-
Lizard “Babylon Rockers (邪都戦士)”
またまた、紹介します。Lizardのセカンド・アルバム”Babylon Rockers (邪都戦士)”です。この時のメンバーは、Momoyo (G, Synth, Vo, Back-Noise), Waka (B, Back-Noise), Bell (Drs, Perc, Back-Noise )に加えて、Kitagawa (G [A6, B1, B3-5], Back-Noise; 元無限水路の北川哲生)となっており、ゲストとしてKoh (Kbd, Casiotone, Back-Noise), Zeldaのメンバー(Back-Vo [B5]), Ichikawa (Back-Noise)が録音に参加しています。プロデュースは、Momoyoこと菅原庸介とKatohが行っており、録音はSunrise Studioで行われています。なお、敢えて、このアルバムには、JJ Burnelのプロデュースでは無いこと、それとシーケンサーは使用していないことが明記されています。個人的には、Lizardに関しては、このアルバムまでは購入しましたが、その後のゴタゴタの噂等が色んな雑誌(この頃は、それ位しか媒体がない)で書かれていたこともあって、急速に興味を失ってしまいました。今回も40数年振りに聴いてみました。なので、個人的思い入れも強いので、各曲の解説は省略させて頂きますます。このアルバムでは、ファーストと違って、サウンド自体は、「日本のバンドらしく」と言うのも変ですが、国内に向けたような雰囲気になっているように感じました。具体的には、Kohがパーマネント・メンバーでなくなった為、キーボードのアレンジがパッとせず、代わりにギターの比重が多くなっています。まあ、それが良かったのか悪かったのかは別の話なんですが。また、A面(Babylon Rockerサイド)での、如何にも「東京」とか「下町」をベースにした曲や歌詞(特にA3 “Asakusa Rock / 浅草六区”やA6 “Moonlight Lover / 月光価千金”)は、東京以外の地方出身のリスナーには共感し辛く、キツかったですね。また、A5 “Kids/Babylon Rocker”やB2 “Kwangju Fighting / 光州市街戦”はまるで、初期のPublic Image Ltdのようなダブ・サウンドで、当時のトレンドもしっかり取り入れていますね。個人的には、当時は、水俣病を独自の表現で指し示したB4 “Sa. Ka. Na. (サ・カ・ナ)”が一番響きましたね。 と言う訳で、ファーストと比べて聴いてみると、全体の印象として、Momoyoの独特の視点/単語の選び方/唱法は一貫していると言えば良いのですが、彼のワンマン的或いは個的な側面が強く出てきた印象です。バンドと言う集合体の密度がやや希薄になっている感じですが、これを当時の東京在住のファンの方々とかはどう感じていたのでしょうか?ちょっと興味がありますね。また、このアルバムも2回程再発されていますが、その時に初めて聴いたリスナーさんの感想も聴いてみたいです❗️皆さんはどうですか? A面:Babylon Rockerサイド A1 “Rock 'N' Roll War (宣戦布告)” A2 “Goodbye! Plastic Age (さよならプラスティック・エイジ)” A3 “Asakusa Rock (浅草六区)” A4 “Instant Dream (自動販売機で愛を買ったよ)” A5 “Kids/Babylon Rocker” A6 “Moonlight Lover (月光価千金)” B面: Junky Townサイド B1 “Lizard Song” B2 “Kwangju Fighting (光州市街戦)” B3 “Baby, Hit Yourself (まっぷたつ)” B4 “Sa. Ka. Na. (サ・カ・ナ)” B5 “Gum Gum........ (ゴム)” [full album] https://youtu.be/ELsLxZJFtbo?si=8N8L8Ojewlfg-9QY #Lizard #BabylonRockers #邪都戦士 #KingRecords #Windmill #SecondAlbum #NewWave #PunkRock #JapaneseUnderground #TokyoRockers #Momoyo #Waka #Bell #Kitagawa #AsakusaRock #浅草六区 #Sa.Ka.Na. #サ・カ・ナ
NEW WAVE, Punk Rock King Records (Windmill) 2500円Dr K2
-
Lizard “s/t”
私が、まだ田舎の高校生だった頃、東京ロッカーズとかのオムニバスを聴いており、そこに収められているバンドに大層憧れていた訳ですが、国内盤がリリースされたのを知って、早速購入したのが、Lizardのファースト・アルバムです。その頃は良く聴いていました。今回、棚を漁っていたら、見つけましたので、40数年振りに聴いてみましたので、ご紹介します。その前に、先ず、Lizardのバイオグラフィーを書いておきます。1970年頃、灰野敬二の即興演奏のライブにて、初ステージを踏んだMomoyoとKatsuを中心に、幻想鬼、通底器、エレクトリック・モスという名前で活動し、1972年に前身バンドである紅蜥蜴が結成されます。そして、2枚のシングル”Sexus”と”The Destroyer & Another Noise”をリリースした後(因みに、1980年には、唯一のアルバム”けしの華”が出ています)、バンド名が、現在のLizardに改名されて、本格的に活動を開始します。その頃、丁度、日本でのパンク的な活動を始めた5つのバンド(S-Ken, Friction, Lizard, Mirrors, Mr. Kite)が東京ロッカーズを名乗って、六本木S-Kenスタジオを中心に活動を広め、Lizardもそのムーブメントを牽引していきます。ただ、Lizardの音楽性は、もろパンクと言うよりも、キーボードやシンセを積極的に入れたニュー・ウェーブ寄りのサウンドでした。また、当時から、Momoyoのカリスマ性等から人気があり、Lizard Armyと呼ばれる親衛隊もいたそうです。そうして、1978年からS-Kenスタジオで、東京ロッカーズのシリーズ・ギグが行われ、1979年には、オムニバス・アルバム”東京Rockers”に、Lizardも2曲参加しています。その時のメンバーは、Momoyo (Vo, 本名:管原庸介), Waka (B, 本名:若林一彦), Katsu (G, 本名:塚本勝己), Koh (Synth, 本名:中島幸一郎), Belle (Drs, 本名:吉本孝)でした。同年11月に、King Recordsより、本作品であるセルフ・タイトルのファースト・アルバムを、英国The StranglersのJean Jacques Burnelのプロデュースでリリースしています。録音は、英国LondonのEden Studioで行われおり、その際には、Jean Jacques Burnel & Rowena Doe (Back-Vo)もゲスト参加しています。同時に、シングル”T.V. Magic”もリリースされています。この英国録音の為か、JJのプロデュースと為か、当時は大きな反響がありましたが、この渡英の為の資金繰りで、後にバンド・メンバー脱退が引き起こされたと言う噂もあります。1980年には、Momoyo自身のプロデュースで、セカンド・アルバム”Babylon Rockers”とシングル”浅草六区”がリリースされており、インディー・レーベルJunk Connectionより、Momoyo & Lizard名義で、水俣病をテーマにしたシングル”Sa Ka Na”をリリースしていますが、メンバーの交通事故や相次ぐ脱退、フロントマンのMomoyoの麻薬取締法違反容疑での逮捕(この時、裁判資金のカンパに対するお礼の意味で、シングル”Save Momoyo”がライブで無料配布されています)などが重なり、以降は断続的活動になっていきます。そんな中で、1981年には、サード・アルバム”Gymnopedia”をTrio Recordsからリリースしています。その後は、Momoyoは、元P-Modelの秋山勝彦と一緒に活動したり、ソロ・シングルをTelegraph Recordsよりリリースしたりしていますが、1986年に、Telegraph RecordsからLizard名義でミニアルバム”変易の書”をリリース、更に翌年にもアルバム”岩石庭園”をリリースして、活動を休止しています。そうして、2009年に、オリジナル・メンバーのMomoyo, Waka, Kohに加えて、Kieth (Drs, 元ARB)を加えて復活し、1973年〜2008年の全曲を網羅した10枚組CD+未公開ライブ映像DVDのボックス・セット”Book of Changes - Complete Works of Lizard”をリリースし、同年には、22年振りのスタジオ・アルバム”Lizard IV”をリリースしています。そして、2010年には、新宿Loftでワンマン・ライブを行い、その時には、30年振りにJJ Burnelと共演しています。現在はどうなっているのかは定かではありませんが、ただ、ベースのWakaは、国会前での反原発運動やロックバンドLoud Machineにも参加していました。個人的には、SNSで繋がっていましたが、つい最近(2023年)、アパートで孤独死していたのが見つかったと聞いています。 Lizardのバイオグラフィーは大体、こんな感じです。それでは、彼等のファースト・アルバムでもある本作品”Lizard”の内容を紹介したいと思います。メンバーは、先述のように5人組と言う最強の布陣で、JJ Burnelプロデュースによる英国録音(多分、日本のロックバンドでも海外録音としては早い方ではないかな?)と言う話題性もあって、当時のリスナーは大きな期待を持って聴いていたと思います(私もそうでした)。A面5曲/B面6曲が収録されており、地引雄一氏の写真を使ったジャケ写のイメージが、そのサウンドにもマッチしています。今回は、私自身の思い入れが強過ぎるので、各曲の解説はしませんが、本作品でのサウンドは、Wakaによる太く存在感のあるベースとKohのソフイストケートなシンセに、Momoyoの押し潰したような独特のヴォーカルが加わって、当時としては、例外的にタイトでカッコ良い仕上がりになっていたと思います。歌詞は全て日本語なんですが、何となく、当時、関心がありそうな/話題を呼びそうな/反発的な単語(例えば、「プラスティック」/「コンピューター」/「TV」/「マーケッティング」/「コンビナート」などのアンチ・ヒューマン或いは人工物や物質主義など)を選んで使ったり、時には自己陶酔的な詩的表現と混在したりして、今聴くと、何かあざといと言うか気恥ずかしいと言うかそんな感じもしますし、また、Momoyoの声質/唱法が独特なので、好き嫌いは分かれるのではないかと思います。ただ、アルバム全体のサウンドは、単にパンクとかニューウェーブとかの枠では収まらない絶妙なコンビネーションによって支えられており、今聴いても完成は素晴らしいです❗️それが、JJ Burnelのプロデュースによるかどうかは分かりませんが。その後も何度か再発されており、その時代時代での評価なんかも気になるところではあります。皆さんはどうですか? A1 “New Kids In The City” A2 “Plastic Dreams (プラスティックの夢)” A3 “Radio Controlled Life” A4 “Guyana (ガイアナ)” A5 “Asia (記憶/エイジャ)” B1 “T.V.Magic” B2 “Market(Ing) Research (マーケット・リサーチ)” B3 “Don't Touch The Switchboard (そのスウィッチに触れないで)” B4 “Modern Beat” B5 “Love Song” B6 “Kingdom (王国)” [full album] https://youtu.be/uWOKqNKL6IE?si=rKV67XdqCuS73qYZ #Lizard #KingRecords #Windmill #Change2000 #FirstAlbum #TokyoRockers #JapaneseUnderground #NewWave #PunkRock #UKRecording #Synthesizers #YosukeSugawara #JeanJacquesBurnel #Producer #Momoyo #Waka #Katsu #Koh #Belle
Punk Rock / New Wave King Records (Wildmill / Change 2000) 2500円Dr K2
-
Lou Reed “Berlin”
またまた、紹介します。「私の趣味外」だけれども持ってるレコード、それはLou Reedのソロ3作目”Berlin”です。多分、当時は、勉強のつもりで購入したのだと思いますが、それ以来、殆ど聴いていませんでしたね。Lou Reedと言うと、The Velvet Undergroundの創設者/メンバーであった訳で、ここで、私がごちゃごちゃ言うよりも詳しい方は沢山いらっしゃるとは思いますが、まあ、私個人の整理も兼ねて、紹介していきたいと思います。Lou Reedと言えば、米国の音楽家/作曲家/詩人/写真家である訳ですが、NYC生まれで、その音楽のキャリアは、1958年に、高校生バンドThe Jades (ドゥーアップ・グループ)のメンバーとして録音したことから始まっています。その後、彼は、1960年代初頭に、Syracuse大学に進学した時に、神経衰弱から鬱や不安神経症などを発症し、その為に、電気ショック療法(ECT)を受けています。後に、この時の経験を”Kill Your Sons”と言う曲にしています。また、この時期に、Reedは、一時的な記憶喪失と同時に、自分がホモセクシャルではないかと思い込むようになります。そのなこともありましたが、彼は大学で、詩について学んでいましたが、様々なバンドを結成していました。しかし、そこで彼は、自分の指導教官でもある詩人/作家Delmore Schwartz教授に大きな衝撃を受けており、後にThe Velvet Undergroundの曲”European Sun”を捧げています。それで、卒後に、Pickwick Recordsの専属のソング・ライターとなりますが、やがて、1964年に、John Caleと出会い、The Velvet Undergroundを結成しています。ここら辺の経緯は以前にThe Velvet Undergroundの作品を紹介した時に書いていますので、はしょります。結局、Reedは、1970年にThe Velvet Undergroundを辞めています。その後、家計を助けることもあって、1971年にRCA Recordsと契約し、初のソロアルバム”Lou Reed”を英国Londonで、Yesのメンバー達やセッション・ミュージシャン達と作製、しかしながら、このアルバムは、評論家受けは良かったのですが、余り売れませんでした。その後、Reedは、1972年11月に、よりコマーシャルな作品として、David BowieとMick Ronsonの共同プロデュースで、アルバム”Transformer”をリリース、特に英国のリスナーを意識して作られたそうです。シングルカットされた"Walk on the Wild Side"は、実は1960年代後半にAndy WarholのThe Factoryでの様子を歌ったものだそうです。その後、ReedはBowieとつるむようになりますが、Reedが暴力を振るうようになって、Bowieは離れていきます。1972-1973年は、NYのバー・バンドThe Totsを引き連れて、”Transformer”のツアーを行なっていましたが、更に鍵盤奏者のMoogy Klingmanを加えた5人体制で、次の録音に取り掛かります。それが、本作品でもある”Berlin”で、1973年から作製されますが、丁度、ReedがBettye Kronstadと結婚した時期でもあり、コンセプト・アルバムとなっています。つまり、DVやアル中、売春、死と言ったネガティブで退廃的なテーマを持った曲を収録しています。その為、評論家や同業からは酷い評価でしたが、2003年には聴くべきアルバム500にも選ばれていまし、英国アルバムチャートでは7位になっています。それでも、余り売れなかったこともあり、Reedは、Blood, Sweat & TearsのSteve Katzと組んで、The Velvet Undergroundの完全なるライブ・バンドを目指し、その結果、1974年2月にアルバム”Rock’n’Roll Animal”をリリースします。このアルバムには、The Velvet Underground時代の曲が多く含まれていますが、これで漸く、Reedが求めていたライブ・ロック・サウンドが完成したと言われており、事実、このアルバムは、ビルボード200で、28週間連続で最高45位までいき、Reed最大のヒット作となっています。その後、1974年8月に、アルバム”Sally Can't Dance”をリリース。1970年代のReedは、アルコールとメタムフェタミンの中毒で、時にはステージに立たない/許可が降りない状態でした。そんな中で、1975年にリリースされたのが、ロック史上最大の問題作”Metal Machine Music”です。ギターのフィードバック音が延々と続く2枚組アルバムで、Reed自身はLa Monte Youngのドローン・ミュージックに触発されたと言っていますが、当時のファンや評論家からは最悪と評され、数週間で何千枚の返品があったそうです。そして、同年リリースされたアルバム”Coney Island Baby”は、当時のReedのトランスジェンダーのパートナーRachel Humphreysに捧げた作品になっています。その後、1978年には、当時、勃興してきたパンクロック・シーンにインスパイアされて作製されたアルバム”Street Hassle”をリリースし、NYパンクの殿堂CBGBでもライブをやっています。1979年には、ジャス・トランペット奏者Don Cherryをゲストにアルバム”The Bells”をリリースし、欧州/米国ツアーを行なっています。取り敢えず、Lou Reedのバイオグラフィーは長いので、今回は1980年手前までとしておきます。 それで、本作”Berlin”について紹介していきたいと思います。先述なように、ネガティブな要素の多いアルバムなので、リリース当時は全く良い評価はされていませんでした。それはプロデューサーのBob EzrinがReedに推し進めたようで、JimとCarolineが、ドラッグに溺れ、売春をし、鬱になり、DVが酷くなり、そして自死すると言う「堕落した」ロック・オペラになっています。このアルバムには、Lou Reed (Vo, A-G, Choir), Bob Ezrin (Piano, Mellotron), Steve Hunter (G), Dick Wagner (G, Choir), Jack Bruce (B [A2, B2以外]), Aynsley Dunbar (Drs [A2, B2以外]), Steve Winwood (Hammond organ, Harmonium), Michael Brecker (Tenor Sax), Randy Brecker (Trumpet), Tony Levin (B [B2]), B. J. Wilson (Drs [A2, B2]), Allan Macmillan (Piano [A1]), Gene Martynec (A-G, Synth [B3], B [A2]), Jon Pierson (Bass Trombone), Blue Weaver (Piano [A3]), Steve Hyden (Choir), Elizabeth March (Choir)が参加しています。では、各曲を紹介していきます。 A1 “Berlin”は、いきなりカオスなテープ音とリリカルなピアノで始まり、呟くような音量でReedのヴォーカルが入っています。 A2 “Lady Day”は、オルガンとピアノの効いたシアトリカルなロックで、緩急の付け方が絶妙です。サビの部分は印象的です。 A3 “Men Of Good Fortune”は、Reedのヴォーカルから始まる曲で、ここではギターやベースの存在感も負けてはいません。割とドラマチックな曲ですが、歌詞の内容自体はネガティブっぽいです。 A4 “Caroline Says I”は、DVに関する曲らしいのですが、割と明るめの曲調で、アコギが中心になって、途中ではメロトロンも高らかに奏でられています。また、歌詞も余りDV的な内容ではない様に思います。 A5 “How Do You Think It Feels”は、A4と連続して始まり、Reedの独特のヴォーカルが活きている曲となっていますが、どうも歌詞の内容はドラッグを暗に指し示しているようです。そのせいか、曲の後半はプラスとギターが響き渡ります。 A6 “Oh, Jim”では、フェイド・インしてくるドラムに、Reedのヴォーカルもブラスとが絡み合うゴージャスな曲なんですが、後半にアコギ一本をバックにロックンロール調にReedが歌う部分があり、ちょっとフラッシュバックしました。歌詞は暗にJimの自堕落な生活とCarolineへの強制を歌っているように感じました。 B1 “Caroline Says II”は、A4のリフレーズから成るアコギとピアノのバックで独白の様に歌われますが、歌詞は、愛するが故の暴力とかDVとかを示唆していると思います。しっとりした曲調がより一層そのことにスポットします。 B2 “The Kids”も、アコギをバックに独白調にReedが切々と歌っていますが、どうも歌詞の内容は大人になり切れない2人(或いはCaroline)がやがて、立ちんぼになってしまう様子のようで、スライドギターの音色と最後の赤ん坊の泣き声や叫び声がやるせないです。 B3 “The Bed”も、アコギをバックに独白調なんですが、Reedの声は消え入りそうで、Carolineの自殺を思わせる曲になっています。もう取り返しが付かない感じです。 B4 “Sad Song”は、B3から連続していますが、何故か、ブラスやギターも入ってきて、上を向いて生きよう的な雰囲気にもなりますが、逆を言えば、フランダースの子犬のように天に召された後のJimの心境かも知れませんね。 この作品に関しては、歌詞が非常に重要だと思いますので、是非国内盤で聴く方が良いです。と言うのも、このアルバムが、ロック・オペラとして作製されていますので、アルバム自体に物語り性があり、JimとCarolineが、退廃と混乱の街Berlinで会い、ドラッグに溺れたり、暴力を振るったり、そのせいでCarolineが売春したり、でもやっぱり辛くて彼女は自殺してしまい、それをJimは呆然と見て、俺は何てことやってたんだ!と言うところまで、理解しないと中々、この作品の本質には辿り着けないかと感じました(解釈は他にもあるとは思いますが)。そう言う意味では非常に良く出来たアルバムだと思います❗️青二歳の当時の自分に言ってやりたくなりました!まあ、なので、ノリの良い曲は殆ど無いんですが。 A1 “Berlin” A2 “Lady Day” A3 “Men Of Good Fortune” A4 “Caroline Says I” A5 “How Do You Think It Feels” A6 “Oh, Jim” B1 “Caroline Says II” B2 “The Kids” B3 “The Bed” B4 “Sad Song” B1 “Caroline Says II” https://youtu.be/Y793DlD0Sxg?si=Ih-dcdiMdfNeWXY3 [full album] https://youtu.be/GyhJh1SMpVg?si=F9qvrDqZDXiRf92f #LouReed #Berlin #RCA #3RdSoloAlbum #RockOpera #ConceptualAlbum #Psychedelic #Jim&Caroline #BobEzrin #SteveHunter #DickWagner #JackBruce #AynsleyDunbar #SteveWinwood #MichaelBrecker #RandyBrecker #TonyLevin #B.J.Wilson #AllanMacmillan #GeneMartynec #JonPierson #BlueWeaver #SteveHyden #ElizabethMarch
Rock / Psychedelic RCA 1800円?Dr K2
-
Silver Stars (銀星団) “s/t”
君は覚えているだろうか?1979年に突如現れた謎のパンド銀星団ことSliver Starsを❗️まだ高校生だった頃に初めてTVで観て、気になっていたので、ついつい手が出てしまった彼等のファースト・アルバムです。日本版Residentsと言えば言い過ぎか!兎に角、このファーストアルバムの時は、皆、ジャケに写っているように白い帽子に丸いサングラス、覆面で顔出し一切無しの5人組です。その時は一体何者かも分からず、PCも無く、田舎の高校生にはどうにも調べようがなかったです。今になって調べても、本当に本当かは分からないですが、Bow WowとTK(小室哲哉さんね)ではないかとの噂が流布されています。私はメタル系の音楽を余り知らなかったので、よく分からないのですが、ギターの音色やソロ或いはヴォーカルの声質からはヴォーカルは山本恭司さんだろうと言われています。また、セカンド以降は覆面はしてないもののサングラスは常に着用していますが、音楽的に完全にメタル化したらしいので、買ってはいません。勿論、本作品でもメタルっぽいギターソロとかもあるんですが、ハード・ロックとエスノとテクノなどが融合して、中華風のスパイスを振りかけたら、独自の音楽になってしまったと言う感じです。何故、彼等の正体がBow Wowかと言うと、声やソロだけでは無く、Bow Wowの前座として突如現れて、フロントの3人は直立不動で演奏してMCも無しと言うことからも、そのように噂されているみたいです。それと、何故TKが加わっていたのかと言うと、当時、Bow WowとTKは事務所が同じであったからとも言われています。曲名は英語と擬似中国語が併記されていますが、クレジットには、Rayzor Cruiser (Vo, G), Jimmy Driver (Dr, B-Vo), Robby Claft (B, B-Vo),Richard Hope (G, B-Vo), Degital "Cheap" Snake (Kbd)とあり、クスって笑ってしまいますよね。内容は押して知るべしで、テクニックは確かですが、YMOっぽい中華風のアレンジや、ジャズの名曲”Take Five (乱調五番)”のヘビメタ風カバーなど聴き処は沢山あります。音は当時のレベルなので、余り音圧も無く、ペラペラで、かつヴォーカルも殆どデッドな録音なので、ちょっとズッコケますが、まあ大目に見て(聴いて)下さい。偶にはこう言うのもいいでしよ? “Take Five (乱調五番) https://youtu.be/TBCkLX-O1ho “Crazy As Hell (地獄如愛妹) https://youtu.be/4pICw6jb3tg “Yellow Vice (黄悪徳)” https://youtu.be/FS8BLscNEEg #SilverStars #銀星団 #Trash #覆面 #BowWow #TK #山本恭司 #Metal #Ethno #Techno #SSP
Hard Rock Trash 2500円Dr K2
-
Henry Kaiser and Fred Frith “Who Needs Enemies?”
これも、久々に聴いてみた。多分、大学生の頃に購入したんだと思いますが、何でこれを購入したかのかは不明(多分、Fred Frithの来日公演や名前を聞き齧ったHenry Kaiserの共作だったからでしよう。遅過ぎる厨二病ですね)。Fredの方は以前にバイオグラフィーを紹介してありますので、先ずはHenry Kaiserのバイオグラフィーを少し。Henry Kaiserは、実業家Henry J.Kaiserの孫であり、父親はHenry J. Kaiser Jrです(要するにぼんぼんなんですよ)。そんなHenry Kaiserは、1977年に、サックス奏者のLarry OchsとGreg Goodmanと共に、Metalanguageを設立します。そこで、1979年には、20年以上コラボしてきたFred Frithとのコラボ・アルバム”With Friends Like These”をリリースし、その続編なのでしょうか、1983年には、またFredとのコラボ・アルバムである本作品”Who Needs Enemies?”を同レーベルからリリースしました。更に1999年には、これらのアルバムに、1984年録音の音源と1999年録音の音源を加えたアルバム”Friends & Enemies”をリリースしています。それで、Henryは1991年に、ギタリストのDavid Lindleyと一緒にマダガスカルを訪れ、ルーツ・ミュージックを発見します。その事を、彼は「我々を劇的かつ永久的に変えてしまう音楽だ!」と言い、沢山のマダガスカルの音楽を録音し、3枚組レコード”A World Out of Time”としてShanachie Recordsからリリースしています。一方で、1994年にも、Davidと一緒にノルウェーを訪れ、その地の音楽を録音して、”Sweet Sunny North”として2枚(1994年と1996年)のアルバムを出しています。Henryは今までに300作以上のアルバムに参加していますが、それ以外にも、数十何のテレビ番組や映画にも出演しています。Stephen Fosterへのトリビュート映画”Beautiful Dreamer”での作品はグラミー賞にもノミネートされたことがあります(ここら辺は大友良英さんとダブりますね)。あと興味深いのは、2001年に、Henryは全米科学財団の「南極芸術家および作家プログラム」で、助成金を受けて2ヶ月半、南極で過ごしています。その後、彼はリサーチ・ダイバーとして働く為に9回も南極に行っており、水中カメラによる作品は2本のヘルツォーク映画でも取り上げられて、プロデューサーに加わり、彼とDavidがスコア化しています。ちょっとバイオグラフィーが長くなりましたが、凄く活動が多彩かつアグレッシブですね。それから彼は「音の多様性」を重要視しているので、ギターは勿論、結構、エフェクターやアンプなどもコレクションしています。特にエフェクター/ペダルは重要みたいです。因みに彼のギターは、アレンビック・ピックアップを備えたクライン・エレクトリックみたいです。そして、レキシコンの機器で、自然治癒リズムを意識して、変調率の設定を心拍数や呼吸数に合わせているらしいです。 ちょっと長くなりましたね。ここら辺で、本作品を紹介したいと思います。このアルバムは先述のように、FredとHenryの長年のコラボの結果としてリリースされており、第二弾に当たります。私は当初、紋切り型の無茶苦茶な激しいギター2本による即興演奏を想像して購入したと思うのですが、内容は全然違って、ちゃんと作曲され、アレンジされた曲が11曲、収められてます(インストですが)。初っ端のブルース調の曲は唸りましたねぇ。その後もギターを中心に、時折、ヴァイオリンやマリンバ、シタールなんかも含めて---ドラムは誰が叩いているのかな?Fredかな?----不思議なポップソングが続きます。こう言うのって、よく即興演奏系の人達がやるんですが、やっぱり楽理を知った上に、それを弾きこなすテクが無いとできないんだろうなと想像してしまいます。しかし、本作品も難解な即興演奏ではなく、肩の力を抜いて聴くことのできる音楽になっていて、今聴くと新鮮に聴くことが出来ますね。この前のアルバムも聴いてみたいです!なので、皆さん、安心してください。「ポップ・ソング」(ここ、ポイントね!)なので、誰でも聴けますから。 “Trace” https://youtu.be/YEx4ZSJCVec “Roy Rogers” https://youtu.be/lSYg1gizSrE #HenryKaiser #FredFrith #WhoNeedsEnemies? #Metalanguage #Composition #Collaboration #Guitarist #PopSong
Improvisation/Pop Music Metalanguage 不明Dr K2
-
Chrome “Red Exposure(赤い露光)”
今回、紹介するのは、アメリカ西海岸の闇Chromeの唯一の日本盤です。Chromeと言うと、皆さん、前作”Half Machine Lip Moves”を挙げる方が多いように思いますが、私の場合、田舎の高校生だったので、国内盤として発売された、このアルバムが初体験だった為、この作品の方が身体に刷り込まれてしまっています。前作がエレクトロ・ガレージ・サイケとも言える位、激しいrawな録音かつ曲をコラージュしてのポスト・プロダクションを施した作品であったのですが、本作では、ガッツリしたヘビーなミディアム・ビートが主体となっています。もう最初の曲”New Age”に痺れました。ジャケ写通り、極彩色で粘り気のある曲が大半を占める、このアルバムは本当にカッコいいと思います。そうですねぇ、LSDを体験したら、こんな感じかな?と想像させる音楽ですね。また、過剰なプランジャーの掛け方やLFOを掛けたヴォーカルもカッコ良かった‼️だからこそ、Chromeのファンの方にも、マイナーミュージック・ファンの方にも、もっと聴いて欲しいと思います。裏西海岸サウンド。なお、Chromeのメンバーは?と言うとDamon EdgeとHelios Creedなんだが、John L. Cyborgがゲスト参加しています。EdgeとCreedの2人はマルチ奏者なので、宅録してレコード制作をしていたようてす。 A1 “New Age” (3:11) A2 “Rm. 101” (2:14) A3 “Eyes On Mars” (3:35) A4 “Jonestown” (2:28) A5 “Animal” (2:55) A6 “Static Gravity” (3:22) B1 “Eyes In The Center” (4:10) B2 “Electric Chair” (4:16) B3 “Night Of The Earth” (4:21) B4 “Isolation” (4:38) A5 “Animal” https://youtu.be/kkFViEqhOts?si=MON7gyxzEGOy5ZDi https://youtube.com/playlist?list=PLbHHE6cZMWepjbVGFoTwM75-geJxAdo2O&si=nDcy9PGYk-9OTeXk #Chrome #RedExposure #赤い露光 #BeggarsBanquet#AlternativeRock #Acid #Psychedelic #LSD #WestCoastScene #DamonEdge #HeliosCreed #JohnLCyborg
Alternative / Acid / Psychedelic WEA (Beggars Banquet) 2500円?Dr K2
-
The Human League “Travelogue (幻の果てに)”
英国シェフィールド出身のThe Human Leagueのセカンドアルバムです。メンバーはフィリップ・オーキー(Vo/Synth)、イアン・マーシュ(Synth)、マーティン・ウェア(Synth)、エイドリアン・ライト(映像)の4人ですが、本作は、このメンバーでの最後のフルアルバムとなります。この編成でのThe Human Leagueの特徴は、バックのシンセ音や曲の構築は極度に実験的であるにも関わらず、フィルのポップさ全開のヴォーカルが絶妙なバランスで配置され、融合しているところです。この様な危ういバランスが最も私が惹かれたところですが、やはり長続きはしなかったのが、悔やまれると言うか自明の理と言うか、まあ仕方ないです。本作には自主制作時代にシングルで出していた名曲”Being Boiled”が格段の素晴らしいアレンジで納められています。この他にも”Toyota City”と言うミニマル・アンビエントな曲や”Life Kills”と言った実験的な曲もあり、凄く刺激的ですので、電子音楽やシンセウェーブに興味のある方は一度、聴いてみて下さい。本作発表後、イアンとマーティンは脱退し、Heaven 17を作り、残されたフィルとエイドリアンは女性メンバーを集めて、バンドを継続させ、”Don’t You Want Me(愛の残り火)””の大ヒットを飛ばしますが、もうかつての緊張感は無くなりましたので、私も本作以降は追っかけてはいません。 A1 “The Black Hit Of Space” (4:05) A2 “Only After Dark” (3:45) A3 “Life Kills” (3:02) A4 “Dreams Of Leaving” (5:46) A5 “Toyota City” (3:40) B1 “Crow And A Baby” (3:40) B2 “The Touchables” (3:20) B3 “Gordon's Gin” (2:56) B4 “Being Boiled” (4:20) B5 “WXJL Tonight” (4:38) https://youtube.com/playlist?list=PLjIuADMrDKIb1RMsN-sI-PIOtks2uRDdb “Being Boiled” (original version) https://youtu.be/I_NStTkSRQw #HunanLeague #Travelogue #TechnoPop #ElectroPop #Synthesizers #Experimental #BeingBoiled #IanCraigMarsh #MartynWare #PhilipOakey #PhilipAdrianWright
Electro Pop, Techno Pop Virgin Records 2500円Dr K2
-
The Human League “Reproduction (人類零年)”
私が高校生時代からずっと影響を受けてきたパンドの一つが、The Human Leagueであります。このグループは、1977年にその前身であるThe Futureをやっていたイアン・クレイグ・マーシュ(Synth)とマーティン・ウェア(Synth)が、フィリップ・オーキー(Vo)を誘い、映像担当のエイドリアン・ライトが加入して結成されたとか。当時、テクノポップが流行っていた訳で、多くのバンドが既存のリズムボックスをそのまま使っていたのに対して、シンセでドラムトラックも作成し、更にはヴォーカル以外、全てのパートをシンセで構築した稀有な存在だったからです。しかも映像担当がいた為か、アートワークを含むヴィジュアルがカッコ良かった。多くのシンセポップが未来志向なのに、本作の一曲目が”Almost Medieval”(殆ど中世)というタイトルというのも何かしら違和感があった訳です。B面にはホール&オーツの”You've Lost That Loving Feeling”(ふられた気持ち)のカバー曲もある点には彼等のルーツを探る意味で、注目すべきであると思います。噂ではDavid Bowieが彼等のプロデュースを申し入れたとか。結局はColin Thurstonと彼等自身でプロデュースしています。 A1 “Almost Medieval” (4:34) A2 “Circus Of Death” (3:51” A3 “The Path Of Least Resistance “(3:27) A4 “Blind Youth” (3:16) A5 “The Word Before Last” (3:56) A6 “Empire State Human” (3:10) B1a “Morale...” B1b “You've Lost That Loving Feeling” (9:30) B2 “Austerity / Girl One (Medley)” ()6:38 B3 “Zero As A Limit” (4:01) [Demo & Outtakes versions of “Reproduction”] https://youtu.be/7EuEwfQOMas [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLijPiy4xM0hdnzH8373R1hfQU923NUuyG #HumanlLeague #TechnoPop #ElectroPop #Reproduction #人類零年 #VirginRecords #Synthesizers #Slides&Films #IanCraigMarsh #MartynWare #PhilipOakey #PhilipAdrianWright
Electro Pop, Techno Pop Virgin Records 2500円?Dr K2
-
Cabaret Voltaire “Voice of America”
Cabaret Voltaire(キャバレー・ヴォルテール、通称Cabs)は英国の工業都市シェフィールドで1973年に結成されたインダストリアル・トリオ。結成当初から実験音楽やダダイズム(バンド名にも使っている)、ボロボロになったロックの残骸やテープ加工な等の実験を自分達のスタジオ(Western Works)で行っていた。ライブは後回しに録音中心であったが、あるギグではスチームエンジンの音をリズムにして演奏したら、客が怒って暴動が起きたとも。本作は、珍しく日本盤が出た作品で、第二次世界大戦の時の敵の士気を削ぐために放送された音響兵器の事である。単調なリズムボックスとベースのリフ、過剰エフェクトを掛けたVoとギター、そこに意味ありげなテープ音やキーボードが挿入される構造になっており、オリジナルメンバーのトリオの最高傑作だろう。日本盤だったので、即、近くのレコード店で購入しました。 A1 “The Voice Of America / Damage Is Done” A2 “Partially Submerged” A3 “Kneel The Boss” A4 “Premonition” B1 “This Is Entertainment” B2 “If The Shadows Could March? /1974” B3 “Stay Out Of It” B4 “Obsession” B5 “News From Nowhere” B6 “Messages Received” [full albumはYouTubeに上がっていないので、アップされている曲のみ貼っておきます] A1 “Voice Of America (live track) https://youtu.be/KquYU8I7PHo?si=rjmy7Fv_jZ4R9MC3 A3 “Kneel To The Boss” https://youtu.be/ftSWk-mg_Vc?si=Wd9nYZOZgkmTG9YS B1 “This Is Entertainment” https://youtu.be/-pIuGi2uNng?si=lNI_MRGmPUywXKFM #CabaretVoltaire #Cabs #Industrial #Experimental #Electro #Dadaism #VoiceOfAmerica #RoughTrade #JapanRecords #StephanMallinder #RichardH.Kirk #ChristpherR.Watson #Drumless #Bass #Guitar #Keyboards #Tapes #EffectedVoice
Industrial / Experimental Rough Trade 2300 円Dr K2