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The Nocturnal Emissions “Drowning In A Sea Of Bliss (Anthems of Meat Generation)”
Nocturnal Emissions (以下NEと表記す)は、1970年代末にNigel Ayersが中心になってDerbyshireで結成され、1980年にLondonに移っていたサウンド・アート・プロジェクトで、今までに様々なスタイル(電子音響、ミュージック・コンクレート、ハイブリダイズド・ビート、サウンドコラージュ、ポスト・インダストリアル、アンビエント、ノイズ・ミュージックなどなど)を取りながら、多数のレコードやCDをリリースしてきています。この時期は、Danny AyersとCaroline K(2008年没)が協力していましたが、1984年以降はNigelのソロプロジェクトとして活動をしています。そして1990年から1992年には欧州や英国及び米国で、暗黒舞踏とNEはコラボをしています。日本人の振付師白石ポッポ(?)が主なコラボレーターになっています。また、この辺りで、NEは、状況主義者(或いはシチュエーショニスト・インターナショナル?)の影響もあって、”Magick”, “Stone Circles”, “Techno-Shamanism”, “Neo-Paganism”, “Animism”, “Fortean Research”からのアイデアなんかを益々取り入れています。更に、マンチェスターのTVディレクターCharlotte Billによるアニメ映像ともコラボレーターとして参加しています。CharlotteはNEのオフィシャルなメンバーではなかったですが、The Fallのメンバーの1人になっています。また、NEは、後に、AAA (Association of Autonomous Astronauts)のケルト部隊とも関係を持つようになりました。 それで、本作品なんですが、NEとしては3枚目のアルバムになります。私が興味を持ったのは、当時、このアルバムのレビューを秋田昌美さんがしていて、結構、誉めていた(と記憶している?)のもあった訳です。リアルタイムでは買えなかったんですが、何とか欲しいものだなあと思って狙っていたんです。まあ、それは置いておいて。このアルバムの完成度は凄いです。彼等の得意とする情報心理戦的音響が途轍もないスピードで現れます。まあ要するにサウンド・コラージュなんですが、ネタがそれぞれ怪しい訳ですよ。多分、戦争とか事件とか疾病とか軍隊とかペドフィリアとか、そう言うネガティブな事象に関する音やテープ音と、リズミックで土着ディスコな楽音をサウンド・コラージュした音楽なんですが、この組み合わせ方が秀逸な訳ですよ。完成度は多分、初期NEとしてはピカイチですね。しかもジャケ写からしてサブリミナルな訳で、トータルで傑作です!まあコラージュ(勿論Nurse With Woundとは違う)なんで、曲名が書いてあってもどれがどの曲かは不明で、全部繋がっていますが、それも有りと思います。そんな雑多な情報心理戦なるものが有効であった時代の産物ですね。今なら、インターネットで何でも見ようと思えば見れるので、このような手法は、時代的背景によって評価は変わってきますが、単に実験音楽としても面白いです。なので、あの哀愁あるノイズミュージックを堪能したいのであれば、是非とも聴いてみて下さい。勿論、ノイズ・ファンも必聴です! https://youtu.be/9l-jQ6c_wE4 #TheNocturnalEmissions #DowningInASeaOfBliss #SterileRecords #Industrial #SoundCollage #PsychicInformationWar #NigelAyers #DannyAyers #CarolineK #Subliminal
Noise / Industrial Sterile Records 不明Dr K2
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The Nocturnal Emissions “Fruiting Body L.P.”
1979年末に英国Derbyshireで活動を開始したNocturnal Emissions (NE)は、間違いなく、インダストリアル・ミュージックの起源の一つだと言えましょう。1980年の結成当初のメンバーはNigel Ayers, Caroline KそれにNigelの兄弟Dany Ayersですが、1984年以降はNigel Ayersのソロプロジェクトになりました。その音楽性は時代によって多岐に渡り、電子音響系、ミュージック・コンクレート、ハイブリッド・ビート・ミュージック、コラージュ、ポスト・インダストリアル或いはダーク・アンビエントなどの様々なノイズミュージック形態をとっていますが、これは、彼等が、元々、ビデオや映画及びハイパーテクストなどのマルチメディア活動の一部として、サウンド・アートも使っていたからかもしれません。彼等は1980年頃に自身の自主レーベルSterile Recordsを立ち上げ、NEを始め、多数のインダストリアル・アーティスト/グループの作品をリリースしてきています(後に、レーベルはEarthly Delightとなります)。第一弾のリリースは、1979年のコンピで”Standard Response”となります。参加者はNEを始め、Leif Thuresson, Moving Finger, Lieutenant Murnau, S.M. Andrews, Cultural Amnesia, Organbank, MB, Murderwerkers, Johnny Alien, Loss of Headとなります。その後、1980年にはNEの前身とされているThe Pumpのカセット”Just Want To Dance”を、また、同年には、彼等自身のファースト・アルバム”Tissue of Lies”もリリースしています。当初から、メールアートを介して「音響心理戦」なるものを目指していたのも、特徴ではあります。そんなNEのセカンド・アルバムが、1981年にリリースされた本作品”Fruiting Body”となります。正直に言うと、これを初めて聴いた時は,ピンときませんでした。それは、例えば、曲名が裏ジャケとかに書いてあるのですが、その通りに曲間がなっていなかったり、強烈なノイズを期待してのに、Throbbing Gristleを越える音楽を提示していなかったからかもしれません。今回、聴き直してみても、同様の感想ですね。しかしながら、得体の知れない作為は感じられます。それは、彼等が「音響心理戦」なるものを目指していたので、ひょっとするとサブリミナルに何かを仕込んであるのではないか?とか、不鮮明なノイズ・ミュージックの間に挟まれるテープ音に何らかの作用があるのではないか?とかの、作品を聴く事前情報によるからだと推測します。そんなNEですが、この「未消化な」ノイズ作品も触れてみてはどうでしょうか? [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLHP7bAjOIkpCrpkBV2LVypP2EHE-UvWbS #NocturnalEmissions #SterileRecords #FruitingBody #IndustrialMusic #SubliminalEffect #MailArt&Music
インダストリアル Sterile Records 不明Dr K2