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The No Comments “Psychedelic ‘C’”
私は、このバンドの名前は聞いたことはあるんですが、どう言うバンドかは、全然知らなかったので、「まあ、一度、聴いてみよう」と思い、本作品”Psychedelic ‘C’”を買ってみました。(敬称略).The No Commentsは、関西のバンドで、元々はAunt Sallyの丸山孝 (Drs)と中岡義雄 (B)が、1979年に結成したバンドで、その時は、明石昌人(G)達を加えた4人編成で活動しています。INU、のいずんずり、ウルトラ・ビデ等と対バンして、日本語のオリジナル曲を演奏しています。リーダーの佐原一哉 (Kbd)は、「京都黒人会」と言う黒人に憧れている京都在住の若手音楽家の寄り合いサークルの発起人でもあり、その影響で、バンドはスカ・ニューウェーブへと傾倒していったようです。それで、1979年秋に中岡が脱退し(恐らく、丸山も脱退し、Drsは西岡潤一郎に)、野田達哉がVoからBにパート・チェンジし、佐原と野杁秀二が再加入、それを機に、Voとして山崎憲、川嶋晃教、中島律子も加入し、8人編成のバンドとなり、音楽性が変わります。そして、彼等は、日本初のスカ・ニューウェーブ・バンドとして名を馳せ、同年大晦日の京大西部講堂でのイベント”REVO ‘80”に出演、Friction、不正療法、グンジョーガクレヨン、突然段ボール等と対バンしています。1980年4月29日から5月2日の間、法政大学学館ホールにて行われたイベント”Imaging kids garage”に、ジグザグ、INU、だててんりゅう等の関西勢とともに出演し、S-KEN、ハルメンズ、イヤミ、CHACHA'82等とも対バンしています。同年6月には、来日したThe Specialsの前座も務めており、また同年、来日したMadnessの日比谷野外音楽堂ライヴでのオープニング・アクトも務めています。そうして、同年12月に、ビクター音楽産業傘下のInvitationより、ファースト・アルバム”No Comments”をリリースし、メジャー・デビューしています。このアルバムでは、”ひょっこりひょうたん島”のカバーをスカでやっています。1981年4月5日には、日比谷野外音楽堂でのイベント”100円コンサート”に出演し、ARB、アナーキー、ロッカーズ、ルースターズ、シルバースターズ等とも対バンしています。同年9月、大村憲司がプロデュースしたセカンド・アルバム”東京ガール”をリリースし、表題曲”東京ガール”はシングルカットされ、早過ぎたスカコア歌謡として再評価の声も高いらしいです。しかしながら、音楽性の違いにより、野田、山崎、明石、野杁が脱退してしまい、野田と山崎は、玉城宏志、安藤”アンディ”文雄、神田ヒデヒロ、望月ジュンコの4人と共に、アーバン・ニューウェイブ・ファンクをコンセプトとするノンカテリアンズを結成しています。1982年には、ノンカテリアンズが本格的に活動を始めますが、残ったThe No Commentsは、同年1月21日に、本作品でもあるサード・アルバム”Psychedelic ‘C’”をビクター傘下のInvitationからリリースしていますが、このアルバム制作時には、川嶋、西岡、野田、山崎、明石、野杁、山崎、会長、りつこがまだ在籍中でした。The No Commentsは、同年12月には大阪バラードでのイベント”千年王国の夜”に出演し、ゲルニカ、Spoil、佐藤薫(EP-4)、Animal-Z等と対バンしています。なお、The No Commentsにもノーカテリアンズにも入っていなかったメンバーは、ノカメ[NO, KA, ME]を結成し、後にコンフントココアーズと改称しています。1983年には、The No Commentsのリーダー佐原が河内家菊水丸と交流を深め、その内、河内音頭に傾倒し、菊水丸のバックバンドとして、1984年に結成した河内家菊水丸&エスノ・リズム・オールスターズでの活動に重点を置くうちに、The No Commentsは自然消滅しています。 以上が、The No Commentsのバイオグラフィーになります。先述のように、本作品は、分裂後にリリースされたものですが、アルバム制作時のメンバーは、Ken Yamazaki (山崎憲: Vo, Sax), Ritsuko Nakajima (中島律子: Vo, Sax), Atsunori Kawashima (川嶋晃教: Vo), Kazuya Sahara (佐原一哉: Kbd, Cho), Tatsuya Noda (野田達哉: B), Masato Akashi (明石昌人: G), Junichiro Nishioka (西岡潤一郎: Drs)で、ゲストとして、Shuji Noiri (野杁秀二: G), Hiroshi Muraji (Alto Sax, Tenor Sax), Kenji Sato (Tenor Sax, Bass Sax), Hideki Mitsumori (Kbd)も参加しています。内容はA面5曲/B面4曲が収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Psychedelic Boogie (サイケデリック・ブギ)”は、ちょっとだけスカっぽいリズムに、何となく惚けた歌詞を女性Voが歌い、男性のコーラスが絡む曲です。 ★A2 “Pink Flamingos (ピンク・フラミンゴ)”は、ファンク調のドコドコしたDrsがダンス・ミュージックで、そこにスラップ奏法も魅せるBや多重化されたSaxが絡む曲で、やはりやや惚けた歌詞の女性Voを聴くことができます。 ★A3 “Radio Atlantis (ラジオ・アトランティス)”は、ダンサブルなリズム隊に、マンドリンらしき哀愁のメロディ及び感情たっぷりな男性VoとラジオDJのような女性Voの掛け合いが効果的な曲です。 ★A4 “Jungle Night (ジャングル・ナイト)”は、SaxやGやオルガンのイントロから、強力なリズムとコケティッシュな女性Voが続くスカっぽい歌謡曲です。 ★A5 “Oikimuchi March (オイキムチ・マーチ)”も、ダンサブルなスカっぽい歌謡曲で、焼肉応援な歌詞を男性Voが歌っています。リズムは基本的にスカなんですが、余りその影響を感じさせないですね。Saxも良い塩梅です。 ★B1 “Mezurashi (珍)”は、一転、スローでジャジーな曲かと思うと、いきなりアップテンポなスカっぽいリズムになります。「軽快な」とは、この曲の為の言葉ですね。 ★B2 “Dance Market”は、強力なリズム隊とSax隊から成るダンサブルな曲で、男性Voが割と真面目な(?)歌詞を歌っています。ノリノリですが、いきなり終わります。 ★B3 “Uwakina Sailor (浮気なセイラー)”も、スカっぽいリズムの上で、女性Voがニューウェーブな歌詞を歌っている曲です。アレンジもニューウェーブですね。 ★B4 “Seikimatsu Mania (世紀末マニア)”も、強力なリズム隊と男女のVoが活躍するダンサブルな曲ですが、所謂、ニューウェーブ歌謡曲的なノリですね。終わり方にピアノを使ったギミックが差し込まれています。 総じて、スカのリズムを日本語歌詞向けに上手くアレンジしたニューウェーブ歌謡曲と言った印象なのですが、当時はこう言うバンドあったよなぁ!と納得してしまいますね。まあ、サイケデリックではないですが、アレンジ力が卓越していて、英国Two Tonesの様な、もろスカと感じさせずに、ダンサブルなリズムを繰り出すのには驚きました。そんな1980年代のダンサブルなThe No Comments、如何ですか? A3 “Radio Atlantis” https://youtu.be/AVJ6ufgp5HE?si=RspbGf7YF167G1FD [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lO63Tit6kLAn0NgsfY8YZtVWoDL_Qjff0&si=45YX6nuID8-ctPxw #TheNoComments #PsychedelicC #Invitation #3RdAlbum #JapaneseBand #NewWave #Ska #DanceMusic #KenYamazaki #山崎憲 #KazuyaSahara #佐原一哉 #TatsuyaNoda #野田達哉 #RitsukoNakajima #中島律子 #AtsunoriKawashima #川嶋晃教 #MasatoAkashi #明石昌人 #JunichiroNishioka #西岡潤一郎 #Guest #ShujiNoiri #野杁秀二 #HiroshiMuraji #KenjiSato #HidekiMitsumori
New Wave / Pop Music Invitation 782円Dr K2
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The Associates “The Affectionate Punch”
天下のお騒がせバンドThe Associatesを知っていますか?元々はスコットランドで地方で活動していた彼らは、自分達のデビューシングルに、著作権なんか関係無しに、David Bowieの”Boys Keep Swinging”を無許可でリリースしたと言う事で、俄然、注目を集めました。そんな彼等のファーストアルバム”The Affectionate Punch”を紹介したいと思います。それては先ず恒例のバイオグラフィーを紹介しますね。初め、Billy Mackenzie (Vo)とAlan Rankine (G)は1976年にAscorbic Onesと言うキャバレーバンドを2人でやっていました。Rankineは後に「あれは、自分達が何かを成し遂げたことをいうための『夢のバンド』だったんだよ。」と述懐しています。それで、いざ、自分達のレコードを出す時に、当初は、パンド名をMental Tortureにするつもりでしたが、最終的にはThe Associatesにに決まりました。しかしながら、先述のDavid Bowieの違法カバーは全英トップ10はするのに、彼等の初期の曲は殆ど取り上げられませんでした。それでも、1979年6月にデビューシングルはレコード・ミラーのスコットランド・チャートでは15位に達しますし、John PeelのBBCの番組Radio 1でも流される機会にも恵まれます。Mackenzieは後から語っているかことからは David Bowieのカバーはきっと「こりゃすげー!」って言う風に感じてもらえるとの確信犯的な作戦だったらしいです。そう言うこともあって、彼等はFiction Recordsと契約して、デビューアルバムでもある本作”The Affectionate Punch”を1980年8月1日にリリースします。この時に、先述の2人に加えて、Michael Dempsey (B)とJohn Murphy (Drs)が加わりますが、これはあくまでも仮のバンドであり、MackenzieとRankineはまだ、デュオと言う認識が強かったみたいです。それで、資金繰りが難しかったSituation Twoは、1981年10月に、今までリリースしたシングルをセルフ・コンパイルしたアルバム”Fourth Drawer Down”をリリースしています。そして、RankineとMackenzieは、リードVoにChristine Beveridgeを備えて、39 Lyon Streetと言うバンド名でシングル”Kites”を出したりもしています。それまでのレーベルSituation Twoの親会社のBeggars Banquetは、大手レコード会社WEAに吸収されたので、バンドの方もWarnerと契約します。1982年には、シンセポップなシングル”Party Fears Two”をリリースしますが、これがヒットし、全英シングルチャートで9位になります。続けて、元々インスト曲であった"Nothinginsomethingparticular"のヴォーカル・ヴァージョンの”Club Country”と”18 Carat Love Affair”もリリースし、1982年5月14日に バンド史上最も商業的に成功したアルバム”Sulk”をリリースしています。1982年のプロモーションツアーの直前にRankineが脱退し、バンドの存続の危機に陥ります。しかし、Sire RecordsのSeymour Steinが助けますが、Mackenzieのやる気の無さにStenも興味を失います。それでも曲を書いていたMackenzieですが、1985年にアルバム”Perhaps”をリリースし、全英アルバムチャート23位になります。次に、1988年に、4枚目のアルバム”The Glamour Chase”を出そうとしますが、商業的成功が期待できないと言う理由で、WEA/Warner側はこれを拒否します。因みに、後になってアルバム”Perhaps”と抱き合わせで、2枚組CDlとしてリリースはされています。ただ、MackenzieにBlondieの”Heart of Glass”のカバーならリリースすると決断し、これが英国WEA/Warnerでの最後のリリースとなります。Mackenzieは次にAVL/Virginの傘下であるCirca Recordsと契約します。一方、1988年9月に、"Heart of Glass"がリリースされます。WEAは、1990年にセルフ・コンピレーション”Popera: The Singles Collection”をリリース、続いて、”Country Boy”とBoris Blankの共作シングル”The Rhythm Divine”もリリースしています。1987-1992年に渡り、MackenzieはスイスのアヴァンポップバンドYelloのDieter Meierともコラボをしています。そして、1990年にアルバム”Wild and Lonely”をAssociates名義の最後のアルバムとしてリリースした後に本名名義でのソロ活動に入ります。とまあ、これが、活動してきた彼等/彼のバイオグラフィーとなります。 それで本作品、即ちAssociatesのファーストアルバム”The Affectionate Punch”です。この時のメンバーはBill Mackenzie (Vo), Alan Rankine (Instruments), Nigel Glockler (Drs)ですが、ゲストでThe CureのRobert Smith (Backing Vo)も参加しています。内容はキーボードやシンセの目立たないギター中心のかなりニューウェーブな内容になっています、金属質な音色のギターのリフやカッティングは明らかにニューウェーブ的でありますね。乗りも良いし、ドラムのパターンも凝ってるし。個人的にはポストパンクの音ではないと思います。ただ、Voは時に歌い上げるように振る舞いますので、当時からすると、早過ぎたニューロマンティック(通称ニューロマ)とも言えそうです。ただニューロマとするならば、ちょっと華がないですね。このような1980年前後の音楽の移り変わりは複雑で、分類できないし、分類しても無意味だとは思いますが、少しでも音楽を聴く際の指標になればと思っています(まあこれは私的基準で選んでますし、感想も個人的ですが)。なので、1980年前後のニューウェーブとやらは、何ぞや?と思っているリスナーにはお勧めしますよ! “A Matter of Gender” https://youtu.be/8IMPF1OvB28 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLijPiy4xM0hcCNDceTUpJ3CEgn7COz_rw #TheAsspcinates #TheAffectionatePunch #FictionRecords #NewWave #BillMackenzie #AlanRankine, #NigelGlockler #UKAlbumChard
New Wave / Pop Music Fiction Records 不明Dr K2
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XTC “Black Sea”
実は、私はBarry Andrewsが抜けた後のXTCには、そんなに触手が動かなかったんですが、このアルバムだけは何故か買ってしまいました。それはテクノポップの終焉と新しい英国大衆音楽への昇華を聴きたかったのかもしれませんね。XTCについては、既にバイオグラフィーは書いていますので、ちょっとだけ補足を。ええっと、Barry Andrewsが抜けた後にDave Gregoryが加入していますが、彼はGとKbdを担当しています。ここら辺の人選にXTCの方向転換のセンスの良さを感じますね。そのメンツで”Drums and Wires”を1979年にリリースして、翌年、本作品である”Black Sea”をリリースしています。よく見るジャケ写は実はその上に緑色の紙袋で包まれていたんですよ。プロデューサーにSteve Lillywhiteを起用しており、この時代特有のドラムの録り方をしています。そうです、キーワードはドラムです(例えば、P-Modelが”Perspective”でドラムを残響音バリバリの録音にしたように)。ここでは、Andy PartridgeとSteve Lillywhiteの化学反応が成功した例でしよう。ギターの金属質な音色やリフが、やや実験的なプレイをしても、Colin MouldingのBとTerry ChambersのDrsがしっかり支えて、ポップ・ミュージックとして成立させています。また、A3”Living Through Another Cuba”でのダブ的ミックスは秀逸です。このアルバムを買った時の印象は「何か音が詰め込み過ぎ」だったのですが、今、聴くと丁度良い感じですね。まあ、Andyのヴォーカルはいつも暑苦しいんですけどね(苦笑)。しかしながら、2人のギターのカッティングやリフの絡みはカッコいいですね。あとColinのBは凄く上手くて、出過ぎず、引っ込み過ぎずで良い感じです。あと、B面の曲の繋ぎがこれまたカッコいいんですよ、聴いてみれば分かります。B5 “Travels In Nihilon”での先進性とP-Modelの”Perspective”との類似したリズムのヴァリエーションは、やはり時代の音ですね。そんな訳で、本当久しぶりに聴いてみましたが、やっぱりXTCは凄かったです。次世代のポップミュージックをこの一枚で作ってしまったのですから。因みに、ジャケ写に”X”, “T”, “C”の三文字が隠れているの、気付きましたか?そんな所にも彼等の洒落っ気があります。是非とも今聴いておくべきアルバムですね。 A1 “Respectable Street” (3:34) A2 “Generals And Majors” (4:00) A3 “Living Through Another Cuba” (4:41) A4 “Love At First Sight” (3:04) A5 “Rocket From A Bottle” (3:27) A6 “No Language In Our Lungs” (4:52) B1 “Towers Of London” (5:17) B2 “Paper And Iron (Notes And Coins)” (4:17) B3 “Burning With Optimism's Flame” (4:12) B4 “Sgt. Rock (Is Going To Help Me)” (3:54) B5 “Travels In Nihilon” (6:54) A3 “Living Through Another Cuba” https://youtu.be/AZFCyMPvLd8 B5 “Travels In Nihilon” https://youtu.be/I6y3RQEPkpQ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nmOGEjp2eesCsZiMzbogbzFcRJLI6Nyds&si=WVPdXboWLfoGlsM8 #XTC #BlackSea #VirginRecords #PopMusic #NewWave #BritishRock #AndyPartridge #ColinMoulding #DaveGregory #TerryChambers #SteveLilliwhite
New Wave / Pop Music Virgin Records 2500円Dr K2