G.X.Jupitter-Larsen “Big Time Crash Bang 2008”

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The Hatersの首謀者にして、メディア・アーティストGerald Xe Jupitter-Larsen (通称GX)。1970年代後半より活動を続ける、彼には色んな側面があります。コンセプチュアル・アーティストとして、パフォーマンス・アーティストとして、ビデオ・アーティスト/映像作家として、物書きとして、ラジオ・パフォーマーとしてと言う風に様々な肩書きは付きますが、一貫しているのは、途方もない虚無に向かうエントロピーを実践していることでしようか。私がGXと知り合ったのは、彼が当時、カナダでラジオ番組のDJをやっており、そこにK2のカセット作品を送ったことから交流が始まりました。彼は現在、米国のカリフォルニア州ハリウッドに住んでおり、そこを拠点にトータルな意味での「ノイズ」活動を行なっています。それらは元々、パンクロック、メールアート、カセット・カルチャー、ノイズ・ミュージック・シーンやジン・カルチャーに関わってきており、1990年代にはMark Pauline率いるSurvival Research Laboratories (SRL)の音響担当もしていました。なお、The Hatersとしては300アイテム以上のリリースがあります。
コンセプチュアル/アーティストとしては、彼はそれをを美学的・概念的強迫の混合物と見做しています。例えば,エントロピー、減衰、プロレス、そしてpolywave, totimorphous, xylowaveと言った個人的尺度の単位を独自に作ることと関係しているようですが、ここら辺のコンセプトは日本人には分かり辛いです。1985年に彼は彼自身の単位のシステムを見つけたとのこと。
パフォーマンス・アーティストとしては、彼はAs Loud As Possible誌の中で「The Hatersの30年」として、数多くの初期(1980-1900年代)のパフォーマンスについて纏めている。時に、ライブハウスを壊したり、ゴミ屑だらけにしていますが、元々はメールアートによるKS(Kinky Sexの略)ジンを作り、数多く出していたことも含まれるそうです。
ビデオアーティスト/映像作家としたは、1982-1986年の期間で”Blank Bannerと題された黒い(何も映ってない)ビデオを出しています。1994年には"Holes On The Neck"と言うレズのヴァンパイアの映画を作製しております。更に、2013年には、GXも出演したフルの映像作品"A Noisy Delivery"が、英国Leedsと米国NYCで上映されています。郵便料金の代わりに何らかの哲学を郵便局に持っていく人々を描いた映画と言う内容らしいです。 
物書きとしては、1992年にBlood Print Pressから”Raw Zed”と”The Condor”出版しており、2009年にも”Sometimes Never”と”Adventure on The High Seas”を出版しています。これらの小説にはチャプターは無く、ランダムに選ばれた文章の断片が並んでいるだけで、全く意味をなしていません。「無」です。精神的な面では自己埋没した単語が、具体的なものとしては規則的な単語か使われています。
ラジオ・パフォーマーとしては、GXは、1983年以来、11カ国31局のラジオ局で3500時間以上のラジオアートをライブで放送をしてきています。
とまあ、あらゆるメディアに関係しながら、ひたすら「無意味な事」「エントロピーの増大」に関係することをやってきているGXですが、今回の本作品もひたすら金属質なものをガチャガチャ、ガタゴト、バンバン、ガッシゃーンと鳴らしているだけなんです。しかし、ループのようで、ループじゃないような「偽」反復なノイズが、大した変化も無く、ひたすら続くと言う、如何にもなニヒリスト振りを見せつけています。好きな人には堪らんでしょうね。何か、楽しいとか退屈とかを超越してるようにも思えます。そんな体験をしたいなら、この作品はうってつけなので、是非聴いてみて下さい。因みに本作品はノイズ関係アイテムを扱う老舗RRRecordsからですが、品番はRRR-001となっています。

[YouTubeになかったので、本作に近い音源を]
https://youtu.be/fH6mGOKzyiU

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