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Blondie “Eat To The Beat (邦題「恋のハートビート」)”
またまた出ましたよーん?くどい? でしようね。今回もニューウェーブ・バンドBlondieの4枚目のアルバム”Eat To The Beat”の紹介です。前回に引き続き、バイオグラフィーも追加します。このアルバムは1979年9月にリリースされ、前作”Parallel Lines”の音楽性を踏襲していますが、米国での成功は芳しくなかったみたいです。ただし、英国では、このアルバムからシングルカットされたシングル3枚がいずれも、トップ20位に入ると言う勢いがありました。特に”Atomic”はBlondieのシングルとしては英国1位になった3番目のシングルとなっています。しかしながら、A-1”Dreaming”はシングルカットされましたが、英国のチャートインは逃しています。そう言うこともあって、Chrysalis RecordsのLinda CarhartはJon Roseman Productions US担当部門に全ての曲にプロモ・ビデオを付けられないか?と打診し、ディレクターにDavid MalletをプロデューサーにPaul Flatteryを起用し、NYCの周辺や市内で撮影を敢行しています。Blondieの次のシングルは、大ヒットした”Call Me”で、Debbieとイタリア人作曲家兼プロデューサーGiorgio Moroderとのコラボから端を発した曲になります。彼は既にDonna Summerのヒット曲を手掛けていましたので、Blondieの起用は大抜擢ですね。この曲は、Richard Gere監督作”American Gigoro”の主題歌として録音されていますが、1980年2月に米国でリリースされると6週連続1位になって、大ヒットします。その後、一枚アルバムを出しますが、1981年頃からDebbieとJimmy Destriはそれぞれソロアルバムを出します。またClem BurkeはEurhysmicsのデビューアルバム”The Garden”でDrを叩いてます。それぞれがソロ活動を始めた頃に、Frank Infanteが前作アルバムで参加しているのに、クレジットが無いことで、バンドを訴えますが、一応、バンドに留まることで治まります。しかし、Debbieは「次のアルバムで、ジャケ写に彼が写っていても、彼の参加はもう無いわ。」と言っています。そんな中で、Debbieは女優としても活動し始め、特に有名なのが、1983年公開David Cronenberg監督作”Videodrome”ですね。翌年、Blondieのベストアルバムがリリースされ、新作もリリースされますが、商業的に今ひとつであったことや、それによってアルバムを作るプレッシャー、またDebbieばかりが注目され、他のメンバーの存在感が希薄になっている状況など問題が噴出してきており、それらが最高潮になった時、Chris Steinが稀な自己免疫性皮膚疾患である尋常性天疱瘡にかかっていることが判明。当時も彼のパートナーであったDebbieが、その看護に専念する為、バンドは1982年に解散を表明しています。治療費だけでも$100万掛かり、また、Debbieはその費用の捻出の為、ソロアルバムの売り上げや市内のマンションからダウンタウンへの引越しなどでを献身的に看護し、Chrisは何とか回復します。その後、Blondieは1997年に再結成されています。まあその後、話しはまた。因みに2006年に彼等は「ロックの殿堂」入りを果たしてます。 それで、本作品なのですが、Blondieの4枚目のアルバムで、前作と同様にMike Chapmanがプロデュースしています。一時期、私はここら辺のBlondieの曲は仕事中サブスクでヘビロテしていましたので、随分、聴いていた時期があります。曲は全然、メジャーでも通用するポップなものが多いですが、DebbieのVoに合わせるかのように、綺麗でメロウなトーンが合う曲とちょっと下品な濁声が合う激しいトーンが合う曲が、バランスよく収められており、楽しめます。やっぱりKbdがいるバンドは好きだなあ、6人組は人数多いけど。曲は粒揃いで、それぞれ良いところがありますが、タイトル曲”Eat To The Beat”の弾ける感じとかは良いですね。あと”Accidents Never Happen”も耳元で囁かれると堪らんですね。歌詞はなんか皮肉ってるようですが。”Atomic”もDebbieの朗々と歌う感じとディスコ調の楽曲がマッチしてます(Nigel Harrisonのベースソロあり)。個人的なハイライトはB-6最後の曲”Living In The Real World”の始まりの掛け声ですね。矢張り、彼等の出自はNYのダウンタウン(Max’s Kansas CityやCBGB)だっだのだなあと感じます。まあ、こんなメジャーなニューウェーブなんて興味がないと言う方もいるでしょうが、まあそう言わずに聴いてみて下さい。何かが発見出来るかも? [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLI6kLIhBBwmSBpZF38dkgNuC7oBBMbj5p #Blondie #BeatToTheEat #ChrysalisRecords #NewWave #NY #DebbieHarry #ChrisStein #ClemBurke #JimmyDestri #NigelHarrison #FrankInfante #Atomic #AccidentsNeverHappen #Dreaming
NEW WAVE Chrysalis Records 不明。Dr K2
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Pere Ubu “New Picnic Time"
皆んな、待ってたよぉー、米国産「明るい闇」のバンドPere Ubuのサード・アルバム”New Picnic Time”の登場です❗️Pere Ubuのバイオグラフィーは前にも書いたと思うのですが、ちょっと補足したおきますね。前身はオハイオ州Clevelandのプロトパンク・バンドRocket From The Tombsが発展的解散をして1975年に結成されたのが、このPere Ubuです。結成はCrocus BehemothことDavid Thomas (Vo)と1977年に他界したギターリストのPeter Laughnerによって1975年に行われ、初期のシングル”Heart of Darkness”や”Final Solution”と言った名曲をリリース。その後1978年にアグレッシブなファースト・アルバム”Modern Dance”をリリースして、一気に名を馳せます。まあ商業的には成功したとは言えませんが、アンダーグラウンド・ミュージック界ではかなりの影響を与えたのではないでしょうか?この頃のメンバーは先述のち2人に加えて、Tom Herman (G), Tim Wright (B), Allen Ravenstine (Synth), Scott Krauss (Dr)で、バンド名は仏作家Alfred Jarryの不条理演劇作品「ユゥブ王」から取られてます。2枚のシングルを出した後、Peter Laughnerが脱退し、なんとDead Boysに加入!そして、Tim Wrightも脱退し、DNAに加入、代わりにTony Maimoneがベースで加入してます。それでPere Ubuの特徴とも言えるのが、Allenのシンセの使い方です。それまでのシンセ奏者はピアノやオルガンのようにシンセを弾いてきましたが、Allenはまるで1950年代のスペーシィーな効果音、恐らく電子音楽やミュージック・コンクレートのような音をロックバンドで初めて使っています。それは「全くのオリジナル」と評されています。そして、セカンド”Dub Housing”、サード”New Picnic Time”をリリースしていきます。1979年にバンドは一度解散しますが、Tom Hermanが抜けた代わりに、Red KrayolaのMayo Thompsonが加入して、すぐにバンドは立ち直りました。それで4枚目のアルバム”The Art of Walking”を1980年に、ドラムが、Anton Fierに代わってから5枚目のアルバム”Song of the Bailing Man”を1982年にリリースしています。しかしなから、Tony Maimone (B)とScott Klauss (Dr)が新バンドHome and Gardenを結成する為に脱退する一方で、Davidはソロ活動に集中して、Richard ThompsonやHenry Cowのメンバーとコラボしていったこともあって、バンドは解散状態に。1987年になって、Jim JonesとChris Cutlerが加わることでバンドは復活し、アルバム”The Tenement Year”を翌年リリースしています。この後もメンバーはコロコロ代わったりしながらも、バンドは続いていきますが、2000年代初頭にガレージ・リバイバルで、Rocket From The Tombsが再評価された関係で、Pere Ubuも再評価されています。その後も、メンバーの入れ替えはあるもののアルバム作製やツアーをコンスタントに行なっており、最近では4LPボックスセット”Nuke The Whales: 2006-2014”を2022年4月1日にFireからリリースするなど活動を続けています。後半はかなり端折りましたが、ザックリとこんな感じになると思います。 それで、本作品”New Picnic Time”の内容ですが、いきなりイントロ無しの曲”Have Shoes Will Walk”で始まり、Pere Ubu節とすら言える楽曲が続きます。このアルバムは前作”Dub Housing”よりは聴きやすいようにも思いますが、そこかしこにメンバーの度量とルーツを仄めかす音が入っています。しかし、Allenの効果音のようなシンセ使いは画期的ですね、この時代にこんなシンセの使い方してるミュージシャンって居なかったでしょう。しかも、他のメンバーもそれを許容してたのも革新的だと思います。そして何よりもDavid Thomasの大袈裟で演劇的なヴォーカルは凄いです。歌い方に合わせて録音方法を替えているのも拘りですね。これ程、大胆に時代を横切った作品はないでしよう。皆さん、女房をや旦那を質に入れてでも聴いてみて下さい❗️ A1 “Have Shoes Will Walk (The Fabulous Sequel) “3:16” A2 “49 Guitars And One Girl” (2:51) A3 “A Small Dark Cloud” (5:49) A4 “Small Was Fast” (3:39) A5 “All The Dogs Are Barking” (3:03) B1 “One Less Worry” (3:49) B2 “Make Hay” (4:03) B3 “Goodbye” (5:18) B4 “The Voice Of The Sand” (1:28) B5 “Jehovah's Kingdom Comes” (3:17) https://youtu.be/_n3UgCkQTd4?si=pyK2JLeE7Rj2w1us [full album] https://youtube.com/playlist?list=PL0BA11F8407E3EF33 #PereUbu #NewPicnicTime #ChrysalisRecords #ThirdAlbum #RocketFromTheTombs #AvantRock #ArtRock #DavidThomas #AllenRavenstine #TomHerman #ScottKlauss #TonyMaimone
Avant-Rock / Art Rock Chrysalis Records 不明。Dr K2
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Pere Ubu “Dub Housing”
これもアメリカだが、70年代末にクリープランドで結成されたPere Ubu(ペル・ウブと発音)の2nd full albumです。元々はRocket from the Tombsから派生したバンドで、余り文化的に活発では無かった地方都市から、70年代後半頃にミュータントの如く「変な」バンドが出現しており、Pere Ubuもその一つ。VoのDavid Thomasのキャラと、此処彼処に仕掛けられたぐちゃぐちゃ感のある演奏が素晴らしく、またこのアルバムではかなり電子音を用いた実験的な曲も収められている。個人的には高校生の頃、このレコードを買って、かなりショックを受け、特に”Caligari’s Mirrorや”Navvy(これ「土方』って意味だが)などから「世界一悲しい」バンドと思っている。現在もDavid Thomasだけがオリジナルメンバーだか、活動は続けている。アメリカの「闇」です。因みに、このアルバム参加メンバーは、David Thomas (Vo, Organ), Allen Ravenstine (ELM Synth, Sax), Scott Krauss (Drs), Tom Herman (G, B, Organ), Tony Maimone (B, G, Piano)です。 A1 “Navvy” (2:43) A2 “On The Surface” (2:40) A3 “Dub Housing” (3:40) A4 “Caligari's Mirror” (3:48) A5 “Thriller!” (4:35) B1 “I, Will Wait” (1:46) B2 “Drinking Wine Spodyody” (2:44) B3 “(Pa) Ubu Dance Party” (4:47) B4 “Blow Daddy-o” (3:37) B5 “Codex” (4:56) A4 “Caligari’s Mirror” (MV) https://youtu.be/j7EwTcn_Lbw?si=czDTHApA9OczQBB4 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLW1w8neoXejvI0tQjOH12g17FybZn6Awz&si=rzAaQX3qQlIz6R54 #PereUbu #DubHousing #Chrysalis #Avant-Rock #ArtRock #Experimental #RocketFromTheTombs #Cleveland #DavidThomas #AllenRavenstine #ScottKrauss #TomHerman #TonyMaimone
Avant-Rock / Experimental Chrysalis Records 2000円位Dr K2