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Kraftwerk “s/t”
すいません、忘れてました。Kraftwerkのファースト・アルバムです。私の持っているのは国内盤です。Kraftwerkについては、もう何回も書いてありますので、バイオグラフィーは省略させて頂きます。本作品はKraftwerkとしてのファースト・アルバムで、重要な位置にあります。この時のメンバーは、Ralf Hütter (Organ, Synth [Tubon]), Florian Schneider (Flute, Vln, E-Perc)に、Andreas Hohmann (Drs)とKlaus Dinger (Drs)とが加わっています。そして、エンジニアは勿論Conny Plankです。それで内容なんですが、A面B面共に2曲ずつ収録されています。A1 “Ruckzuck” は、リズミックなフルートに導かれて、生ドラムのビートが主軸を成し、そこにオルガンの不協和音が挿入される曲で、テンポは次第に早くなっていきます。何度かのブレイクを挟みつつも、最後のブレイクで唐突に終わります。A2 “Stratovarius”は、ディレイを掛けた持続音(シンセとかヴァイオリン?)の捻れるようなイントロから始まり、具体音のノイズやフリーなドラムの連打に中断され、仕切り直しのように、ややスローテンポなビートに乗って、オルガン等のジャムセッションのようになって混迷の中に突き進んでいきますが、また崩れて、再びハンマービートっぽい流れになります。リフは歪んだオルガンでしょうか?しかしまた、派手に演奏は崩れ、オルガンとドラムとヴァイオリンで持ち直しかけたところで唐突に終わります。B面に移ります。B1 “Megaherz”は、フェイザーとワウを掛けたオルガンの不協和音から成るイントロが終わると、極めて微音から立ち上がる静かなパート、更にフルートの優しい調べが控えめに立ち昇ってくるアンビエントな曲ですが、あれ?終わったのかと思うと、また続きが始まります。そして、B2 “Vom Himmel Hoch”では変な歪みを持った電子音にハンマービートっぽいドラムが自由奔放に出し入れされる曲となり、シンセの音も聴取できます。 全体的に聴いてみて、本作品はまだまだ、テクノやポップな音楽と言うよりも、何だかジャムセッションを聴いているような印象が強いのですが、それでも本作品の内部には後の(テクノ)ポップネスを感じさせる萌芽もありますね。まあ、それでも、外面は「実験的な音楽」ですから、その点はインプットして聴いてみてください❗️ A1 “Ruckzuck” (7:47) A2 “Stratovarius” (12:10) B1 “Megaherz” (9:30) B2 “Vom Himmel Hoch” (10:12) https://youtu.be/E4b0-juTiQ8?si=xdzF80rKQaQduvGb #Kraftwerk #Philips #日本盤 #1970年 #Reissue #1979年 #Krautrock #FirstAlbum #Experimental #Flute #Electronics #Drums #RalfHütter #FlorianSchneider #AndreasHohmann #KlausDinger #Producer #ConnyPlank
Krautrock / Experimental PHILIPS 不明Dr K2
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Can “Delay 1968”
まだ続くよ、Can祭り!今回は、13枚目のアルバム”Delay 1968”を紹介します。この意味深なタイトルからも想像できると思うのですが、録音は恐らく、1968年の初期のものだと思います。とすると、ほぼCanのデビュー前のものになりますね。私の購入したのはSpoon Recordsのリマスターされた再発で、ピンク盤です。ここでの参加者は、Malcolm Mooney (Vo), Holger Czukay (B, Engineer, Edit), Jaki Liebezeit (Drs), Michael Karoli (G), Irmin Schmidt (Kbd)の初期のメンバーです(と言うことからも分かりますね!)。あと、インナーに、米国人フルート奏者兼作曲家で、Karlheinz Stockhausenの弟子でもあったDavid Johnsonも写っている写真もあることから、クレジットにはありませんが、彼も一部参加していたのではないかと思われます。それで、このアルバムは、A面4曲、B面3曲から成り、全体的には、初期の録音作品のように、ガレージ・サイケなサウンドであり、それにハスキーなMooneyのヴォーカルが絡むと言う印象で、単純に言ってカッコいいです。A2 “Pnoom”は26秒と言う短い曲で、恐らくはLiebezeitによると思われるサックスが左右のスピーカーから無秩序に飛び出してくる、ちょっとした実験的曲になっていますが、一説には、この曲名は、発表されなかった幻のファースト・アルバム”Prepare To Meet Thy Pnoom”のタイトルを想起させるとも言われています。B2 “Uphill”での、切迫した迫力のハンマービートを叩き出すLiebezeitと生き生きしたMooneyのヴォーカルの掛け合いがめちゃくちゃカッコよく、如何にもCanらしい曲になっています。A3 “Nineteen Century Man”やB1 “Man Named Joe”と言った曲は、Bo Diddleyのギターやタイトルを思わせ、R&Bのミュータントだとの意見もありますが、正にその通りだと思います。とにかく、プリミティヴで、カッコいいCanが詰まっていますので、まだ、Canを聴いたことの無い初心者の方は必聴ですね❗️ A1 “Butterfly” (8:20) A2 “Pnoom” (0:26) A3 “Nineteen Century Man” (4:18) A4 “Thief” (5:03) B1 “Man Named Joe” (3:54) B2 “Uphill” (6:41) B3 “Little Star Of Bethlehem” (7:09) A3 “Nineteen Century Man” (4:18) https://youtu.be/GHtHUWFKVj0 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kgTlUaHVr569r9glv3mmf6wulNoxogKtk #Can #Delay1968 #SpoonRecords #Reissue #Remastering #Krautrock #Garage #Psychedelic #HammerBeat #MalcolmMooney #HolgerCzukay #JakiLiebezeit #MichaelKaroli #IrminSchmidt
Krautrock / Experimental SPOON Records £32.99Dr K2
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Can “Ege Bamyasi”
いよいよ始まるCan祭りですかね? 以前にも書きましたが、私はそれ程、Canが好きであった訳ではありません。どうも、あのヒッピー臭さとかがどうも苦手だったので、今まで避けてきましたが、2000年頃にまとめて購入したことがあります。今回は、4枚目のアルバム”Ege Bamiyasi”をご紹介します。私が購入したのは、リマスタリングされた再発盤で、グリーン盤となっています。Canのバイオグラフィーは以前にも書いていますので、そちらをご参照下さい。メンバーは、Holger Czukay (B, Recording), Michael Karoli (G, A-G, 12弦G, Shenai), Irmin Schmidt (Organ, E-Piano, Vln, Steel-G), Jaki Liebezeit (Drs, Perc, Flexaton), Kenji "Damo" Suzuki (Vo)です。彼等がこのアルバムの前に出したシングル”Spoon”が、独TVスリラー番組”Das Messer”のテーマ曲として使われた為、このシングルは30万枚も売れ、その為、彼等のスタジオInner Spaceは古城から広い劇場跡に移り、そこで、本アルバムは作製されていますし、また居住空間も備わっていました。それで、Czukayは当時、ベトナムの音楽に興味を持っていましたが、他のメンバーは、バリやモロッコの音楽のレコードを買っていました。その結果かどうかかは分かりませんが、中近東風の旋律が時に聞こえるようです。それから、ジャケにオクラの缶詰(can)を使っていますが、これは、曲名にも”I’m So Green”とか名曲”Vitamin C”とかをつけていたことから、ある種のコンセプト(ベジタリアン?)があったのでは?と邪推してしまいます。 では、各曲を紹介していきます。A1 “Pinch”は、大胆なハンマービートに乗って、ダモ鈴木の、時にむにゃむにゃ、時にシャウトするVoが聞こえてきますが、後半に、Liebezeitのパーカッションが唸り、SchmidtのオルガンやKaroliのギターが刃物の様に割り込んできます。A2 “Sing Swan Song”は、スローな曲で、民族楽器が使われているようです。PILのJohn Lydonは、この曲から”Swan Lake”を思いついたのでしょうか? 泣ける曲です。A4 “One More Night”は、7/8拍子と言う変拍子の曲で、LiebezeitのドラムとCzukayのベースが光っています。ダモ鈴木のVoはマイクの傍で喋っている/叫んでいるようです。それで、B面にいきます。B1 “Vitamin C”も名曲で、これ以降も頻繁に演奏されています。やはりハンマービートにCzukayのベースとSchmidtのキーボードが大胆にフィーチャーされており、ダモ鈴木は思いっきり日本語で「ビタミン・シー」と叫んでいます(苦笑)、B2 “Soup”は、ブーストされたベース音やフリーなドラム演奏、ノイジーでフリーキーなギターやキーボード、それにヒステリックなVoが混沌の中で渦巻いており、ビートレスな曲です。B3 “I’m So Green”は、一転、反復するビートに乗った軽目の曲で、Karoliのギターが冴えており、段々とSchmidtのキーボードを中心に盛り上がっていきますが、中途半端にフェイドアウトしてしまうのが惜しいです。B4 “Spoon”は、リズムマシンまで用いたハンマービートですが、全体的に軽い感じで、ダモ鈴木のVoも囁くように乗っており、アクが強くない分、シングルになり易かったのでしょうか? また、この曲もあっと言う間にフェイドアウトしていきます。 とまあ、如何にも彼等がクラウトロックの中心にいたのか?が分かる内容になっています。実験音楽とロックが、一枚のアルバムに共存している奇跡を目の当たりにしましょう❗️ “Spoon” (Live) https://youtu.be/d1Wp5PWZ20w [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kBd8XuSOXKw1Mb8QUwaDLa2-e-H8QEYx8 #Can #EgeBamyasi #UnitedArtistsRecords #SpoonRecords #4thAlbum #Reissue #Remastering #GreenVinyl #Krautrock #HammerBeat #変拍子 #Experimental #Spoon #HolgerCzukay #IrminSchmidt #MichaelKaroli #JakiLiebezeit #KenjiDamoSuzuki
Krautrock / Experimental Spoon Records (UNITED ARTISTS Records) 不明Dr K2
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Neu ! “Neu! ‘75”
お久しぶりです!独逸の偉大な発明ハンマービートを携えてのNeu !のサード・アルバム”Neu !’75”の登場です。ファースト・アルバムまでのバイオグラフィーについては、前回書きましたので、参照してください。サード・アルバムではKlaus Dinger (Drs, G, Vo)とMichael Rother (G, Kbd, Vo)のデュオなんですが、彼等に加えて、Klausの弟Thomas Dinger (Drs)とHans Lampe (Drs)もB面で客演しています。ただ、この時期、DingerとRotherの方向性が異なってきており、特にガレージバンドが出自のRotherはもっとライブがやりたかったみたいです。それで、アンビエント志向のRotherとドライブするハンマービート(Motorik)志向のDingerのそれぞれのソロアルバム的な曲をこの一つのアルバムに無理矢理詰め込んでいます。これは、特にB面で顕著で、B1 “Hero”やB3 “After Eight”では、その後のDingerの志向(実際、Thomas兄弟とLampeによるバンドLa Düsseldorfへと続く)を反映する単コードによるギターとハンマービートが強烈で、特にB1はこの時期の英国のパンクスにも影響を与えたと言われています。一方で、その間の曲やA面ではどちらかと言うとビートレス或いは通常のスロービートによるゆったりとした曲から成り、当時、Clusterの2人とコラボし始めていたRotherの雰囲気を感じることができます。しかしながら、この異なる方向性の個性を詰め込んだ為、Neu!としては、1975年に解散してしまい、少なかったファンもバラバラになってしまいます。本作品の内容は前述の如くなので、これ以上は書きませんが、ある意味、クラウトロックの分岐点になったアルバムと言えるでしょう。そんな訳ですので、クラウトロックを語るなら、一度は聴いておいた方が良いかも⁉️ https://youtu.be/GT0f1Tw3YXM #Neu! #Neu!’75 #Brain #GrönlandRecords #Krautrock #ThirdAlbum #HammerBeat #Ambient #KlausDinger #MichaelRother #ThomasDinger #HansLampe
Krautrock / Experimental Grönland Records (Brain) 不明Dr K2
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Kraftwerk “Kraftwerk 2”
これは蔵出し。Kraftwerkのセカンド・アルバムです (調べたところ、どうやら、非正規品では無いようで、イタリアのCrown Recordsが勝手に再発したブートのようです[残念ながら🫤])。この頃のKraftwerkはと言うと、まだテクノの元祖への布石は打っておらず、どちらかと言うと、まだ、実験音楽色が強いです。Kraftwerkのバイオグラフィーは既に書いていると思いますので、ここでは省略させて頂きます。このアルバムはFlorian SchneiderとRalf Hütterの二人だけで作成されていますが、プロデュースにはConny Plankも協力しています。先ず、A面ですが、A1”KlingKlang”(後の彼等のスタジオ名になります)からですが、出だしこそ、不穏ですが、やがて、これからの音楽性を予見するようなミニマルな(テクノ)ポップ・ミュージックからなります。ただ音程や再生速度が変わっていく展開で、少しだけ実験的です。A2”Atem”はホワイトノイズによる「呼吸」のような短い曲です。それでB面ですが、B1”Strom”~B3” Wellenlänge”まで、ギターを中心としてフリー・ミュージックで、B1の冒頭こそLo-Fiなギター音から始まりますが、ギターとベースによるジャム・セッションと思われる曲が並んでいます。どうもプリペアード・ギターも使われているようです。B4”Harmonika”はタイトル通りハーモニカの独演ですが、多分エフェクトをかけているのでは。後のKraftwerkからすると、意外な音作りをしているようですが、彼等の出自が芸大なので、またアカデミックな面がまだあったのでしょう。コンパクトにまとめられたアルバムですが、A1だけでもプロト・テクノ・ポップみたいなので、興味のある方は聴いてみて下さい。 なお、本作品での担当は、Florian Schneider (Flute, Vln, G, Electronics, Mixing Console, Glocken), Ralf Hütter (Organ, E-Piano, B, Electronic Drums, Glocken, Harmonika)となっています。 A1 “Klingklang” (17:36) A2 “Atem” (2:57) B1 “Strom” (3:52) B2 “Spule 4” (5:20) B3 “Wellenlänge” (9:40) B4 “Harmonika” (3:17) https://youtu.be/41CFmUZsBr4?si=WTXUgeqti7bOu4Ps #Kraftwerk #Kraftwerk2 #CrownRecords #Reissue #1994年 #Philips #1972年 #Non-Official #2ndAlbum #Experimental #ProtoTechnoPop #Guitar #FlorianSchneider #RalfHütter #Academic #Producer #ConnyPlank
Krautrock / Experimental Crown Records 不明Dr K2