-
Cranioclast “Lost In Karak”
またまた、入手しました。独の謎多きデュオCranioclastの4枚目のアルバム”Lost In Karak”を紹介します。今回もまた、アルバム・タイトルも曲名も全てKranioklastのアナグラムになっています(徹底していますね!)。Cranioclastのバイオグラフィーは以前に紹介してありますので、そちらをご参照下さい。因みに、Cranioclastは、独Hargenの Klara K. TonsiとRita N. Koslakのデュオなのですが、制作・配給なども自身のレーベルCoCを通じてやっていた為か、謎が多いユニットで、本当のメンバー数もハッキリはしませんでした。そんなCranioclastの本作品は、ジャケットが、袋状ではなく、ジャケの大きさの4枚の厚紙に両面白黒印刷が施されており、盤はその間に挟まれていると言う使様になっています。いつもながらにジャケ写はアーティスティックですね。また厚紙には、英語と独逸語で何らかのコンセプト(何か、写真とかの撮り方とかそれに付随する物事の見方?)が書いてあるのですが、私には良く分かりませんでした。また、今回は、今まで、サイロやバンカーなどの建造物の写真をふんだんに使ったブックレットなどは付いてはいません。 と言う訳で、本作品の各曲を紹介していきましょう。 A1 “Rail To Kansk”は、ゆったりとしたリズムも感じられつつも、かなりダークなドローン音がのたうち回る曲で、いつもよりもビート感があるようにも感じますし、後半にはそれとなくメロディまで! 流石、4作目ともなると、録音テクの向上や機材の高度化などで、バッチリ聴かせてくれます。最後はビックリしました! A2 “A Link At Orsk”は連続して始まりますが、打楽器による土着的リズムと飛翔する電子(?)音とテープ音が非常に心地良いです。そのリズムは段々と分解されていき、最終的にはA1のリズムに置換され、飛翔する音は段々と天を覆うような迫力になっていきます。もう、見事なサウンドスケープです! B1 “Lo Rakka's Tin”は、静謐な雰囲気の中、ピアノの独奏で始まりますが、バックの音も含めて、不穏な空気感です。ピアノは段々と激しくなったり、不安定になったりして、更にカオス化しています。当然、エフェクトも掛けてありますし、何ならテープ等でサンプリングされた音だとは思いますが、まるで音が生きているかような旋律/音色です。 B2 “Lost In Karak”もB1に連続して、バックのシンセらしきドローンが始まりますが、今度は、管楽器?弦楽器?アコーディオン?のような音やシンセのパルス音が次第に挿入されてきます。そうして、突然の水音と共に、逆回転のような効果音に移行し、バックでは緩やかなドローン音が鳴り続けています。時に微かに聞こえる通信機の話し声が、ここは真空か?と思わせる秀逸なサウンドスケープとなっています。 いやー、今回もやられました‼️こんなに緻密な音楽は無いんじゃないかと思う位、作り込んであります。この作品を聴いて、思い出したのは日本のContagious Orgasmの音楽ですね。何か共通するものを感じました。なので、Contagious Orgasmのファンの方もきっと気にいると思います!とにかく、イマジネーションを強力に刺激する音楽ですので、体験してみて下さい。Let’s Listen❗️(因みに、1992年に、独レーベルFlabbergastからCD再発されていますので、そちらの方が入手しやすいかも) A1 “Rail To Kansk” A2 “A Link At Orsk” B1 “Lo Rakka's Tin” B2 “Lost In Karak” [full album] https://youtu.be/c8L9TWB5Ht4?si=ftkS70BgeXtNEWyL #Cranioclast #LostInKarak #CoC #4ThAlbum #German #Abstract #Experimental #Soundscape #Piano #Percussions #KlaraK.Tonsi #RitaN.Koslak
Experimental / Abstract CoC 1800円Dr K2
-
V. A. “Dutch Wave: A History Of Minimal Synth & Wave In The Netherlands”
ついつい買ってしまうんだよねー、こう言う欧州のシンセ・ウェーブ系のコンピ❗️今回は(も?)、蘭シンセ・ウェーブ/ミニマル・ウェーブの特集ですね。その名も”Dutch Wave”です。でも、レーベルはベルギーのOnderStroom Recordsです。それで、今までも紹介していたり、或いは解説文の中に出てきたりしているバンドもあるとは思いますので、そちらは以前の紹介などをご参照下さい。今回、セレクトされたのは8組で、ベテランからニューフェイスまで、まあまあ満遍なくカバーされているのではないでしょうか。それでは、各バンドと曲を紹介していきましょう。 A1 Nine Circlesは、1980年にAmsterdamで、Lidia "The Rose" FialaとGenetic FactorにいたPeter van Garderenによって結成されたエレクトロ・ポップ・デュオで、1982年にライブ音源をカセットでリリースしていますが、その年に2人が別れたのを機に、一度解散しています。なお、このライブ音源は、2011年になって、ボーナス・トラックを付けてCD-Rで”Live Queekhoven 1982”として再発されています。話しを少し戻すと、友人がラジオ局VPROで働いていた関係で、そのラジオ番組で演奏する機会もあったようで、その関係でコンピLP “Radio Nome”にも参加しています。“What's There Left”は、そのコンピLPに入れた2曲の内の1曲です。チープなリズムマシン(BOSS DR-55かな?)にメロディアスなシンセと物憂げな女性ヴォーカルが乗る、所謂、典型的なシンセ・ウェーブなのですが、ミニマルなシーケンスに絡むシンセのメロディが秀逸ですね。 A2 Beatnik Love Affairも、AmsterdamでLex Grauwen (Instruments, Vo), Ruud Braumuller (Instruments, Vo), Jeroen Minnema (Instruments, Vo)によって結成されたエレ・ポップ・バンドで、恐らくは1987年前には結成されていたみたいで、1987年の蘭Top Tapesのカセット・コンピ”L'embrasse”に参加しています。しかしながら、単独作は無いようです。“Share My Heart's Blood”は、蘭レーベルStichting Stopcontactより1987年に出たコンピLP ”Contactdisc 5”に入っています。ここでは、Grauwenが全ての楽器とVoを担当しており、Minnemaは歌詞のみで、Braumullerは不参加です。かなり熟れて、繊細なシーケンスと存在感のあるドラムマシンが強烈で、そこにGrauwenの男性ヴォーカルが乗ってくる曲ですが、流石に1980年代後半なので、機材的に高度なアレンジが可能になっていますね。メジャーでも通用するかも? A3 The Actorは、Sander Horsthuis (Synth)とMarcel Reimer (Vo, Synth)のデュオで、2人がジャム・セッションとかを始めたのが、1980年なので、そこからが結成となります。彼等ほ蘭におけるシンセ・ウェーブのパイオニアと言われています。“Unreal Personality”は、1982年にTrumpett Tapesからリリースされた彼等の最初のカセット作品”Exploded View”のA面1曲目のナンバーです。ややダークで、ファットな低音を効かしたシンセ音とマシンリズム(機種は不明)に、Reimerのやや高めの声質のヴォーカルが乗るミニマルな曲です。ひょっとしてワン・コード? A4 Störungは、1981年にEugeniusとArian Brunwinによって結成されたシンセ・ニュー・ウェーブ・デュオとも言われていますが、実はEus Otte (G, B, Vo, Perc, Dram Machine)とHylkia de Jong (Kbd, Vo)のデュオです。彼等はライブだけではなく、録音の方もしっかりやっており、1981年に最初のカセット作品を、翌年には、ファーストLP “This Is Future”を蘭レーベルclogsontronicsからリリースしています。 “Dimensie 4”はこのLPのA面3曲目のナンバーです。これは、珍しくベースが入っている曲で、ややスローなマシンリズムに、バックでシンセがアラビア風に鳴っており、前面には、de Jorgのハキハキした女性ヴォーカルが乗るミニマル・ミュージックです。結構、ベースを弾きまくってますね。 B1 Van Kaye + Ignitは、Ed Van Kasteren (Van Kaye)とIgnatine Bekken (Ignit)のデュオで、1980年初頭にArnhem市で結成されていますが、Van Kayeほその前に、ニュー・ウェーブ・バンドThe MoNoMeNをやっていました。それで彼は、1979年末にリズミックな電子音楽に興味を持ち、1980年4月には、彼のソロ・カセット“A Slight Delay”を出しています。その後にアート畑にいたIgnitを誘って、1981年夏に、自身のレーベルDing Dongより4曲入り7㌅EP “Picassos on the Wall”をリリースしています。このコンピの中では一番有名じゃないかな? “Picassos On The Wall”は、このEPからのナンバーです。独特のシーケンスから始まる曲で、リズムマシンが入ってくると、テンポアップして、Van Kayeの呟くような男性ヴォーカルが乗ってきます。Ignitはバックのシンセ担当でしようか? B2 S.M. Nurseは、Anneke Stempher (Vo, Synth, Drum Machine, Tapes), Jos Jak (Synth, Synth Drum, Drum Machine, Tapes), Menko Konings (G, Synth, Drum Machine, Tapes)から成るシンセ・ポップ・トリオで、詳細は明らかではないですが、1980年には結成されていたみたいです。“Hot Day In Istanbul”は後からリリースされたセルフ・コンピLP “Hometape Recordings 1981-1983”に収められている曲です。初っ端は、不明瞭なテープ音で始まり、そこに焦燥感のあるドラムマシンとシーケンスが出てきて、更に、伸び伸びと歌う女性ヴォーカルとフリーキーなギターや効果音的シンセも被ってきます。 B3 Ende Shneaflietは、1981年に蘭のHeilooにて結成されたニュー・ウェーブ・バンドで、メンバーはBrian Dommisse (Vo, Knobs), Frank Brinkhuis (G, B, Synth, Piano), Hanjo Erkamp (Synth), Jan Popma (Synth, Organ), Edwin Brinkhuis (Trumpet), Bert Abbing (Drs)で、1981年には既にTrumpett Recordsより最初のカセット作品”Animals From Outer Space”を出していますが、1983年には解散しています。“Session Zeitgeist”は、セルフ・コンピ2枚組LP “Twistin' On The Tombstonesl”のC面5曲目のナンバーですが、BrinkhuisとAbbingは脱退しています。警報のようなシンセに導かれて、カッコ良いベースラインと焦るマシンリズムに、深めのエコーの掛かった男性ヴォーカルが乗ってきます。曲調はJoy Divisionの世界観のようです。 B4 Das Dingは、Danny Bostenのソロ・ユニットで、1980年初頭より活動を開始しており、自身のレーベルTear Apart TapesからDas Dingや友人のカセット作品をリリースしています。Das Dingはダーク・エレクトロな音楽をやっていましたが、時にはダンサブルな曲もありました。彼の使用楽器は、Moog Prodigy, Roland CSQ-100, Boss DR-55, ARP Oddyssey , Roland Space Echo, Teac 4 track recorder, Pearl Syncussion, Sound Master Styx Rhythm Box, Jen SX-1000. Casio Organでした。“A Dark Place”は、セルフ・コンピLP “H.S.T.A.”のB面1曲目のナンバーですが、本作品には、未発表のヴォーカル入りヴァージョンが収録されています。なので、このトラックでは、Diana Hense (Vo)とPlank Jiskont (Drs)が客演しています。リズムマシンをそのまま使わないで、シンセで合成した音と生ドラムでエスニックなリズムを作り、そこに、ハスキーな女性ヴォーカルとゆったりしたシンセのメロディが乗ると言った曲で、流石と唸りました。 蘭らしさと言うのは、正直、よく分かりませんでしたが、やっぱり1980年代前半の曲は、機材の制約もあるので、曲作りや音作り或いはアレンジに様々な工夫をしているのがよく分かり、その意味でも興味深いと思いました。ここら辺の流れは未だに続いていますが、高度な機材ではなく、敢えてヴィンテージな機材でやっている方も多いのは、そのミニマルさが心地良いからだとも言えるのではないでしょうか❗️ なので、そこら辺を勉強したいリスナーさんにはきっと良い手本になるコンピ・アルバムだと思います。なので、必聴です‼️ A1 Nine Circles “What's There Left” https://youtu.be/z7ak4Lo5zIY?si=VY71mS-8MvEID72s A2 Beatnik Love Affair “Share My Heart's Blood” https://youtu.be/iuAuGqbf7IY?si=dNkBt8KdI0TFtZO1 A3 The Actor “Unreal Personality” https://youtu.be/AcVQeu9fPkM?si=aF0VlbiD1lVNnrN6 A4 Störung “Dimensie 4” https://youtu.be/GKWmfwRLRf0?si=2lCfmchOHvEVEqGj B1 Van Kaye + Ignit “Picassos On The Wall” https://youtu.be/gXrGkL_iSzI?si=TG7TF_VRRPAoyN8k B2 S.M. Nurse “Hot Day In Istanbul” https://youtu.be/5khItvGWa7c?si=wni_f_ATHueWajQx B3 Ende Shneafliet “Session Zeitgeist” https://youtu.be/sAQlcH9c6Zw?si=WlMIB2YliCxNNyO7 B4 Das Ding “A Dark Place” https://youtu.be/HeLUoCSNu_k?si=inBnz6Rzj3hStXQ5 #VariousArtists #DutchWave #AHistoryOfMinimalSynth&WaveInTheNetherlands #OnderStroomRecords #SynthWave #MinimalWave #NewWave #ElectroPop #Holland #Synthesizers #NineCircles #BeatnikLoveAffair #TheActor #Störung #VanKaye+Ignit #SM.Nurse #EndeShneafliet #DasDing
Synth Wave / Minimal Wave OnderStroom Records 1800円Dr K2
-
Cour de Récré “s/t”
これまた「謎物件」!殆ど何の知識も無く、ちょっとだけ説明文を読んで、購入したアルバムで、このCour de Récréが如何なるバンドかは全然知りませんでした(ついでに読み方も分からん)。それで、ちょっと調べてみました。レーベルはスペインのElefant Recordsですが、バンドは仏Toulouseで活動しています。メンバーはChloé Crozat (女性Vo), Quentin Lasseyte (Instruments, Vo), StanことStanislas Batisse (Instruments, Vo)の女性1人と男性2人のトリオです。まだ、Cour de Récré (「遊び場」とか「校庭」の意味?)としては、ミニアルバムCD1枚と、デジタル・シングル1作、それにコンピCDRへの参加が1枚だけで、本作品はちゃんとしたフル・アルバムとしてはファーストになります。また、このアルバムは、レーベルElefant Recordsの新人バンド発掘シリーズ”New Adventures In Pop”の第53弾になります。最初のリリースが2018年なので、恐らくはその前(2016年位?)からは活動していたと推測出来ますが、ハッキリと書いてある資料はなかったです(すまん!)。資料がBandcampにありましたので、それからの和訳を掻い摘んで書いておきます。このバンドは元々、StanとHéloïse (この人物については不明)のデュオとして始まりましたが、Stanは仏Avignonに、HéloïseはチリのSantiagoに住んでいた為、バンドと言うよりプロジェクトみたいなものであったようです。その後、直ぐに、Stanの友人Quentinが加入し、ライブ要員として、Heloïseの代わりに、Chloéが参加しており、後には録音でも参加するようになります。しかし順風満帆とは行かず、Stanは2年間、カナダに移住しており、その為、最初のEP “Éponyme”は2018年になって、やっとリリース出来たようです。それで、2019年に、Stanは仏Avignonに戻ってきますが、今度はChloéはParisに行ってしまいます。どうもこのトリオには「距離」が付いて回るみたいでしたが、漸く2021年に、本作品であるファースト・アルバムをリリースしています。このトリオは、言わばシンセ・ポップに括られるのですが、彼等の曲には、Aline, La Monja Enana, Freezepop, The Pirouettes, Denimからの影響も少しはあるようです。それでは、Bandcampの解説も含めて、各曲を紹介していきます。 A1 “Chanson Cathartique”は、LIOの“Amoureux Solitaires”やÉtienne Dahoの“Tombé Pour La France”で聴かれる途轍もない楽しさに溢れていますが、一方で、彼等自身の素晴らしい才能も光っています。それは、多くのラブソングが持っているドラマ性に対して、全く新しい方向からのアプローチしたりする点です。この失恋ソングは、何でも悪い方向に持っていってしまう非モテの「彼」が、恋していることに気付いて、恥じらいながらも、最初の恋愛に再度挑戦し始めると言う話しなんですが、歌詞の絶妙なストーリー性とダンサブルな楽曲を持っているのも高評価出来る点です。更に、この曲では、コーラスやベルで予想外のエンディングも用意されています。A2 “Soleil Levant”は、Stendhal症候群(これは調べてみて!)についての歌詞で、ディスコティックに盛り上がりますが、ヌーベル・ヴァーグ好きの日本人女子と恋に落ちる、日本映画推しのフランス人男子の話しについての曲で、Chloéのロリータ・ヴォーカルが堪能出来て、ダンサブルです。A3 “Le Jardin De Nobuko”は、ノスタルジーには何の価値も無いと歌う、極めて甘いポップ・ソングで、France Gall (私にはStereo Totalっぽく聴こえる)のようなMiaの若々しい歌声も聴けます。A4 “Coeur Cruel”は、このトリオが一番最初に作った曲で、EPとはヴァージョン違いが収められています。アシッドなベースラインと完璧なコーラスも聴くことができ、踊っても良し、メロディに酔いしれるのも良しの、これぞ、ポップと言うべき曲です。A5 “Agathe Agathe”も、彼等のサウンドを押し上げた曲の一つで、バロック的で、時にアップテンポで異形のシンセ・ポップであり、物凄くナイーブな恋心を歌っています。 B1 “Le Roi Est Mort”は、ルイ16世を国民裁判で死刑にした一方で、その為にマリー・アントワネットが悲しんだことを国民自身も思い起こした逸話についての曲で、アルペジオとシンセのリフ(ギターも使っている?)が特徴的な曲です。B2 “Vice Et Werther”は、ゲーテの「若きウェルテル(Werther)の悩み」を再構築した曲で、ウェルテルと別れたシャルロットが「ベストフレンドは近過ぎる。良い友人は人生に必要だか、恋愛は子供の遊びのようなもの」と言う意見を正当化しようとするもので、これをアシッドなベースラインとヴォコーダーと安物のシンセを使って、アップテンポのテクノ・ポップに仕上げています。Chloéと男性のヴォーカルの掛け合いが良いです。B3 “Palacio Ideal”はスペイン音楽の影響を受けているとのこと。と言うのも、Stanの父親は家でElefant Recordsのアルバムを沢山掛けていたからだとか。この曲は郵便屋さんのChevalとその娘の話しですが、Chloéが歌謡曲のように歌っています。B4 “Désolé Je Ne Fume Pas”は女の子のファンタジーについての曲で、その中では、彼氏は煙草を吸っているとのことです。WHOへの挑戦みたいな気持ちをシンセ・パンクな曲にしています。アルバムの中で、一番アップテンポで、Chloéのヴォーカルもやや荒っぽいですね。B5 “A L’ombre D’une Jeune Fille En Pierre”は、仏小説家マルセル・プルーストの作品と関係があるようで、ある彫像に恋した少女の話しで、歌詞も、仏作家/歴史家/考古学者プロスペル・メリメの小説”La Vénus d'Ille”から着想を得ています。また曲も最初はバラード調ですが、段々と”Dirty Dancing”由来の異形のファンク・ジャムへと変化していき、このアルバムを締めています。 とまあ、こんな内容らしいのですが、音楽は基本的にかなりピコってるシンセ・ウェーブでかつ舌足らずに聴こえる仏語の女性Voのコケティッシュで、甘酸っぱいサウンドが詰まっています。どうもデジタル・シンセを使っているらしいのですが、どう聴いても、1980年代のシロップ漬けシンセ・ポップのようで、いやーもう書いていて、こっちが赤面するような曲が盛り沢山です。そう言う意味では、かなり貴重なトリオと言うことが出来ますね。なので、あの10代の頃の甘酸っぱい想い(還暦過ぎたおっさんが言うのもなんですが)に浸りたい時には最適な音楽ですので、中にはドストライクな方もいるのではないでしょうか‼️ B2 “Vice Et Werther” https://youtu.be/poyMxtZrSyE [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mGD0clEQM2WeOkyByJtaloUzbT0XZpGtE [BandcampのURLを貼っておきます] https://newadventuresinpop.bandcamp.com/album/cour-de-r-cr #CourDeRécré #ElefantRecords #FrenchPop #SynthWave #NewAdventuresInPop #Vocal #Electronic #Synthesizers #RhythmMachine #ChloéCrozat #QuentinLasseyte #StanislasBatisse #Stan #Toulouse #FrenchLoveSongs #10代の恋愛
Synth Wave Elefant Records 1800円Dr K2
-
Conrad Schnitzler “Zug”
日本のオークションで、中々見つけられないのが、Conrad Schnitzler先生の作品です。で、やっと見つけました。結構、晩年の作品で、A面はオリジナル曲”Zug”、B面は、B1が、Stefan Betke氏のソロユニットPoleのよる再構成(reshape)、B2がChristian BorngräberとJens StrüverのコンビでもあるBorngräber & Strüverによるリミックスがそれぞれ収められています。本作品の内容を紹介する前に、B面の各アーティスト/グループについて、簡単にご紹介しておきます。先ず、Pole (Stefan Betke)ですが、彼はDüsseldorf育ちBerlin在住のミュージシャン兼プロデューサー兼マスタリング・エンジニアとして、25年間に渡って、アブストラクトな電子クラブミュージックと関わってきており、この期間にリリースしたPole名義の7枚のアルバムは、エレクトロニカへの転換を強く示唆するものです。そして、彼はダブトロニック/グリッヂを用いる音楽家であり、同時に~scape RecordsとレーベルPoleを運営し、Scape Mastering studioで働いています。一方、Borngräber & Strüverですが、1999年から一緒に作業するようになったBerlin在住のデュオです。彼等はサンプリングとリミックスで色々な音楽のリリースに関係しており、2010年には、M=Minimalレーベルを立ち上げ、色々なタイプのミニマル・ミュージックを支えてきています。今回のアルバムも、彼等のレーベルM=Minimalからですね。 それで、本作品の内容についてですが、A面のSchnitzler先生の曲は、いつものように、簡素なリズムボックスのシーケンス、それにややダウナーだが浮遊感のあるシンセによる即興的メロディと電子音と言う至ってシンプルな楽曲からなり、それだけでも、気持ち良い反復を体感できます。多分、Schnitzler先生の最初期(1978年)のアルバム”Con”に収められていた曲のフルレングス・ヴァージョンだと思われます。それで、B面に移ります。B1はPoleによる「再構成(Reshape)」ですが、Pole独特のディレイ処理をリズムボックスの音に掛け、更にリズムパターンを変え、電子ダブな曲にミックスし直して、アブストラクトな音楽に仕上げています。次に、B2はBorngräber & Strüverによるリミックス(リシェイブとは違う!)ですが、彼等は大胆にヘビーなキックのリズムを入れて、大幅にクラブ寄りの曲に仕上げていますが、その隙間から聞こえてくる電子音が如何にもSchnitzler先生的で、ちゃんとリスペクトしているんだなあと感心します。ここで証明されるのは、1978年に既に、その32年後でも充分に楽しめる音楽をSchnitzler先生は作っていたと言うか、また逆にPoleとBorngräber & Strüverは、32年前の曲を再認識でき、それを生まれ返らせたのかもと言えます。とすると、この作品では、ミニマルな電子音楽の普遍性と可塑性を同時に体験出来るものと考えます。なので、未聴の方、一度は、聴き比べてみても面白いですよ❗️ A面 “Zug” by Conrad Schnitzler https://youtu.be/pXkzMrQFckc B1 “Zug” Reshaped by Pole https://youtu.be/lHjLZ1__YE0 B2 “Zug” Remixed by Borngräber & Strüver https://youtu.be/Cz8PCS3k__g #ConradSchnitzler #Zug #M=Minimal #Pole #Borngräber&Strüver #ElectronicMusic #Minimal #Reshaped #Remixed #German #ClubScene
Electronic music M=Minimal 1800円Dr K2
-
The Monochrome Set “Volume, Contrast, Brilliant… (Sessions & Singles Vol.1)”
ついつい買っちゃいますよね。The Monochrome SetのシングルやBBCセッション・テイクを集めたセルフ・コンピレーションです。Vol.1と言うことなので、その後にVol.2も2016年に未発表曲・レアトラック集として他のレーベルより出ています。今回は、先述のように、シングル曲やラジオのセッション曲を集めた もので、後者には曲の冒頭に曲紹介のナレーションも入っています。彼等のバイオグラフィーは既に書いていますので、前回のを参考にして下さい。因みに、この作品に収められている時のメンバーは、Bid (Lead-Vo, G), Lester Square (G, Kbd, Back-Vo), Andrew Warren (B, Back-Vo) / Jeremy Harrington (B, Back-Vo), J. D. Hanley (Drs) / Lexington Crane (Drs), Philip Morris (Vibes)となっています。曲順も時間軸に沿ったものではなく、全体の雰囲気からの順番に配置されています。どの曲も馴染みやすい初期の曲で、The Monochrome Setを楽しめると思いますし、改めて、Bidの作曲能力と演奏能力に感服してしまいました (殆どの曲はBidが書いている)。そんな訳で、初期のThe Monochrome Setを楽しみたいのであれば、このレコードはマストですね❗️ “John Peel Session 1980” https://youtu.be/lCcoqHLRl7o [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kQdca1NDmAnWnkvsn0y8mBeU6zajwqX6A #TheMonochromeSet #Volume,Contrast,Brilliant.. #OpticNerveRecordings #CherryRedRecords #Reissue #Sessions #Singles #PostPunk #NeoAcoustic #Bid #LesterSquare #AndrewWarren #JeremyHarrington #J.D.Hanley #LexingtonCrane #PhilipMorris
Post Punk / Neo-Acoustic Optic Nerve Recordings (Cherry Red Records) 1800円Dr K2
-
Tin Huey “Contents Dislodged During Shipment (不思議な落とし物)”
Devoが出てきた時に、米国のゴムの街アクロンが注目を浴びたのですが、その中でも途轍もなく変なバンドが、このTin Hueyです。彼等は1972年に結成、1982年に解散しています。それで、先ず、Tin Hueyのバイオグラフィーを書いておきます。元々はMark Price (Wesley the Stashと名乗っていました)がギターを、Michael Aylwardがベースを、Stuart Austin (Napoleon Lemensと名乗っていました)がドラムを担当していたRagsと言うバンドから派生したと言われています。その後、Harvey Goldがオルガンで参加しで、Tin Hueyにバンド名を変えますが、Priceが脱退してしまいます。残ったメンバーは一時期、アコースティックな音楽もやっていましたが、やがて、Arthur Batanoff (G)とWayne Swickley (B)が加わります。しかしなから、BatanoffとSwickleyは脱退してしまい、その後、Priceがベースで再加入します。それに伴って、Aylwardはギターにシフトし、Goldはギターとキーボードを担当することになりすぎ。そして、Lochi Macintoshがサックスで加わりますが、その後、Ralph Carneyが彼に代わってサックスを担当することになります。そして、15-60-75 (The Numbers Band)でベースを担当したChris Butlerが最終的にギターで加入し、Tin Hueyとしてファーストアルバムの時のラインナップになります。彼等は、Captain Beefheart, Frank Zappa, The Stooges或いはthe Soft Machineに影響を受けて、アクロン/クリーヴランドで、Devo, Pere Ubu, Electric Eelsらと共に活動しはじめます。そして、1977年に最初のシングル”Pappet Wipes”をClone Recordsより、更に翌年セカンドシングル”Breakfast with Tin Huey”を同レーベルからリリースします。丁度、その頃、Devoなどが注目を浴びたこともあってか、アクロン/クリーヴランドのグループに注目があつまり、その関係か、彼等はWarner Broth. Recordsと契約し、1979年に、本作品でもあるファースト・アルバム”Contents Dislodged During Shipment”をリリースします。しかしながら商業的成功は得られませんでした。再度、この時のメンバーをまとめますと、Chris Butler (G, Perc, Birdcalls, Vo), Harvey Gold (Piano, Synth, G, Vo), Michael Aylward (G, Slide-G, Vo), Mark Price (B, Vo), Stuart Austin (Drs, Perc, Synare Vo), Ralph Carney (B, Tenor-, Alto-, Soprano-Sax, Clarinet, Organ, Perc, Piano, Harmonica, Vo, Large Nose, Duck Calls)の6人組です。その後、彼等は個々人でそれぞれ活動していましたが、1980年代初頭には、バンドは、Ralph E. ことRalph Legniniと一緒に演奏しています。そんなこともあって、次のアルバムを出すまで20年もかかっています。そんなセカンド・アルバム”Disnformation”は、1999年に ButlerのレーベルFuture Fossil Recordsから出ています。さらに最近では、1970年代中盤のスタジオ録音やライブ録音を集めたサードアルバム”Before Obscurity: The Bushflow Tapes”が2009年にSmog Veil Recordsから出ています。その後も活動しているようですが、Priceは大腸癌で他界しています。 ザッとこんな感じのバンドなのですが、本作品の内容について紹介していきます。先ず、最初に感じるのは、メンバー皆んな、演奏が上手いと言うことです。と言うのも、曲は皆んな2〜3分の曲なのですが、結構、どの曲も展開が早かったり、変拍子らしき変な譜割りがされているのを難なくこなしているのは凄いです。私的には、B面の方が好みなのですが、それは上記の特徴がより明確になっているからです。とは言え、時にジャジーに、時にフリーキーに、時にブルージーに、また時にハードロック調になったりするのも興味深いです。多分、サックスやクラリネット担当のRalph Carneyによるアレンジが大きいのかも知れません。確かにそう言う意味では、Frank ZappaやCaptain Beefhesrtの影響はあったのだろうと思います。なので、単に米国の地方のニューウェーブ・バンドとして片付けるのも惜しいですね。因みに、A1の”I Am A Believer”はMonkeysのカバーですが、割と「普通」に演奏しています。そんなTin Hueyですが、もし、アクロン・サウンドに興味があれば、聴いてみて欲しいですね。 https://youtu.be/o3RMOp8Y2E0 #TinHuey #ContentsDislodgedDuringShipment #WarnerBrothRecords #AlternativeRock #NewWave #AkronSound #Cleveland #FirstAlbum #ChrisButler #HarveyGold #MichaelAylward #MarkPrice #StuartAustin #RalphCarney
Alternative Rock Warner Broth. Records 1800円Dr K2
-
Ultravox “Systems of Romance”
こちらが、John Foxx先生在籍時のUltravox最後のアルバムになります。恥ずかしながら、私はカセットにダビングしてもらったのを高校生の時からずっと聴いてきたので、ヴァイナルは今回、初めて入手しました。私にとってはここまでが、Ultravoxだと思っていますので、以後のアルバムや活動については割愛させてもらいます。前回・前々回にバイオグラフィーは書いてあると思いますので、そちらを参照して下さい。このアルバムのメンバーはWarren Cann (Dr, Rhythm machine, Vo), Chris Cross (B, Synth, Vo), John Foxx (Vo), Billy Carrie (Kbd, Violin)のオリジナルメンバーに加えて新加入したRobin Simon (G, Vo)の5人組です。まあ、曲の完成度と迫力、コンセプトから言えば、これまでのアルバムの中では断トツですね。捨て曲無しです。タイトルの「浪漫のシステム(構造)」なんてイカしているじゃないですか?勿論、Conny Plankのスタジオで録音して,一緒にプロデュースしてます。それから、このアルバムからバンド名の最後の「! (ビックリマーク)」が無くなりました。本作は、タイトなリズムセクションは今まで通りで、ギターはグラム調で、弾きまくってます。また、曲調はより耽美的で伸びやかになり、かつクールな面も持っていると言う奇跡のアルバムとなりました。コンビネーションもバッチリだったんですが、USツアー後、John Foxxがソロ活動に注力したいとのことで、脱退、その数か月後、GのRobin Simonも抜けます。それで残ったメンバーは元Rich KidsのMidge UreをVo/Gで加入させ、”Vienna”で大ヒットを飛ばします。後は皆さんの知ってるように有名になっていきます。一方、John Foxxは、ソロアルバム ”Metamatic”を発表し、”Mr Quiet Man”と称されて、エレクトロ・ミュージックの世界で成功を収めています。本作でもお約束の「しっとりした」曲”Just Foe A Moment”もB面最後に収録されています。 https://youtu.be/zzmPbidTKLQ #Ultravox #SystemsOfRonsnce #ConnyPlank #NewWsve #GramRock #分裂 #IslandRecords
NEW WAVE Island Records 1800円Dr K2