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Mlehst / Runzelstirn & Gurgelstøck “Split”
皆さんはMlehstなるノイズ・ユニットをご存知でしょうか? また、Runzelstirn & Gurgelstøck (「ルンツェルスターン・ウント・グルゲルシュトック」と発音。以下、R&Gと表記)なるノイズ・ユニットもご存知でしょうか?それぞれについて、簡単に紹介しておきます。先ず、Mlehst (これを何と発音するのかはちょっと分かりませんが、「ムレスト」でしょうか?)ですが、英国のAll Brentnallによって、1991年から活動を始めた実験ノイズ・ユニットのことで、最初は、小ロットでのカセット作品等をリリースしていましたが、1990年代終わりにはその活動も収束していき、2001年にラスト・カセットをリリースして一旦、活動休止になります。しかしながら、2005年から復活して、新作もリリースして、現在も活動中です。Bandaged Hand Produceは彼が運営していたレーベルで、今回は初のヴァイナルでのリリースとなります。一方、R&Gは、スイスのチューリッヒで活動していたRudolf Eb.erのソロ・ノイズ・ユニットで、1987年に結成されたSchimpfluch-Gruppe (「シムフルッフ・グルッペ」と発音)の一員として活動を開始、1989年にR&Gを名乗り、ウイーン・アクショニズムに影響を受けた具体音から成るミュージック・コンクレート的ノイズをやっていました。そして、彼とDave Phillips は、1997年に来日し、その後、彼だけが、日本に残って、大阪在住で活動を続けています。R&Gについてはまた別の機会に詳細を書くつもりです。 それで、本作品ですが、何と!200枚限定なのに、ワンサイドです❗️勿体ない感じもせしますが、予算が無かったのか?それとも曲が出来なかったのか?或いは敢えてワンサイドにしたのか?よくは分かりません。それに、装丁もチープで、単にA4のコピーを貼り付けただけです(恐らくは予算不足かな?)。それで内容の方なんですが、A1はMlehstの”We Will Never Understand Her”と言う曲で、多分、テープ操作による、ややアコースティックなノイズがスカスカに配置されていると言う感じです。この頃のMlehstはどうも今ひとつ垢抜け無いと言うか?掴みどころが無いと言うか?そんな印象が強かったですねぇ。一方、A2はR&Gの”Die Schönheit Bedarf Des Zärtlichen Hauchs Zur Reinen Entfaltung”なる曲で、多少、Mlehstと共通点があるようですが、こちらも、初期の音源らしく、打撃音や叫び声などをテープ操作した、如何にもR&Gらしい脱構築・アコースティック・ノイズです。勿論、R&Gの方が、曲としてのテンションや緊張感は素晴らしいです。そんな稀有な組合せによるスプリットLPで、今となっては大変貴重な記録物ですが、もし、貴方が、1990年代のノイズ・シーンの一端に触れてみたければ、この作品は適当なアイテムになると思いますよ。是非とも! Mlehst “We Will Never Understand Her” https://youtu.be/Yd6-sqX1A0Y R&Gの曲はYouTubeに無かったので、東京でのライブを貼っておきます。 https://youtu.be/3Aik6I_JBNA #Mlehst #Runzelstirn&Gurgelstøck #Split #BandagedHandProduce #AcousticNoise #MusiqueConcrete #OneSideLP #UK #Switzerland #AllBrentnall #RudolfEb.er #1990年代
Experimental Noise / Actionism Bandaged Hand Produce 不明Dr K2
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Blackhouse “Holy War”
忘れちゃいけない。英国のノイズ・バンドWhitehouseに対抗するのは、米国のインダストリアル・プロジェクトBlackhouseでしょ!? と言う訳で、彼らの作品として”Holy War”を取り上げましょう。その前に、Blackhouseのバイオグラフィーを簡単に、Blackhouseは、カリフォルニアのEurekaを本拠地としているキリスト教系インダストリアル・パンドで、当時は「最初にインダストリアル・ロック」を演奏した バンドとして認識されているようです。インダストリアル・ロックとは、Nine Inch NailsやKlank或いはCircle of Dustの様なマシン・リズムとギターのソリッドなカッティングやリフを特徴としているアレです。そして、1984年にBlackhouseは結成されています。その一方で、キリスト教市場(しじょう)で、最初にインダストリアル・ミュージックを始めたパンドです。WikiによるとBrian Ladd (レーベルLadd-Frithよ創設者の1人)のソロプロジェクトで、初期にはIvo CutlerとSterling Crossの名前もクレジットされていますが、本当に存在している人なのか?メッセージ性の存在なのか?両方の境界線上て微妙にバランスで存在しています。Blackhouseの音楽は結成当初からキリスト教の音楽からは大きく逸脱しており、ライブでは、右翼系キリスト教やネオナチ青年団両方からの妨害に会っています。ネオナチは、彼等が、ニヒリズムやポルノ、SM及びドラッグなどのネガティブなコンテンツを利用することでよく知られるジャンルとしても、Blackhouseのライブは、宗教的過ぎると抗議しており、また、右翼キリスト教からも、そのような社会のネガティブ・コンテンツを扱うパンド・スタイルだったので、Blackhouseは、真っ先に抗議されてました。そう言う経緯もあって、ツアーやライブよりも録音作業を中心とした活動にシフトしていきます。そんな困難にあったblackhouseは、作品をコンスタントにリリースしており、現在まで活動をつづけています(ライブやツアーをやっているかどうかは不明)。 それで、本作品の内容ですが、いきなりアルバム・タイトルが「聖戦」ですよ!とは言うものの、Whitehouseとは対極の、どちらかと言うとインダストリアルとかリズミックな実験ポップのような音楽で、強いて言えば、De Fabriekなんかに近いでしょうか?リズムマシンと規則的に配置された電子音(パルス代わり?)から成る作品で、エフェクトをかけたVoが入ってくる曲もあります。曲名には、”Satan + His Demons”とか”Power + Wisdom”とか”Holy War”とかは付けられてはいますが、それ程、キリスト教的な音楽傾向などは感じられません。歌詞にはその様なことが使われているのかもしれませんが、聴き取れないので、不明です(残念!)。まあ、そう言う彼らのコンセプトは別にして、音楽自体は1980年代の宅録実験ポップとしては大変興味深い出来ではありますので、そこら辺のシンセ・ウェーブに興味がある方は一度、聴いてみてはどうでしょう! “Make A Choice” https://youtu.be/1lCixbYmpl4 [full album ] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kU9R6y6cizgEKeZm3Zu8DAP5G8Nx0x_3I #Blackhouse #HolyWar #RRRecords #ChristIanMusic #RhythmMachine #Electronics #SynthWave #BrianLadd #IvoCutler #SterlingCross
Industrial Pop RRRecords 不明Dr K2
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Bastard Noise “Self Righteous Suicide” / Bizarre X “…ETHIK? “
米国のVigan Straight-Edge Noise Bandで、Eric Wood率いる(?)Bastard Noiseと独逸Grind Core Band のBizarre Xのスプリット12㌅ミニ・アルバムがこちらになります。Bastard Noiseについては、前回述べたように、グラインド・コア・バンドMan Is The Bastsrdから派生して、その主要メンバーであったEric Woodが始めたノイズユニットとなって、現在に至る訳です。今回もEricがelectronicsとVoでのソロユニットとしての参加になっています。一方、Bizarre Xは、1992~2019年までアクティブであったBert Sergon (B, Vo)とJens (Drs, Vo)による独逸のグラインド・コア・バンドで、ドラムのJensが2019年に他界しており、それで活動停止になった模様。 それで、本作品について紹介したいと思います。先述した通り、Bastard NoiseはVoスタイルこそグラインド・コア系ですが、バックは奇妙で独特な電子音の渦です。恐らくアナログ・オシレーターだと思うのですが、ヴォーカルの迫力と相まって、凄い説得力です。全体にリバーブ処理が施されている為か、音の空間性が冴えており、その分、低音の処理が効果的です。その中をEricのVoが地獄から聞こえてきて、闇を切り裂くが如しです。また電子音の使い方も格段に説得力があります。一方、Bizarre Xですが、こちらはある意味、典型的グランド・コアと言っても良いのではないでしょうか(と言える程、私はこの分野については詳しくはないです。すまん!)。しかし、曲は中々カッコいいです。音的にも、ごっしゃにならず、分離も程々に良く、丁寧に録音されていますね。なお、10曲目の”World Under My Fingernail”はあの欧州初のグランドコア・バンドFear of Godのカバーのようです。やはり、Bizarre Xにとっても、グランド・コア界のカリスマBastard Noiseとのスプリット盤は特別なものだったのでしょうか? そんなことも妄想させてくれるスプリット・ミニ・アルバムです。気になったリスナーさんは是非とも聴いて下さい❗️ Bizarre X https://youtu.be/mbxhPt5ABgg Bastard Noiseのはなかつたので、最新ライブ動画を。 https://youtu.be/waGkPriXm5U #BastardNoise #BizarreX #SelfRighteousSuicide #..ETHIK?…. #ScrotumRecords #SplitAlbum #ExperimentalNoise #EricWood #GrindCore #BertSergon #Jens
Noise / Grind Core Scrotum Records 不明。Dr K2
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Geso / Kumio Kurachi “Loving The Obsolete Words... = 死語を愛して...”
この作品をどうやって入手したかは、ホントに覚えていないんですよ。第五列を運営していたGesoさんこと藤本和男さんとDD. Recordsでも活躍していた倉地久 美夫さんのスプリット・ミニアルバムなんですが、2人とも私の知り合いなので、恐らく交換で入手したのでは?と思うのですが、内容を含め、覚えておりません(ごめんなさい)。1980年代、日本で最も活動していたカセットレーベル第五列とDD. Recordsの代表とも思える両者の音源を3〜4曲づつが収められている奇跡的なブツです。レーベル名も不明なのですが、Discogsを検索すると京都のZero Recordsとのことです。両者とも作曲・作詞・演奏・録音をほぼほぼ一人でやっていますので、宅録による多重録音と言うことになります。Gesoさんサイドは、Synth, G, Voで、Onnykこと金野さんがSaxやノイズでヘルプしています。Kurachiさんサイドは、Drs, B, G, Kbd, Voを一人で担当しています。両者に共通するのは、字余りの日本語による歌詞と、骨折したかのような変拍子を含む演奏ですが、その歌詞を乗せる為に、難解かつポップな曲となっている点です。日本版Art Bearsと言っても良いかもしれません。ポップと言っても、歌謡曲やロックでのポップネスではなく、もう一つの音楽の流れ(パラレル・ワールド的な)におけるポップソングです。強いて言うなら、「和製レコメン系」ですね。Gesoさんの方は、ベースをシーケンサーてやっており、ドラムマシンも含めて、奇数拍子の打ち込みをやっています。それでいて、1曲目「あの人たちがやってくる」や2曲目「犬は溺れ死ぬ」では転びながらの変な疾走感があります。4曲目「使用中の手足」ではOnnykさんのサックスが時にフリーキーに入り込んでいます。一方、Kurachiさんの方は、1曲目「おろかな雲」ではマーチング・ドラムが強烈で、誤解を承知の上で例えるならLaibachの如しですが、その日本語の歌詞の奇妙さが決定的に異なります。2曲目「仕出し屋が来る」のふざけているような歌詞や3曲目「ごめんよ」での不自然なブレイクなど、奇妙で時にドライブするポップソングが並んでいます。また、北里義之さんが書いた、このアルバムの内容及びタイトルについてのライナーノーツと、両者の歌詞カードも付属していますので、それらを紐解く標べとなるでしょう。今回、聴き直してみて、両者は共に「天才」と言えますね。another sideのポップソング、貴方も聴いてみませんか? 倉地久美夫 “仕出し屋が来る” https://youtu.be/CKoRNMFWkuY #Geso #KumioKurachi #藤本和男 #倉地久美夫 #LovingTheObsoleteWords... #死語を愛して... #ZeroRecords #AvantPop #ExperimentalPop #宅録 #RecommendRecords #Lyric #AnotherSideMusic #Onnyk #第五列 #DD.Records #北里義之
Avant-pop / Experimental Zero Records 不明。Dr K2
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X Ray Pop “Psychedelik Dolls”
またまた謎物件。いつ、どうやって入手したか、全然覚えていません!それで今回、X Ray Popについて調べてみました。裏ジャケを見ると、仏語表記で、写真にはメンバーと思われる女性2人。しかもリリースはノイズ関係の老舗RRRecordsと。う〜む。まあ、仏の女性エレ・ポップ・デュオですね。Didier Doc Pilot (G, Synth, Vo), Zouka Dzaza (Vo, 曲間語り), Micky Lefron (B, Perc, Mix), Annie “Pan Pan” Guillaud (Backing-Vo)が本作品では参加していますが、基本はDidler とZoukaのデュオのようです。仏のTourで、1984年に結成されており、現在まで活動は続いているようです。また、インディー・レーベルからもリリースしていますが、1999年以降は彼女らはWarner Musicの仏サブレーベルであるEast West Recordsから作品をリリースしています。なので、本アルバムは、彼女らの下積み時代の作品と言うことになります。その内容ですが、バンド名通り、仏語の囁くようなZouksのVoを活かしたエレ・ポップなんです。感触としては半透明なシルクを触っている感じの音楽と言えば少しは想像出来るのではないかと思います。また、曲と曲の間にZoukaの14秒位の「語り」がちょっとしたSEと共に挿入されており、それがまた良い感じのクッションになっています。B面ではDidierのギターが暴れる曲もあります。しかしながら、タイトルのようなサイケデリックな要素は余り無いように思いますね。La FemmeやStereolab、Beastie Boysにも影響を与えているらしいですが、私は個人的には、Stereo TotalやLove Psychedericoに近いかな?と思いました。そんなエレ・ポップも聴いてみてください。 “Oh oui J’aime!” https://youtu.be/KFnN_jdVa2Y #XRayPop #PsychedelikDolls #RRRecords #FrenchPop #ElectricPop #ZoukaDzaza #DidierDocPilot #MickyLefron #Annie”PanPan”Guillaud
Electronic Pop RRRecords 不明。Dr K2
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Incapacitants “Extreme Gospel Nights”
日本が世界に誇るハーシュノイズの最右翼Incapacitantsの東京仙川にあったライブハウスGospelでのライブ音源の再発盤です。元々は日本のレーベルVanilla Recordsからカセット音源とし、1993年にリリースされていた作品を、伊の再発レーベルUrashima (浦島)が、2019年にレコードとして再発したブツです。もうバイオグラフィーは以前にも書いたので、省略しても良いですよね? まあ、最低限の知識として、Incapacitantsは、T. 美川氏とF. コサカイ氏によるデュオで、一貫して、2人はelectronicsとvoiceのみでラウドなノイズを放射し続けています。本作品でも ライブ録音と言うことがあって、轟々たるノイズを全方位に放射しています。にも関わらず、ノイズの粒子が一つ一つが、目の前を過ぎ去っていくかのような豊潤な音楽になっています。彼等のノイズ・ミュージックを聴く時、どうしてもニヤニヤしてしまうのですが、このライブアルバムを聴いてもニヤニヤしてしまいました。多分、ライブの様子が想起されたのかもしれませんね。もうただただ、音を浴びたいと言う欲求を満たしてくれる、それがIncapacitantsなんだと思います。この手音楽は、やっぱりライブハウスで観たいし、レコードなら、爆音で聴きたいものです。と言ってると、この文章を書いてる前日は大阪Bearsでの2年振り(?)のライブをやったとSNSで流れてきています。2ステージで盛り上がったとのことで何より(と言うか既にベテランなので当たり前と言えば当たり前)❗️てな訳で、本作品は、1990年代のIncapacitantsを楽しめる作品ですので、是非とも入手して爆音で聴いてみて下さい。金箔の薄紙の包装もイカしてます❗️ https://youtu.be/D1b4w8WtBJU #Incapacitants #ExtremeGospelNights #Urashima #VanillaRecords #再発 #Electronics #Voice #T.Mikawa #F.Kosakai #LiveAlbum #Noise #HarshNoise #LoudNoise
Noise Urashima (Vanilla Records) 不明。Dr K2
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The Haters “Future Cheers”
皆んな、大好き、The Hatersの再発盤だよー❗️1979年から活動を続けているThe Hatersの、多分、公式にはファースト・アルパム(シングルやその他のアイテムを除くとです)になるのが、この”Future Cheers”です。オリジナルはカセット作品で、NYのSound of Pigレーベルから1986年にリリースされています。The Hatersとは、バンドではなく、G.X. Jupitter-Larsenが居れば、The Hatersになると言うプロジェクト名で、特にライブでは。なお、SRLも構成員もメンバーだったこともあります。私も加わったこともあります。The Hatersのバイオグラフィーは以前にも書きましたので、ここでは省略させて頂きます。それで本作品ですが、先述のように、カセットを混ぜるとオフィシャルにはファーストにあたる訳ですが、全編、ガラスの割れる音や金属製のチャリチャリした音が轟々たるノイズと共に流れていくのですが、この反復にも似た「半反復」がThe Hatersの本領発揮だと、個人的には思っています。どう言う風に録音しているのか?ちょっと不思議な感じなんですが、多分ループなどは使っていないでしょう。それと、The Hatersは楽器は使用しない、つまり楽器を一切使わないで、コンタクト・マイクで音を拾い上げ、数個のエフェクター或いはUntitled Title Beltに仕込んだエフェクターで増幅して、巨大なノイズを放出する。そんな音作りも、The Hatersの特徴ですね。この作品では1986年にDenverで録音されたものをG.X.が2016年にL.A.でリミックスしたものです。因みに元音は何かと言うと、サンダーでマイクそのものを擦って壊したり、電卓をヤスリで擦ったり或いはパンチングで紙に穴を開けたりと言うようなちょっと普通の人が思いつかないような行為によってでる後からなります。その意味では、割とオールド・ウェーブな音の作り方をしていると思いますが、彼が出す音そのものの強度は最高です❗️皆さんもこの「半反復」の虜になって見てください!さされば、貴方もThe Hatersです。 https://youtu.be/Gfz7e5lAQPw #TheHaters #FutureCheers #Urashima #SoundOfPig #G.X.Jupitter-Larsen #Cassette #Noise #Non-Instruments #DestroyedMusic
Noise Urashima (Sound of Pig) 不明Dr K2
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The Haters “Kupfer Till Mingwave”
出ましたよー!良い子は皆んな大好き、The Hatersの近作アルバムです。見開きジャケに2枚のLPが収められていますが、1枚は普通に聴けるLPなんですが、もう1枚は盤面にアートワークが塗りつけられており、再生不可能な12㌅LP(この様な聴くことの出来ないヴァイナルを「アンタイ・レコード(Anti-Record)」と呼び、ノイズ・ミュージックの世界では90年代に沢山作られています。元々はAndrew Smithの発案らしいです)になっています。勿論アンタイ・レコードはハンドメイドなので限定品になります。The Haters のバイオグラフィーは前回、書きましたが、ちょっとだけ、補足を。The Hatersほ米国ハリウッドに住んでいるG.X.Jupitter-Larsenが首謀者で、時と場合によりその場その場でメンバーが加わってライブ・パフォーマンスを行うユニットで、メンバーは基本的に黒覆面を被っていますぐ(G.X.は片目だけの黒覆面)。私は1990年代頃のThe Hatersのパフォーマンスが大好きで、SRLのメンバーも参加して、ギャラリーやライブハウス内に、古本、土砂、巨大なロールされたペーパー、中古バイク、タイヤ、自転車、鉄製の屑、ソファーなどを持ち込み、皆んなで、それからを破いたり、叩いたり、壊したりして、ただただゴミを作り出すと言うことを毎回やっていたのですよ。その「無意味さ」とか「エントロピーの加速行為」はもう堪らなく好きでしたねえ。彼こそが、ノイズ界の真のニヒリストだと思います。そして、The Hatersは、通常の「楽器」成るものを使わないんです。電卓をヤスリの上で擦り続ける音やマイクロフォンをグラインダーで擦る音、パンチング文具でひたすら紙に穴を空ける音などをコンタクトマイクで拾い上げ、増幅して、音を出し、それを「ノイズ・ミュージック」と称する訳です。それは徹底してますね。正に虚無的行為です。そんなThe Hatersの近作が本作品になります。レーベルは特殊ハンドメイド包装で限定品を出すことで有名な独逸Psychic K.G.です。4曲、収められてますが、どれも「あっ、これはThe Hatersだなぁ!」と一聴して分かるノイズから成ります。反復する破壊音な様なノイズが続くんですが、その反復が意図的にズレたりして、また反復同士が干渉し合ったりする、独特の音世界を築き上げています。これは好きな人には堪らないんですが、そうでないリスナーさんには苦痛でしようね。好き嫌いの分かれるノイズ・ミュージックですが、一度は聴いてみた方が良いと思いますよ。さあ、召し上がれ! YouTubeには本作品は無かったので、他の作品を。 “Truncated Formica” https://youtu.be/4fL9GTPbCEI “Voice of Victory” https://youtu.be/KFur723mnKs #TheHaters #KupferTillMingwave #PsychicK.G. #Anti-Record #NoiseMusic #Amplification #Repetition #Nihilism
Noise Psych K.G. 不明Dr K2
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AMK “Mecca”
限定10部はないでしょ❗️と言う訳で、1980年代中期より活動する米国のAnthony Micheal KingことAMKの登場です。彼はBanned Productionsと言うレーベルも運営しており、The HatersのG.Xe. Jupitter-Larsen氏とも長年に渡り協力関係にあります。バイオグラフィーらしき情報はなく、割と謎の多い人物ですが、1999年に私が西海岸ミニツアーをやった時に、初めて彼に会いました。その第一印象は「変わり者」でした。それまでも、1993年位にお互いに郵便で連絡を取っていたのですが、彼の演奏形態には驚きました。彼はそれをアナログ・モンタージュと呼んでいました。つまり、既存の曲が録音してされている複数枚のソノシートを文字通り切り貼りして、台紙に貼り付け、それをレコードプレイヤーで再生すると言う手法で、当然、針飛びやチリノイズやらに混じって、既存の曲がコラージュされて再生するとなる訳です。或いは溝が違い過ぎて、ちゃんと再生できない。これをもって彼の演奏が始まる訳です。それで、本作品ですが、ラテカット盤なんですが、時々、これは本当の針飛びなのか?録音されたものなのか?と言うことが分からなくなってきます。元々が、ソノシートなので、わからないです。そんな狐に包まれたような音楽体験はどうでしようか? 因みに、この盤を出しているHarbinger Soundは英国のSteve Underwoodが運営するレーベルで、1990年から活動しています。そして、この作品は20枚作って、10枚だけ流通し、残りはAMKが壊して、アナログ・モンタージュに使ったらしいです。 YouTubeには無いので、他の作品で。 https://youtu.be/5n_qX6sKpEM #AMK #Mecca #HarbingerSound #AnalogMontage #LathCut #Noise
Experimental music Harbinger Sound 不明Dr K2
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G.X.Jupitter-Larsen “Big Time Crash Bang 2008”
The Hatersの首謀者にして、メディア・アーティストGerald Xe Jupitter-Larsen (通称GX)。1970年代後半より活動を続ける、彼には色んな側面があります。コンセプチュアル・アーティストとして、パフォーマンス・アーティストとして、ビデオ・アーティスト/映像作家として、物書きとして、ラジオ・パフォーマーとしてと言う風に様々な肩書きは付きますが、一貫しているのは、途方もない虚無に向かうエントロピーを実践していることでしようか。私がGXと知り合ったのは、彼が当時、カナダでラジオ番組のDJをやっており、そこにK2のカセット作品を送ったことから交流が始まりました。彼は現在、米国のカリフォルニア州ハリウッドに住んでおり、そこを拠点にトータルな意味での「ノイズ」活動を行なっています。それらは元々、パンクロック、メールアート、カセット・カルチャー、ノイズ・ミュージック・シーンやジン・カルチャーに関わってきており、1990年代にはMark Pauline率いるSurvival Research Laboratories (SRL)の音響担当もしていました。なお、The Hatersとしては300アイテム以上のリリースがあります。 コンセプチュアル/アーティストとしては、彼はそれをを美学的・概念的強迫の混合物と見做しています。例えば,エントロピー、減衰、プロレス、そしてpolywave, totimorphous, xylowaveと言った個人的尺度の単位を独自に作ることと関係しているようですが、ここら辺のコンセプトは日本人には分かり辛いです。1985年に彼は彼自身の単位のシステムを見つけたとのこと。 パフォーマンス・アーティストとしては、彼はAs Loud As Possible誌の中で「The Hatersの30年」として、数多くの初期(1980-1900年代)のパフォーマンスについて纏めている。時に、ライブハウスを壊したり、ゴミ屑だらけにしていますが、元々はメールアートによるKS(Kinky Sexの略)ジンを作り、数多く出していたことも含まれるそうです。 ビデオアーティスト/映像作家としたは、1982-1986年の期間で”Blank Bannerと題された黒い(何も映ってない)ビデオを出しています。1994年には"Holes On The Neck"と言うレズのヴァンパイアの映画を作製しております。更に、2013年には、GXも出演したフルの映像作品"A Noisy Delivery"が、英国Leedsと米国NYCで上映されています。郵便料金の代わりに何らかの哲学を郵便局に持っていく人々を描いた映画と言う内容らしいです。 物書きとしては、1992年にBlood Print Pressから”Raw Zed”と”The Condor”出版しており、2009年にも”Sometimes Never”と”Adventure on The High Seas”を出版しています。これらの小説にはチャプターは無く、ランダムに選ばれた文章の断片が並んでいるだけで、全く意味をなしていません。「無」です。精神的な面では自己埋没した単語が、具体的なものとしては規則的な単語か使われています。 ラジオ・パフォーマーとしては、GXは、1983年以来、11カ国31局のラジオ局で3500時間以上のラジオアートをライブで放送をしてきています。 とまあ、あらゆるメディアに関係しながら、ひたすら「無意味な事」「エントロピーの増大」に関係することをやってきているGXですが、今回の本作品もひたすら金属質なものをガチャガチャ、ガタゴト、バンバン、ガッシゃーンと鳴らしているだけなんです。しかし、ループのようで、ループじゃないような「偽」反復なノイズが、大した変化も無く、ひたすら続くと言う、如何にもなニヒリスト振りを見せつけています。好きな人には堪らんでしょうね。何か、楽しいとか退屈とかを超越してるようにも思えます。そんな体験をしたいなら、この作品はうってつけなので、是非聴いてみて下さい。因みに本作品はノイズ関係アイテムを扱う老舗RRRecordsからですが、品番はRRR-001となっています。 [YouTubeになかったので、本作に近い音源を] https://youtu.be/fH6mGOKzyiU #GXJupitter-Larsen #BigTimeCrashBsng2008 #RRRecords #Noise #Nihilistic #MatalJunk
Noise RRRecords 不明Dr K2