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IPPPPU-DO (一風堂) “Normal”
皆さん、一風堂(ラーメン店ではなく、バンド)を覚えていますでしようか? 1979年に結成されたバンドですが、その頃は、山本翔(ロックシンガー)のバックバンドとしてでしたが、1980年に、土屋昌巳さん (Vo, G, Synth) が中心となって、見岳章 (Kbd, Vln)、赤尾敬文 (B), 藤井章司 (Drs)のメンツで、一つのバンド一風堂としてメジャー・デビューしています。そこでのデビューアルバムが本作品”Normal”です。この時の売り出し方は、テクノ・ポップ或いはニューウェーブの流れに乗ろうとしていた印象です。その後、メンバーは抜けていき、最終的には土屋さんと見岳さんのデュオになっています。1984年に活動停止(解散とは言っていないとのこと)。しかしながら、2009年2月6日に藤井章司が自宅にて心筋梗塞で他界(享年54材)。2013年には、結成時のメンバーであった平田謙吾が病死(享年58)。1982年7月にリリースされた「すみれ September Love」がCMソングで有名になっています。活動停止後、リーダーの土屋さんはソロで活動していますし、またバンド自体も英国のバンドJapanやそのメンバーとも親交が深いです。 私が高校生の時、このアルバムを購入したのは、単にキーボードが入っていて、シンセを多用するとのことで、当時のテクノ・ポップ・ブームに乗っかっていたので、琴線に触れた訳です。その時の印象は上手過ぎて、音がごちゃごちゃと詰め込まれているなあと。なので、好きな曲と言っても、A1 “Adventure”とA2 “Break-out Generation”位でしたね。まあ「テクノ歌謡」のようなもの、芸能界的な匂いを感じでしまったからでしょう。今回、聴き直してみたんですが、結構、この時代の海外のニューウェーブ・バンドのフレーズをモチーフにしていたり、歌詞の内容が顔が真っ赤になる程、情けないと言うか歌謡曲のような色恋沙汰なんで、そう言うところが、イマイチ踏み込めなかったのだと再認識しました。ただ、全曲、作曲・作詞・編曲を担当している土屋さんの才能は只者じゃないとは認めます。曲自体は良いです。なので、彼の才能や当時のテクノ・ポップな歌謡曲を興味が有ればA面始めの2曲だけでも聴いてみて下さい。 “Break-out Generation” https://youtu.be/HX-a8BG4t38 #Ippu-Do #一風堂 #Normal #Epic/Sony #テクノ歌謡 #MasamiTsuchiya #FirstAlbum #土屋昌巳 #TechnoPop #Adventure #Break-outGeneration
Techno Pop / New Wave Epic/Sony 2500円Dr K2
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ヒカシュー(Hikashu) “うわさの人類 (The Human Being)”
前回、紹介したヒカシューのサード・アルバムが、この”うわさの人類”です。ここで、ヒカシューは「テクノ御三家」から逸脱し、即興演奏などを取り入れ、ドラマーとして泉水敏郎を正式なメンバーに加えて、大きく音楽性が変わります。また、この作品は、当時、流行っていたサブカルの内、フリークスをテーマにした、一種のコンセプト・アルバムになっています。それは元々、巻上公一が、Tod Browning監督作品”Freaks”に感銘を受けて作られたことも大きいと思います。その流れでか、ジャケも太田螢一の書き下ろしを使っており、タイトル通りの一大コンセプト・アルバムになっています。なお、この作品の録音風景が、NHK教育TV番組「若い広場」でドキュメンタリーとして放送されています(勿論、私も観ています)。メンツは巻上公一 (Vo, B), 海琳正道(G, side Vo: 現:三田超人), 井上誠 (Synth), 山下康 (Kbd), 戸辺哲 (Alto Sax, G), 泉水敏郎 (Dr, Perc)と言う、当時は鉄壁な編成となっています。内容もすこぶる良く、歌詞は仄かにフリークスのことを歌っているのだろうなと思わせぶりなギリギリのところで抑えている感じで、音の方も、泉水さんが正式ドラマーになったことで、より深く、より激しいサウンドになっており、同時にかなりインプロビゼーション的演奏も加えられており、唯一無比のサウンドになっています。もうA1 “ト・アイスクロン”で「産まれてきてしまった運命」を悲しげに呪い、A2 “うわさの人類”では人であることを逆に誇らしく考えると言う心境をバップ調の曲に繋いでいます。また、A5 “新しい部族”で巻上さんの朗々と歌う、その声が世界に木霊し、A6 “予期せぬ結合”で激しいリズムと効果的なピアノ演奏が聴く者を圧倒します。B1 “アウトキャスト”では「自分はいつも外される」と言う感覚を巻上さんが叫び、B4 “小人のハンス”では見せ物としてしか世に出せない切なさを歌っています。この曲は本当に大好きな曲で巻上さんの独白調の歌とサビのシンセのメロディがもう最高です❗️私は当時、この一曲の為にこのアルバムを買っても良い位、ヘビロテしていましたね。最後はB6 ”匂い”で大人しく締めます。ドキュメンタリーの方では、海琳さんが、猿の真似をしながらピアノ・ソロを出鱈目に弾いているのが印象的でした。観るのも怖い、観ないのも怖い、聴くのも怖い、聴かないのも怖いと言ったアルバムだと思います。そんなヘビーでデリケートな内容ですが、未聴の方は是非とも‼️特に”小人のハンス”だけでも聴いてちょ‼️ https://youtu.be/_MMdQL8O3Dshttps://youtu.be/_MMdQL8O3Ds #ヒカシュー #うわさの人類 #Hikashu #TheHumanBeing #Eastworld #Freaks #Improvisation #脱テクノ #巻上公一 #海琳正道 #井上誠 #山下康 #戸辺哲 #泉水敏郎 #小人のハンス #Drums
New Wave , Alternative Pop Eastworld 2500円?Dr K2
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P-MODEL “Potpourri”
まだ続きますよぉ〜。P-MODELの「脱テクノ宣言」で生まれたサードアルバム”Potpourri”の登場です。もうジャケを見ただけで、それまでのポップさは無くなり、モノクロームで雑多な印象を与えます。それで、平沢進氏が加熱するテクノ・ポップ・ブームに危機感を覚えた為、バンド内で軋轢が生じ、ベースの秋山勝彦氏はバンドを脱退してしまいます。シンセのピコピコした音はなく、ガリの出てるオルガン(YAMAHAのYC-10だと思う)が中心になり、ギターもノイジーになってます。何曲は以前の曲調も聴かれますが、アルバム全体としては何か分からない「悪意の様な」ものを感じる。また初っ端のA-1”ジャングル・ベッド I”かインストだったり、その後の平沢進氏の感覚を歌ったA-6 ”Different=/Another”やA-7”Anothersmell”で見せる街角のフィールド録音とその加工及びヨーデルの組み合わせ。B-6 “Potpourri”の終わり方で見せる曲自体にLFOをかけるやり方とか、色んな仕掛けを試しています。ドラムもカウベルを使ったりしてるし。録音は3人で行われたので、平沢氏と田中氏がベースを弾いています。アルバム・リリース後、サポートだった菊池達也氏が正式なベースとして加入している。このアルバムは実に多面的な出来で、私はこれが1980年代前半の彼等のアルバムとしては一番好きでなんですよ。歌詞も、後の「平沢節」とも言える難解で抽象的なものになりかけている過渡期的な味わいがあるからなんです。私の聞いた噂では、平沢進氏のシンセ学校の生徒の2人組Shampooの歌詞に影響を受けたとか。謎?この頃は市川市に住んでいたので、時々、ライブを観に行ってましたね。そんな実験的ながらもポップの皮を被ったP-MODELはどうでしょう?因みにジャケ写の人々のコラージュの中に平沢進氏が写り込んいますよね?因みに私の好きな曲は”ジャングルベッド I”, “青十字”, “Marvel” “ポプリ”辺りですね。皆さんはどうですか? https://youtu.be/gbiPAjGNkeE #P-MODEL #Potpourri #WarnerBrothersRecords #脱テクノ #HirasawaSusumu #TanakaYasumi #TainkaSadatoshi #ExperimentalPop
Techno pop, New Wave Warner Brothers Records 2500円Dr K2
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This Heat “Deceit”
いよいよ登場です、This Heatのセカンドアルバム”Deceit”の登場です❗️ここで、少しバイオのおさらいをしておきます。メンバーは、Charles Bullen (G, clarinet, viola, Vo, tapes)とCharles Hayward (Dr, Kbd, Vo, tapes)及びGareth Williams (Kbd, G, B, Vo, tapes)の3人組で、1976年に英国ロンドンで結成されました。元々、HaywardとBullenは、Roxy MusicのギタリストPhil Manzaneraのプログレ・バンドQuiet Sunのメンバーでした。Quiet Sunは短命に終わりましたが,HaywardとBullenは音楽の指向が似ていたこともあっで、解散後も Dolphin LogicとかFriendly Riflesと名乗って、一緒にやっていました。そこに音楽経験の無いヴィジュアル・アーティストのGareth Williamsが加わり、トリオとして1976年からThis Heatとして活動を開始します。初めは、Haywardの両親の家の屋根裏ででもテープ作りをやっていましたが、使われなくなった冷凍庫室を自分達のスタジオとして使うことになり、そこをCold Storageと名づけ、ジャムセッションやテープ操作などをしていました。また、ガーナ人パーカッショニストMario Boyer Diekuurohとともセッションも続けており、その結果は、フランスのTago Mago誌が1982年にリリースしたAlbert Marcoeurとのスプリットカセット作品となっていますす。 それで、This Heatの方は、1976年2月から1987年1978年にスタジオやライブで録り溜めた音源も使い、1979年8月にセルフタイトルのファーストアルバムをリリースします。ここでは、徹底したテープ操作とループ音の活用が行われており、このようなポスト・プロダクションが可能であった彼等のスタジオCold Storageの存在が大きかったと推測されます。その後、12㌅EP ”Health and Efficiency”をリリース。そして、本作であるセカンドアルバム/ファイナルアルバムが、Rough Tradeと契約して1981年にリリースされます。今でこそ、このアルバムはポストパンクとも位置付けられますが、当時はアイス・エイジ等と呼ばれていました。1982年の欧州ツアーを終えた時に,HaywardはTrefor Goronwy (B, Vo)とIan Hill (Kbd)を巻き込んで,Stephen Rickard とTrefor Goronwyと一緒にCamberwell Nowを結成しており、また、BullenもソロユニットLifetonesを名乗って活動をするようになります。これらの理由でThis Heatは活動を停止します。その後、未発表音源なども含むボックスセットを出したりしています。2001年12月に、バンドは、再度、リハをしますが、Williamsが癌で亡くなったこともあって、This Heat名義でのリリースは最後になりました。ただし,HaywardとBullenは2016年に、This Is Not This Heatとして復活しています。 それで本作”Deceit”ですが、ショッキングなジャケ写と共に、内容は緻密でダイナミックで、素晴らしい作品になっています。トリオなのですが、テープ操作も駆使しており、そのコラージュ感覚や音に対する組み合わせなどには卓越した技術と完成度を持ち合わせています。恐らく、テーマは世界が暗くなり、どうしようもなくなっ酷くなっている危機感を孕んだコンセプトであると推測されます。流石に、Haywardの歌うようなドラミングやBullenの禁欲的なギターはすごいですね。このような手数の多いドラムにはWilliamsの寡黙なベースやキーボードが活きてくるのだと確信しました。また、ヴォーカルのメロディも独特で,東欧や中東の民族音楽のようにも思えます。個々の曲の感想は省略しますが、これは絶対、次世代に繋げたい音楽なので、未聴の方,若い方は是非とも❗️ [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLkyz3_m3zeWERmlH93qyb9c1CN4Ct74Fe [live] https://youtu.be/IVDErVzy-cw #ThisHeat #Deceit #CharlesHayward #GarethJohns #CharlesWilliams #IcyAge #Avante-Garde #Alternative
Experimental rock Rough Trade 2500円Dr K2
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Einstürzende Neubauten “Kollaps”
このバンドは多分、同時代的に最も重要であり、いつも革新的音楽を作り続けてくれている、そう言う存在であると言えます。バイオグラフィーは前回書きましたので、省略しますが、 VoのBlixs Bargerdが中心になって、西ベルリンで1980年に結成されました。そしてファーストアルバムを録音する時のメンバーは前出のBlixa BargerdとN.U. Unruh及びF.M. Einheit(実は加入したのは1981年の、このアルバム作製時らしいです)です。裏ジャケには、オリンピック会場跡地に当時の機材がズラリと並べてありますが、もうそれだけでご飯3杯は食べられる位の魅力がありますね。本作品の作製時には、Gudrun GutやBeate Bartelも関わっていたそうですが、彼女達は、直ぐに脱退してMania Dを結成します。それからいつも問題になるのはバンド名ですが、英語で言うとCollapsing New Buildingであり、正しく、崩壊する新建築の意ですが、一方で、第二次世界大戦後に建てられた建築ラッシュ時の高層の集合団地にもかけているみたいです。また彼等が何故,このような音楽をやるようになったかは、N.U. Unruhがお金に困って、ドラムセットを勝手に売ってしまったからとはBlixaの言です。結果、どんなバンドも今まで為し得なかった音楽ができた訳です。それで、本作品ですが、荒々しい自作メタパー(自作楽器)を中心に、ノイジーなギターと引き攣るように歌い叫ぶBlixaのヴォーカルが単純にして強烈な荒々しさをもって、我々の聴覚を襲ってくるようです。最早、インダストリアルとかポストパンクとか実験音楽とかのカテゴリー不能な音楽がこのアルバムには封じ込められています。また「一つ目人間」のトレードマークや手書きのロゴも本作品から取り上げられています。そのトレードマークは、メキシコのトルテカ文明の遺跡の洞窟に描かれた壁画のものであり、Blixaが1980年に書物から引用しているとのこと。それと、歌詞にも意味深な単語の反復が用いられており、独逸語独特の発音と相まって、特異な音楽の一役を買っています。その後、初のドイツツアーの時にベースとしてMark Chungが加入しており、また、その前には、当時弱冠15歳のマルチインストルメンタリストAlexander Hacke(あるいはAlexander von Borsigとも記載されている)も加入しており、サウンド面で充実した布陣となります。この辺りのアルバムは、私はリアルタイムで購入したのですが、これに影響されて、部屋に拾ってきた鉄板などを吊るして録音を繰り返してたものです。その位、カッコよかった!そんな初期の爆発するようなエナジーに満ちたEinstürzende Neubautenのファーストアルバムを是非聴いて下さい。 A1 “Tanz Debil” (3:21) A2 “Steh Auf Berlin” (3:45) A3 “Negativ Nein” (2:25) A4 “U-Haft Muzak” (3:38) A5 “Draussen Ist Feindlich” (0:48) A6 “Hören Mit Schmerzen” (2:32) A7 “Jet'm” (1:20) B1 “Kollaps” (8:02) B2 “Sehnsucht” (1:18) B3 “Vorm Krieg” (0:20) B4 “Hirnsäge” (1:49) B5 “Abstieg & Zerfall” (4:29) B6 “Helga” (0:08) https://youtu.be/wTIOkvLfEF4?si=9YobvmnP5VzG_fsK B2 “Kollaps” (live version) https://youtu.be/Hkrv0Q11tWM [full album + alpha] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lokqiB03F_FZvo-MwbzFHisgOiuncL3k8&si=nJfkK_RyzJ0JTidy #EinstürzendeNeubauten #Kollaps #ZickZack #FirstAlbum #MetalPercussions #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ExperimentalRock #BlixaBargerd #N.U.Unruh #F.M.Einheit
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Rock Zick Zack 不明Dr K2
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19 (Juke) “Ninety Seven Circles”
今をときめく、画家/芸術家の大竹伸朗が、1978年に結成した、(基本的に)宅録バンドが19 (Juke)です❗️1980年12月から1982年9月まで.精力的活動していました。その時のメンバーは、Shinro Ohtake, Takuji Nomoto, Toshiaki Tohyama, Yohko Ohtaとのことですが、どの時期に誰がいたかは不明です。この間に4枚のLPと1枚のシングルをリリースしています。ただ、人前でのライブは殆どやっておらず、一回だけ、法政大学学館大ホールでやったらしいです。ファーストアルバムは、G, B, Dr & Voと言うロックの基本の4ピースでありながら、メチャクチャに歪んだショートトラック45曲も詰め込んでいたことで、自主制作としては話題になりました。そして次にリリースされたのが、この作品 ”Ninety Seven Circles”です。ここでも編成はほぼ同じで、曲によってはシンセらしき音も入ると言う感じです。大竹氏は、19 (Juke)を始める前に、1980年に武蔵野美術大学を卒業し、2度目の渡英をします。その際、友人でもあった芸術家Russel MillsとロックバンドWire/DomeのメンバーであるBruce Gilbert及びGraham Lewisとの4人でサウンド・パフォーマンスを行なっており、その年の10月に帰国し、早速、19 (Juke)を再始動し、アルバム作製を始めます。この時は部室でのライブ演奏をラジカセ一発録りで録音したとのことですが、大音量であった為、バランスや音は歪みまくり、ノイズ・ロックのようになってしまいました。しかし、彼等はそれを良しとして、編集し、ファーストアルバムを作ります。それで得たお金でミキサーを買い、セカンドアルバムに向けての音源の作製にかかります。音の分離は良くなりましたが、相変わらずの歪んだノイズ・ロックなシングルをリリース後、セカンドアルバムとしてノイズ・ロックな音源をリリースします。それが、本作品になります。本作品も曲数は多いのですが、ラジカセ録りだったのか、歪みまくっていますね。rawな音ですが、説得力がありますし、音楽的にもエフェクトをかけたり、シンセを使ったりと進歩しています。ただ、この後にリリースされたサードと4枚目は、手作業によるテープループなどを用いたりと全く違う形態の音楽になっています。私は個人的には、このアルバムの前に出たシングルが大好きで、当時は本アルバムと共に愛聴していました。芸術畑の人がその感性のまま、音楽をやるとどうなるか?と言う疑問に対する答えの一つが、この19 (Juke)なのかも。この時代に、ノイズ・ミュージックに整合性を持たせたかったアーティストやグループが多かった中で、敢えてラジカセ一発録りと言う逆転の発想で音楽を作り上げたと言うのが興味深いです。是非、皆さんも聴いてみて下さい。 https://youtu.be/ZKORv7phOhY #19 #Juke #NinetySevenCircles #大竹伸朗 #NoiseRock
Noise Rock SELF-RELEASED 2500円位?Dr K2
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Public Image Limited “Flowers of Romance”
Public Image Limited (PIL)のスタジオアルバム(これの前にパリでのライブアルバムが1枚出ています)としてはサードにあたるのが、この問題作”Flowers of Romance” です。この時の正式なメンバーはVoのJohn LydonとGのKieth Levineのみで、それまでダビーでファットなBを弾いて、PILの音楽的中心でもあったJan Wobbleは既に脱退しており、Drも最初のJim Walkerから、一時期メンバーでもあったMartin Atkinsがこの時にヘルプで入っていると言った状態でした。前作の”Metal Box”が大々的にダブを取り入れたポストパンクの傑作であったので、期待半分・心配半分で、このアルバムを聴いた時、凄い衝撃を受けましたねえ。雑誌のレビューでも賛否両論でありましたが、兎に角、前面に出たDrのリズムが凄かった❗️その為か、永らく全曲ベースレスと思い込んでいましたが、よく聴くと、Kiethが弾く硬い音で何のグルーヴもないBが入っている曲がありますね。また、Gもそれまでのキンキンした無調な演奏が大々的に入ると言うよりも、SynthとかGが「刺身のつま」のようにうすーく入る程度で、一説ではPere UbuのキーボーディストAllen Ravenstineを意識したとか。また、ジャケの女性(Jeanette Leeと言うらしい)はメンバーとしてNYで加入したらしいですが、結局は何も楽器を担当しなかったとか。兎に角、ドラムのビートが凄いです❗️(何度も言うようですが。) そう言うミックスなんでしょうが、ビートが非西洋的であるのもこのアルバムのキモの一つですね(今で言うとゴルい音ですね)。また、このアルバムでは、楽器の演奏以外にミュージック・コンクレートやテープループも使われているとか。私は初めはその事はよく分からなかったですが、今回聴き直してみて、逆回転音や民族楽器調の音の挿入とか不鮮明なテープ音の挿入がそれに相当するのでは?と思いました。兎にも角にも、自分達が切り開いたポスト・パンクを更に越えた「新しい」ポスト・パンクを作ってしまったのは驚き以外にはないです。しかしながら、この後は、PILは「普通」のロックバンドになってしまい、私も本作以降は聴いていません。でも、この作品は是非とも聴いて欲しいですね。 https://youtu.be/B7txFlnqTH0 #PublicImageLimitrd #PIL #FlowersOfRomance hi #PostPunk #JohnLydon #KiethLevene #MartinAtkins
Post-Punk Virgin Records 2500円Dr K2
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Plastics “Origato Plastico”
当時、ファースト・アルバムが好評だったPlasticsのセカンド・アルバムが”Origato Plastico”で、同じ1980年にリリースされてます。ただ、聴いた感触は、当時も今回も同様に、何か違和感があります。恐らく、彼らは、意識的に曲調や録音方法を変えたのだと思います。確かにチカさんと中西氏のヴォーカルもファーストとは違いますし、あれだけシンセを前面に持ってきてたファーストに比べて、シンセ音は後退し,代わりに打楽器や12弦ギター、ピアノなどが全体的に目立ちます。恐らくは彼等は意識的に電子音を排除し、テクノ・ポップの枠からはみ出そうとしたのではないか?また自分たちの好きだった音楽をやりたいと思ったのではないか?と想像します。それは、チカさんと中西氏が後にMelonを結成したこととも繋がるようですし、何よりもこの「テクノ御三家」として収まるのが嫌になったのは?と思います(他の2グループも同様に思っていたと思います)。要するに「自分たちはダンスバンドであって、決してテクノポップで消費されたくない!」と言う意志を感じます。歌詞もファーストに比べると、単なる言葉遊び(A面)よりも個人的或いは抽象的(B面)になり、より深みを感じさせます(まあ,相変わらずの和製英語ですが)。彼等(特にフロント佐藤チカ氏、中西俊夫氏、立花ハジメ氏の3人)は自分たちがかつて好きだったルーツミュージックへの回帰をしようとしたのです。まあ、そんな小難しいことを本当に考えていたのか?は私は知り得ませんが。それと”No Good”とか”Dance in the Metal”の様に実験的な試みもやっているところも評価したいですね。そんなダンスバンドPlasticsも一度は聴いてみてください。 https://youtu.be/kM39rlP3yIQ #Plastics #OrigatoPlastico #Invitation #DanceBand
Techno pop Invitation 2000円位?Dr K2
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Pere Ubu “The Art of Walking”
またまた、Pere Ubu (ペル・ウブと呼ぶ)ですが、本作は、米国クリーブランドのアヴァン・ロックのPere UbuがイギリスのRough Tradeに移籍しての最初のアルバムになります。この前にTom Herman (G)が脱退したので、Red KrayolaのMayo Thompson (G)が正式に加入しました。そして、本作はPere Ubu初の日本盤でもあり、このことを知った私は、早速、近くのレコード店で購入しました。ジャケやアルバムタイトルからして期待していましたが、最初、聴いた感想は、Mayoの書いた名曲”Horses”以外の殆どの曲は分からん」とか「つまらん」でした。なので、暫くは聴き込んでみようとしたのですが、当時は余り触手が伸びず、今の今まで忘れていました。それでまた、聴き直したのですが、これが意外と良い❗️それまでのPere Ubuとは少し路線が違いますが、その根底にあるDavid Thomas (Vo)の「元気一杯」の悲哀とかタイトなリズム隊やMayoの味のあるギター、そして多少後退しましたが、革命的シンセ奏者Alanのプレイとかは、何処をとってもPere Ubuだと感じました。万人受けする音楽ではありませんが、「捻くれたポップ」とか「アメリカの闇」に興味のある方は、是非聴いてみて下さい。なお、Prer Ubu自体は1982年に一度活動を辞めましたが、1987年から現在まで、David Thomas以外のメンバーを代えて活動しているようです。 A1 “Go” (3:34) A2 “Rhapsody In Pink” (3:35) A3 “Arabia Nights (Arabia)” (3:57) A4 “Tribute To Miles” (4:20) A5 “Misery Goats” (2:37) B1 “Loop” (3:14) B2 “Rounder” (3:25) B3 “Birdies” (2:27) B4 “Lost In Art” (5:11) B5 “Horses” (2:34) B6 “Crush This Horn” (3:00) https://youtu.be/KME9ZJ-UmWU?si=QTRDbf1tPyF7DbsJ [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLE5F9A01C128D1DE4&si=A7xd8C4y_csxxYp2 #PereUbu #TheArtOfWalking #4ThAlbum #Cleveland #AvantRock #ArtRock #RoughTrade #AllenRavenstine #DavidThomas #MayoThompson #ScottKrauss #TonyMaimone
Avant-Rock / Art Rock Rough Trade ¥2500Dr K2
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Dome “Dome 3”
先に紹介したWireから派生したDomeですが、この作品はとにかく、凄い❗️かっこいいです❗️最早、ヴォーカルではなく、声すらも音源として、反復するギターやベース、サックス、シンセ、ドラムやパーカッション類を聴いていると、無人の精密機械の工場内に迷い込んだ様な錯覚を起こさせると言えば良いのでしようか。それと同時に有機的な部分もあり、これはDomeの最高傑作でとも言えますね。タイトルも最早意味の無い擬態音と化し、記号論的ですらあります。これも、私は前作の出来の良さがあったので、近くのレコード店にて速攻で買いました。何度も聴いたと思います。当時はこのミニマムでミニマルな彼等の音楽にヤラれた人は多かったのでは?また、Domeこそが「真のインダストリアル・ミュージック」を体現できたのではないでしょうか? CD再発されてはいますが、これはマストです❗️因みに、参加メンバーは、Bruce C. Gilbert, Graham Lewisの他に、Peter Price (Perc), Daniel O. Miller (Sax), AMCことAngela Conway (Voice)もゲストで参加しています。 A1 “Jasz” A2 “Ar-Gu” A3 “An-An-An-D-D-D” A4 “Ba-Dr” A5 “D-D-Bo” A6 “Na-Drm” B1 “Ur-Ur” B2 “Danse” B3 “Dasz” B4 “Roos-An” https://youtu.be/3zHqXLJuqLQ?si=lYNKVO1MEYJcW698 #Dome #Dome3 #Wire #BruceCGilbert #GrahamLewis #Instruments #Voice #Experimental #MinimalMusic #DomeRecords #RoughTrade #日本盤 #Guests #PeterPrice #DanielOMiller #AMC #AngelaConway
Experimental rock Dome Records 2500円位Dr K2