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Laibach “The Occupied Europe Tour 1985”
永遠の反逆芸術部隊にして、Neue Slowenische Kunstの音楽部門担当Laibachの初期のライブ盤です。しかも、初盤は、あのSPKのレーベルSide Effect Recordsよりのリリースです。Laibachのバイオグラフィーについては既に他の作品で書いていますので、そちらをご参照ください。前回は1980-1984年のライブ盤” Rekapitulacija 1980-84”を紹介していますが、今回は、1984年12月〜1985年7月に行われた欧州占拠ツアーからのライブ音源になります。ライブ公演自体は、トータル24ヶ所で行われており、その内、LjubljanaでのライブはRadio Študentによって、HamburgでのライブはUli Rehbergによって、LondonでのライブはSPKのGraeme Revelによって録音されており、その3ヶ所のライブ音源が今回、コンパイルされていると思われます。なお、裏ジャケには、1985年の米国大統領Ronald Reganの声明文「欧州のグローバリズム」についての一部が引用されており、ここら辺に、彼等の「政治的」」スタンスが感じられます。内容は、これまた、Laibachらしい「インダストリアル交響曲」とも言えるマーシャルな音で、初期の彼等の音楽を良く体現していると思います。まだあの低音のMilan FrasはリードVoではないようで、Voは恐らくIvo SaligerことTomaž Hostnikではないでしようか。この頃のLaibachのコアメンバーは、Dejan Knez, Milan Fras, Ervin Markošek, Ivan "Jani" Novakらしかったのですが、彼等はしばしば偽名を使うので、定かではないです。また、彼等はライブでは、コアメンバー以外にライブ要員を使いますので、ここでの参加メンバーについては不明です。A1 “Perspektive”でのテープ操作から始まり、A2 “Vier Personen”でのコーラスの巧妙な使い方や「全体主義的」で強靭な音作り、A3 “Nova Akropola”では大胆なホーン類の音の導入と今のLaibachとは異なるゲッペルスにも似た熱狂的ヴォーカルもカッコいいです。因みにこの曲は、当時のLaibachとしては有名な曲ですね。あと少し思ったのは、こう言うスローな曲で顕著なのですが、NYCの初期Swansとも共通する「重さ」があります。A4 “Vojna Poema”は渋いバラード調の曲で、ピアノと低音Voがグッときます。B1 “Panorama”もタイトルから想像出来ない位、マーシャルな曲で、B2 “Ti, Ki Izzivaš”も強靭な意志を感じさせる迫力のある行進曲です。B3 “Die Liebe Ist Die Grösste Kraft”は、女性の声で独逸語のナレーションから始まる、不協和音と重い疾走感のある曲で、カッコいいです。B4 “Vade Retro!”は怒号の飛び交う、やや実験的な曲で、B5 “Država”はサンプラー(?)を使用し、ネオ・クラシカルなアレンジを施した曲で、本アルバムを締めています。全体的に、3ヶ所でのライブ盤にしては、まとまったアルバムだと思いますし、音的にも迫力があるので、初期Laibachに興味のある方は是非聴いて欲しい一枚です❗️ B2 “Ti, Ki Izzivaš” https://youtu.be/AEF5EscHFbA [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLOuebjVJfxz_1y07-L-NF4qshAtzK_PWd #Laibach #TheOccupiedEuropeTour1985 #SideEffectsRecords #LiveAlbum #Ljubljana #Hamburg #London #Industrial #Martial #NeoClassical #DejanKnez #MilanFras #ErvinMarkošek #Ivan"Jani"Novak #TomažHostnik
Industrial Music Side Effects Records 不明Dr K2
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Hunting Lodge “Live Lodge | Harrington Ballroom | S/M Operations” from “Shadows Out Of Time ‘82-‘83”
Hunting LodgeボックスのLP3はライブ・アルバムになっています。E1-E5は1983年にミシガンのFort Gratiotでのライブ”The Lodge”からのライブトラックをコンパイルしています。この時には、Karl Nordstromが脱退した後で、メンバーはLon C. Diehl (B-Synth Combo)とRichard Skott (MS-20 Synth、G)の2人になっており、より音響的であったとのこと。音がやや薄いのは仕方ないですが、時折り聞こえるヴォーカルというか咆哮にインダストリアル魂がこもってますね。E6, E7はNordstromがまだ在籍していた頃、1982年のライブ・トラックで、彼等のレーベルS/M Operationsからカセット作品としてリリースされていた”Harrington Ballroom 09 04 82”からチョイスされています。この2曲は音質も幾分良くなってますね。F1-F7は、F2を除いて、彼等のレーベルからリリースされてコンピレーション・カセット作品”S/M Operations”に収録されているトラックからのチョイスとなっていますが、これらのトラックはライブではないようで(ただ、スタジオでの一発録りの可能性はありますが)、結構、クリアに聴こえ、音の分離も良いです。内容的にはミニマルなシンセ・ウェーブのような曲もありますが、リズムマシンを使いながらも、結構、カオティックなところも残していて、この先どうなるのかなと言うところが興味深いですね。また、この頃、彼等はJohn Wrightと関係があったみたいで、F2はそのWrightの歌をスタジオで録音したものとのことです(ちょっとJohn Wrightについて調べてましたが、何かヤバい人物のようです)。まあ、歌物自体はそれ程でもなかったです。 と言う訳ですが、ボーナスの7㌅シングルについても少し紹介しておきます。A面は、John Wight作詞の曲(F2)”Stellazine Shuffle”の編集版、B面は”Learn To Will”(F1)で、日本のレーベルBeast 666のコンピに提供したヴァージョンです。A面は本当にカッコいいインダストリアル・ミュージックに仕上がっています。なお両面共スタジオ録音です。 このボックスを聴けば、1982-1983年の米国インダストリアルの潮流を大体掴めると思いますので、好事家の方は是非とも❗️ F6 “De Omnibus Dubitandum” https://youtu.be/fjpkfnjtQyY シングルA面”Stellazine Shuffle (edit)” https://youtu.be/ho4bwJJQrGU #HuntingLodge #TheLodge|HarrigtonBallroom|S/MOperations #ShadowsOutOfTime’82-‘83 #VinylOnDemand #S/MOperations #LiveTracks #TheLodge #HarringtonBallroom090482 #LonC.Diehl #RichardSkott #JohnWright #KarlNordstrom #Electronics #RhythmMachine #Voice #Guitar #Bass-SynthCombo
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Hunting Lodge “Unreleased” from “Shadows Out Of Time ‘82-‘83”
Hunting LodgeのボックスセットLP2 “Unreleased”を紹介します。Hunting Lodgeについては前回の文章を参考にして下さい。 それで本作品の内容ですが、C1 “Exhumed Era Outtake”はまだインダストリアルで良いのですが、C2-C5の4曲は”Intermission”として、Lon C. Diehlのソロトラックからなっており、「ノイズ」要素は取り除いたシンセ・ウェーブな曲です。まあこれを Hunting Lodgeのボックスに入れて良いのかどうかは分かりませんが。それで使っている機材は、Roland CQS-600シーケンサー, SH-09 シンセ, TR-808リズムマシンで、曲によっては、Bassline TB-303なんかも使っています。これらの曲はS/M Operation主催のライブの時、バンドの転換の時にPalette CleanersとしてDiehlが演奏していたみたいです。結構、ミニマルでカッコいいですよ。それで、D1, D2, D5はいずれも 彼等のプロモーション作品”23 Minutes of Murder”の録音時のセッションのヴァージョン違いです。特に”23 Minutes of Murder Session (Dark)”ではかなり暗黒度が高いですね。この時はまだKarl Nordstromが在籍しており、彼はSH-09シンセとTR-808リズムマシンを演奏してました。またこの時の録音にはKarlの兄弟のThomasの家の地下室で行われています。DiehlはRoland G-88ベースで、GR-33Bベースシンセを演奏していますが、Synare 3とVoでも参加しています。一方、SkottはMS-20のパッチングをしたり、Roland P/V シンセSPV-355を通したギターを弾いていたとのこと。そう考えると、彼等は当時としては結構、機材を持っていたのだなあと。それにギターシンセなんかも持っていて使っていたなんて、ビックリです(と言うか、羨ましい❗️)、それとDiehlのVoはタントラの様にも聞こえ、そう考えると、このセッションは電子曼荼羅ではないかな?とも思えます。 D3 “Sonderkommando” は、Skottのソロで、彼は、Korg MS20シンセとSQ-10シーケンサーだけで録音したらしいです。こちらはミニマルなシークエンスに絡みつく電子ノイズと言ったところでしようか? D4 “Sounds Like A Picture (Edit-Ending)” は彼等のアルバムLP”Will”に収められている同名曲の後半半分で、ダブを意識して録音されているらしいです。確かにディレイが効いた電子音が虚空に放たれるような曲になっています。ヴォーカルやテープ音にもロング・ディレイがかけられており、全てが霧散するようです。 未発表音源が聴けるのはホント有り難いですね。また、彼等の機材マニアなところとか、ソロトラックなんかも興味深かったですね。このLP2と為に、ボックス買っても良いのではないでしようか? “Sound Like Picture (Edit - Ending)” https://youtu.be/7e4lFThl8bk #HuntingLodge #Unreleased #ShadowsOutOfTime’82-‘83 #VinylOnDemand #S/MOperation #LonC.Diehl #RichardSkott #KarlNordstrom #ThomasNordstrom #Synthesizers #SynthBass #GuitarSynth #RhythmMachine #Sequencer #PaletteCleaners #SynthWave #Mininal
Industrial Music Vinyl on Demand 5000円前後?Dr K2
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Hunting Lodge ”Exhumed” from “Shadows Out Of Time ‘82-‘83”
米国で1980年代初期から活動していたインダストリアル・バンドの代表、それがHunting Lodgeです。今回は彼等の音源を集めて、リイシューしたVoDのボックス・セットから1枚づつ紹介していきます。先ずは簡単なバイオグラフィーを。Lon C. Diehlはミシガンの小さな街Port Huronに引っ越してきて、そこでProblemと言うバンドで一回ライブをやりますが、彼はポスト・パンク/インダストリアルがやりたかったので、それはそれで終わりますが、Diehlは、ProblemのヴォーカリストJeff Hardmanが運営していたFull Moon Recordsで働くことになり、短期間だけHardmanと実験的バンドHate/Greyをやったりしていました。そこに、ハーシュ・ノイズ・バンドScrew MachineのギタリストRichard Skottと店で出会います。2人はS/M Operationsと言うDIYレーベルを立ち上げ、そこにKarl NordstromことCarla Nordstromが加わり、3人でHunting Lodgeが結成されます。彼等のファーストライブはHarrington Hotelの中にあったHarrington Ballroomで、1982年9月に行われ、この時の演奏はラジカセで録音されており、そのライブ音源が、S/M Operationの第一作となっています。1983年初頭にNordstromが脱退し、彼はSFに移ります。1986年にHelmut Robinsonがドラマーとして参加していますが、1989年にバンドは解散となりました。その後、2011に、DiehlとSkottは、Apetechnologyと一緒に数回ライブをやっていたりしたみたいです。最近、Skottは、Hunting Lodgeのライブカセットをリマスタリングして、スタジオワークの抱き合わせ作品をカセットとデジタルで再発をしています。その中で、”Exhumed”は最初のスタジオ録音作品であり、ちゃんとディトリビュートされていた作品で、1983年3月に西独逸のDetaverarbeitungからリリースされた作品とあることを明記しています。また23 Minutes Of Murderほ、1982年10月にプロモーション用に作られたものであるとのこと。 それで、本作品はLP1 “Exhumed”は、A2 “Simulation / Stimulation”, A4 “By The Blood of Others”及びB2 “EQTPM”は、プロモーションカセット”23 Minutes of Murder”に収まられていたトラックで、それ以外はカセット作品”Exhumed”からのトラックであるとのことです。そして内容は、初期Hunting Lodgeの音楽を端的に表しているような、鬱々としたインダストリアルなノイズが垂れ流されています。基本的に、リズムマシンやシークエンス或いはメタパーらしき音が使われていますが、ビートレスな曲もあり、そのような曲にはダークなパワーで満ち溢れています。ただ、ビートのある曲は、post-TG或いはpost-SPKと言った初期インダストリアルの系譜を受け継いでおり、力強さすら感じますが、挟まれるテープ音や声明の様な声?電子音?などが、何か空恐ろしさあるいは負のパワーも感じさせます。そう言う意味では、初期インダストリアルの正統な継承者とも言えますね。このLP1の内容は、現在、BandCampでも入手出来ますので、興味のある方はそちらをお勧めします。 “Shadow Out Of Time”~”By The Blood Of Others” https://youtu.be/aUlOwu5wwJ4 “Exhume” https://youtu.be/sc6uOApFD8k #HuntingLodge #Exhumed #ShadowsOutOfTime’82-‘83 #VinylOnDemand #S/MOperation #23MinutesOfMurder #USA #IndustrialMusic #Post-TG #Post-SPK #Electronics #RhythmMachine #LonC.Diehl #RichardSkott #KarlNordstrom
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Laibach “Rekapitulacija 1980-84”
Laibachの初期音源をセルフ・コンパイルした2枚組LPのボックスセットが、この“Rekapitulacija 1980-84”です。Laibachの初期のバイオグラフィーは前回書いていると思いますので、ここでは割愛させて頂きます。それで本作品ですが、初期のLaibachの「偽」全体主義的音楽がたっぷりと聴けます。多分、私の持ってるLaibachの音楽のイメージはここら辺から来ているのでは?と思わせるような高品質かつインダストリアルな内容。各面にそれぞれテーマみたいなタイトルが付いており、ブックレットには、其々のスロベニア語と独逸語が並列して表記されています。ここら辺のヤバそうなところが、初期Laibachらしい。音も、メタパーも入ったマーシャル系ドラムを盛り上げていて、ヴォーカルも然程、重要視されていないように思われます。寧ろ、バックで挿入されるテープやヴォイスの方が重要でまた、効果的ですね。ただ2枚組でこのような曲調のものばかりだとちょっと食傷気味になります。ブックレットも独逸語ではなく、英語も併記してもらった方が、より内容が知れたようにも思いますが、まあ、そんなところがも含めて、トータリズムに拘った作品なんでしよう。あと、曲間に何か不明瞭な数十秒の挿入曲(?)が入っていますが、これはどう言うことでしようか? 本作品は、初期Laibach入門としては最適かと思いますので、聴いたことのない方はここから入ってもいいかと思います! “Slovenska Zena” https://youtu.be/t1H5eZZt9MU #Laibach #Rekapitulacija1980-84 #WalterUlbrichtSchallfolien #LaibachKunst #2LPsBoxSet #IndustrialMusic #NeoClassic #MetalPercussions
Industrial Music Walter Ulbricht Schallfolien 不明Dr K2
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Throbbing Gristle “Thee Psychick Sacrifice”
皆んな、大好き、Throbbing Gristle (TG)のライブアルバム2枚組です。DiscogsではTGのところには無いようですが、レーベルのIlluminated Recordsには掲載されています。と思ったら、TGのところにはカセット作品として掲載されていました(失敬!)。TGについては、Industrial Musicの提唱者或いは24本組カセットボックス(後に24枚組CDとして再発されてます)で有名ですし、前回もバイオグラフィーについては書いていますので、ここでは省略します。メンバーはいつものGenesis P-Orridge (Vo, B) Peter “Sleezy” Christopherson (Tape操作), Cosy Fanni Tutti (G Cornett), Chris Carter (Electronics)です。1979年4月12日に英国DerbyのAjanta Cinemaでのライブを録音したものになっています。Genesisのヴォーカルやベースも凄いのですが、Chrisが打ち込みによる3拍子のリズムが兎に角、カッコいい!Psychic TVの来日公演は2回程観に行ったが、やっぱりTGで来て欲しかった。黒を基調に軍服っぽい衣装で4人が並んでいる様は、どう見てもカッコいいのですよ。なので、Genesisが性転換したり整形したりしてからは、殆ど興味がなくなりました。だってカッコよくないから。やはり軍服がカッコいいんです。だから、戦争はやっちゃいけないんですよ。だってナチの軍服ってカッコいいじゃないですか。だから、騙されてしまうんですよ。まあ、その話しは置いておいて、このライブの中でも、”Convincing People”, “Hamburger Lady”, “Five Knuckle Shuffle”はめちゃくちゃ良いです、なので、このアルバムは名曲揃いです。皆さんも、これを聴いて、1979年の英国DerbyでのTGのライブを想って下さい! カセット版のA面分です。 https://youtu.be/TYrRp3m1Qcw #ThrobbingGristle #TheePsychickSacrifice #IlluminatedRecords #LiveAlbum #AjantaCinems #1979年 #GenesisP-Orridge #PeterChristopherson #CosyFanniTutti #ChrisCarter
Industrial Music Illuminated Records (Karnage Records) 不明Dr K2