-
Art Zoyd “Les Espaces Inquiets”
発掘しました。仏のアヴァン・チャンバー・ミュージック集団Art Zoyd (仏語なので「アール・ゾイ」と発音)の6枚目のアルバム”Les Espaces Inquiets”をご紹介します。彼等のバイオグラフィーは以前に紹介していますが、取り敢えず、今回のメンバーだけでも記載しておきます。Patricia Dallio (E-Piano, Piano), Gérard Hourbette (Viola, Vln, Synth, Perc), Didier Pietton (Alto-/Tenor-Sax, Perc), Jean-Pierre Soarez (Trumpet, Hügelhorn, Perc), Thierry Zaboitzeff (B, Cello, G, Vo, Tapes, Synth)の5人で、録音とミックスダウンはスイスKirchbergのSunrise Studiosで行われています。それで、本作品なんですが、ちょっと変則になっています。と言うのも、A面3曲目の”Images D'Une Ville-Poussière”が3部構成となっているのですが、第一部と第二部はA面(A3”Errance”とA4” Cortège Des Officiels”)に、そして第三部はB1 (“ Au Delà Des Vallées”)として収録されています。各曲を紹介していきます。A1 “Légendes: La Forêt Qui Avance”は水の音や囁き声も使った本作品のイントロのような曲です。A2 ”Cérémonie”はA面の中でも中心になる、伸びやかな曲ですが、同時にピリピリした緊張感の漂う9分程の大曲です。意外にもバックの進行はミニマルなんですが、しかしそこはただでは済まさない突然の転調や構成、フリーな演奏が待ち構えています。前述のA3 “Errance”はリリカルな生ピアノが沁みる、ゆったりとした曲で、A4 “Cortège Des Officiels”はオーケストラルなシンセと後半の生ピアノが壮大な音風景を描き出す、これまた緊張感のある曲になっています。B1 “Au Delà Des Vallées”は繊細なピアノの旋律から成る組曲”Images D'Une Ville-Poussière”の最終章です。B2 “Migrations”は本作品の中でも13分もある複雑な構成から成る大曲で、各パートの転調や構成を含めて、全員が全ての楽器を用いているかのようです。特に後半では珍しくドラム(? ドラムマシン)も使っています。B3 “Légendes: Le Bruit Du Fer”は、前曲の凄まじいまでの緊張感をチル・アウトするかのような単純なバスドラにチェロやトランペットなどが絡む小曲となって、本作品はフェイド・アウトしていきます。とまあ、こんな構成なんですが、如何にもと言うか、矢張りと言うか、レコメン系プログレに仕上がっていますね。各曲を楽しむことも、アルバム全体を楽しむことも、出来ますので、この手のチャンバー・ミュージックに興味のある方は、こちらも是非、聴いてみてください! A2 “Cérémonie” https://youtu.be/PbciB9UaFmI [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLz4yhtUtNduVbO86zoGszj5jnfADUmLHo #ArtZoyd #LesEspacesInquiets #CryonicInc. #ProgressiveRock #Avant-Garde #ChamberMusic #RecommendedRecords #PatriciaDallio #GérardHourbette #DidierPietton #Jean-PierreSoarez #ThierryZaboitzeff
Progressive / Chamber Rock Cryonic Inc. 不明Dr K2
-
Katra Turana “Kimera”
女装の広池敦氏が独自の言語でVoを務め、チェロやピアノ、ヴァイオリンとドラムと言う特異なアコースティックな編成・コンセプト・パフォーマンスで1980年に東京を中心に話題をさらったバンド、Katura Turanaのセカンド・アルバムです。今回のメンバーも、三木黄太(Cello), 田中信幸 (Dr), 藤田佐和子 (Piano), 松井亜由美 (Violin)そして作曲・編曲も行う広池敦 (Vo, Aluminum tubes)ですが、ゲストが豪華で、B1 “ヤタラちゃんの偏執狂”では原マスミがリードVoで、その他にコーラスで、野沢美香、てふてふの北島妙子、Sandi&The SunsetzのSandiと久保田真琴、地引雄一の他、Barbaraのメンバー、Tyrannosaurusのメンバー、LacrymosaのS. Chihiroなどがコーラスで参加しています。しかも、A4 “ヤタラちゃんの騒音公害”はライブトラックで、熱気に包まれながらも、クールな演奏を披露しており、本作品でも白眉の曲となっています。音楽自体は、一種のチャンバーミュージックであると思われるですが、広池氏の自由な高音Voが、その論理的楽曲を解体し、更なる高みはとアンサンブルを導いています。あと、このバンドを「ロック」の地平に着陸させているのが、ドラムの田中信幸氏であると思います。B1 は2部構成になっており、a) “ヤタラちゃんの偏執狂”とb) “Hudhaby, Lullaby”となったおり、原マスミ氏のVo(ちゃんと歌詞がある)とゲスト達のコーラスが圧巻です。単に色物と言う訳ではなく、全員が相当のスキルがあり、そのスキルを合わせることで、全く新しい音楽を作り上げています。因みに、Katra Turanaは、Recommended Recordsを通じて海外でもよく知られた日本のバンドの一つです(寧ろ、海外の評価の方が高い)。因みに、Katra Turanaが、初めて世に名前を刻んだ作品は、1981年にリリースさらた、LLE Labelのコンピ” 精神工学様変容 (Psychotronic Metamorphosis)”に収められた2曲で、メンバーも若干異なります(私は未聴)。また2022年に突如、Katra Turanaは再結成され、新作CD”Reboot”を出していますので、そちらの方が入手し易いかと思います。日本の地下音楽の一端で生まれた雑食音楽を知りたいと思えば、本作品を是非とも聴いてみて下さい。 https://youtu.be/Fi5LCJXTaPw #KatraKurana #Kimera #TelegraphRecords #ChamberMusic #NeoClassicMusic #ProgressiveRock #AtsushiHiroike #AcousticMusic #AyumiMatsui #KotaMuki #SawakoFujita #NibuyukiTanaka #Chrus
Progressive / Chamber Rock Telegraph Records 3500円位?Dr K2
-
Art Zoyd “Génération Sans Futur”
フランスが産んだ奇才Gérard Hourbette率いるArt Zoyd (「アール・ゾイ」と発音)の3枚目のスタジオ・アルバムです❗️まあ、私もこのバンドの存在は知っていても、その成り立ちや遍歴はよく知らないんですが、「取り敢えず買って聴いてみた」程度ですので、ご勘弁を。このアルバムでは、Patricia Dallio (Piano), Alain Eckert (G), Gérard Hourbett (Vln, Alto), Gilles Renard (Saxes), Jean-Pierre Soarez (Trumpet, Si B), Thierry Zaboitzeff (Violincelle, B, Vo), Daniel Denis (Perc)が参加しています。バンド自体は1969年に結成されてますが、フリー・ジャズとプログレとアヴァンギャルドやエレクトロニカを混ぜてたような音楽を演っています。Art Zoydでは、前述のGérardが亡くなるまでリーダーとして活動していましたが、もう一人Thierry Zaboitzeffもキーマンでした。Thierryは1997年にバンドを脱退していますが、1971年に一緒に活動し、1975年に二人のコンビは完璧になっています。Gérardは2018年5月に亡くなりましたが、少なくともその時期まではパンドは継続していたようです。 それで本作品ですが、所謂「レコメン」系のプログレです。出自はクラシックである為か、より複雑で、またギターよりもヴァイオリンなどの弦楽器や管楽器が音楽の主体を成しており、それ故にか、産業ロックになったGenesisとかPink Floydなどのプログレ・バンドとは一線を画するもう一つの「プログレ」としての存在です。ヴァイオリンとかの音が生々しくて、いつも聴いてるロックのギター至上主義的な曲と違い、どちらかと言うと、クラシックに近い音楽ですね。一時期、流行ったRock In Opposition (R.I.O.:「反対派ロック」と言う意味か?)と言う活動があるのですが、要するは、商業的にビッグになるよりも、そのような音楽産業に対して、自分達の本当に演りたい音楽を演れるようにしようと言う活動です。Art Zoydも勿論R.I.O.に参加していました。なので、これがロックかどうかは別にして、既存の音楽産業とは離れて、やりたいように演ると言う姿勢が伺い知れます。もし、以前に紹介したUnivers Zeroとかが好きであれば、こちらも是非お試しください❗️きっと気にいると思いますよ! “Génération Sans Futur” https://youtu.be/mNEaNFolyUo “Trois Minitures” https://youtu.be/irxjRyHT0Js #ArtZoyd #GénérationSansFutur #AtemRecords #RockInOpposition #GérardHourbette #ThierryZaboitzeff #ModernClassics #Avant-Garde
Progressive / Chamber Rock Atem 不明Dr K2