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Nord “s/t”
君はNord (「ノール」と発音)を知ってるか?そう、日本で最初にノイズのフルアルバムを出した音楽の極北がNordなんです。メンバーは片山智と及川洋のデュオで、結成は1979年。やがて、1980年になると、東京などでライブ活動を始め、時にはMerzbowとのコラボ・ライブなどもやっていたそうです(ZSF Produktよりカセット作品が何本か出ています)。二人は音楽の極北を目指すという意味でNord(仏語で「北」の意味)と名付けたらしいです。1981年に記念すべきデビューアルバム”Nord”をPinakotheca Recordsより出しています。後になって、片山さんにお話しを聞いた時には、いきなりスタジオに入って、ギターとラジオやシンセ(低価格のもの、YAMAHA?)で、ほぼほぼ一発録りで録音されたとのこと。このアルバムは早速購入して、A1 “Labyrinthe”の初っ端の法螺貝のような咆哮にビックリした覚えがあります。内容は後述しますが、このレコードのアートワークを及川さんが1人で勝手にやった為、ラベルには首吊りのフォト・コピーが、そしてジャケ写も何かの死体らしきもの(聞いたことはあるのですが、今はうろ覚えです)が使われており、当時の世界的なノイズ・シーンとは呼応していましたが、片山さんは気に入っていなかったとのこと。その為か、1983年にNordは分裂し、ライブ活動を中心とした片山Nordと、録音メインな及川Nordになり、どちらもNordを名乗っていました。ライブを一切しなかった及川Nordは分裂後、自身のレーベルL・S・D Recordsを立ち上げ、2枚のLPと4本組みのカセット作品をリリースした後に、活動が途絶えてしまいます。一方、片山Nordは、現在Japanoise Netを運営している伊藤真と共に、デュオでライブ活動を続けていきます。1990年代には都内を中心に、雑誌「電子雑音」の勧めもあって、割とライブを頻繁にしていたのではないでしょうか?その時のライブ録音を纏めて編集した曲を3曲選んで、片山Nordとしては初のCD”Electronic Meditation”を私のレーベルKinky Musik Instituteから出しています(これは自慢したい❗️)。しかしながら、2003年に伊藤さんが脱退し、この後に、Astroの長谷川洋と内田静男が加入し、ライブを再開しますが、2006年に長谷川さんは離脱。基本的には片山さんのソロユニットになっているようです。ライブも年に数回とかですが、最近は、モデュラーシンセを使っているようです(私は未見)。ライブではお香を焚いて、視覚と嗅覚と聴覚を刺激するのは、片山さんが裸のラリーズのファンだからでしようか(因みに片山さんの奥様もラリーズのファンらしいです)。 それで、本作品は、分裂前のNordの唯一のアルバムです。先に書きましたが、兎に角、T.G.とかWhitehouseとかSPKとかと違う、何か不穏な恐ろしさを持った音であると言うのが、当時の私の正直な感想でした。特にB面片面を全部占める”Utopie”は、何か分からない恐怖感さえ覚えました。多分、私にとっては、日本のノイズ・アーティストの中で一番ショッキングな体験でしたねぇ。今、聴くと、それ程、凄いことをやっている訳では無いのですが、当時、下宿で1人ヘッドフォンで聴いていると、恐ろしさを感じていました。なので、私にとっては、ノイズミュージックのバイブル的なアルバムです。その音楽を分析するのではなく、初期衝動に植え付けられた「音」の記憶さえ有れば良いと思っています。ほんとうに究極ですね。皆さんも是非、ノイズの生まれた瞬間を体験してみてください。因みに片山さんは全然怖い人ではありませんので、ご安心を。 https://youtu.be/yEdGeO6wBi8 #Nord #PinakothecaRecords #FirstAlbum #Noise #Originator #SatoshiKatayama #HiroshiOikawa #StudioRecording #裸のラリーズ #Guitar #Synthesizer #Radio
Noise Pinakotheca Records 2500円?Dr K2
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CockC’Nell / Sighing-P Trio “s/t”
これは、レア中のレアなブツですよ、何と、1980年代初頭に活動していたPinakotheca Records (ピナコテカ・レコーズ)が出していたカセット作品特集の一環で、何とCockC’Nell (コクシネル)とレーベル・オーナーでもあった佐藤隆史さんのバンドSighing-P (Trio或いはOrchestraになることも)のスプリット・カセットです。今や、中古市場にも出回らない、出てもめっちゃ高価なアルバムです。A面はCockC’Nell のライブ録音で、5曲が収められています。一方、B面はSighing-P Trioとして2曲の長目のライブ曲が収められています。CockC’Nellは基本的に野方攝(のがた せつ: Vo, G)さんと池田洋一郎(G)さんが中心になって1980年頃に結成されたバンドです。解散前に2枚のアルバムと7㌅シングルなどを出しています。2002年にリユニオンされ、今でも活動しています。ここでのメンバーは先述の2人に加えて、今井次郎 (B, Kbd, Vo), 石渡明廣 (Dr), 島根孝典 (Sax)が加わった編成となっています。メンバーも音の表層的構造は変わりましたが、今は金沢に移って、新たな活動をしているみたいです。オリジナル・メンバーは池田さん、野方さん以外に、工藤冬里 (Kbd)、前衛劇団「時々自動」の故今井次郎 (B)、近藤達郎 (Dr)、「喜多郎グループ」故小島康夫 (Vln)、故島根孝典 (Sax, Vln)、早川岳晴 (B)、石渡明廣 (Dr)が初期メンバーで、金沢へ移ってからは当時美大生だった山際英樹が加わったとのこと。日本のロックはCockC’Nellが居れば充分と言わんばかりの、歌詞とそれに同期したバンドのスポンティーニアスな音。完璧です。野方さんの力強く、一語一語をハッキリと発音する歌は本来、そうすべきであった日本のロックだと確信しています。一方、Sighing-Pに関しては、情報が殆ど無く、また音源も殆ど無いので、うろ覚えの知識で書きますが、レーベル・オーナーの佐藤隆史さん(Piano, Ring Modulator)が中心となって、1979年に結成されたプロジェクトで、毎回メンバーを誘ったり、参加は自由と言うスタンスだったりで、Trioの時もあれば、大人数のOrchestraになることもあったようです。私は大学生の頃、彼等の演奏(その時は4、5人だったような?)を生で観ていて、特にリング・モデュレーターを繋いたエレピを弾く佐藤さんに釘付けになりました。ピアノでこんな音出るんだぁと感心してた訳です。本作品のSighing-P Trioでは佐藤さん以外に、大村礼子 (Vo: 現工藤礼子)そんと工藤冬里 (Dr)が参加しています。この録音で残念なのは、佐藤さんのモデュレーション・ピアノの音が余り聞こえないことですね。佐藤さん、ピナコテカを畳んでから、実家に戻ってからは、音楽関係者とは連絡不能状態なので、これ以上のことは書けません。悪しからず。またSighing-Pの音源はオフィシャルなモノはこれしか無いので、このカセットは親を売ってでも入手して下さい。またピナコテカのこのシリーズほカセット作品は当時も余り出回っていませんでしたので、レアものが多いと思います。見つけたら即ゲットです❗️ CockC’Nell “せんそう” https://youtu.be/tJJ9i2bemx8 #CockC’Nell #Sighing-PTrio #PinakothecaRecords #YojiroIkeda #SetsuNogata #TakafumiSato #日本のロック #FreeFormImprovisation #CassetteAlbum #SplitAlbum
Avant-Music / Improvisation Pinakotheca Records 郵便代Dr K2
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Pungo “1980-1981”
これが1980年代初頭の音楽だ!と言っても、もつピーンと来る人は少ないだろうなあ。と言う訳で、パンクとタンゴを掛け合わせた音楽(←ウソ)をやっていた、その名の通り、Pungoの登場です。勿論、日本のバンドです。と言うか、当時は、不定形ユニットとして活動してましたね。基本のメンバーは菅波(向島)ゆり子 (Vln, Accordion)、 今井次郎 (B)、 篠田昌已 (Sax)、 石渡明廣 (G)、 久下惠生 (Dr)、 佐藤幸雄 (G)、 佐藤隆史 (Piano, Dr)、鈴木惣一郎です。兎に角、当時は凄かった。50人ものPungo Orchestraのようになったかと思うと、Pungo 2分の1になったり、メンバーもいたり、いなかったり。まあコア中のコアの菅波(向島)さんが居れば、基本、Pungoとして成り立つような緩さがありましたね。 特にタンゴのパンク的解釈というようなことはなく、寧ろ、「擬似ワールドミュージック」的な音楽ですね。その中で、(故)篠田昌己さんのフリーキーなサックスはその音色と言い、入るタイミングと言い、大好きでしたね。基本的には、当時は、ここら辺のマイナー周辺の人達は余り好きではなかったです。何かズルく生きていこうとするのがダメでしたね。○藤○里さんが、一緒に飲みに行っても、割り勘じゃなくて、上手く逃げて他人に払わせるとかね。そう言うの、もう勘弁してと思っていましたから。でもそう言う噂は噂として、お祭り騒ぎのような祝祭の音楽が収められています。当然、ちゃんとしたライン録音でもなさそうですし、多分、ラジカセでライブを録音した中からセレクトして、LPにしたモノだと思います。貴重な音源、佐藤さん、どうも有難うございました。あれから30年以上が経ちましたが、未だに新しい発見のある音楽です。なので、皆さんもこの古びない音楽を聴いてみて下さい。 https://youtu.be/ix1VQ0tXrU0 #Pungo #1980-1981 #PinakothecaRecords #YurikoSuganami #JiroImai #MasamiShinoda #AkihiroIshiwatari #KugeYoshio #YukioSato #TakafumiSato #SoichroSato #Punk #Tango
Avant- Rock / Improvisation Pinakotheca Records 1200円位?Dr K2