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Frank Tovey “The Fad Gadget Singles”
Frank Tovey、それは、Fad Gadgetと言った方が、有名であろうか。まあ、1978-1979年頃、宅録少年Toveyが、Mute Recordsの創設者であり、ミニマル・シンセ・ポップ・ユニットThe Normalとも名乗っていたDaniel Millerの目に留まって、機材を借りたりして、デビューした時の呼び名がFad Gadgetだった訳です。彼は、当時、英国では人気はある程度ありましたが、1984年頃から本名Frank Toveyを名乗り始めたそうです。日本ではそんなに人気は無かったかな? Fad Gadgetについては、前回書きましたので、そちらを参照して下さい。それで、今回、紹介するのは、Fad Gadgetのシングルを集めた、ファンとしては有難いセルフ・コンピレーション・アルバムです(今では、彼のアナログ音源は中々入手し難いです)。それで、内容なんですが、シングルを集めただけあって、どの曲も素晴らしいです。それで、興味深いことに、初期のシングルでは、Tovey作曲の曲よりもDaniel Miller作曲の曲が比較的多いこと、それと、B面に行くと、分断なコーラスやシンセ以外の楽器(ベースや生ドラムなど)を使っている曲が多いことです。多分、彼のデビューにはMillerが多分に協力していたことによるものだとは思いますし、シンセとドラムマシンでのエレ・ポップと言う路線で一致していた部分もあるのでしょう。その後、Toveyはシンセに拘ることにやや嫌気が差して、もっとゴージャスなポップ・ミュージックへと舵を切ったとも思えます。そして、B面最後の曲”Collapsing New People”は、彼が独逸のスタジオ(Hansa Tonstudios)で出会ったEinstürzende Neubautenにショックを受けたと言う実話から、”Einstürzende Neubauten=Collapsing New Buildings”を文字って付けたタイトルと言われています。 とまあ、Fad Gadget名義でリリースしたシングル盤の曲はどれも珠玉の作品であり、また時代による変化も聴取できて、彼の色々な面も見て取れます。アナログでの入手は困難かも知れませんが、1980年代初頭のエレ・ポップの状況を知るには最適ですので、この機会に是非とも聴いてみて下さい❗️ A3 “Ricky’s Hand” https://youtu.be/NQO1DP2KNyM A5 “Lady Shave” https://youtu.be/fDLnFEJ9Tcs B3 “Life On The Line” https://youtu.be/jfenZ7En0FU #FrankTovey #TheFadGadgetSingles #MuteRecords #SynthPop #ElectronicPop #Synthesizers #FadGadget #FoundObjects #ElectricDrill #Bass #SlideGuitar
Synth Pop Mute Records 不明Dr K2
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Mauthausen Orchestra “Bloodyminded”
出ました!極悪パワ・エレの真の継承者、伊の Pierpaolo Zoppoのソロノイズ・ユニットMauthausen Orchestra (以下MOと表記)のカセット音源のLPとしての再発盤です。バイオグラフィーは既に書いてあると思いますので、そちらを参考にして下さい。また、この人も死に見せられたのか、2012年6月16日に他界しています。A面は、ガサガサとささくれだった電子音に野卑なくVo及びテープ音が乗ると言う構造ですが、MOは、Atrax Morgueとは異なり、バックの電子音は、まるでラジオの音のように雑でペラペラです。まあそこが特徴と言えば特徴なんですが、今一つ「音の強度」が無いようにも思えます。しかし、逆にそれが「病的」とも言える訳ですよね。また曲名もなく、素っ気ないデータがまたまた謎を呼ぶのかもしれませんね。B面は遅い速度の電子音から成り、かなりダウナーな電子音の垂れ流しになっています。それが悪いか?と言えば、この腐食した電子音こそがMOの特徴であると言えるのかも知れませんね。なお、B面3曲目の最後の曲は、衰弱し切ったパワ・エレ(パワーレス・エレクトロニクス?)となっています。まるでラジカセでマスター作っているかなようです。そんなMOの代表作に興味を持たれた方は聴いてみて下さい。これもダークな音楽なので、精神的に安定している時に聴くことをお勧めします。 https://youtu.be/dLt0ptltJm4 #MauthausenOrchestra #BloodyMinded #Urashima #AquiliferSodality #PierpaoloZoppo #PowerElectronics #Synthesizers #PowerlessElectronics #Reissue #Remastering
Noise Urashima (Aquilifer Sodality) 不明。Dr K2
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Madalyn Merkey “Scent”
またまた、掘り起こしてしまいました、謎物件の一つです。Madalyn Merkey???誰ですかぁ? 彼女は、アコースティックな音とPCによるライブ・エレクトロニクスを演奏するらしいのですが、元々はシカゴ芸術研究所で視覚芸術の道を進んでいた頃に、ライブ・エレクトロニクスに移行していたそうです。それで、声を使った2種類のアルバム、”Scent”を2012年に、”Valley Girl” を2015年にリリースしています。 これらの作品はMatt Mondanileの新たなイメージから着想を得ているらしいです。彼女のデジタル音声変調は、立ち位置で変わりますし、また音素材としても異なる効果を生み出しますので、そう言う所に注力しているようです。最近は、伝統的楽器演奏と電子音とをミックスしたライブ・エレクトロニクスに関心があるようで、特に楽器の音響的本質を注意深く聴き取って、リアルタイムで、相反するスケールや補完的音色/音質を生み出す合成プログラムを設計しているとのこと。この試みは、オン・ゴーイングに場所特異的な電子音楽を導くものであり、それは場の本質や部屋の音響状態、周囲の音なども音素材を開発する為の本質であるとのことです。 そんなMadalyn Merkeyの初期作品が、本作品であります。内容は素晴らしい電脳チルアウトミュージックです。A1 “Neptune”は水中録音のような音から始り、ハープっぽい音色が優しい。A2”Siren”は、もろヴォコーダー的な変調による牧歌的な曲で、今ならカオスバッドとMicroKORGで出来ちゃいそう。A3 “Nexus”はポコポコ言うパーカッシブな音に電子音響が波のように打ち寄せる佳作です。B1 “Mend”は単調なパルス音に不思議な電子音がカーテンのように巻き付いたり、離れたりする面白い曲で、やがて柔らかい電子音が波のように立ち現れる。B2 “Mulch”は不規則なアクセントの電子パルス音にポリヴォイスが重なる、これまた興味深い曲で、変化には乏しいミニマルな曲。決して、喧しい音楽ではなく、寧ろ休日の晴れた朝とかに合うアルバムだと思います。勿論、楽理的には色々考えさせるのですが。疲れた時に聴いてみてはどうですか? https://youtu.be/Vx1sMM6T8qs #MadalynMerkey #Scent #NewImages #LiveElectronics #Voice #Acoustic #Electro-Acoustic #Modulation
Electronic Pop New Images 不明。Dr K2
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Bene Gesserit “Still Insane After All These Years”
「こんだけ経ってもまだキ◯ガイ」と言うタイトルで出たベルギーの実験ポップデュオBene Gesserit(しつこいようですが、「ベネ・ジェセリ」と呼びます)です。このデュオは、ベルギー地下音楽界のドンB. GhoulsことAlain NeffeとBenedict G.ことNadine Bal(Alainの妻)からなります。まあ、BenedictはVoと歌詞を担当し、B. Ghoulsは音担当(Loops, Yamaha Potable Mini-Synth, Digital Sax, 1970’s Organ, Rhythmbox, GarageBand Loops, Sounds)と一部の歌詞を担当しています。歌詞はベルギー語?フランス語?で、全く意味分からんですが、語りのように言葉が投げ出されます。また、音の方もループを使っているからか、割とミニマムな曲調が多いですが、色々と工夫が凝らしてあり、奇妙な背景の音になっています。このアレンジは流石、Alain Neffe(B.Ghouls)と言うところですね。おもちゃの様な曲から、ヘンテコなアカペラ風の曲やヘビーなリズムトラックまで変幻自在ですね。B面最後は、シンセで変調したヴォーカルだけの30秒程の曲で締め括られています。彼等の今までの経験が詰まった良質なアルバムですので、是非聴いてみて下さい。 https://youtu.be/B2d4uZX4T_o #BeneGesserit #StillInsaneAfterAllTheseYears #AlainNeffe #NadineBal #UltramarineRecords #ExperimentalPop #Avant-Pop
Experimental Pop Ultramarine Records 不明Dr K2
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Moha! “One-Way Ticket To Candyland"
これも、いつもの通販で買ったものだと思うのですが、今回、初めて聴きました。何か予想だと、もう少し実験音楽寄りの静か目の音楽かと思ったら全然違いました。どうもノルウェーのStavangerのデュオみたいです、MoHa! メンバーはAnders Hana (G, Kbd, Drum machine)とMorten J Olsen (Dr, Supercollider3)です。メンバーのAndersは2003年にStavangerでJazzkenに加入していました。その後、2005年にMats Gustafssonの”All Ears”に協力する為にOsloに移住しますが、その時に相棒のMortenとMoHa!を結成しています。また、Ultralydと言うジャズ・カルテットやNoxagtと言うロックバンドにも参加、アグレッシブに活動してきました。Mortenのバイオグラフィーはよく分かりませんが、2人とも初めはジャズ・シーンで演奏していたみたいです。因みにAndersは2014年にAgder大学でサンゴの生態学を研究し、修士号を取得すると言う,ちょっと変わった経歴の持ち主です。それで、本作品ですが、彼等のアルバムとしては、4枚目になります。兎に角,2人で演っているのが信じられない程、タイトかつ複雑なのに聴きやすいと言う音楽で、変拍子も混ぜつつ、挑んできます。例えて言うなら、Melt-Banana+Skeleton Clueと言う感じでしょうか?ギクシャクした骨折的リズムにシンセやギターのノイジーな音の断片が散りばめられています。多分、多重録音だと思うのですが、PCで編集しているのかも知れませんね。兎に角、ハイテンションでアルバムを通り抜けますが、息を抜く曲もちゃんとありますので、大丈夫です。結構、面白い音楽なので、皆さんも一度、体験してみてください。因みに録音はベルリンでやっているみたいです。 https://youtu.be/tBFUV88Qspg #MoHa! #One-WayTicketToCandyland #RuneGrammofon #変拍子 #Norway #ExperimrntalRock #骨折系
Experimental Pop Rune Grammofon 不明Dr K2
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Borbetomagus “The Rape of Atlanta”
実は私はジャズと言うジャンルはそれ程好きでは無いし、また余り興味も無いんですが、このグループだけは別格。その名も、Borbetomagus❗️結成してからずっとこのトリオで演奏し続けているNYの怪物です。メンバーはJim Sauter (Sax), Don Dietrich (Sax)そしてDonald Miller (G)のトリオです。1970年代ではBrian Doherty (electronics)が時々加わっていたようです。1979年に、Jim SauterとDon Dietrichの2人のサックス・デュオにDonald Millerが加わって結成されました。今回、調べて分かったんですが、ごく初期にベース奏者としてAdam Nodelmanもメンバーだったことがあるようです。当時、Donaldはコロンビア大学のカレッジ放送局WKCRで番組を持っており、その熱心なリスナーがJimとDonであったようで、結成はすんなりいったみたいです。1980年に自分達のレーベルAgaric Recordsよりファースト・アルバムを出します。その後も、Agaric Recordsを始め、世界各国のレーベルからアルバムやCDをリリースしており、またライブも現在まで続けています。一時期、スイスのサーキット・ベンディング・デュオVoice Crackとのコラボ・アルバムも出しており、割と自由にコラボライブは演っているみたいです。それでBorbetomagusなんですが、途轍もない音量で、ジャズのジャの字も無い程、喧しいジャムセッションを繰り広げてきました。私は彼等の音楽を”Death Jazz”と呼んでいますが、強ち間違ってはいないと思っています。またサックス奏者の2人はマイクをベルに突っ込み、そのマイクにエフェクターやアンプを繋げたりしたり、お互いのサックスのベルを向き合わせて演奏する”Bell Together”と言う奏法も編み出しています。一方、Donaldもテーブル・トップ・ギターをE-Bowで鳴らしたりなど特殊奏法を使います。それらの結果が極めてノイズに近い音塊を成して、我々の鼓膜を徹底的に痛めつけます。元々はジャズ畑或いはフリーミュージック畑での活動だったのですが、この音量なので、全然評価されませんでした。しかし、1990年頃から、大音量での演奏が、当時広く評価されてきたノイズ・ミュージック(特に「ジャパノイズ」)とシンクロして、好評価されてきたのだと思われます。それで、本作品ですが、内容は、2004年10月30日にジョージア州アトランタでのDestroy All Music Festivalでの彼等のライブを録音したものです。A面”Archie Keens For A Moister Veronica”とB面”Jughead’s Prayer Renders Betty Senseless”と曲名は付いていますが、レコードのラベルには何も印字されておらず,まあどちらでもいいかと言うことでしようか? そう言うツンデレなところも良いですよね。内容も推して知るべし。もうノイズ生成機と化した2本のサックスとギターが焼けるマグマのように鳴り響き渡ります。正にDeath Jazz❗️もし,こんな「ジャズ」を聴いてみたいならば、体験することをお勧めします。因みに、最近、Don Dietrichは、チェロ奏者の娘さんとDietrichsと言うユニットでも活躍しています。 [このアルバムはYoutubeに無かったので、彼等のライブを] https://youtu.be/lcayTQKU4w4 #Borbetomagus #TheRapeOfAtlanta #SelfRelease #DeathJazz #NoiseMusic #JimSauter #DonDietrich #DonaldMiller
Noise, Jazz (自費出版?) 不明Dr K2
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Sympathy Nervous “Automaticism”
私がSympathy Nervousを知ったのは、Out Put Recordsの7㌅の”Out Put vol.2”と言う3Way Split EPでした(他はYxymalooとDrone No.1でした)。それから、気にはなって時々作品を買っていたのですが、よもや、東日本大震災で彼の経歴等を知ることになろうとは❗️Sympathy Nervousこと新沼好文さんは、大震災の時の津波で、自宅はおろか機材全てと録音物の多くや工房を無くしてしまいました。その時の彼の落胆さは痛い程分かりますし、悔い切れない想いもあったかと思います。ただ,本作品のマスターテープは既にレーベル側に送ってあったので、今回、リリースが出来たとのことです。その後、彼は東京に引っ越しますが、2014年に死去。震災前までは、彼はプログラマーの仕事をしながら、90年代にはテクノ・シーンへ参入したり、2000年に入ってからは岩手県宮古市で国産テルミンの工房を設立したりしていました。ここら辺は前回も書いたと思いますが、ほんと惜しい才能を無くしたと思います。その追悼盤として、本作はSynth WaveレーベルであるアメリカのMinimal Waveからリリースされました。本作でも、独自に開発したU.C.G.のコンピュータ・システムを駆使し、精密なビート・プログラミングと音響デザインによるシンセ・ウェーブ或いはプロト・テクノを聴くことが出来ます。電子音の感触はクールなのですが、曲自体の構造は有機的であり、丁度、AI制御の人型アンドロイドの奏でる音楽のようです。皆さんも、追悼と意味でも興味本意でも良いので、是非聴いてみて下さい。 “Accident” https://youtu.be/lvHH3agrFcc “His Forte” https://youtu.be/kn4s65dOT0A “Quick shot Rebeat” https://youtu.be/L5y93ExYY2o #SympathyNervous #Automaticisim #U.C.G.system #ProtoTechno #NiinumaYoshifumi #MinimalWave
Techno, Synth Wave, Minimal Minimal Wave 3000円位?Dr K2
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Merzbow “Remblandt Assemblage”
とうとう辿り着きました!日本が世界に誇るノイズ・ミュージックの始祖Merzbowの登場です❗️しかも、Discogsに寄れば、MerzbowがまだThe Lowest Music & Artsの頃の最初期の作品で、それをリマスター・リイシューした2枚組LPです。”Remblandt Assemblage”はまだ秋田昌美氏が一人で録音をして作製した作品で、相棒だった水谷聖氏は参加していません。Merzbowの歴史は古く、1979年に秋田昌美氏と水谷聖氏のデュオとして結成されますが、そのデュオのネーミングはKurt Schwittersの作品”Merzbau”の誤表記に由来すると言うことです。そして1989年からはMerzbowは秋田昌美氏の完全ソロ・プロジェクトになり、今までに数百枚の作品を世に送り出しています。まあ,ここで多くは語らなくても、皆さんは大体のバイオグラフィーは知っていると思いますので、省略させて頂きますが、ちょっとだけ補足をします。当初のレーベル名は”The Lowest Music & Arts”と言う通り、メール・アート/ミュージックの世界で活動を始めており、カセット作製が主な活動でした。その後、レーベル名を”ZSF Produkt (ズスフ・プロダクトと読む)”に改め、多量のカセット作品をリリースし、同時に世界中のアーティストやグループ及びレーベルとの親交を深めていきます。1990年代以降は,世界中のレーベルからレコードやカセット或いはCDと言ったフォーマットに囚われず、一時期は「月間メルツバウ」と言われる程の多量の作品をリリース。その最たるものが、それまでリリースした作品をコンパイルした50枚組CDボックス”Merzbox”を豪州のExtreme Recordsよりリリースしたことですね。また、cheap electronicsやlaptopなどを用いたライブ活動も活発に行っておりますし、コラボ作やコラボ・ライブも精力的にこなしています。その後は押して知るべし。straight-edgeなノイズ・プロジェクトとして活躍し、現在に至ると言う訳です。 それで本作品についてですが、秋田氏の初期のファインアートの作品に因んで名付けられたように、色んな音を寄せ集めて、ただ置いていくと言った手法が使われているのではないでしようか?多分、ジャパノイズと言われる、ずっと以前の作品ですから、電子音と言うよりも具体音や生音(なまおと)などを使っており、それこそ空き缶を叩いた音やプリペアード・ギターを弾いた音或いはラジオの音などを無造作に配置する、そんな音楽(=ノイズ・ミュージックと言っていいのかな?)になっています。なので、1990年代以降の音圧重視のノイズ・ミュージックではないです。極初期のMerzbowに興味があれば、是非聴いて欲しい作品ですね。ただし、(何度も言いますが)音圧は期待しないように❗️イタリアの浦島、いい仕事します。因みに、ジャケに使われているコラージュは秋田氏によるものです。これも作品理解の為のヒントになるかも❓ [Merzboxのヴァージョンより] https://youtu.be/OhiWMJPTjNM #Merzbow #RembrandtAssemblage #MasamiAkita #Urashima #NoiseMusic #EarlyRecording #Reissue
Noise Urashima 3700円Dr K2
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Ramleh “A Return To Slavery”
とうとう出ました❗️英国が産んだパワー・エレクトロニクス(パワエレと略す)の代名詞Ramlehの登場です。Ramlehと言えば、彼等自身のレーベルBroken Flagにも言及しなくてはなりませんね。Ramlehは元々、Gary MundyとBob Strudwickとで、1982年に英国で結成されますが、翌年にはBobの代わりにJerome Cleggが加入します。そしてこの頃に作られた作品が本アルバムになります。Ramlehは1984年に活動停止しますが、レーベル活動は継続していき、多数のカセット作品をリリースしていくことになります。その後、何度か活動を停止したり、再開したりして、それに応じて音楽スタイルも変わっていくのですが、現在のラインナップはGary Mundy (Vo, G, Kbd, Electronics) Anthony di Franco (B, Kbd, Electronics) 及びStuart Dennison (Dr)と言うバンド編成になっています。それで、本作品についてですが、初期の名作と言われた”A Return of Slavery”(本来はRamlehとLibertarianとのスプリットアルバムでした)と当時シングルとしてリリースされた”The Hand of Glory”の抱き合わせの編集版として、英国のHarbinger Soundからリイシューされたものです。先ずは、この時期のRamlehは徹底したイメージ戦略を行なっており、ジャケ写には病理解剖の写真や焼死した人の写真或いはナチ関係の人物写真などを度々使ってきており、まあ、時期的には、WhitehouseやSutcliffe Jügendなどと同様のアプローチをしています。音楽的には、一言で言うと、ディレイのかかったアジるヴォーカルとマイクロフォンのフィードバック音に扇情的なシンセによる不明瞭な電子音が加わったパワエレの典型的なスタイルです。歌詞は訳が無いので分かりませんが、恐らく、死とかナチとか死体とか殺人とかなんかのネガティブな内容であろうと想像します。海外のノイズ・ミュージックのステレオタイプですね。この頃は、こう言うタブーを犯すような題材に溢れていましたから。そんなRameshを一度は聴いてませんか?彼等のネガティブ・パワーを生きる活力にできるかも。 https://youtu.be/PR-UItEugrw #Ramleh #BrokenFlag #AReturnOfSlavery #TheGandOfGlory #PowerElectronics #HarbingerSound
Noise, Power Electronics Harbinger Sound (Broken Flag) 不明Dr K2
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Smegma “Ever And Anon”
これまた出ました!アメリカ西海岸のLAFMSの重要バンドSmegmaの登場です。1973年にCAのPasadenaで結成されたので、LAFMSの中でもかなり古株のバンドです。私がここでSmegmaの歴史や背景を言うのは野暮かも知れません(T. 坂口さんの解説を参照して下さい)が、本作品でのメンバーはDennis Duck, Ace Farren Ford, Ju Suk Reat Meate, Rock and Roll Jackie,に加えて、Madelyn Villano, Donky Flybyeで、A4曲目にはRouge Iinikiも参加しています。1974年にレコードデビューしてから、沢山の作品を出していますが、メンバー(或いは関係者)は流動的で、その昔にはバンド・コンテストで優勝(入賞?)したこともあるらしく、楽器演奏のポテンシャルはあるようです。その時には司会者が,バンド名(恥垢或いはチンカスの意)を口にするのを躊躇ったとの噂もあります。そんなSmegmaは、本作でも所々に曲っぽい部分もちゃんと演奏するんですが、何か音の出るオモチャや楽器もどきで無邪気に遊んでいるような、何とも緩いフリーな演奏を聴くことが可能です。「ほのぼのするアヴァンギャルド」と言うことも出来るかと思います。本作の基本トラックはPasadenaで録音されていますが、その後、最後のミックスやオーバーダブ及び編集はポートランドのSmegma Studioで、Jun Suk Reet Meateによって仕上げられています。しかし、凄いバンド名、付けたよなぁと感心してしまいますね(笑)。もし、Smegmaのレコードを見つけたら、一度は聴いてみてください。緊張感溢れるアヴァンギャルドとは対極にいますから。 https://youtu.be/Ku22_lbeIMs https://youtu.be/pQSoyp2HjIM #Smegma #EverAndAnon #LAFMS #Avant-Garde #Experimental #Pasadena #Portland
Avant-garde Ultramarine Records 不明Dr K2
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Merzbow “Chant”
ノイズミュージックをちょっとでも知っている人から一度は聞いたことのあるのが、日本の、いや世界的なノイズミュージックのオリジネーター秋田昌美=Merzbowである。もう何枚の作品出しているのかが把握出来ないだけではなく、そのノイズミュージックの方向性も多岐に渡る。アコースティックな楽器/非楽器のアッセンブラージュから成る初期、チープエレクトロニクスで爆音を放射した中期、ラップトップでのデジタルノイズ、そして近年のデジ・アナ混合のレイヤーを重ねていくハーシュノイズ。その中でも、私が個人的に凄く影響を受けたのが、初期〜中期(1985年)エレクトロ・アコースティックなアプローチで、ループやテープ加工や電磁音などから成る本作品である。宅録だからこそ可能であった混沌としたノイズミュージックだ。丁度、メールアートに関わっていた頃に聴いたのが,私のMerzbowの初期体験だった。本作はカセット音源をアナログLPで再発したものだが、それでもその良質なノイズにはヤラレたよ。しかしこれ、”Chant”ってタイトルが記載されてるが,ジャケは”Chant 2”なんですよ。どちらが正しいのでしようか? A “Part 1” B “Part 2” https://youtu.be/4SQkGajhEzA?si=dSS-Uo0_0SL2XDiB #Merzbow #Chant #Sun&MoonRecords #ZSFProdukt #Reissue #Remastering #NoiseMusic #Loop #TapeManipulation #CassetteFormat #Japanoise #MasamiAkita
Noise, Experimental, Collage Sun & Moon Records (ZSF Produkt) 不明Dr K2