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MLD “1983-1986”
先にご紹介したBGMの白石隆之さんが、BGMの解体後、Shinohara Junさんと結成したのが、このMLD (Minimum Lethal Doseの略で、薬理学での「最少致死量」の意)です。タイトル通り、1983年から1986年の間に録音された音源からのセルフ・コンピとなります。2曲だけTakaki Suyamaがドラムで参加してます。このユニットの情報は殆ど無いのですが、当時の私の記憶からだと、電子化したSwansのようなリズムに重きを置いたバンドであると言うレビューがあったと思います。また、彼等はTristan Disco名義でも活動していたと記憶していますが、どう違うのかは忘れてしまいました。本作品には、彼等のファーストシングル”Perpetual Motion”も含まれています。白石さんは今や、日本を代表する電子音楽/ハウスのパイオニアでもあり、彼の頭の中で鳴っている音を具現化してきたのだと推測します。本作品は全体的に、無機質な重いリズムによって支配されており、リズムマシンとシンセから成る電子音楽で、巨大な鉛玉の刻む圧を感じるドゥーム・エレクトロニカとも言うべき音楽です。本作も淡々と曲が進むミニマルなアルバムですが、BGMでも見せた、独特の禁欲的でミニマルな「音構造」或いは「ノリ」を提示しており、白石さんの一貫したコンセプトをビンビン感じます。また、非リズムな音(変調ヴォイスや電子音、テープ音)も非常に効果的で、センスの良さを感じますね。このような貴重な作品が時代に埋もれず、21世紀になって発掘された意義は大きいと思います(有難う、Camisole Recさん❗️)。また、Kurikor Kouchianのマスタリングが上手いのか?音の分離が良く、充分な低音を聴くことができます。個人的には、当時、最も聴きたかったバンドの一つなので、このセルフ・コンピは本当に嬉しかったです。もし、興味を持たれた方がいましたら、是非とも聴いてみて下さい❗️(特に当時リリースされたシングル曲”Perpetual Motion”は凄いです!) 因みに本作品は500枚限定です。 “Perpetual Motion” https://youtu.be/Zh-jsNouygI [full album in bandcamp] https://camisolerecords.bandcamp.com/album/1983-1986 #MLD #1983-1986 #CamisoleRecords #DoomElectronica #Alternative #PerpetualMotion
Alternative Music Camisole Records 3300円Dr K2
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Chrome “Scaropy”
もう何回で紹介してきたアメリカの闇Chromeの、何と❗️新譜です❗️前回は、1995年のオリジナルメンバーであるDamon Edgeの死までを紹介してきましたが、その後の経緯を少し書いておきます。DamonのパートナーだったFabienne Shineは、彼の死後も曲を作っており、また、生前からDamonはHeliosにChromeを続けて欲しいとの話合いがあったようで、HeliosはShineと共にChromeを名乗って活動を続けます。1997-2001年は、John StenchとHilray Stenchと共にツアーに注力しますが、その後、2014年に”Feel It Like a Scientist”アルバムを発表し、USツアーの後、2017年4月には”Techromancy”をリリースします。そして、今年(2021年)に本作品をリリースします。なお、このアルバムに参加したメンバーはHelios Creed, Hilray “Stench” Hanes, Aleph Omega, Lou Minatti, Tommy L. Cyborgで、裏ジャケ写には5人の写真が載っていますが、皆んな一癖も二癖もあるように見えます 笑)。内容ですが、変調ヴォイスは健在です。しかし、全体的にストレートなアレンジで、結構,ロックしています。勿論、あの後期Chrome節とも言える引き攣るようなギターも聴くことができます。しかし、A1でいきなりアコギが聞こえてきた時はビックリしましたね。確かにChromeの音楽ではあるんですが、過去の作品に比べると、ソフィストケートされた印象です。しかしながら、Chromeの名前を忘れない、その姿勢は潔いと思います(まるで歌舞伎の家元制みたいですね)。 [full album ] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lHBpQ_eGe2k_hPdpNr6Lsk1cLG3xjKXXk #Chrome #Scaropy #CleopatraRecords #Acid #Psychedelic #Electronic
Acid Rock, Psychedelic Cleopatra Records 3300円Dr K2
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四人囃子 “NEO-N”
意外かと思われますが、今回は日本のプログレ・バンド四人囃子をご紹介します。四人囃子と言えば「一触即発」が有名ですが、(日本の)プログレに余り詳しくない私にとっては、この7枚目のアルバム「NEO-N」がお気に入りです。メンバーチェンジを繰り返していましたが、この時のメンバーは佐久間正英(B, G), 岡井大二 (Dr), 佐藤ミツル (Vo, G)で、ヘルプに茂木由多加 (Kbd)が加わっています。後期の作品なので、あのPlasticsのメンバーでもあった佐久間氏のテクノ/エレクトロニカのテイストが前面に出ています。プログレとしては何か妙に明るく、超絶技巧は余りありませんが、変拍子の多用やシンセのフィーチャーがやはり、プログレっぽいかな?と思います。それでバンドの変遷なのですが、元々、1969年、森園勝敏と岡井大二が高校在学時に出会い、彼らと中村真一を加えた「ザ・サンニン」として活動を開始。その後、坂下秀実が加入し「四人囃子」となりました。1973年に邦画のサウンド・トラック「ある青春/二十歳の原点」を発売し、プレ・デビューし、1974年に東宝レコードから『一触即発』を発売して本格的にメジャー・デビューを果たしました。ファーストアルバムの発売後、茂木由多加氏 (Kbd)が参加。1975年、脱退した中村氏(B)に代わって、のちに名プロデューサーとして名を馳せることになる佐久間正英 (B)が加入し、5人体制となりますが、茂木氏が脱退した後、1976年にセカンド・アルバム「ゴールデン・ピクニックス」を発売します。しかし、この後にフロントマンだった森園氏が脱退してしまいます。1977年に佐藤ミツル氏がVo/Gとして加入し、新体制で活動継続しますが、段々とポップス/New Wave志向になり、脱退した坂下氏の代わりに茂木氏が再加入して、1979年に 本作品”NEO-N”を発表します。その後は余り詳しくは書きませんが、再結成やメンバーチェンジを繰り返し、一時期の活動停止などを挟んで活動を継続していきます。そして、2003年に茂木由多加が逝去、2011年に中村真一が逝去、そして2014年には佐久間正英も逝去してしまいます。今、現在は活動しているかどうかは不明です。 それで本作品”NEO-N”についてですが、前述のようにプログレと言うよりも技巧派ニューウェーブと言いたくなる音楽性で、曲調、特にシンセの多用と音色が、キッチュな感じを出しています。ヴォコーダーの使用もあり。歌詞やタイトル或いはジャケ写もニューウェーブっぽいですね。これも当時、プロデューサー業もやっていた佐久間氏の影響なのでしょう。それでも変拍子は上手く使われており、それ程、違和感はないです。しかも初期のプログレ感満載からここまで音が変わるのかとビックリしましたね。もう少しニューウェーブ寄りなら、Mandrake〜P-Modelになれたかも?そんなプログレとニューウェーブとミッシング・リンクである四人囃子の、このアルバムを聴いてみてください。 https://youtu.be/5NycQJMK9HY #YoninBayashi #四人囃子 #Neo-N #ProgressiveRock #NewWave
Progressive Rock ポニーキャニオン(See・Saw, Viento” 870円Dr K2
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Phew “New Decade”
もう皆さん、Phewさんと言えば、ご存知でしょう。1978-1980年に伝説のパンクバンドAunt Sallyのヴォーカリストとして活動し、大阪Vanity Recordsに1枚の素晴らしいアルバムを残して、以後、ソロとして、彼女は、坂本龍一氏、独逸CANやノイバウテンの元メンバー、Conny Plank、大友良英氏や山本精一氏等とのコラボ作品、最近では英国のThe RaincoatsのAna da Silvaのとコラボ作品も出しています。また、ソロ以外にもパンクバンドMOSTやBig Picture, Radium Girlsなどのバンドでも八面六臂な活動しています。Phewさんは、近年、アナログシンセとリズムボックス及びヴォーカルだけで唯一無二のサウンドを作り続けており、また声だけで作成された”Voice Hardcore”と言ったコアな作品も出しています。それらの音楽は、シンプルですが、とてもユニークな作風です。単純ながら変幻自在な電子音と古びたリズムボックス音は、彼女の声質や歌詞などと共に、聴く人に強烈な印象を与えてくれます。今回も使用楽器は基本的には同様なのですが、曲の印象は全く異なるように感じられます。エコー/ディレイのかかった声とデッドな声の対比、シンプルながらも更に深化した電子音、必然を感じさせるリズムボックスやフィールド録音された音、ギター音の効果的使用等々、そこ此処に何かしらの変化を見せ、更に深い世界に我々を連れて行ってくれる感覚を覚えます。彼女の作品を聴いたことのない方は是非とも触れて欲しい音楽です。それはアヴァンギャルドとか実験的とは違う次元の音楽、例えるなら「未完と必然」の音楽だからです。しかもタイトルは「新しい10年」ですよ! 因みに、本作品では、Phew (Voice, Synth, G, Rhythm Box, Recording)の他に、ゲストとしてSeiichi Yamamoto (G [B3]), Hiroyuki Nagashima (Synth, Perc [A3], Mixing)も参加しています。 曲順 A1 “Snow And Pollen” A2 “Days Nights” A3 “Into The Stream” B1 “Feedback Tuning” B2 “Flashforward” B3 “Doing Nothing” A2 “Days Nights” https://youtu.be/Iw2o1K0Wn2U?si=eC0wHABUlZ-YSuzo [BandcampのURLです] https://phewjapan.bandcamp.com/album/new-decade #Phew #NewDecade #MuteRecords #SoloAlbum #Experimental #Electronic #AnalogSynthesizer #Synthesizers #Voice #RhythmBox #HiromiMoritani #AuntSally
Experimental / Electronic Mute Records 3630円Dr K2