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Absolute Body Control “Is There An Exit?” in “Tapes 1981-89” box set
いよいよ、これでAbsolute Body Control (以下、ABC)のボックスセットの紹介は最後になります。今回は、彼等のファースト・シングル”Is There An Exit?”のスタジオ・ヴァージョンとライブ・ヴァージョンのカップリング7㌅シングルとなります。先述しましたように、このシングル(スタジオ・ヴァージョン)は、彼等のカルトヒットしたシングルになります。オリジナルのシングルはベルギーのBritz Recordsより1981年にリリースされたものであり、L1とL2は、1983年1月22日にMelseleのDjemでの同名曲のライブ音源となっています。また、K面では、Mark De Jonghe (Synth)が参加していますが、L面では代わりにEric Van Wonterghem (Synth)が参加しています。そう考えると、このEPは貴重な作品だと言えます。K1とK2は、何処となく懐かしさを感じるアレンジで、この2曲で、ABCが世に知られるようになった記念すべきトラックと言うことになります。また、Dirk Ivensの声も若いですね。一方、L1とL2は、ライブ・トラックと言うこともあって、Veerle De Schepperのコーラスがやや目立ち、バックのシンセもやや簡素になっていますが、L2 “I’m Leaving”では、アレンジが大幅に変わっており、バックでウネウネするシンセが効果絶大です。 と言う訳で、ABCのカセット作品(特に自身のレーベルBody Recordsからリリースした5枚の作品)と最初のシングル曲のスタジオ・トラックとライブ・トラックを抱き合せたEPから成るボックス・セットを1枚ずつ紹介してきましたが、どうでしたでしようか?ABCのこのボックス・セットは、Vinyl On Demandにしては珍しく、再発しているようなので、それだけのニーズ/人気があったと言うことでしょう❗️ABCはまだ現役なので、機会があったら、是非とも気に留めておいて下さい❗️ K1 “Is There An Exit?” K2 “I'm Leaving” L1 “Is There An Exit? (live)” L2 “I'm Leaving (live)” K1 “Is There An Exit?” https://youtu.be/fvdYgjT-Zpw K2 “I’m Leaving” https://youtu.be/B42azptD8fA #AbsoluteBodyControl #IsThereAnExit? #I’mLeaving #BritzRecords #VinylOnDemand #Reissue #Belgium #SynthWave #ElectronicPop #FirstSingle #StudioVersion #LiveVersion #Synthesizers #Vocal #RhythmMachine #DirkIvens #MarkDeJonghe #EricVanWonterghem, #VeerleDeSchepper
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Absolute Body Control “Tracks” in “Tapes 1981-89” box set
ベルジャン・シンセ・ウェーブの始祖の一つでもあるAbsolute Body Control (以下、ABCと表記)の第5弾は、”Tracks”です。この作品は、元々1982年2月〜1989年7月の期間に、作製されたカセット作品からの曲とこの時期に国際コンピに提供した曲をコンパイルしたセルフ・コンピレーション・アルバムとして、Body Recordsよりカセット作品としてリリースされたものです。メンバーは、いつものDirk Ivens (Vo, Synth)と Eric Van Wonterghem (Synth)で、曲によってはVeerle De Schepper (Back-Vo)も参加しているとのことです。なお、J4とJ5は、ボーナストラックで、1983年3月19日にKontichのLintfabriekで行われたライブ音源で、J4 “Nightclubbing”は、David Bowie&Iggy Popの曲のカバーです(The Human Leagueもカバーしていましたね)。やはり、1989年作ともなると、機材の進歩や録音技術の向上が著明で、聴き応えも十二分です。また、I2 “Final Report”やJ3 ”Suffer In Silence”のようにインダストリアルな要素を取り入れた曲もあり、ABCとしての音楽の幅も広がっています。それと、I4 “Faceless”やI7 “Car Fever”(殆ど喘ぎ声)でのヴォイスの使い方やI5 “Tanzmusik”のようなインスト曲も格段にスキルが高くなっていますし、メロディも秀逸になっています。また、リズムマシンも高級機になり、シンセもデジタルのような音色に聴こえます。それと、J1 “Do You Feel It Inside?”は、最初期の曲(LP1 “Untitled”のB2)のセルフ・カバーなのですが、やはりこの手の音楽は機材の進歩と並行するので、更に魅力的にアレンジされています。また、先述のJ4 “Nightclubbing”のカバーも結構かっこ良く、The Human Leagueによるカバーと比較するのも楽しいんじゃないかな? まあ、歌詞は英語みたいなので、そこら辺は好みが分かれるところかも知れませんが、ABCの集大成的な作品であるとは言えますね❗️もし、今までの4枚LPが琴線に触れたリスナーさんであれば、きっと、この作品も「どストライク」ですよ‼️ I1 “Slow Action” I2 “Final Report” I3 “Faceless” I4 “Film 1” I5 “Tanzmusik” I6 “Lonely This Night” I7 “Car Fever” I8 “Film 3” I9 “B6” J1 “Do You Feel It Inside? (Remake)” J2 “Me And My Desire” J3 “Suffer In Silence” J4 “Nightclubbing” J5 “Switch On” J1 “Do You Feel It Inside?” https://youtu.be/iMdhnjJPe5s?si=DylpiMdowB4yQTVV [BandcampのURLを貼っておきます] https://absolutebodycontrol.bandcamp.com/album/tracks-1989 #AbsoluteBodyControl #Tracks #BodyRecords #VinylOnDemand #Reissue #Belgium #SynthWave #ElectronicPop #SelfCompilationAlbum #InternationalCompilation #Synthesizers #Vocal #RhythmMachine #DirkIvens #EricVanWonterghem #VeerleDeSchepper
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Absolute Body Control “Live” in “Tapes 1981-89” box set
さてさて、次に行きますよー。ベルギーのシンセ・ウェーブの至宝Absolute Body Control (以下 ABCと表記)のボックスセット第4弾は”Live”です。元々は、1984年に自身のレーベルBody Recordsからカセット作品としてリリースされていたものです。ライブ時のメンバーは、Dirk Ivens (Vo, Synth)とEric Van Wonterghem (Synth)で、Veerle De Schepper (Back-Vo)も参加しています。そして、内容は、G1-G3は、1983年3月19日にKontichのLintfabriekでのライブ音源を、G4-G6とH1は、1984年1月13日にBoechoutのSfinksでのライブ音源を、G7は、1983年1月22日にMelseleのDjemでのライブ音源を、H2とH3は、1984年9月30日にNiklaasのInfraroodでのライブ音源を、H4-H6は、1984年12月23日にBeverenのFunky Kingstoneでのライブ音源をコンパイルしたものです。なお、G1 “So Obvious / Sister Ray”の後半(これはちょっと良く分からなかった)はLou Reedの曲で、G3 “Radiation”はSuicideの曲で、更に、H6 “Back To Nature”はFrank Tovey (Fad Gadget)の曲のカバーを演っています。音は、単純に言ってしまえば、リズムマシンとシーケンサーにシンセのメロディやリフ、更にヴォーカルが入ると言う構造なのですが、カバー曲も含めて、どの曲も単純ですが、カッコ良いです。ヴォーカルはAlan Vegaを思わせる面もあり、彼等のルーツを想像する上で、ヒントになるかもです。そして、各曲の根本は、「テクノ」ではなく、「ロック」なリズムが中心であることも指摘したいところです。また、本作品にはライブ感もあり、適度な緊張感を持っての演奏で、引き込まれますねぇ。それと、色んな所でのライブ音源なのに、連続して聴いても、それ程違和感がありません。それだけ、彼等がライブ慣れしていると言う事でしようか?貴重なライブ音源を集めていますので、ABCのライブ・バンドとしての魅力を存分に感じることが出来ると思います‼️ABCの音楽にハマったリスナーさんは必聴ですね❗️ G1 “So Obvious / Sister Ray” G2 “Is There An Exit?” G3 “Radiation” G4 “I Wasn't There” G5 “Dance Dance” G6 “Pictures On The Wall” G7 “Touch Your Skin” H1 “Burning Inside” H2 “So Hard” H3 “Move Up” H4 “Wait And See (It Is Just)” H5 “Dirt” H6 “Back To Nature” H2 “So Hard” https://youtu.be/nMLCO0x4-k0?si=Gl4y8HQXFpEK998u [BandcampのURLを貼っておきます] https://absolutebodycontrol.bandcamp.com/album/live-1984 #AbsoluteBodyControl #Live #BodyRecords #VinylOnDemand #Reissue #Belgium #SynthWave #ElectronicPop #LiveTracks #Synthesizers #Vocal #RhythmMachine #DirkIvens #EricVanWonterghem #VeerleDeSchepper
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Absolute Body Control “Figures” in “Tapes 1981-89” box set
さて、次に行きますよー。Absolute Body Control (以下、ABCと表記)のボックス・セット第3弾は”Figures”です。再び、曲名も付いて、ヴォーカルも入った作品になります。オリジナルのリリースは、1983年で、メンバーは、Dirk Ivens (Vo, Synth)とEric Van Wonterghem (Synth)で、それにVeerle De Schepper (Back-Vo)も加わっているようです。F4-F6はボーナストラックで、1983年1月22日にMelseleのDjemで行ったライブ音源です。しかも、F4 “Cheree”はSuicideのカバー曲です。この頃になると、機材的にも技術的にも大きな進歩があったようで、見違えるようなかなり高度な録音になっています(勿論、今回もリマスターはしてあるとは思いますが)。多分、この作品がABCのカセットとしては最高傑作じゃないかな? そんな貴重な音源をLPとして再発してくれたVinyl On Demandに大大大感謝です❗️内容も最高なので、シンセ・ウェーブ・ファンはみんな聴くべし‼️ E1 “The Man I Wanna Be” E2 “Automatic 1” E3 “Love At First Sight” E4 “Melting Away” E5 “5 Minutes” E6 “Figures F1 “Give Me Your Hands” F2 “Terminus” F3 “Automatic 2” F4 “Cheree” (live) F5 “Cover Of A Magazine” (live) F6 “Did You Do It?” (live) F1 “Give Me Your Hands” https://youtu.be/txsp1FFUeQ8 [BandcampのURLを貼っておきます] https://absolutebodycontrol.bandcamp.com/album/figures-1983 #AbsoluteBodyControl #Figures #BodyRecords #VinylOnDemand #Reissue #Belgium #SynthWave #ElectronicPop #ThirdAlbum #Synthesizers #Vocal #RhythmMachine #DirkIvens #EricVanWonterghem #VeerleDeSchepper
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Absolute Body Control “Numbers” in “Tapes 1981-89” box set
ベルギーのシンセ・ウェーブの至宝Absolute Body Control (以下、ABCと表記)のカセット作品の再発ボックス・セットより、第二弾は2本目のカセット作品”Numbers”の再発LPで、オリジナルは1982年リリースです。この作品では、明瞭な曲名が付いておらず、全て通し番号になっています。また、本作品は、2013年に独レーベルSleepless Records Berlinで、デジタル配信での再発をされていますが、それ以外には今まで再発されておらず、今回の再発は大変貴重なものとなっています。しかも、今回は全てインスト曲と言う徹底振りです。ここら辺で、Veerle De SchepperやMark De Jongheが脱退したようで、メンバーはDirk IvensとEric Van Wonterghemとクレジットされています。内容は、先述のように、全てインスト曲です。それで、リズムマシンも確かにTR-606も使っていますが、曲によってはDR-55やCansioToneのプリセットの安っぽいリズムマシンを使ったり、逆に高級リズムマシンTR-808を使っていたり、或いはシーケンサーだけでリズムマシンを使わない曲があったりとヴァラエティに富んでいます。と同時にヴォーカルがない為か、曲も短くなっているように思います。実際はC面10曲B面6曲となっていますが、オリジナルのカセット作品が60分テープだったので、「曲が多い=曲が短い」と感じてしまうのでしょう。本作品はABCの中でも、最も抽象的な作品でると同時に最も実験的作品でもあると言えるでしょう。そんな挑戦的なABCの作品は、懐かしさと共にアイデアの豊富さに思わず感嘆してしまいます❗️なので、これもABCの語る上で重要作品ですね。必聴❗️ C1 “Numbers 01”〜C10 “Number 10” D1 “Numbers 11”〜D6 “Number 16” D4 “Number 14” https://youtu.be/3wgnzT7O_mE [BandcampのURLを貼っておきます] https://absolutebodycontrol.bandcamp.com/album/numbers-16 #AbsoluteBodyControl #Numbers #BodyRecords #VinylOnDemand #Reissue #Belgium #SynthWave #ElectronicPop #SecondAlbum #Synthesizers #Vocal #RhythmMachine #DirkIvens #EricVanWonterghem
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Absolute Body Control “Untitled” in “Tapes 1981-89” box set
いよいよ、このブツを紹介する時が来ました❗️そうです、ベルギーのEBMの始祖にしてシンセ・ウェーブの先鋒Absolute Body Control (以下ABCと表記)の膨大なな作品をLP其々にコンパイルしたLP5枚組と7㌅シングル1枚から成るボックス・セットです。ただ、私がこれをどうやって入手したのかは良く覚えていないんです(老人性健忘症?)。それで、先ずは、ABCのバイオグラフィーを紹介します。ABCは1979年に、ベルギーにて、Dirk Ivens (Synth, Vo)にMark De Jonghe (Synth)とVeerle De Schepper (Back-Vo)が加わって結成されたエレクトロ・バンドで、シングル"Is There An Exit?"がちょっとしたカルト・ヒットになって、その界隈で有名になりました。その後、1981年に、De Jongheは脱退し、代わってEric Van Wonterghem (Synth)が加入しています。ABCはその後もライブ活動や1993年〜2005年の間に国際コンピ等へ参加したりして、じわじわと知名度を高めていきます。1984年から、Ivens自身のレーベルBody Recordsから着実にカセット作品をリリースしており、世界的なカセット・カルチャー・シーンでも活躍しています。今回のボックスセットもここら辺のカセット作品の再発ですね。恐らく、ここら辺の時期にDe Schepperは脱退しているようです。その一方で、IvensとVan WonterghemはThe KlinikとSonarと言う別ユニットでも並行して活動していきます。ABCは、2007年にアルバム“Wind[Re]Wind”をCDと(ピクチャー)LPでリリースし、2016年にも2枚組LP(これについてはDiscogsに記載はない)をリリースしています。更に、2010年には、アルバム”Shattered Illusion”を独Daft Recordsからリリースしています。2020年には、3枚組のABCへのトリビュート・アルバム”Absolute Body Control - 1980/2020”をスペインのOraculo Recordsがリリースしています。2021年には新録の10㌅Mini-LP”A New Dawn”をポーランドのMecanicaからリリースする一方で、未発表曲をコンパイルした4枚組LP又は2枚組CDでボックス・セット”Lost/Found”も同レーベルよりリリースしています。 ザッとABCの活動はこのような流れになります。それでは、LP1 “Untitled”を紹介します。これは、元々Body Recordsの第一作目としてセルフ・タイトルで、1981年にカセットでリリースされていました。なお、B5-B7の3曲は、1983年1月22日にMelseleのDjemでのライブ音源で、後に再発された時に追加された曲です。今回は、各曲の解説はしませんが、アナログ・シンセによるメロディ、シーケンサーでのベースライン、そして、恐らくRoland TR-606と思われるリズムマシン(曲によってはBOSS DR-55も使用)に、男(女)のヴォーカルと言う、正にシンセ・ウェーブの王道な音楽がたっぷりと収められています。またB3 “Games For Laugh”などのように、過剰なディレイを掛けたちょっと実験的な曲も含まれています。なので、1980年代初頭のシンセ・ウェーブに興味のある方は是非とも、この作品は体験して欲しいです❗️また、今では入手困難なアルバムをLPで再発してくれたVinyl On Demandに感謝です!因みに、A3 “Baby’s On Fire”は1979年のBrian Enoのソロ・シングルのカバーです。 A1 “Waving Hands” A2 “Touch Your Skin” A3 “Baby's On Fire” A4 “So Obvious” A5 “Total Control” B1 “A Broken Dream” B2 “Do You Feel It Inside?” B3 “Game For A Laugh” B4 “Shake” B5 “Intro” B6 “A Better Way” B7 “Turning Around” https://youtu.be/QtxSQCm8j84 [BandcampのURLも貼っておきます] https://absolutebodycontrol.bandcamp.com/album/untitled-1981 #AbsoluteBodyControl #Untitled #SelfTitle #BodyRecords #VinylOnDemand #Reissue #Belgium #SynthWave #ElectronicPop #FirstAlbum #Baby’sOnFire #Synthesizers #Vocal #RhythmMachine #DirkIvens #MarkDeJonghe #VeerleDeSchepper
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Cour de Récré “s/t”
これまた「謎物件」!殆ど何の知識も無く、ちょっとだけ説明文を読んで、購入したアルバムで、このCour de Récréが如何なるバンドかは全然知りませんでした(ついでに読み方も分からん)。それで、ちょっと調べてみました。レーベルはスペインのElefant Recordsですが、バンドは仏Toulouseで活動しています。メンバーはChloé Crozat (女性Vo), Quentin Lasseyte (Instruments, Vo), StanことStanislas Batisse (Instruments, Vo)の女性1人と男性2人のトリオです。まだ、Cour de Récré (「遊び場」とか「校庭」の意味?)としては、ミニアルバムCD1枚と、デジタル・シングル1作、それにコンピCDRへの参加が1枚だけで、本作品はちゃんとしたフル・アルバムとしてはファーストになります。また、このアルバムは、レーベルElefant Recordsの新人バンド発掘シリーズ”New Adventures In Pop”の第53弾になります。最初のリリースが2018年なので、恐らくはその前(2016年位?)からは活動していたと推測出来ますが、ハッキリと書いてある資料はなかったです(すまん!)。資料がBandcampにありましたので、それからの和訳を掻い摘んで書いておきます。このバンドは元々、StanとHéloïse (この人物については不明)のデュオとして始まりましたが、Stanは仏Avignonに、HéloïseはチリのSantiagoに住んでいた為、バンドと言うよりプロジェクトみたいなものであったようです。その後、直ぐに、Stanの友人Quentinが加入し、ライブ要員として、Heloïseの代わりに、Chloéが参加しており、後には録音でも参加するようになります。しかし順風満帆とは行かず、Stanは2年間、カナダに移住しており、その為、最初のEP “Éponyme”は2018年になって、やっとリリース出来たようです。それで、2019年に、Stanは仏Avignonに戻ってきますが、今度はChloéはParisに行ってしまいます。どうもこのトリオには「距離」が付いて回るみたいでしたが、漸く2021年に、本作品であるファースト・アルバムをリリースしています。このトリオは、言わばシンセ・ポップに括られるのですが、彼等の曲には、Aline, La Monja Enana, Freezepop, The Pirouettes, Denimからの影響も少しはあるようです。それでは、Bandcampの解説も含めて、各曲を紹介していきます。 A1 “Chanson Cathartique”は、LIOの“Amoureux Solitaires”やÉtienne Dahoの“Tombé Pour La France”で聴かれる途轍もない楽しさに溢れていますが、一方で、彼等自身の素晴らしい才能も光っています。それは、多くのラブソングが持っているドラマ性に対して、全く新しい方向からのアプローチしたりする点です。この失恋ソングは、何でも悪い方向に持っていってしまう非モテの「彼」が、恋していることに気付いて、恥じらいながらも、最初の恋愛に再度挑戦し始めると言う話しなんですが、歌詞の絶妙なストーリー性とダンサブルな楽曲を持っているのも高評価出来る点です。更に、この曲では、コーラスやベルで予想外のエンディングも用意されています。A2 “Soleil Levant”は、Stendhal症候群(これは調べてみて!)についての歌詞で、ディスコティックに盛り上がりますが、ヌーベル・ヴァーグ好きの日本人女子と恋に落ちる、日本映画推しのフランス人男子の話しについての曲で、Chloéのロリータ・ヴォーカルが堪能出来て、ダンサブルです。A3 “Le Jardin De Nobuko”は、ノスタルジーには何の価値も無いと歌う、極めて甘いポップ・ソングで、France Gall (私にはStereo Totalっぽく聴こえる)のようなMiaの若々しい歌声も聴けます。A4 “Coeur Cruel”は、このトリオが一番最初に作った曲で、EPとはヴァージョン違いが収められています。アシッドなベースラインと完璧なコーラスも聴くことができ、踊っても良し、メロディに酔いしれるのも良しの、これぞ、ポップと言うべき曲です。A5 “Agathe Agathe”も、彼等のサウンドを押し上げた曲の一つで、バロック的で、時にアップテンポで異形のシンセ・ポップであり、物凄くナイーブな恋心を歌っています。 B1 “Le Roi Est Mort”は、ルイ16世を国民裁判で死刑にした一方で、その為にマリー・アントワネットが悲しんだことを国民自身も思い起こした逸話についての曲で、アルペジオとシンセのリフ(ギターも使っている?)が特徴的な曲です。B2 “Vice Et Werther”は、ゲーテの「若きウェルテル(Werther)の悩み」を再構築した曲で、ウェルテルと別れたシャルロットが「ベストフレンドは近過ぎる。良い友人は人生に必要だか、恋愛は子供の遊びのようなもの」と言う意見を正当化しようとするもので、これをアシッドなベースラインとヴォコーダーと安物のシンセを使って、アップテンポのテクノ・ポップに仕上げています。Chloéと男性のヴォーカルの掛け合いが良いです。B3 “Palacio Ideal”はスペイン音楽の影響を受けているとのこと。と言うのも、Stanの父親は家でElefant Recordsのアルバムを沢山掛けていたからだとか。この曲は郵便屋さんのChevalとその娘の話しですが、Chloéが歌謡曲のように歌っています。B4 “Désolé Je Ne Fume Pas”は女の子のファンタジーについての曲で、その中では、彼氏は煙草を吸っているとのことです。WHOへの挑戦みたいな気持ちをシンセ・パンクな曲にしています。アルバムの中で、一番アップテンポで、Chloéのヴォーカルもやや荒っぽいですね。B5 “A L’ombre D’une Jeune Fille En Pierre”は、仏小説家マルセル・プルーストの作品と関係があるようで、ある彫像に恋した少女の話しで、歌詞も、仏作家/歴史家/考古学者プロスペル・メリメの小説”La Vénus d'Ille”から着想を得ています。また曲も最初はバラード調ですが、段々と”Dirty Dancing”由来の異形のファンク・ジャムへと変化していき、このアルバムを締めています。 とまあ、こんな内容らしいのですが、音楽は基本的にかなりピコってるシンセ・ウェーブでかつ舌足らずに聴こえる仏語の女性Voのコケティッシュで、甘酸っぱいサウンドが詰まっています。どうもデジタル・シンセを使っているらしいのですが、どう聴いても、1980年代のシロップ漬けシンセ・ポップのようで、いやーもう書いていて、こっちが赤面するような曲が盛り沢山です。そう言う意味では、かなり貴重なトリオと言うことが出来ますね。なので、あの10代の頃の甘酸っぱい想い(還暦過ぎたおっさんが言うのもなんですが)に浸りたい時には最適な音楽ですので、中にはドストライクな方もいるのではないでしょうか‼️ B2 “Vice Et Werther” https://youtu.be/poyMxtZrSyE [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mGD0clEQM2WeOkyByJtaloUzbT0XZpGtE [BandcampのURLを貼っておきます] https://newadventuresinpop.bandcamp.com/album/cour-de-r-cr #CourDeRécré #ElefantRecords #FrenchPop #SynthWave #NewAdventuresInPop #Vocal #Electronic #Synthesizers #RhythmMachine #ChloéCrozat #QuentinLasseyte #StanislasBatisse #Stan #Toulouse #FrenchLoveSongs #10代の恋愛
Synth Wave Elefant Records 1800円Dr K2
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Soloist Anti Pop Totalization “S.A.P.T.”
とうとう、買ってしまいました!Soloist Anti Pop Totalization (以下SAPTと表記)のセカンド・アルバム”S.A.P.T.”です。この長い名前のユニットは、東京のRikinari Hataのソロユニットなのですが、副題にTokyo Industrial Synth Punkと書いてあるように、日本では珍しいミニマル・ウェーブ、即ち、シンセ・パンクな音楽をやっています。私は多分、先に出ていたCDRを購入して、興味を持ったのだと思います。また、動画などで、彼の機材を見ていると、Roland SH101, Roland TR606, Roland MC202, BOSS DR-55と言う古いアナログな機材を使っており、その機材に対するこだわりとかそこからの発展性や発想とかをビシビシ感じます。また、ライブでは、上記の機材に加えて、彼のヴォーカルも聴くことが出来ます。歌詞は割と「批判的」なものをストレートに歌っているようです。元々は、The Warm(私はこのバンドについては全く知りませんでした)と言うバンドを10年間やっており、心機一転、2016年に、ソロで宅録シンセ・ウェーブ・ユニットSoloist Apartmentとして活動を開始し、その後、プロジェクト名をSAPTに変えて、Soloist Apartment, WAR/ZITなど、様々なタイプとアーティストとのコラボやリミックスを手掛けています。一聴すると、無機質かつ金属質に聴こえますが、彼は「幅、音像、熱量」などに重きを置いているとのことで、海外のラジオやDJ/アーティスト達からセレクトされています。2017年には、伊Dub-itoから12㌅LP”Untitled”をリリース、2019年には、本作品をCD付きLPとして日本のDebauchMoodからリリース。2020年夏には、英国Polytechnic Youthよりサンプル集的コンピ・アルバムLP”Some Neon Reason”にも収録され、同年冬には、独Minamikombinatより、過去の作品をセルフ・コンパイルしたアルバムをリリース。同時期には、独で活動しているNao Katafuchi氏主催の国際的コンピ・シリーズ”Forbidden Figures”にも参加、また英国Polytechnic Youthより、ファン限定のクリスマス・チューン”Ode To Street Hassle”も公開しています。2021年9月にSAPT三部作の第一弾として、”4 Songs On Extend Play”を先行デジタル・リリース。同年末、仏シンセウェーブ・デュオPeine PerdueのStéphane Argillet Stereovoidが設立したアート・レーベルObjet Trouvéより、神戸の電子音楽ユニットJin Cromanyonとのスプリット・アルバム”Synth In Japan”をリリースしています。 それで、本作品の内容ですが、ソロ・ユニットなので、Hata氏が1人で全てを操作・作曲をしています。それから彼のメイン・シンセがSH101なので、私もTechno Mensesで使い倒しましたが、本来、この手の音楽(シンセ・ウェーブなど)向けの機材だと思います。内容を聴いて行きますと、ノイジーなA1 “Synthetic Introduction”で幕を開け、A2 “Insubstantial”はシンプルながらも、無表情なヴォーカルが淡々と続く曲です。A3 “Unknown I”はちょい実験的なインスト曲で、A4 “In The Body”は特殊なディレイを掛けたヴォーカルと、途中で入ってくるシンセによるノイズがイカしてます。A5 “Unknown II”もやはり、SE的電子音ノイズから成ります。B1 “Depression (Part 2)は、シーケンスの妙とエフェクトを掛けたヴォーカルの無機質さの組み合わせが興味深いです。B2 “Unknown III”はシーケンスを用いた実験的音響で、インスト小曲。B3 “Other”は裏打ちのリズムとシーケンスがカッコ良いノリの良い曲で、深めのディレイを掛けたヴォーカルも効果的。B4 “Decade”はいきなり、テープ音とシーケンスから始まるリズムパタンとドローンようのシーケンスが効果的な曲で、テープ音なのか?ヴォーカルなのか?が判定できません。B5 “Unknown IV”もシーケンスするシンセとSE的電子音とテープ音から成るインスト小曲で、本作品を締めています。この手のシンセ・ウェーブ/ミニマル・ウェーブをやっているグループやアーティストは日本には殆どのいないので、SAPTは、その意味で貴重な存在だと思います。また、YouTubeで拝見したインタビューでは好きなアルバムに、TGやCabsやThomas Leer, Robert Rentalなどが収録されている”Industrial Music”のコンピ・アルバムを挙げていたことから、本作品の”Unknown”の4曲は、そう言ったルーツの確認なのかも知れませんね。個人的には、歌詞(勿論、日本語)がちょっとストレート過ぎるようにも思いますが、そこら辺をもう少しソフイストケートさせたら、もっと良質なポップになると思います。でも、SAPTは、この現代において、敢えてヴィンテージなアナログ機材で、素晴らしい音楽を作っているので、これからの活動に期待大です❗️因みに、アートワークは名古屋のNOISECONCRETE x 3CHI5のJunji Ono氏がやっており、音との相性は抜群です! Live at Contact,May 22, 2022 https://youtu.be/3mFHBFdkMgY [partial album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nTqbuVWO4uG7v-_t8GPI0AB0-xRM9OVaM BandcampのURLも貼っておきます。 https://debauchmood.bandcamp.com/album/s-a-p-t-lp #SoloistAntiPopTotalization #DebauchMood #Japanese #SynthWave #MinimalWave #Industrial #RikinariHata #SoloAlbum #SoloUnit #LP&CD #Synthesizers #RhythmMachine #VintageSynth #JunjiOno #Artwork
Synth Wave Debauch Mood 1700円Dr K2
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Aboriginal Voices “Instant Music”
今回は、1980年代初頭に活動していたスイスZurichデュオAboriginal Voicesについて紹介します。アルバムは”Instant Music”と言うタイトルで、2022年に再発されたものですが、彼等が活動していた1982年に、リリースされていたEPと同名のカセットに収録されていた曲及び未発表曲をコンパイルしたものが、今回のアルバムの内容になっています。メンバーはMicheline Pfister (Synth, Vo)とWüsteことHeinrich Zwahlen (Drum Machine, G, Vo)の男女2人組ですが、どうもPfisterの方は、モデュラーシンセも使っているようです。彼等については殆ど情報が無いですが、ライナーノーツを調べてみました。元々は、2人とも正統な音楽教育を受けていたらしいのですが、Wüsteはヴァイオリンを習っており、ジャズを学んでいました。その後、プログレ・バンドに加入しますが、英国のパンクムーブメントの影響を受けて、彼はZurich最初のパンクバンドNasal Boysに加入、当時は、女性バンドKleenexなんかと対バンしていたようです。ただZurichはダダイズムが盛んだったこともあり、単に3コードパンクにはならず、ミニマルな音楽志向が強かったり、若者の不満の爆発もあったようです。それと同時に「何をやっても自由」と言う風潮もあり、同時としては日本製の電子楽器等を使ったバンド(Kreaftwerk, DAF, Yello等)もZurichでは流行っていました。一方、女性メンバーのPfisterはクラシック・ピアノの教育を受けており、また、早くから家を出ており、街の最もホットなブティックであったBoosterで、照明関係の仕事をしていました。彼女は既に、WüsteとDoobie Doosと言うバンドで一緒で出したが、1980年に、彼等2人と、後にUnknownmi Xとして有名になるMagda Vogelと共にAboriginal Voicesが結成されます。Vogelは最初だけで、声楽家としてトレーニングを受けることになります。それでデュオになった2人はとにかく何でも自分達だけでやろうととして、Wüsteがギター、Pfisterはシンセ (Yamaha CS40M, CS-01, Roland SH-101)を担当し、ライブでも録音したテープは使用せず、ドラムマシンにはLinn Drumを、シーケンサーにはRoland MC-4Bを使い、モデュラーシンセRoland System 100Mを走らせていました。また、照明装置との同期の為に、自作のインターフェースを作成して使用していました。それで、1982年に1枚のEPと2本のカセットだけをリリース。その後、Wüsteは、米国NYCに移住しており、Aboriginal Voicesは解散となっています。それで、後に、バンドElement of Crimeのリーダーであり、独の有名な音楽ライターでもあるSven Regenerが、Aboriginal Voicesのことを再評価したのがキッカケで、今回、NYCのWüste自身がエディットして、本作品がリリースされたと言う訳です。 それで内容なんですが、流石にこれだけの機材を揃えているので、単なるミニマル・ウェーブではないですし、曲もそれなりに展開があるシンセ・ウェーブ(エレ・ポップ)で楽しめます。時代なんでしようか、A1 “Automatic”なんかは、ちょっとだけPlasticsにも似てますね。また、やや低音でドイツ系女性らしいPfisterのヴォーカルが何とも魅力的で、キッチュな曲にマッチしています。しかしながら、演奏写真で、Roland System 100Mと言う箪笥のようなモデュラーシンセを操っている彼女の姿は、凄くカッコいいですよね!そんな隠れたスイスのシンセウェーブAboriginal Voicesのアルバムを一度、聴いてみませんか‼️ハマるかもよー。限定300枚なので、お早目に! A3 “Gardens of Delight” https://youtu.be/dasL3uQEZw0 A5 “Distant Star”” https://youtu.be/Dh9Ebikrdts B1 “Switch’N’Play” https://youtu.be/Q8a7C-ds07M B3 “My Destination” https://youtu.be/2y1UizVJjjY B5 “Instrumental” https://youtu.be/dy9V91SgAu8 EP (B2 “Le Jour L'Ennuie”, A2 “Loops”, A1 “Automatic”, A4 “Equal” B4 “Use It”) https://youtu.be/FArK0j9NwcU #AboriginalVoices #InstantMusic #BillbrookRecords #Reissue #LimitedEditions #300部 #SynthWave #ElectroPop #Switzerland #Zurich #1982 #MichelinePfister #Wüste #HeinrichZwahlen #Synthesizers #DrumMachine #Vocals
Synth Wave Billbrook Records 4400円Dr K2
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A Blaze Colour “Against The Park Trees Beyond”
これは完全に欧州物シンセ・ウェーブと言うことで購入しました。ベルギーのA Blaze Colourのセルフ・コンピ・アルバムです。彼等のバイオグラフィーを調べたのですが、殆ど情報がありませんでした。メンバーは、Karel ‘Bam’ Saelemaekers (Synth [Korg Polysix, MS20, M10, Casio VL Tone], Sequencer [SQ10] )とLudo Camberlin (Synth [Roland Jupiter 4, Roland SH2], Drum Machine [DR-55, TR808] )から成るデュオです。このデュオは現役時代には、カセット1本とシングル2枚(7㌅と12㌅)しか出しておらず、その詳細は不明です。その現役時代も、1981年〜1983年と言う短期間で、結成は1980年初頭にベルギーのLeuvenでと言われています。彼等がバンドを組んだ背景には、シンセが安価に入手できるようになったと言うことがあるみたいです。何でも、ライブトラックをコンパイルしたブートレッグがあるらしいのですが、これは本人達も確認できていないそうで、信ぴょう性に欠けるようです。それで、内容なんですが、多分、リズムボックスはBOSS DR-55と言う一番安価な物も使っていると思います。一応、シーケンサーと同期されていますが、簡素なシンセのリフやメロディから成る曲が多いです。ポップなことはポップなんですが、ん〜ひっかかりが無いと言うか、もう一つ個性的なところがあると良いなあと思います。でも、1980年代の欧州で流行ったシンセ・ウェーブの一端を知るには良いアルバムなので、聴いてみてはどうでしょうか❗️ https://youtu.be/rRsLkjHtiy4 #ABlazeColour #AgainstTheParkTreesBeyond #OnderStroomRecords #SynthWave #Belgium #Minimal #ElectroPop #Karel‘Bam’Saelemaekers #LudoCamberlin
Synth Wave OnderStroom Records 不明Dr K2
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The Actor “Exploded View + Demos 1981-1984”
皆さんは、The Actorと言うバンドを知ってますか? 実は私も全然知らなくて、ただ1980年代初期のデュオと言うだけで購入しました。それで彼等のバイオグラフィーを調べてみました。メンバーはオランダ人のMarcel Reimer (Vo, Synth)とSander Horsthuis (Synth)のデュオですが、元々は、Reimerが、1980年に5人で、A minorの単コードだけでジャム・セッションをやっていて、その中から、”Unreal Personality”と言う曲が生まれたのですが、その曲の歌詞の中にThe Actorと言う重要なキーワードが含まれていたことから、Reimerは学校の親友Horsthuisを誘い、2人でデュオとしてThe Actorと名乗って活動を始めます。1980年代初期と言うと、世間では宅録が流行っていましたが、多くはノイズ・ミュージックみたいなものでした。そこで彼等は、もっと世間にアピールする為にポップ路線を取り、欧州或いは蘭で有名だったレーベルTrumpett Tapes (因みに私は全く知りませんでした)より、最初のカセット作品”Exploded View”を1982年にリリースしました。彼等は英語と独逸語で歌っており、当時としてはかなりファッショナブルでモダーンでダンサブルな音楽でした。その後、1984年には、”A New Concept Every Day”をリリースしますが、3番目のメンバーとして、女性VoにSabien Jilesenを加入させ、”Simple Pop”と言う曲に、彼女の叫び声やため息を加えています。1985年になると、彼等はジャス風でアコースティックな路線に変更します。そして、彼等はPhonogram傘下の Mercury Recordsと契約を結び、今までの作品の曲を再録音しています。この時、バック・ヴォーカルとしてMathilde Santingが参加していますが、Santingは後に有名な蘭人シンガーになっています。また、シングルでリリースされて”Cover Girl”は多くのリスナーに支持されています。 まあ、ここら辺までは調べてられましたが、現在も活動中かどうかは不明です。それでは、本作品の内容について紹介していきたいと思います。本作品は2枚組で、LP1は彼等の最初の作品”Exploded View”をそのままリマスターしています。またタイトル通り、LP2では、1981年〜1984年の間に録音されたデモテープからのチョイスになっています。LP1ですが、ドラムマシンとシーケンサーとシンセとヴォーカルから成る、所謂シンセ・ウェーブと言うか、エレ・ポップですね。まあ、曲の構造や展開も突出したものは、正直、余り感じません。アレンジもかなり音数を削ったものになっています。特にA面とかはシンセの音色とかベースラインの音色とかが同じ感じでちょっと飽きますね。B面はまだ音色に変化がありますので、楽しめますが、、、。何となく、初期のHuman Leagueの劣化版のような、、、。Voにも華が無いんですよ。その意味では、B4 “Picture 210”やB5 “Gentlemen & Pettycoats”でやっとVoも生き生きしてくると言う感じです。なので、もう少し曲の配置が変わっていたら、また違う印象になるのでは?と思いました。一方、LP2ほ10曲中7曲がデモトラックからなるのですが、録音が荒いせいか、いきなり弾んだようなエレ・ポップが収められており、またアレンジも凝っていて、こちらはLP1の単調さとは異なり、演奏に華があります。まあ確かに、Voの録音仕方は拙いですが、それでもLP2の方が好みですねー。それと残り3曲は他のコンピなのに収録された曲からなりますが、この3曲も凝っており、かつ勢いがあって好みです。なので、本作品はLP1の削ぎ落としたクールさとLP2のはっちゃけた勢いとを楽しむことが出来ます。その意味で、The Actorの両面を楽しめる作品になっていますので、1980年代初期に蘭で花咲いたシンセ・ウェーブThe Actorを是非是非聴いてみて下さい❗️ LP B4 “Picture 210” https://youtu.be/c6F8RYAxsiQ LP A2 “Light” https://youtu.be/K2vswWsjpf0 LP2 “Demos 1981-1984” https://youtu.be/qsWjP20GuBA #TheActor #ExplodedView #Demos1981-1984 #MannequinRecords #Reissue #Bonus #SynthPop #Dutch #TrumpettTapes #MarcelReimer #SanderHorsthuis #Synthesizers #DrumMachine #Vocal #EnglishOrGermanLyric
Synth Wave Mannequin Records 4400円Dr K2
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V.A. “Non Plus Ultra 1980-1987”
このレコードをいつ買ったのか?何故買ったのか?よく分からない。と言うか、多分、これは1980年代のシンセ・ウェーブのコンピだから、買ったのでは?と思います。ここに収録されているグループは全部スペイン産ですが、グループも曲も全く知らないのばかりです。でも、私には、音楽自体は凄いド・ストライクなんですよ。こう言う1980年代のシンセ・ウェーブって、やっぱり、単音シンセを使ったり、リズムマシンを使ったりで、私がK2以前からやっていた宅録テクノ・ポップを思い出して、涙が出ますね。まあそれは置いておいて、本作品ほ内容に行きますね。このアルバムは、スペインのバルセロナのDomestica Recordsからリリースされており、Carlos PanequeとJordi Serranoによってコンパイルされたアルバムです。 少し、グループや曲について書きますね。A1は U.H.P. “Quién Lo Ve”ですが、U.H.P.はUníos Hobreros Proletariosの略で、メンバーはJuan AntonioとRogelioとLopez Cuenca兄弟にAntonio Jaime Urbanoに加わったらしいです。更に1987年にAlain Pineroが加入。この曲はスペーシーなイントロSEからプリミティブなシンセ・ポップですね、熱いVoがスパニッシュですね。A2はVam Cyborg “Actos De Maldad”で、本作品の中でも、ディスコ色と言うかラテン色が強いダンサブルな曲です。スペインのマツケンサンバ⁉️元々はVicente Aguileraを中心に1970年代後半に結成されましたが、通常のロックバンドからエレ・ポップ・バンドへと変わり、Jesús Aparicio (Synth, Vocoder, Perc, Vo), Gloria Nadeau (Vo), Vicente Aguilera (Synth, G, Perc, Vo), Ricardo López (Synth, Perc, Vo)と言う布陣になっています。GloriaのVoが気の強そうな感じで、良いです。A3はTodoTodoの”Megaciclos De Verano”で、未発表曲で、メンバーはCarmelo Hernández Ramos, Francisco García Roma, Pedro Vidalのトリオです。これまたスペーシーな効果音を多用した曲で、Voとヴォコーダーの掛け合いが面白いです。A4はM.A.D.の”Transmigración”で、Kと言うバンドが解散して出来たAntonio Terrestrial とCarlos Delgadoのデュオです。ユニット名はMutual Assured Destructionの略で、珍しく生ドラムを使っています。少しだけHeldonっぽい感じもしますが、矢張りそこはシンセ・ウェーブですので、チープです。A5はFernando Gallegoの”Almuerzo Desnudo”と言う曲ですが、メンバーはJosé Luis FerrerことTeru(Vo), José Héctor Marco (Synth, Dr Machine), Hilario Traver (Kbd), Juan Vicente Vernia Juanón (B)です。Juan Luis Montoliú以外のFuneraria Vergaraのメンバーが結成したバンドで1984-1986年は、このバンド名で活動していたそうです。BPM高目のドラムマシンと煽るようなVoが暑苦してい如何にもスパニッシュです。 B面に移ります。B1はKalashnikov “Ultraviolencia (Versión Casete)”で、SPKやPortion Controlなどに影響を受けたバンドで、メンバーはEileiter Perez Cors, Juan Jose Relano, Victor E. Alonsoです。これもBPM高目ですが、インダストリアルというよりもEBMっぽいですね。Portion Controlは近いかも?それにしてもメロディアスなシンセ・リフがあって、少し泣けますね。B2はAviador Dro “Ballet Parking 1er Acto”で、1979年にこのバンドの母体てあるEl Aviador Dro y Sus Obreros Especializadosが結成されています。この時点で既に、彼らはスペインのエレ・ポップの元祖と言われ、1979年末には自分達の音楽を「テクノ・ポップ」と称しています。曲自体はどちらかと言うとダークな曲調に仕上げています。B3はLínea Vienesa “La Isla De Las Sirenas”で、メンバーはRicardo Llorca (Kbd), L. Ramon G. Del Pomar (G), Mavi Margarida (Vo, Dr.Machine), Patricia Alvarez de Lorenzana (B)で、珍しくギターやベースが入っています。こちらも、ギターとかが入っているからか?女性Voだからか、4ADのような物憂気な曲調でしっとりと決めています。B4はAutoplex “Clockwork Mirror”で、メンバーはFrédéric Callis (Synth, Piano, Chrus)とFrans Beltran (Vo, G, Synth, Dr Machine, Revox Sequences)がオリジナルで、ライブ要員としてRamon Rotllan, Enric Marin, Catherine Olivaが加入している様です。リズムがエレクトーンのリズムボックスみたいですが、曲自体は紛うこと無きシンセ・ウェーブです。B5はLa Caida De La Casa Usher “Insecticidios”で、この曲はヴィデオクリップの為に作られた曲だそうです。メンバーは、Gabriel S. Arias (G), Luis R Velázques, (Korg MS-20) Rafael Gordo (Anvil, Perc, Korg KR-55), Victor Díaz-Cardiel (Korg MS-10)です。この曲は、本作の中で一番、実験的かな?単音シンセ2台使ってるし、ギターもフリーキーだしね。 と言う訳で、各のバンドのこと調べるのに手間取ってしまいました(途中でデータも飛んだし)。何でも”Vol.2”もあるとのこと。そちらも聴いてみたいですね。もし、スパニッシュ・シンセ・ウェーブに興味がある方は聴いてみて下さい。 https://youtu.be/st6JcYQwX8o #NonPlusUltra1980-1987 #VariousArtists #DomesticaRecords #Spain #SynthWave #U.H.P. #VamCyborg #TodoTodo #M.A.D. #FernandoGallego #Kalashnikov #AviadorDro #LíneaVienesa #Autoplex #LaCaidaDeLaCasaUsher
Synth Wave Domestica Records 不明Dr K2
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The Human League “Holiday 80z”
英国の工業都市シェフィールドから出てきたThe Human Leagueで、これが分裂前の最後のリリースとなります。このミニアルバムは分裂時にリリースされたもので、本国では7”EPとか7㌅2枚組などの様々な形態でリリースされていましたが、日本向けには、2曲追加して12㌅のミニアルバムとしてリリースされました。まあ、恥ずかしいことに、大きなレコードラベルにはアイドルっぽい写真が使われてますね 苦笑)。The Human Leagueのバイオグラフィーは前回書きましたので、ここでは割愛させてもらいます。このミニアルバムには、未発表曲,ヴァージョン違い、カバー曲などが収められており、少し散漫な印象を与えますが、聴きどころは多いです。A-1 ”Marianne” は未発表曲で、この1曲だけでも買って良かったと思える程、ポップネスと実験性を併せ持った曲です。何度も聴き直したものです。A-2”Dance Vision”はThe Human Leagueの前身The Futureの時の曲で、実験性丸出しのダンスチューンです。そしてA-3はセカンドアルバムにも収録されていた曲”Toyota City”のロングヴァージョンです。B-1”Rock’n’Roll”とB-2 “Nightclubbing”はDavid Bowieの曲のカバーでメドレーになっています。そしてB-3はセカンドアルバムにも収録されている彼等の初期の代表曲でもある”Being Boiled”(このヴァージョンではThe Boys of Buddhaのシンセ・ホーンがカッコいいです)が収められています。しかしながら、今から考えると、これは、The Human Leagueの名前で一儲けしようと言うレコード会社の思惑が見え見えですね。でも、”Marianne”は名曲なので、それだけでも聴いてみて下さい。 https://youtu.be/1F8aZaI9GJc #TheHumanLeague #Holiday80 #Marianne #DanceVision #ToyotaCity #Rock’n’Roll #Nightclubbing #BeingBoiled
Synth Wave Virgin Records 2000円位?Dr K2