PostPunk #DanceMusic #LiveAlbum #Rework #TheIdealCopy #ABellIsACup
Post Punk Mute Records 不明Dr K2
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Pere Ubu “Cloudland”
Pere Ubu 単独では9枚目のアルバムです、”Cloudland” ❗️この時のメンバーは、何と!あのChris Cutler (Dr)も参加 、それ以外にはJim Jones (G, Vo), Scott Kraus (Dr), Tony Maimone (B, Vo). Allen Ravenstine (EML Synth, Vo), David Thomas (Vo)で、それに加えてStephan Hague (Kbd)も参加しています。だからと言って、ダブル・ドラムと言う訳では無さそうです。しかしながら、音はタイトになっています(これはプロデューサーの力量かと思いましたが、イギリスとアメリカで録音されていますので、そう言う訳でもなさそうです)。タイトルは「どんよりした土地(街)」と言った如何にも鬱っぽいんですが、内容はそうでも無いです。ただジャケなんかかは「青空」が返って空々しくなる程病んでいる感じがしますね(彼等の得意の反対感情や諧謔精神の発露ですね) 。例えば”Love, Love, Love”では「私はそんなの信じない」と歌い、”Cry”では「明日に嘆き、今日に嘆く」と歌います。また”Bus Called Happiness”はタイトルからしてそこはかとないバッドエンドの予感があります。そこに漂っているのは、曲がどんなに楽しげでも、David Thomasが、自らを道化として、ネガティブなことや不条理なことを演じていることによる悲しみなんです。楽しげに歌えば歌う程、悲しくなります。なので、私はPere Ubuのことを「世界一悲しい」バンドと呼んでます。このことを認識できると、Pere Ubuのこと、David Thomasのことがよく分かると思います。あと、このアルバムでは初期の実験ロックに回帰した、タイトなビートも聴けますので、音だけでも充分楽しめます。しかし、Allen Ravenstineのシンセは良いなあ。こんなシンセの使い方、今では当たり前かも知れませんが、当時は画期的発明でしたね。それからこのアルバムの代表曲”Waiting For Mary”は名曲なので、是非とも聴いてもらいたいですね。そんな訳で、Pere Ubu、聴いてみますか?(ま・さ・か‼️←YMOのネタです) A1 “Breath” (3:58) A2 “Race The Sun” (3:25) A3 “Cry” (2:33) A4 “Why Go It Alone?” (2:49) A5 “Waiting For Mary” (3:29) A6 “Ice Cream Truck” (2:48) A7 “Bus Called Happiness” (3:13) B1 “Love Love Love” (3:28) B2 “Lost Nation Road” (2:16) B3 “Nevada!” (3:20) B4 “Flat” (2:23) B5 “The Waltz” (3:30) B6 “Pushin'” (2:27) B7 “Monday Night” (2:15) A7 “Bus Called Happiness” (3:13) https://youtu.be/osRSDI6nY4o?si=-cwmtu10yns8D9of [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLMAumqZimnsYeGbw56UO3uWDZJn3nk0TN #PereUbu #Cloudland #Fontana #9ThAlbum #AvantRock #ArtRock #Cleveland #DavidThomas #AllenRavenstine #ChrisCutler #JimJonse #ScottKrauss #TonyMaimone
Avant Rock Fontana 不明Dr K2
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V.A. “Undying: An International Compilation”
その昔、カナダにFreedom In A Vacuum (FIAVとする)と言うノイズ関係のレーベルがありました。それを運営していたのが、Robert W. Olverで、TorontoのMusic Galleryで同名のイベント”FIAV”を組んでいたとのこと。そんな彼が、国際コンピとしてリリースしたのが、本作品”Undying”です。当時から、割とAbstractものをリリースしていたレーベルと思うんですが、今回のセレクトも基本的にはその路線を崩してません。エクストリームと言うよりもアブストラクト縛りではないでしょうか?各曲を簡単に紹介していきます。 A-1 加の即興ノイズバンドViolence And The Sacredの曲”Advance (Video Soundtrack)”。不明瞭な音で幕を開け、曲の最後に日本語のCMとかのコラージュで締めてます。A-2 米国の老舗ノイズ・ユニットのIf, Bwanaと同じく米国のカセットカルチャーの生き証人Hal McGeeのソロ・ユニットDod As Masterのコラボ曲”Man Bites Frog, Warts Develop”。何とも言えない/形容するのが難しい、人を不安にさせるような音楽です。A-3英国のドローンの開祖David JackmanことOrganumの曲”Povera”。もうこう言う音楽にかけては職人芸ですね。いつも以上に金属の弓弾きによるドローンを収録。素晴らしい!A-4 独逸のノイズトリオUltraの曲”Clusterfuck II”。メンバーはDr. Tengelmann (Achim P. Li Khanの変名)Herr Mücke (Christoph Heemannの変名), St. Degeneratus (本名Jon Carlson)のトリオ、って言うがこれ殆どH.N.A.S.じゃないか?ガリガリしたギター・ノイズの中にチェンバロ?ピアノ?のトーンクラスタが聴こえてくる。彼等、こんなこともやったのね。A-5 自作楽器によるバリバリな仏のノイズユニットEntre Vifsの曲”Excerpt From Session XXIII”。凄まじいテンション‼️気合いが半端ではないな。やっぱりZorïnは天才。音の感触はホワイトハウスとノイバウテンのをミキサーにかけて混ぜ合わせたかのよう。B面に移って、B-1 伊の古株コンポーザーGiancarlo Toniuttiの曲”Rasùranìdo”。アコースティックでコロコロした音がずっと続いていくと言う彼らしいアブストラクトな音響音楽スタイル。ここら辺は以後、ノイズのメインフィールドとは袂を分かちますね。B-2 加の即興トリオKaiser Nietzscheの曲”Nine Student Nurses”。音のレイヤーの重ね方が、一時期(ZSF辺りの時期)のMerzbowを思わせる、ごった煮だけど単純ではないノイズをかましています。B-3 伊(?)のトリオEmpirical Sleeping Consortの曲”Does The Exact Centre Of A Wheel Turn?” 落ち着いた反復する金属質な音に電子音やテープに録音された民族音楽調の音が絡むアブストラクトな音楽です。B-4 米国の楽器職人にして作曲家兼演奏者Ellen Fullmanの曲”Staggered Stasis #1 (Remix Excerpt)”。何の音だろう?弦楽器の弓弾き(?)よると思われる永久ドローン音楽。以上が本作品の楽曲群ですが、編集で、曲間に少し長めの無音が入っているので、聴く方としては、曲を認識し易いので、この手のコンピとしては有難いですね。てな訳で、こんなコンピも1980年代からリリースされてきてるんよ。つい、色んなノイズが聴ける良い機会になるんじゃないかな?さあ!聴いてみましょう❗️ https://youtu.be/ZG25GVoiYok #Undying #FreedomInAVacuum #InternationalCompilstion #ViolenceAndTheSacred #If,Bwana&DodAsMaster #Organum #Utra #H.N.A.S. #EntreVifs #GiancarloToniutti #KaiserNietzsche #EmpiricalSleepingConsort #EllenFullman
Noise/Experimental/Abstract/Aumbient Freedom In A Vacuum 不明。Dr K2
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Wire “The Peel Session Album”
出ました❗️最初からポストパンクだったWireのライブ盤です。しかも、今回は、あのBBCの人気音楽番組John Peel Session(これは通称で、正式にはBBC Radio 1と言う番組名)でのライブ録音からのセルフ・コンピです。年代は1978年1月18日と同年9月20日及び1979年9月11日のプレイからの編集されたものです。バイオグラフィーは以前にも書きましたので、今回は省略します。まあ影響を受けたミュージシャンやグループは数知れず、R.E M., Sonic Youth, Minutemen, Minor Threat, Ladytron, The CureのRobert Smith, Blur, Elasticaなどなど。ジャンルもポストパンクからゴシック、エレクトロニカ、ハードコアまで。例えば、彼等のファーストアルバム”Pink Flag”はほぼ全曲が1分台から2分台の曲で、パッと聴いた感じはパンク?とかと思うんですが、これらの曲は一種のミニマル・ミュージックと捉えることも可能なんですよね。単純だけど強度は強いみたいな。それで彼等はどんどんマニアックな方向に行く訳ですが、本作品にはセカンド”Chairs Missing”〜サードアルバム”154”辺りのライブ・ヴァージョンをやっています。A面はいきなり”Practice Makes Perfect”のリズムとヴォーカルの譜割がズレてるような名(迷)曲で始まり、サードの中でも好きな曲”On Returning”で折り返し、B面はその殆どを占める未発表(?)の長尺の曲”Crazy About Love”へと突入。多分、Bruce GilbertがフリーキーなSaxを担当して、Colin Newmanがピアノを弾いているのでは?思わせる15分越えの曲で、しっとりと締めます。個人的にはこの曲と、サードアルバム”154”に収録されていた、シンセが大々的にフィーチャーされていた曲のライブヴァージョンとが聴けて良かったです。”The Other Windows”や”On Returning”、”Indirect Enquiries”は本当、アレンジにビックリしました。矢張り、彼等は、パンクの熱狂の中で、何か別のモノを見ていたのでは?と想像します。今現在はBruceが抜けて、代わりにIt Hugs BackにいたMatthew Simmsがギターで加入しています。あとこれは今まで言及していませんが、彼等の初期アルバム3枚には簡素で大いなるヴォイドを表したジャケ写が使われており、その虚脱感が彼等の特徴をよく表していると思います。そんな彼等の貴重なPeel Sessionでのラジオ・ライブをコンパイルした、このアルバムはWireに興味のある人は必聴ですよ❗️ [Peel Sessions 1978] https://youtu.be/wnW2dXPyBvE [Peel Sessions 1979 “Crazy About Love”] https://youtu.be/kmvqrBTRWog #Wire #ThePeelSessionAlbum #StrangeFruit #PinkFlag #ChairsMissing #154 #RadioLive #CrazyAboutLove #JohnPeel #BBCRadio1
Post Punk Strange Fruit 不明Dr K2
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De Fabriek “Labish Intermediariës”
出ました!オランダにて独自路線をひた走るDe Fabriekです。しかも今回は、伊ADNとそのサブレーベルAUF DEM NIL及びDe Fabriek自身のレーベルDe Fabriek Records & Tapesの3レーベル共同でのリリースです。しかも!しかも!De Fabriekの参加者も凄いです。De FabriekはRichard van Dellenが参加してればOKな不定形バンドですので、リリース毎にメンバーが違うことがありますが、今回はRichard van Dellen (Synth, Trumpet)に加えて、Conrad Schnitzler御大 (Synth), Mark Lane (Synth), Michael Otto (Bassoon)そしてPeter van Vliet (Synth, Mellotron)と言う濃ゆいメンツです。多分、Conradの誘いでMichaelが誘われたのでしよう。そして、ConradやMark Laneは名作国際コンピ”Trans Atlantic Overdub”での繋がりですね。ここら辺の繋がりがメール・ミュージック的だと思います。1985-1989年にかけて、Fab Studio, Tempel StudioそしてCon Studioで作製されでいます。内容も、殆どSynth奏者からなるので、今までのガチャガチャしたリズム中心の宅録テクノイズとは異なり、A面は、アンビエントと言うよりもゆったりとしたスペーシーなアプローチを取った3曲が収められており、壮大な音の劇場となっています。そして、B面は組曲風の構成になっており、途中で出てくるビートものがカッコいいと言うか、良いアクセントになっています。B面の他の部分は、不明瞭なメロの成分や自由な即興的電子音が駆け回る、そんな構成になっています。途中、中近東風のメロもシタールの響きで出てくるのは、De Fabriek節ですね。何故か、ヨーロッパのこう言うリズミックな音楽をやっている人はどうも中近東やアラブの方に接近していきますね。それにしても、De Fabriekが、Conradと組んだことが、影響しているのか?やたら、音質がよくて、良くも悪くも、意表を突かれました。そうですェー、一大叙情詩とようなダイナミズムを感じさせられますね。アンビエントにもテクノイズにもダンスミュージックにもならない、一筋縄でいかない「中庸な」電子音楽を体験してはどうでしょう? “Angkor’s Balance Buddha” https://youtu.be/-1x3gKfD-Eo #DeFabriek #LabishIntermediariës #ADN #AufDemNil #DeFabriekRecords&Tapes #ConradSchnitzler #MarkLane
Experimental, industrial Auf Dem Nil/De Fabriek Records & Tapes/ADN 不明Dr K2
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Deutsch Amerikanische Freundschaft “Der Mussolini”
もういい加減にして!とばかりに、またまた、出ましたDeutsch Amerikanische FreundschaftことDAFの登場です。これはDJ用に切られた盤みたいてすね。DAF史上、特にダンサブルな過去の曲をコンパイルしています。ダンスチューンの名曲”Der Mussolini”, コーラスがイカす”Kebabträume”、シーケンスがカッコいい”Verschwende Deine Jugend”などなど、全5曲ともめっちゃかっこいいです。しかし、普通、ヴォーカルとドラムだけになったら、メンバー募集とかしそうなものでしょう。それを敢えて、シーケンサーを使い、シンプルな編成で、ここまで聴かせる音楽を作り上げたのは、「コロンブスのたまご」的な発想があったのでしょう。しかも汗臭そうな男2人と生楽器しか使わないで、それも機械(シーケンサー)のテンポに同期させる形で。ゲイ・カルチャーとの親和性もあったと思います。参りました。最後には、彼等はKORGのシーケンス・パターンを使い切ったとか。まあ、そうなりますわな。それにしても究極のデュオですね。本作品はベスト盤的な側面もあるので、入門書としても良いと思われます。初心者の方もどうぞ聴いてみてください。 “Der Mussolini” https://youtu.be/vSgGNd6thrc ”Verschwende Deine Jugend” https://youtu.be/f3gxkE-cNco #DeutschAmerikanischeFreundschaft #DAF #DerMussolini #NeurDeutscheWelle #DanceMusic #Sequencer
Neue Deutche Welle (German New Wave) Mute Records 不明Dr K2
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Missing Foundation “Demise”
これは、アメリカ狂気の集団Missing Foundation (MFと表記)の3枚目のアルバムです。MFはアメリカNYのLower East Sideで本格的に始動したPeter Missingが率いたインダストリアル・グループと言うか集団です。結成当初はPeter以外に, Florian Langmaack, Adam Nodelman, Chris Egan, Mark Ashwillがコアメンバーでした。MFは、ライブハウスやクラブでは無く、スクワッド(不法占拠)した場所や街頭で演奏することが多く、またかなり政治色の強いアティテュード(アナキズム)を持っていたことでも有名です。また、MFの有名なロゴがあるのですが、これはマティーニのカクテルグラスを逆さまに置いて、「パーティは終わりだ」を意味する印となっています。つまり、彼らはもう享楽的なクラブカルチャーは終焉し、これからは生存をかけた戦いであるとの意思表明だと思います。Peterは独逸で活動を始めて、1980年代〜1990年代にかけて、欧州の主要都市を渡り歩き、その土地の街角/壁に、そのロゴをペイントしまくってきたらしいです。それで、肝心の本作ですが、乱打される金属質なメタル・パーカッションやジャンク・パーカッション、それに加えて、重低音を響かせるベースと引き攣ったノイズ音、アジテーション丸出しの狂ったようなヴォーカルが渾然一体となって収められています。ファーストよりはやや曲っぽくなりましたが、それでも、その怒りのエネルギーは沸点に達しているようで、まさに「死」をも意味する狂気のアルバムです。しかしなから、ホールレスや生活困窮者に対してボランティアをやるなど、社会福祉的一面もあるようで、そこがまさしく「政治的」と言われるところかもしれません。因みに活動時期は1984-1992年ですが、2012年に復活し、現在も活動しています。 https://youtu.be/jh5zOcEtyjY #MissingFoundation #PeterMissing #Demise #Industrial #Noise #MetalPercussion #Squad
Industrial, experimental Humanity Records 不明Dr K2